家族の為ならどこまでも   作:実茶

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第34話 サボとの出会い

くまさんに触れられた瞬間意識が暗転し、覚醒したら空を飛んでいた。

あのくまさんは能力者なのか!?

なんでわたし空中散歩してるの?!

まてまてまて!これ大丈夫なの?!落ちたら死ぬでしょ!!

最悪の事態が脳裏をよぎるが一向に落ちる気配が無いため一旦落ち着いて情報を整理することにする。

ルフィさん達が黄猿さん達に追い詰められたときくまさんが現れた。

今わたしが空中散歩してるってことは他の人たちも同じってことだ。あの状況でこんなことするって事はくまさんはルフィさん達を助けた事になる。

ふむ……。じゃあ、わたしもどこかに飛ばされている最中だってことか。

よし、深呼吸しよう。

すーーーーっ、はーーーーっ

ふうっ。少し落ち着いた。

でも、またあんな悪意を向けられたら今度は問答無用で殺しそうな気がする。

一瞬、道を間違えかけた。でも、狂いそうになったわたしを踏みとどまらせてくれた。

あれでおかしくなってたらわたし本当に帰れなくなるところだった。

次ルフィさんに会うことがあったらお礼言わなきゃ。

それはそうとこれどこまで飛ぶのかな?くまさんは多分目的地をどこかに設定して能力を使ってると思うんだけど…

まさか、適当に飛ばしてるわけじゃないよね?!

わたし人生で何回命の危機に晒されればいいんだろうな。その度に奇跡的な生還を遂げるって我ながらキチガイすぎる。

考え事をしていると日が沈んでいた。

………これ日跨ぐんだ。ここまで勢い落ちずに飛び続けるって人外的な何かが働いてるでしょ。

とーさんとかマルコとかエースとかジョズとか見てて時々思うけど能力者の能力って凄いよね。どういう構造になってるんだろう?

地震起こせて?鳥になれて?人体発火が可能で?体がダイヤになる??

謎すぎる。……まぁ、1番の謎は転生者っていう自分だけどね。

それから何日か過ぎるとようやく勢いが落ち地面へと落下していく。

あっ!やばい……。これ建物直撃……っ!!

と、思った時にはすでに遅く見事に屋根を突き破って落ちました。

いててて、お尻打った。

 

「「「動くな!!」」」

 

辺りを見渡すとわたしは囲まれていて殺気と武器を向けられていた。

・・・・・うん。

なんか正直もう怖くない。

 

「おい、ガキ。何者だ?何が目的でここに来………っ!?」

 

目に傷のあるお兄さんがわたしを威嚇する。が、わたしの姿を確認するなり言葉を詰まらせた。

 

「ほぉ…。こりゃ珍しい客だ。銀髪にオッドアイか。こんな歩く宝石が上から降ってくるとは…」

 

刺青の人が口角をすこし上げてそういう。

すると傷の人が威嚇してきた。

 

「何者だ?ガキ。只者…では無さそうだ。どこからきた?大人しくしているというのなら殺さないでおいてやる。」

「…まいご、なの」

「「「は?」」」

 

…聞こえなかったのかな?

もう一度言ってみよう。

 

「だから……わたし、まいごなの。」

「迷子?なんで迷子のガキが上から降ってくるんだ」

「くまさんにさわられたとおもったらとばされた」

「「「くま?!?!」」」

 

え?!なんでそんなに驚くの?!

そりゃ信じれないかもしれないけどあれ、くまでしょ?!どう見てもたぬきじゃないよね?!

 

「くまってバーソロミュー・くまか!?お前、どこから来た!!」

 

あれ?くまとかたぬきとかそう言う問題じゃなかった?

あのくまさんと知り合いなのかな?

 

「しゃぼんだまがうかんてるしま」

「…シャボンディ諸島の事か?……ガキ、迷子っていったな。家はどこにあるんだ?」

「うみのうえ」

「海の上……?まさか、海賊か?」

「そう。」

「……随分と素直じゃないか、誤魔化しもしないとは…。お前自分の状況わかってんのか?」

「ごまかしたらみのがしてくれるの?」

「わかってんじゃねぇか。意外と冷静だな。まぁいい、お前名前はなんていうんだ?」

「ひとになをたずねるときはじぶんからなのるものだ。ってうちのにぃちゃはよくいうよ?」

「「「ぶっはっ!!!」」」

 

わたしの返答が面白かったのか何人かの人が吹き出した。

目の前の傷の人は何やら引きつった顔をしてる

 

「…肝の座ったやつだな。おれはサボだ…多分な」

 

……多分?

