家族の為ならどこまでも   作:実茶

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一応最終話です
ここまで見てくださった方(居るか分かりませんが)ありがとうございました!
また気が向いたら別なお話書くかもです


第41話 癒し姫のニア

気がつくと真っ白な空間。

あぁ、またここにきたのか…

 

『まーた来たんですか?ニアさん!あなたドM何ですか?!』

「やっほ。じしょうてんしのめがみさん」

『自称天使の女神さん?!なんか言い方変わってません!?全く!せっかく転生させてあげたのになんでこうも死にかけるんですか?!』

「べつにたのんでないよ?それよりも、わたし…もうつかれちゃった。おわらせちゃダメかな?」

『だから!!そんな最短記録は更新しなくていいんです!はぁ……。ニアさん、わたしがあなたを送り出す時、聞きましたよね?"なんでわたしを選んだの?"って』

「きいたね。すっごいごまかされたおぼえがあるけど」

「生前からあなたの人生を少しですが見てました。前々からなんか可愛そうな人だなーって思ってたからあなたの魂が輪廻の輪から外れた時に呼んだんです。それでここであなたの記憶を覗かせてもらったときに…哀れに思ったんです」

 

天使に同情されるって……

でもこの天使、見た目が幼女だから同情されても…って感じなんだけど

 

『知っていますか?ニアさん。苦しんで…もがいた魂はとっても綺麗な輝きを放つんですよ?人間は誰しもが輝けるはずなのに、つまらないと思いながら嫌な毎日に耐えて死して尚それをどうでもいいって思ってたあなたに生きることの楽しさを知って欲しかったんです。』

「たしかにこのせかいにきて、あのひとたちとであってすごいたのしいよ。でもね…それいじょうにくるしいの。じぶんよりもたいせつなひとができると…うしないたくないってきもちがおおきすぎて……くるしいの。じぶんなんてどうなってもいいからまもりたいってすごくおもう。」

『はい。凄くよく伝わってきます。でもね、ニアさん…。自分を犠牲にして守っても誰も喜びませんよ?もしあなたが逆の立場だったらどうしますか?大切な兄達に庇われて彼らが生死の狭間を彷徨ったら…どう思いますか?』

「いやだ。きらわれてもいい、すてられてもいいからこのちからをつかってたすける。」

 

実際そうした。

他のことを考えてる余裕なんてなかったから…考えるより先に動いてしまったから…エースを生き返らせる形になった。

 

『彼らはあなたのようなちからを持ってないんです。あなたは彼の身に何が起きても全てを無かったことにできますが彼らはあなたの身に起きたことを受け入れるしかないんです。あなたがここで死んでしまったら彼らはその事実を…認めるしか無いんですよ?』

 

………そうだ。

それはわたしが避けてきた問題だ。

わたしが死んだらみんなは悲しむかな?

 

「わたしがいなくなってもきっとかわらない。わたしがあのふねにのるまえのかれらに…もどるだけ。」

『…そう思いたいんでしょう?』

 

意識だけの世界だというのに涙が溢れてくる。

 

『わたくしはあなたを応援していますよ?だからもう少し頑張ってみてください。あなただって彼らに言いたいことが残ってるでしょう?大丈夫です、彼らなら受け止めてくれますよ。……ニアさん、自信をなくしているのでしょう?心ない言葉を浴びせられて傷ついて、でもそれを伝えられなくてもどかしい思いをして…そんな自分に嫌気がさしてるんじゃ無いですか?』

「うん。わたしのいばしょは…かえるばしょはあのふねなんだっておもってひっしになってみんなをさがしたのに、"はじめからおまえのいばしょなんてないんだ"っていわれて…だったらいままでのあのたのしかったおもいではなんなの?あれもわたしをあんしんさせるためのえんぎだったの?っておもったら…わたしっ、なんでいままでがんばってきたんだ!もう…じぶんがわからない……」

 

ふと頭を撫でられ顔を上げると幼女がわたしの頭を撫でていた。

……わたしと身長かわんないって…この自称天使何歳なんだ。

天使とか言ってるくらいだから人の型に嵌ってないんだろうけど

すると突然わたしの体が光り出した

 

