家族の為ならどこまでも   作:実茶

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第33話 不穏な火花

わたしが落ち着きを取り戻してからシャッキーさんがわたしのザンバラになった髪を肩くらいで切り揃えてくれた

ご飯作れて散髪できてそこそこの腕っ節もあるって万能かよ、この人

 

「可愛くなったわね、短いのも似合うわ。でもどうしてこんなにざんばらだったのかしら?」

「……。」

 

わたしはその言葉にティーチのことを思い出し口をつぐんで俯いた。

シャッキーさんは何かを悟り頭を撫でる

 

「…ごめんね、もう聞かないわ」

 

彼女がそういうとBARのドアが開いた

 

「ただいま、シャッキー。…ん?その子は?かなり珍しい容姿をしてるな」

「あら、お帰り。レイさん。この子はだいぶ深い事情がある訳ありの子よ。すごく傷ついてるの。聞かないであげて」

「ほぉ…。」

 

彼は興味深そうにわたしを見るが何も聞いてこなかった

続いてルフィさんたちも戻ってきた。

一気に賑やかになったな。

彼らを思い出す。

 

「ニア!ごめんな、待ったか?」

「ううん。」

「そっか!あぁ、悪いニア!おれ騒ぎ起こしちまってしばらく隠れなきゃいけねえんだ!でも安心しろ!お前はおれが守ってやる!」

 

…なんで会ったばかりの事情も知らない奴にそこまで言えるんだろう。

そしてレイリーさんって人とルフィさんたちが話し出す。

船のコーティングに3日はかかるらしい。

それまで身を潜めなければならない、と。

ルフィさんがわたしの腕を掴む

 

「わかった!じゃあ、3日後な!いくぞ、ニア!」

 

そう言ってわたしも連れてルフィさんたちはBARを後にした。

 

***********

 

-レイリーサイド-

 

モンキー・D・ルフィとヒューマンショップで出会い、ハチの手当と彼の話を聞くべくシャッキーのいるぼったくりBARへ一足先へと戻る

BARにはかなり珍しい容姿をした子どもがいた。

その子の目に光はなく私は恐怖すら感じた。

ルフィたちは船にコーティングを施してほしいらしく、少なくとも3日はかかるというと、わかった。と言った。

3日間どこかに身を潜めるべくBARを出る。あの少女も連れて行った。

あの子は麦わらの一味なのだろうか?

 

「シャッキー、あの子は?聞くなと言われてもあんなに光のない目をしていれば気になるぞ」

「…そうよね。あの子、迷子なんだって。家族とはぐれたらしいわ」

 

家族はいるのか。…何故あんなにも昏い目をしていたのだろうな。

…そういえばあの子裸足だったな

攫われた可能性が高い、か。

 

「どこからきたんだろうか。あんな容姿じゃ満足に外も歩けやしないだろう。」

「お父さんとお兄ちゃんがいるところ、らしいわ。」

「聞いたのか?」

「少しね。1番上のお兄ちゃんは青い炎の鳥になるんだって。それ以上は話してくれなかったわ」

 

長男が青い炎の鳥になる?!そこの奴らが家族だと!?

…完全に何者かに攫われてきたな。

何故奴の船にあんな子どもがいるかは知らないが、あの子はきっと守られてきたんだろう。

 

「何事もないといいが…」

 

私は何か胸騒ぎがした。

 

-サイドエンド-

 

***********

 

「だから遊園地に隠れようって!」

「「「お前遊ぶだろ!派手に!」」」

 

やっぱり漫才やってるのかな、この人たち

…ん?なにか見聞色に引っかかったな

 

「…なにかくる。」

「「「?」」」

 

するとクマっぽい大きな人(?)いや、機械か?が襲ってきた

ルフィさんたちが一通り騒いだ後、戦闘体制にはいった。

 

「ギア2!強えってわかってんなら、最初から全開だ!!ニア!お前は下がってろ!!」

 

どこの誰かも知らない赤の他人を必死になって守ろうとする彼に心が揺らぐ。

この人になら教えても大丈夫かもしれないという根拠のない思いが湧き上がってくる。

彼らは一味全員で力を合わせてようやく一体を倒した。

 

「おいおい、なんてザマだ!PX-4!貴様ら"パシフィスタ"を一体作るのに軍艦1隻分の費用を投入してんだぜ?!」

 

そこに鉞を持った男が現れた。

……平和主義者(パシフィスタ)か、随分と綺麗事だな。

それにしてもまた、次から次へと…。

暇なのか、海軍は!