わたしの持った疑問に気づいたのかすぐに続きを話す。

 

「おれ、記憶喪失なんだ。自分の名前も小さい時のことも覚えてない。ほら、名乗ったぞ。お前も答えろ」

 

優しい!!

地味に優しいよこの人!!

 

「…ニア。」

「ニアか。」

 

ふと机の新聞を見ると見覚えのある顔が写っていた。

 

「っ!?ちょっと、それみせて!」

「ん?あぁ」

 

わたしが新聞をみせてと頼むと刺青の人は素直に渡してくれた

 

ー火拳のエース、公開処刑ー

 

見出しにはそう書かれていた。

エースの、公開処刑?

なに、それ。どうして!!?

 

「おい?どうした娘。顔が青いぞ?」

 

刺青の人がいう。

わたしはそれどころじゃなかった。行かないと…!助けに行かないと!

多分エースはわたしを助けようとして捕まったんだ!!

わたしのせいで…!

 

「おい!まて!!どこ行くんだ?!」

 

わたしが外に出ようとするとサボさんに腕を掴まれ止められた。

今は時間が惜しい。説明してる時間もないけど納得してくれないと離してくれなさそうだから早口で話す。

 

「マリンフォード。エースをたすけにいく」

「はぁっ!?馬鹿言うな!!お前、これがどんな規模の戦争か分かってんのか?!死ぬぞ!?」

 

もしかして…心配してくれてる?

でも……行かないとエースが…

わたしはカッとなって思わず大きな声を出してしまった。

 

「ここでなにもできずにまってろっていうの?!エースはかぞくなの!たすけにいかなきゃ!!」

「火拳のエースが家族…?お前…まさか白ひげのクルーか?」

 

ーーーっ!!

………そりゃそうか、そうだよね。

隊長格はみんな有名だもんな。分かるに決まってる

 

「おねがい。…いかせて」

「どうやって行くつもりだ?」

「…それは」

 

多分魔法を使えばマリンフォードに行けるはずだ。でも、異能のことを話すことはできない。

傷の人の問いに言葉が詰まる。

すこし考える素振りを見せ刺青さんが言った。

 

「俺たちは革命軍だ。俺はドラゴンという。悪いがその戦争に革命軍が協力することはできない。…が、情報は欲しい。お前が何をそこまで必死になっているかは知らないが…何かしらの情報をくれると言うのなら力を貸してやらんこともないぞ」

「じょうほう?」

「あぁ。火拳のエースが家族なんだろう?何故お前のような子どもが白ひげの船にいる?」

「……それは、わたしのことでも、いい…?」

 

彼の質問には答えずに質問を返す。

彼は首を傾げるも興味があったのか肯定する。

 

「………構わん。有力な情報ならなんでもいいぞ」

 

なら……これしかない。

エースを助けられるのなら、あの人達を守れるのならわたしの平穏なんていくらでも売ってやる。

この力を知られてもし彼らに被害が及ぶならこの命を捨ててでも守ってみせる。

わたしは自嘲するように笑った。

 

「ふふふっ…。そっかぁ、ならよかった。じゃあ……わたしのとびっきりのひみつ、おしえてあげるよ。とーさんたちとシャンクスさんしかしらないんだからね?とくべつだよ?」

「………お前の?ーーーって、待て!シャンクスさんって赤髪か!?」

「そうだよ?こまかいことはきにしないの。…それでね、うーん…そうだなぁ……サボさん、きおくそうしつっていってたよね?うしなったきおく、とりもどしたい?」

「はぁ?んなこと出来んのかよ。ははっ!いいぜ?やれるんならやってみろ」

「そのかおのきずはどうする?いっしょになおしてあげようか?」

「なんだそりゃ…、傷はいい。記憶だけでいいぜ?できるんならな」

 

半分馬鹿にしたような言い方でわたしにそう言い放った。

信じてないな。まぁ、信じられないだろうけどね。

わたしはサボさんの頭を指差し、"記憶が無くなった事実"を"拒絶"する

 

「『絶』」

 

するとサボさんはわたしを凝視し目を見開く。

体が震えだし彼の目には涙が浮かんできた

そして震えた手で新聞を取る。

その内容を確認すると新聞を机に叩き大声で叫ぶ

 

「ーーーっ!!ドラゴンさん!おれをマリンフォードに行かせてくれ!!」

 

…はぁっ!?!