『時間ですね。あなたの肉体が魂を呼んでいます。あなたはまだ死んではいけません。あなたなら大丈夫ですよ、なんど死にかけてもなんとかしてきたじゃないですか。ニアさん、遠慮しないでください。あなたは決して1人じゃありませんよ』

 

彼女が笑顔で手を振っている記憶を最後にどこかに引っ張られるような引力に身を任せた

 

**********

 

…意識が戻るのを感じながら目を覚ます

起きたら誰もいなかった。

ここモビー・ディック号だよね?

体を起こすと激痛が走る。そういえば赤犬さんの攻撃もろにくらったっけ…

うーん、何で生きてるんだろう?我ながら頑丈すぎる

ところで本当に誰もいないのかな?イオンがまた能力でお兄ちゃんズ隠してるとか?部屋を歩き回ってるけど本当に誰もいないっぽい

わたし、置いていかれたとかないよね??大丈夫だよね???

…落ち着いてあたりを見渡すと見覚えのある部屋。

医療室だ。…寝かされてたのかな。どうしよう、外行ってみるか。

あの戦争で普通に姿見せてたから今更隠してもって気がするからパーカーはいいや

甲板に行くとみんな集まってた。サボにルフィさんに…あの人は…ジンベエさん、だっけ?

わたしが「にぃちゃ」と呼ぶとみんなこちらを振り返る。

お兄ちゃんズの方に歩くと彼らもこっちにきて頭を撫でた。

するとルフィさんが唐突に倒れてしまった

 

「ルフィ?!」

「…イワンコフの能力が切れたか。エース、こいつはな極限のダメージを受けた状態にドーピングしまくって動けてただけなんだ。ほんとは限界を超えてる。いつ倒れてもおかしくない状態だったんだよ」

「何だよそれ!お前知ってて無茶させたのか!?」

「しょうがねえだろ。こいつにそんなこと言っても無駄だ」

 

…サボの説明にエースが噛み付く。

もう今更だし、やっちゃうか。

ルフィさんの体のダメージと疲労を拒絶する。

倒れてすぐだったからかルフィさんは目を覚まし起き上がった

 

「あれ?おれ何で倒れてたんだ?」

 

自分の状況が理解できてないようで呆けた声をあげた

それを見たサボが言う。

 

「…ニア。お前なぁ、いいのかよ。そんな簡単にその力使って」

「べつにいいよ。なんか…いまさらってかんじもするしさ。それにこんなちから…たすけるためにつかわなかったらなんのいみがあるの?それこそただのバケモノじゃないか。どうせそうよばれるならぼくはたすけたい。」

 

まだ立ち直れてないんだ。

サボは悪くないのに八つ当たりする様に強い口調で言ってしまった。

普段の態度とは違うわたしに何か思ったのか、隊長達が顔をしかめハルタが抱きついてきた。

 

「ごめんね、ニア。怖かったよね、辛かったよね、寂しかったよね。1人にしてごめんね、守れなくて…ごめんね」

 

ハルタの声は震えていた。

…心配かけたし悲しませたかな

謝るのはこっちの方だ

 

「ううん、わたしがわるいの。ごめんね。なかないで、ハルタ。サボもごめん。やつあたりした」

「いや、別にいい。それだけ傷付いたんだろう。」

 

少し間を開け、マルコが話を続ける。

 

「ティーチに攫われた後何があったんだよい。」

「にげようとしたらかみのけをつかまれたからきりおとしてにげたんだ。それでしゃぼんだまのしまについた。」

 

わたしはシャボンディ諸島でのことを思い出す。

ただ街を歩いていただけで向けられた嫌悪

あれは本当に怖かった。みんな消してやりたいくらいの恐怖を感じた。

 

「しゃぼんだまのしまでね…ただまちをあるいてただけなのに、ばとうされたんだ。きもちわるいって、めのいろがちがうへんなこだって…。わたし、なにもわるいことしてないのにあるいてただけで、そう…いわれたの」