 

「ん?なんだ、あのガキ…。PX-5!あいつは誰だ?」

 

鉞を持った人がわたしに気づくとPXとかいうロボットにそういう

あれ、人工知能か何かなのかな?

 

「ピピピピ…データなし。」

「ああっ?!麦わらといてデータがないだと?!」

 

そりゃそうだ。わたしこの船の人じゃないもん

 

「ニア!隠れてろ!!」

「ぎゃーーっ!なんだお前!!ゾロッ!!」

 

急にウソップさん達が騒ぎ出した。

みると黄猿さんがゾロさんを殺そうとしていた。

 

「まさか一撃でノックダウンとはねぇ〜。随分と疲れが溜まってるみたいだねェ…。」

「やっときたか!黄猿のオジキ!」

「オー、戦闘丸くん。ん?オー、君、まだこの島にいたのかいぃ〜?ニアちゃん、だっけ?クザンから少し聞いたよォ?迷子なんだってねぇ?」

「ニアを見るな!こいつはおれが家族のところに送ってやるって約束したんだ!!」

 

ルフィさんがわたしの前に立ち両手を広げる。

 

「麦わらのルフィ…。なにがあってお前とその子が一緒にいるかしらねェが…それはお前程度の奴が手に負える子どもじゃないよォー…?」

「んなこと知るか!おれはこいつと約束したんだ!絶対に約束は守る!!」

 

…なんて真っ直ぐな人だろう。

ほんとにエースの弟なんだな。ならわたしも力にならなきゃ

わたしがルフィさんの前に出ようとするとレイさんが来て黄猿さんを足止めした。

そのあと、バーソロミュー・くまっていう本物の七武海のくまが来て一味を散り散りにする。

その惨状を見てルフィさんは木に頭をぶつけ自分を責める。

……その気持ち、すごくわかる。わかるから声をかけようと動くと彼はまだわたしが残っていることに気付いた。

そして彼はわたしだけでも……と、庇うように抱きしめた。

 

「おれは弱いっ!仲間1人救えねぇ!…こいつだけでも逃さねえと…。」

「もう会うことはない。じゃあな、モンキー・D・ルフィ」

 

くまさんがそういうと、ルフィさんも消えた

 

「お前も麦わらの一味か?」

「ちがう。わたし、まいごなの…。かぞくをさがしてて、ルフィさんがいっしょにさがしてくれるって…」

「そうか、それは悪いことをしたな。ならお前もどこか旅行するか」

 

そう言ってくまさんがわたしに触れるとジェットコースターに乗ったような浮遊感に見舞われた。

 

***********

 

-白ひげ海賊団にて-

 

時は少し前まで遡る。

不穏な火花は散っていた。

 

「オヤジ!赤髪だ!!」

 

白ひげ海賊団の元に赤髪のシャンクスが現れた。

彼が歩くと隊員は次々と気絶していく。

 

「おい、何してくれんだよい赤髪。久々に来たと思ったら覇気撒き散らしやがって」

「よぉ、マルコ。久しぶりだな!ニアに勧誘するなって言われたがやっぱりする!どうだ?おれの船に来ないか?」

「「「・・・・・・。」」」

「………断る。」

「………………?」

 

不自然な沈黙と彼らの憂いを帯びた顔に赤髪は首を傾げる

そして彼は無邪気に笑う小さな影を探すがどこにもいないことに気づく。

 

「グラララ。小僧……いい酒は持ってきたのかァ?」

「……あ、あぁ…とびっきりの酒だ。」

 

白ひげの言葉にそう言って酒を取り出すと自分の分を一杯注ぎ、大きなひょうたんを白ひげに渡した。

白ひげはそれを一口飲むと「懐かしい味だ」と笑った。

だが、その表情はどこか浮かなかった。

 

「白ひげ、話があるんだが…人払いを頼む。……あぁ、聞きたいことがあるからニアと仲のいい隊長達は残っててくれ」

 

隊長を数人残し他が甲板からはける。

人がいなくなったのを確認すると赤髪は口を開いた

 

「おれは強い敵と戦うに当たって怪我を負うのは仕方ないことだと思ってる。…今疼くのはこの左目の傷だ。……嫌な予感がするんだ。エースを止めてくれないか?」

「いきなり乗り込んできて、何を言いだすかと思えば…。ティーチは裏切った。それをエースが追ってるんだ。止める理由はねえ」

 