なんで?!えっ!!もしかして、関係者?!

って、なんでわたしが驚いてんの!!こいつ、なんか腹立つ!!

 

「おいおい、本当に記憶が戻ったのか?サボ」

「あぁ、全部思い出した……。貴族に生まれたこと、エース達と盃をかわして兄弟になったこと、天竜人の船の前を横切って殺されかけた事!!なんで忘れてたんだ、こんな大事な事…!!……お前、一体何者だ?」

 

いや、こっちの台詞!!

エースと兄弟!?ルフィさんだけじゃなかったの!?

 

「わたしのこれは…ありとあらゆるものごとを"ひてい"して"きょぜつ"する。すべてを()()()()()()()()()。そんなちからだよ」

 

そういうとドラゴンさんは少し考える素ぶりを見せた。

 

「とびっきりの秘密…か。ならついでに聞こう。なぜシャボンディ諸島にいたんだ?言っては悪いがそんな容姿であの島をうろつくなど攫ってくれと言ってるようなものだぞ?」

「もともとはとーさんのふねにいたの。でもマーシャル・D・ティーチっていううらぎりものにさらわれたんだ。それでにげてたらあのしまについたの。」

「……なるほどな。…その『とーさん』というのは白ひげの事か」

 

首を縦に振る。

 

「確かに有力な情報をくれたら力を貸してやるといったが……もうすこし考えた方が良かったんじゃないのか?とびきりの秘密と言うのには納得しよう。だがそれで俺たちがお前を人質にして白ひげ達の首を取りに行こうと動いたらどうするつもりだ?」

「ひとじちっていうのはいきてるからいみがあるんだ。わたしのせいでかれらにひがいがでるのなら、こんなくび…きりおとすにきまってる」

「「「・・・・。」」」

 

何を言っているの?と首を傾げると彼らは哀れむような表情を浮かべた。

 

「…俺が悪かった。そんなことしないからそんな顔するな。……コアラ!この子に戦の支度をさせてやれ」

 

ドラゴンさんがそういうとサボさんが笑顔になった。

 

「いいのか?!ドラゴンさん!!」

「あぁ。お前の兄弟なんだろ?なら俺に止める事はできんさ」

 

ニヤリと笑うドラゴンさん。

 

「はーい。ニアちゃん!おいで!」

 

わたしはコアラさんという人に連れられて別室へと行った。

 

***********

 

ーサボサイドー

 

物凄い音と共に屋根を突き破って人が降ってきた。

おれ達は武器を構え警戒する。土煙が晴れるとそこにいたのは少女だった。

だがもし密偵だったら…?女の密偵ってのは油断できない。

おれが威嚇し、前に出て少女の姿を確認すると言葉に詰まる。

……銀色の髪にオッドアイ。それに雪のように白い肌

綺麗な目をしているのにその瞳には一切の光がうっていなくておれは恐怖を覚えた。

少女は迷子だそう。

 

「どこからきた?」

「しゃぼんだまがうかんてるしま」

「…シャボンディ諸島の事か?……ガキ、迷子っていったな。家はどこにあるんだ?」

「うみのうえ」

「海の上……?まさか、海賊か?」

「そう。」

 

随分と素直に答えるな。

そういうと「ごまかしたらみのがしてくれるの?」と不思議そうな顔をして言った。

まぁ確かに見逃しはしないだろうがこんな状況でここまで冷静にいられるってのも凄いと思うがな。

彼女はふと机に置いてある新聞を見る

その内容を理解すると顔色を変え出ていこうとした。

 

「まて!どこへ行くつもりだ!?」

「マリンフォード。エースをたすけにいく」

「はぁっ!?馬鹿言うな!!お前、これがどんな規模の戦争か分かってんのか?!死ぬぞ!?」

 

こんなガキが大規模な戦争に首を突っ込もうとしてるんだ。常識のある奴なら止めるよな、普通

 

「ここでなにもできずにまってろっていうの?!エースはかぞくなの!たすけにいかなきゃ!!」

「火拳のエースが家族…?お前…まさか白ひげのクルーか?」

 

ドラゴンさんが聞き返すと彼女は一瞬「しまった」という顔をした。

……こんなガキが…世界最強と呼ばれる男の船に乗ってるだと!?