「………そうか」

「それで、うちゅうじんみたいなへんなふくをきたひとがいいおもちゃをみつけたっていうかおしながらわたしにちかづいてきて…つかまえろって…。こわかっ…た!」

「天竜人か。また厄介なのに目ェつけられたな」

 

怖かったな。とイゾウがわたしの頭をなでる

わたしはそんなイゾウを見上げたあとあたりを見渡した。

マルコ、エース、ジョズ、サッチ、ビスタ、ブラメンコ、ラクヨウ、ナミュール、ブランハイム、クリエル、キングデュー、ハルタ、アトモス、スピード・ジル、フォッサ、イゾウ…。

隊長はみんないる。

別の方を見るとルーカス、ロキアス、カルガン、シース、イオンも居た。

 

「…とーさんは?」

「グララララ…。ここにいるぜェ、ニア」

 

後ろからオヤジさんの声がした。

……本当に、みんないる。

逃げきれたんだ。みんなで…帰ってこれたんだ。

ポロポロと涙が零れ落ちそれを慌てて拭った

 

「お前は涙もろい癖にいつも泣くのを我慢するな。なぁ?ニア。…お帰り。よく、帰ってきたな」

 

サッチの言葉にわたしの涙腺が切れた。

堰をきり我慢していた感情が一気に溢れ出す

わたしを抱きしめているハルタを抱きしめ返す。

 

「こ、こわかっ…た!!わたしっ…ひとのこころが…あんなにもこわいなんて、おもわなかった!!」

「…うん」

「ことばにしないこころが…つきささってぬけないの!いたくて…くるしくて……だれかにそばにいてほしかった!!わたしっ!ちっともつよくなんてない!!ひとりじゃなにもできないくらいよわいの!ティーチがほしがってたのはわたしじゃなくて、このちから!てんりゅうびとがめをつけたのは、わたしのようし!なら、"わたし"はなんなの?!はじめからだれからもひつようとされてなかったの!?じゃあ、なんでにぃちゃたちはわたしをひろってそだてたの!?なんどもなんどもよんだのに、だれもきてくれなかった!!いらないならはじめからそういってよ!ひどいよ!にぃちゃ!」

 

どう考えても酷いのはわたしだ。

あぁ……傷つけた。

違う、こんなこと言いたいんじゃない。

 

「ぐすっ。…ごめん、にぃちゃ。これるわけないのに…りふじんなこといった。」

 

ハルタから離れ、涙を拭う。

彼らに背を向け顔を俯けた。

 

「ティーチが欲しがっていたのは確かにお前じゃなくてお前の力だったかもしれない。だがな、あいつに攫われた()()を必死になって捜したのは俺たちだ。見つけられなくて悪かった。」

「ごめんな。俺たちがもっとしっかりしてりゃお前にそんな怖い思いさせずに済んだだろう。」

 

彼らの顔を見るまいと俯けた顔を上げみんなを見る。

だれも彼も笑っていない。いつもなら優しい笑顔を向けてくれるのに、みんな険しい顔をしている。

もう、()()に向ける笑顔なんてないって事かな…

そう思うと乾いた笑みが溢れた。

 

「みんなはさ、ぼくが…こわい?」

「あぁ、怖いな。」

「「「マルコッ?!」」」

 

マルコがハッキリ言うとほかの隊長や周りの隊員が焦った声を上げた。

あぁ…ティーチの言う通り、もうここに居場所はないのかもしれない。

…ならここにいちゃいけない。()()はこの船を降りるべきだ

 

「とーさん…にぃちゃ。ぼく…「マルコ隊長、言葉が足りませんよ。」……?」

 

この船を降りるよ。と、言おうとしたところでイオンが横槍をいれる

 

「………もしかして伝わらなかったかよい?」

「えぇ。多分今ので貴方の言いたいことがわかったのはボクだけですよ?あとはオヤジさんかな?オヤジさんでも察せられなかったのならニアは今ので確実に傷つきましたね。」

「うっ……。悪かったニア。お前を否定した訳じゃねぇんだ。だが、その前にお前さっき何を言いかけたんだ?」

「ボクの予想が正しければさっきの彼女の言葉の続きは聞かない方があなた方の為ですよ、マルコ隊長?」

 