その答えを予想していたかのように赤髪は1つため息をつき酒を飲み干した。

 

「帰んなァ、小僧!」

 

そう言って白ひげはひょうたんを赤髪に投げるが彼はそれを避ける。

 

「まぁ、そう言うだろうと思っていた。それはいい。だが、もう一つ聞いていいか?」

 

その瞬間赤髪の雰囲気が変わり覇王色の覇気が放たれる。

 

「なんのつもりだァ…?小僧……」

「なんの?……おれの用事など分かり切ってるだろう?……ニアはどこだ?白ひげ。今、この船に…あいつはいるのか?」

 

その質問をした途端に隊長たちが顔を背けた。

悔しそうな、悲しそうな顔に赤髪は()()()()悟った。

驚愕の表情を浮かべた後、白ひげを睨みつける

 

「…まさか………。何をしていた、白ひげ!!」

 

赤髪は腰の刀を抜き白ひげに斬りかかる。彼はそれを薙刀で受け止めた。

 

「お前まさか……あいつを死なせたのか?!あんな小さな子を!!」

「死んじゃいねえ!!おれァそう信じてる!」

「信じてる、だと!?説明しろ!何があった?!」

 

その問いかけに答えたのはサッチだ。

 

「俺をかばってティーチに刺されて攫われたんだ。攫うくらいだから殺してはいないと思う」

 

その答えに赤髪は黙っていなかった。

サッチの方に顔を向け話を聞いた後白ひげに向き直し思いをぶつける。

 

「ティーチに?!お前…っ!あの子がどう言う存在かちゃんとわかっていたのか?!あいつはお前と同じ…いやお前以上に世界を滅ぼす力を秘めてるんだぞ!?それがティーチの手に渡っただと!?ふざけるな!!」

 

白ひげと刃を合わせながら赤髪は喋る。

 

「お前たち…あいつを守ると言っただろう!!白ひげ海賊団とあろう奴らがあんな幼い子に逆に守られてどうする!!例えば生きていたとしても、あいつが心を闇に堕としていたらどう責任を取るつもりだ!!」

「おれに説教垂れるたァ…何様だ、小僧!!ニアは死んじゃいねェ!確かにあいつを守れなかったのはおれの責任だが…簡単にティーチに屈するほどあいつは弱くなんかねェ!!もし、堕ちていてもなんとしてでも引き戻す!てめぇに言われる筋合いはねェんだよ、鼻ったれの小僧が…おれに指図するな!」

 

刃と刃がぶつかり風圧ともいえる重圧が辺りを包む。

煙が渦巻くかのように圧力のある風が巻き上がると空が割れた。

 

「誰にも止められなくなるぞ、暴走するこの時代を…!ニアが心を壊していたら……お前らはそれでもあの子といられるのか?!あいつの力が暴走すれば時代だけじゃない……世界が終わるぞ!!」

「恐るるに足らねえ…、おれは白ひげだ!!何度も言わせるな鼻垂れ小僧!!あいつはそんなに弱くねェ!無事でいることを信じてやれなくてなにが家族だ!笑わせるな!!ニアは必ず取り返す!!だから黙ってみてろ!!」

 

割れた空を見上げ隊長たちは悲しそうな顔をした。

もしかしたらあの陽だまりのような少女にもう会えないのかもしれない

いつでも一生懸命に頑張って、どれだけ危険な目にあっても諦めずに立ち上がる。そんな少女の姿を彼らは思い出す

 

「…交渉は決裂か。まぁ、そうだろうよい。赤髪も赤髪で、ニアを可愛がっていたから」

「…生きてると、いいな」

「滅多なこと言うな。サッチ。」

「珍しく弱気だね。ニアに怒られるんじゃない?」

「ははっ!そうだな。いつでもあいつが元気をくれた。大丈夫だ。生きてるさ、絶対」

 

彼らの持つそれはただの願望。

誰も彼もが不安で仕方ないのだ

綿にくるむように優しい愛情の中で育ててきた子が心の闇を知ってしまったら狂うのも時間の問題だろう

 

「どこにいるんだろうな、ニア。もしかしたらティーチのとこから逃げ出して俺たちを探してるんじゃないか?」

「ありえない話ではないけど、だったら尚更心配だね」

 

あの小さな少女がいないだけで彼らも酷く寂しい思いをしていた。

彼らにとってもまたニアはかけがえのない存在だったのだ

 

「必ず見つけてやるから、負けるんじゃねえぞ」

 

マルコがそう呟いた

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