けど彼女はその質問には答えずにただ「いかせて…」とおれ達に言う

ドラゴンさんがなにか考えた後に口を開いた。

 

「俺たちは革命軍だ。俺はドラゴンという。悪いがその戦争に革命軍が協力することはできない。…が、情報は欲しい。お前が何をそこまで必死になっているかは知らないが…何かしらの情報をくれると言うのなら力を貸してやらんこともないぞ」

「じょうほう?」

「あぁ。火拳のエースが家族なんだろう?何故お前のような子どもが白ひげの船にいる?」

「……それは、わたしのことでも、いい…?」

 

やはり白ひげについて聞いても答えない。

それどころか『自分の事なら話してもいい』と取れるようなことを言ってきた。

ドラゴンさんは面白そうに口角を上げると『有力な情報なら構わない』という。

その言葉を聞いた少女はとてつもなく昏い目で嘲るように笑った。

こんな子どもが……なんて顔をしやがるんだ。

 

「ふふふっ…。そっかぁ、ならよかった。じゃあ……わたしのとびっきりのひみつ、おしえてあげるよ。とーさんたちとシャンクスさんしかしらないんだからね?とくべつだよ?」

「………お前の?ーーーって待て!シャンクスさんって赤髪か!?」

「そうだよ?こまかいことはきにしないの。…それでね、うーん…そうだなぁ……サボさん、きおくそうしつっていってたよね?うしなったきおく、とりもどしたい?」

 

細かい事!?こいつにとって赤髪と知り合いってのは細かい事なのか!?

つーか、記憶を戻すだと!?そんなことできるわけないだろう!!

 

「はぁ?んなこと出来んのかよ。ははっ!いいぜ?やれるんならやってみろ」

「そのかおのきずはどうする?いっしょになおしてあげようか?」

「なんだそりゃ…、傷はいい。記憶だけでいいぜ?できるんならな」

 

出来るわけがない。とおれはたかをくくり小馬鹿にした態度を取る。

が、彼女はお構いなしにおれの頭に指をさす。

何やら言葉を発したと思ったらおれの脳裏に様々な記憶が蘇った。

貴族として生まれ、家を飛び出しエースと出会った。海賊貯金を集め、大きくなったら海に出ようと約束をする。そこにルフィも加わり、おれ達は盃をかわして兄弟になる…

貴族達の陰謀によりゴミ山が焼かれ、ゴミはどっちだとおれは絶望した。

2人の無事を祈りながら一足先に海に出たが天竜人の船の前を横切り殺されかけた。

……震える手で新聞を取る。

火拳のエース、、、そうだ。

こいつはおれの………大切な『兄弟』

 

「ドラゴンさん!!おれをマリンフォードに行かせてくれ!」

 

新聞を机に叩きつけ、おれはそう叫んでいた。

ニアが驚いた顔をしていたが驚きたいのはこっちだ!!

なんなんだ、こいつは一体!!

 

「わたしのこれは…ありとあらゆるものごとを"ひてい"して"きょぜつ"する。すべてを()()()()()()()()()。そんなちからだよ」

 

ありとあらゆる物事を"否定"して"拒絶"する………?

全てを…無かった事にする、だと!?

そんな……そんな神みたいな力が存在するだと!?何の冗談だ!!

 

「確かに有力な情報をくれたら力を貸してやるといったが……もうすこし考えた方が良かったんじゃないのか?とびきりの秘密と言うのには納得しよう。だがそれで俺たちがお前を人質にして白ひげ達の首を取りに行こうと動いたらどうするつもりだ?」

 

ドラゴンさんがそういう。確かにその通りだ。

あれだけ白ひげについて頑なに喋らなかったのに何故…?

知られてはいけない力だという事は分かる。だから彼らのところにこいつがいるのを誰も知らない。つまり、意図的に隠されているんだ。

なのにこんなに簡単に何故喋った?

 

「ひとじちっていうのはいきてるからいみがあるんだ。わたしのせいでかれらにひがいがでるのなら、こんなくび…きりおとすにきまってる」

 

ーーーーっ!!

少女は親指を首の前で横に動かす。

これが……子どものする考え方か?

ドラゴンさんも何か思ったのか哀れむような視線を送る。

その後コアラに指示を出した。

 

「コアラ!この子に戦の準備をさせてやれ!」

 

ドラゴンさんがそう言う。

おれは許可が出たのだと喜んだ。

確かニアって言ったな、あの子。

あの死にたがりっぷり、いつぞやのエースにそっくりじゃないか。

……守らねぇとな。あいつを死なせでもしたらエースに怒られそうだ。

はぁ。全く、世話の焼ける兄弟だぜ。

 

ーサイドエンドー

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