イオンは気付いてた。

そういえばこの人の能力の中に……心を読むスキルがあった気がする。

ってことは、わたしの思いは筒抜けか。

 

「ニア、たしかにボクは人の心を読むスキルを持ってるけどそれを仲間に使ったりしないよ?君は顔に出やすいからわかるだけ」

 

……ピンポイントで当ててきてるのにこれで使ってないってこの人強すぎるだろ!

 

「そうか。なら聞かねえよい。あのな、お前…自分で気づいてるかしらねぇけど"わたし"っていう時と"ぼく"っていう時があるんだよい。お前が自分のことを"ぼく"って言ってる時はその綺麗な目から光が消えた時だ。だから"ぼく"のお前が出てる時は俺たちの知ってる無邪気で可愛いニアが消えちまったみたいで…恐ェんだよい。もう、お前の笑顔が見れなくなる気がして…生きた心地がしないんだ」

 

…そんな細かい所によく気付いたなこの人…

 

「ふふっ。マルコ隊長はニアをよくみてますよね。そういうことだよ、ニア。ニアの口調が変わる時も君の一人称は"ぼく"なんだよ?気付いてた?」

 

わたしは首を横に振る。

「だろうね」とイオンが優しく笑う。

 

「ニアは怒った時に"ぼく"っていうみたいだけど、今、無意識のうちに出るってことはニアが相当傷ついた証拠。多分"わたし"を守るために"ぼく"が生まれたんだろうね。でも…大丈夫。もう、離さないから。危険な目に遭わせないからね、ニア…ここにいてよ。みんな君の帰りをずっと待ってたんだ。君が無事でいることを願いながらずっと捜してたんだよ?」

「ほんとうに?」

「本当さ。なんならニアを探してる時の隊長たちのやりとりをここで実演してあげようか?」

「「「「それはやめてくれ!イオン!!!」」」」

 

そんなに必死になって止められるとなんか気になる。

わたしの思いを察したのかロキアスのいつもの悪ふざけの延長戦なのかロキアス達が動きはじめた

 

「くそっ!ティーチの奴!どこに逃げやがったよい!」(inロキアス

「落ち着け、マルコ。焦ってもすぐに見つかるわけじゃない。エースの事もある。今は耐えるんだ」(inカルガン

「長男が諭されてる…。マルコってさ、ほんっっとにニアに弱いよね?子ども好きなの?」(inルーカス

「ハルタ、今のマルコを茶化すのはやめた方が…」(inシース

「いや、茶化してるわけじゃないんだけど、ニアを育て始めるようになってからずっと思ってたんだ。ニアには妙に優しいじゃん?」(inルーカス

「まぁ元々面倒見の良い方だからな、マルコは。」(inカルガン

「お前ら!なんでそんなに呑気なんだよい!確かに焦っても仕方ねぇとは思うが……あいつが居ねェと寂しいんだよい!」(inロキアス

「寂しいと死ぬってか!?うちの長男がウサギみたいなこと言ってるぞ!」(inシース

「誰がウサギだよい!サッチ!表でろ!」(inロキアス

「…サッチってマルコ元気にさせるの上手だけど…」(inルーカス

「なぜ喧嘩に勃発させるのか謎だな」(inカルガン

 

ー以上!ー

 

4人の実演にマルコとサッチが両手で顔を隠していた。

恥ずかしかったのだろうか

ハルタとイゾウは苦笑いをし、その表情から本当にそんなやりとりをしていたんだと思った。

 

「い、いや…。今のはな、」

「…改めていわれるとすげぇしょうもない事してたな、俺ら」

 

マルコ達が何か弁解しようとするがその姿がまたおかしかった。

 

「ふふっ…」

「「「「!!!!!」」」」

「ふふっ…ふふふっ!しんぱいかけてごめんなさい。さがしてくれてありがとう。」

 

あまりにもおかしかったので思わず笑ってしまい、お礼を言うと三人衆とシースが笑顔で飛びついてきた。

 

「ニアッ!!やっと笑った!!今の!俺のおかげだよな!?」

「いーや!お前の実演に乗った()()()のおかげだな!」

「まさかシースまで便乗してくれるとは思わなかったがな」

「ニアに笑って欲しかったからな。また膝枕し………な、何でもない」

 

膝枕?あぁ。七夕の時か。

そういやシースに膝枕してもらったっけ?懐かしいなぁ

 

「何だ、膝枕って。シース、お前ニアに膝枕してもらったのか?!」

「してもらったんじゃない!したんだよ!」

「「「ずるいぞ!!!」」」

 

三人衆とシースがやいやいと騒ぎはじめた。

 

「ふふふっ、賑かだねぇ。ニアがいなくなった時と大違いだ。ねぇ、ニア?まだ自分が必要ないって思うかい?あの三馬鹿トリオがあんな楽しそうに喧嘩する様になったのもニアがここにきてからなんだよ?マルコ隊長は優しくなったし、ビスタ隊長とイゾウ隊長は隊員の面倒を今まで以上に見る様になったね。ハルタ隊長も隊長として様になってきたし、全部ニアが関係してるんだよ?凄いよね」

 

三馬鹿トリオって何気に罵倒した?!

楽しそうに喧嘩ってト◯とジェ◯ーですか!?

 

「じゃあニア、とりあえず……大人しく縛られろ」

「!?」

 

マルコがそう言ったと思ったらイゾウがいつのまにか縄を取り出しわたしに巻きつけた。

 

「えっ!?なに!!」

「いったろ?監禁して尋問するって」

「あと、エースがお前が死んだっていった時の俺たちの絶望感を教えてやるともな」

「それとニアの力のことについてもゆーっくり話そうか」

「ふふふっ。ニアは本当に人気者だね」

「イオン!?これだいじょぶなの?!にんきものとかそういうはなしじゃないよね!?」

「いってらっしゃい、ニア。」

「いや、たすけて?!」

 

オヤジさんも笑いながら隊長ズに連れて行かれるわたしを見送る。

 

…拝啓、俺様何様女神様

わたし、また近いうちにそちらに行くかもしれないです。その時はもう終わらせてください。

 

***********

 

ーマルコサイドー

 

俺たちが甲板で話しているとニアが起きたらしく甲板に来た。

いつもならフードをつけてくるが、あの戦争で普通に顔を見せていたからもう良いと思ったのかそのままで歩いてきた。

あれだけボロボロだったのにもう歩けるとはさすがというかなんというか。

まだ休んでいて欲しいからビスタが「まだ寝ていろ」というが「起きたら誰もいなかったから。おいていかれたかとおもった」と、言った。

早く休ませてやりたいけど、こいつを1人にしておけねぇな。

俺がサッチに目配せするとサッチは頷きイゾウに耳打ちをする。それからハルタ、ビスタ、そしてエースに伝わった。

エースがさりげなくイオンの後ろを通ってオヤジの隣に行く。

オヤジが俺をみて頷くと俺はニアに疑問を投げかけた。

 

「ティーチにさらわれた後、何があったんだよい」

 

「にげようとしたらかみのけをつかまれたからきりおとしてにげたんだ。それでしゃぼんだまのしまについた。」

 

しゃぼん玉の島…

シャボンディ諸島か。

 

「しゃぼんだまのしまでね…ただまちをあるいてただけなのに、ばとうされたんだ。きもちわるいって、めのいろがちがうへんなこだって…。わたし、なにもわるいことしてないのにあるいてただけで、そう…いわれたの」

 

だろうなぁ。実際そうなるだろうと俺たちも思っていた。

だから尚更心配だったんだ。サッチの話だとニアは寝巻きのままで飛び出してきたらしいから顔を隠せない。そんな状態で街中を歩くなんて良い晒し者だ。

 

「………そうか」

 

俺はそう言うことしかできなかった。

はぁ、ほんと…情けねぇ兄貴だぜ、俺はよぉ…

 

「それで、うちゅうじんみたいなへんなふくをきたひとがいいおもちゃをみつけたっていうかおしながらわたしにちかづいてきて…つかまえろって…。こわかっ…た!」

 

宇宙人みたいな変な服…。

天竜人か。また厄介なのに見つかったな。そりゃ追いかけまわされるだろうな、ニアは可愛いから。

ニアが周りを見渡しみんないるのを確認するとポロポロと泣き始める。

そりゃ怖かっただろうなぁ。いきなり知らない世界に1人放り出されてエースの処刑だので戦場に来て、心ない言葉を浴びせられて…

辛い思いさせたな。

サッチが「お帰り」と言うと我慢の限界がきたのかニアが泣き叫んだ。

それは俺たちに対する『怒り』や『悲しみ』

「何度も呼んだのに誰もきれくれないなんて酷い」

「いらないなら初めからそういってよ」

……俺たちがお前を要らないなんて言うわけないだろう?きっとこいつも頭ではわかってるんだ。けど心が追いつかないんだろうな。

こいつも本気でいってるわけじゃないってわかってはいるがそういわれたことに対して少なからず俺たちも傷ついた。

ニアが俺らを見上げると昏い目で自嘲する様に嗤う

 

「ぼくが…こわい?」

「あぁ、怖いよい」

 

"今のニアは"と、心の中で付け足す。

ニアはもっと無邪気に笑うやつだ。そんな顔して欲しくない。

けど俺の含みはイオン以外に通じておらずニアを少なからず傷つけたと指摘された。

俺が弁解するとイオンがニアがいなくなった後のやりとりを教えてあげようか?とニアに笑いかける。

あの時のことか?!あのサッチと俺がすげぇしょうもないことで喧嘩した時の…!

やめてくれ!といったがロキアス達が実演し出した。

すげぇ恥ずかしいよい。

だが、それが面白かったみたいでニアはさっきとは違い可愛らしく、いつもの様な笑顔になった。

…タイミング的には今しかねぇよい。

ニアを連行して強制的に休ませねぇと、多分こいつ一生休まねぇだろうよい

 

「じゃあニア…大人しく縛られろ」

 

俺が言うとイゾウがニアの後ろから縄をくくりつける。

ニアは驚いていたがまだまだだ。

イオンが優しい笑顔でニアに手を振る。

俺達の行動に唖然とするニアを拘束し担ぎ上げると唖然としてる隊員を置いてニアを医療室へと運んだ。

 

ーサイドエンドー

 

***********

 

「マルコ!やすんでほしいならそうっていってよ!」

「こうでもしなきゃお前理由つけて休まねぇだろい?俺は十分譲歩したぜ?」

 

どうやらわたしを休ませるために強制的にあそこから連れ出したみたいでした。

医療室に運ばれベッドに寝かしつけられるとイゾウがロープを解く。

 

「そういえばサボとルフィさんは?」

「エースの兄弟のことか?あいつらならサボとか言う方が弟とジンベエ連れて出かけてるよい。ニアが回復したら勝利の宴を開くから参加してけって言ったら買い出ししてくる!とか言って弟がおれも!ってついてったよい。」

 

元気か!

さっきまで戦場にいたのに、その元気はどこからやってくるんだ!!

 

「それにしてもあのロキアス達の実演は傑作だったな!いやぁ、あいつらよく覚えてたもんだ」

「「やめてくれ、恥ずかしい(よい)」」

「にぃちゃ達はわたしがいると楽しい?」

 

ふと唐突に聞きたくなった。

マルコがベッドに座りわたしの方を見ると微笑を浮かべて頭を撫でる。

 

「あぁ、楽しいよい。」

「そうだね。ニアが来てからみんなの意外な一面が見れてすっごく楽しくなったよ。1番意外だったのはマルコだけどね」

「うるせぇよい」

「何を心配してるんだ?ニア」

 

そんなの決まってる。あの時のことだ。

みんな触れない様にしてくれてるんだろうけれど、1番気にしてるのはわたし自身で…1番本音を知りたくない相手がエースだ。

この部屋には、マルコ、エース、ビスタ、ハルタ、イゾウがいるけど、エースの顔だけ見れない。どう思われてるのか怖くて、目を合わせることができない。

 

「……わたし、エースを」ムグッ

 

何が言いたいのか察したエースがすぐにわたしの口を手で塞いだ。

 

「いいんだ、ニア。気にするな…むしろ感謝してる。お前がそのことを1番気にしてるからこそ、さっきからおれのほう見ないんだろ?」

 

彼は気付いてた。

エースは両手でわたしの顔を挟むと自分の方に向ける。

 

「今後、その事でおれを避けたら許さねぇぞ。いいな?」

「うん…」

 

そう言うとエースは笑い頭を撫でた。

じゃあもう寝ろ。とみんながわたしを寝かそうとした時医療室のドアが乱暴に開いた

 

「たたたた隊長!大変だ!冥王が来た!!!しかも赤髪を連れて!」

「「「「はぁっ?!」」」」

 

めいおう?誰、それ。

しかもシャンクスさんも一緒?…ってことは冥王って人も凄い人なのかな?

 

「ここか!ニア!!お前、大丈夫なのか?!怪我は!気分はどうだ!?おれの船に来ないか?!」

「「「どさくさに紛れて勧誘するな!!」」」

「…チッ、バレたか。」

「シャンクス、キャラが変わってるぞ」

「レイリーさんもニアの可愛さをわかったからこうなるって!」

 

レイリーさん?……って、、、

 

「しゃぼんだまのしまにいた…?」

「おっ、覚えていたか、お嬢さん。1番上のお兄ちゃんは青い炎の鳥になると聞いてまさかと思ったが本当に白ひげの船にいたとはな」

「おいおい、クルーが騒ぐから何事かと思ったら…何しに来た、アホンダラァ。おれの船は休憩所じゃねぇぞ。お宅訪問感覚でお前らみたいなのがホイホイくるな」

 

あ、オヤジさん。

お前らみたいなのがホイホイくるなって……もしかして知り合いなのかな?

冥王って言ってたよね

で、シャンクスさんがレイリー()()って呼んでるから相当すごい人だとすると……もしかしてオヤジさんと同じ世代のひとかな?

オヤジさんに物怖じしてないし、ライバルか何かだとしたら……うん。

今この瞬間を海軍の人がみたらびっくり仰天だね

わたしがレイリーさんを見ながら考え事をしてるとそれに気づいたのかサッチがこっそりと耳打ちする

 

「冥王は元ロジャー海賊団の副船長だ。ちなみに赤髪も昔そこに見習いとして乗ってたんだよ」

 

………それ、相当まずいんじゃ無い?喧嘩始まったらこの船沈むかも

 

「白ひげ、いいところに来た。お前、あんな子どもを乗せてるのか?」

「話はそっちの小僧に聞いてんじゃねぇのかァ?」

「まぁ、あまりよくわからないことがわかっただけだがな。」

 

そう言うレイリーさんに対しシャンクスさんはばつの悪そうな顔をした。

多分わたしの力のことは話してないんだ。

彼に本当のことを言ってないから少なからず罪悪感を感じてるのかも知れない。

 

「ならそれでいいじゃねぇか。ニアについて教える気はねぇよ。わかったら帰りやがれ。」

「…火拳のエースは1度死んだ筈だ。お前も死にかけていただろう?…あのお嬢さんがそれをひっくり返したと言うのならあの子はこれから世界中から危険視されるぞ。今ならまだ間に合う……。逃してやるのが優しさってものじゃないか?必要ならわたしも協力するぞ」

 

…あの人なりにわたしを心配してきてくれたのだろうか。

けど……余計お世話だ。

 

「わたしはここのみんながすきなの。…とーさんとにぃちゃたちがわたしのなまえをよんでくれるかぎり、みんなについてくってきめたの。だからね、よけいなこといってにぃちゃたちをこまらせないでくれるかな?」

 

にっこりと笑って言うとレイリーさんは引きつった笑顔を浮かべた。

 

「おい、シャンクス。あの子は何者だ?わたしが恐怖を感じたぞ」

「ニアを怒らせたら多分レイリーさんでも敵わないからそれ以上の介入はしないほうがいいですよ」

 

ヒソヒソと何か会話してるけど、聞こえてるし何気にひどいこと言われてる気がする。

 

「ん?あ、いたいた!エース!お前の弟たちそろそろ帰ってくるってよ!出迎えてやれ!……って、赤髪に冥王!?なんでお前らここにいんの!?」

 

ロキアスがシャンクスさんとレイリーさんを見るなりそういうけど…むしろよくそんな態度取れるなと思う。わたしも人のこと言えないけど

 

「…ならおれは先に失礼する。今、ルフィに会うわけには行かないからな。」

「ん?わかった。またな、シャンクス」

 

シャンクスさんはわたしの方に来ると軽く頭を撫でる。そして耳元に顔を近づけると小声で言った

 

「無事で何よりだ、ニア。お前がティーチに攫われたと聞いた時、白ひげを殺してやろうかと思った。今度から何かあったら俺も頼れ、いつでも力になる」

「……どうしてちがうふねのひとなのにそこまでしてくれるの?」

「お前が可愛いからに決まってるだろう?」

 

何を今更、と彼は言うが……どんな理由だ。と思う。

シャンクスさんはわたしの髪をさらりと撫でると船を後にした。それと入れ替わるようにサボとルフィさんが戻ってくる。

すると、レイリーさんがルフィさんに修行をつけるという話をしたらしい。

ルフィさんもかなりボロボロになっていたけれどわたしが拒絶の力を使ったせいで体は回復していた。

だが、大事をとってしばらく様子を見てから修行をするらしい。

わたしの体が回復し宴が開かれるとエースとサボとルフィさんが騒ぎながら仲良くご飯を食べていた。

 

「にくーーー!」

「おいおい、落ち着いて食べろよ。飯は逃げねえって!」

「はははっ!変わらねぇな、ルフィは!」

 

その光景を微笑ましく見ながら遠くで静かに食べてるとイゾウとハルタが来る。

 

「どうしたんだ?こんな所で1人でよ」

「ほら、ニアも飲みなよ。楽しまなきゃ」

「わたしまだみせいねんだよ」

「大丈夫、それジュースだから」

 

そう言われたので渡されたグラスの飲み物をちびちびと飲む

 

「それで?何か考えていたのか?」

「ん?うーん。エースがうらやましいなぁって」

「エースが?どうして?」

「あんなになかのいいきょうだいがいるなんていいなぁっておもってさ」

 

また一口飲む。だんだんとポカポカしてきた。これ何のジュースだろう?体を温める効果があるのかー。お兄ちゃんのさりげない気遣いかな?

 

「お前…俺たちのこと兄弟だと思ってないのか?あんなに"にいちゃ"って慕ってくれてたのに」

「そういうことじゃなくてね、なんでいえばいいのかなぁ…。ま、いっか。わたしにもだいじなかぞくがいるし……まけてないもんね」

「大事な家族、か…。そう思ってくれてるなら俺たちも嬉しいな」

「とーぜんだよ。にぃちゃたちがわたしをみつけてくれなかったらわたしはもういきてないもん。かんしゃしかないよ」

「あの時ニアを見つけたのは本当に偶然だったけどね。サッチが気づかなかったら俺もスルーしてたかも知れなかったし…」

「ふふっ。じゃあ、わたしはうんがよかったんだね」

「俺たちはお前と出会えたことが『幸運』だな。」

「ありがとう、イゾウ。……そういえば、イゾウとハルタはみんなのとこいかないの?」

「お前が1人で居たからなにか悩んでるんじゃないかと思って声をかけにきたんだ」

「…そっかぁ。うれしいなぁ…。じゃあもうすこしだけここにいてくれる?」

 

わたしはイゾウに寄りかかり体を預ける

なんか分からないけど唐突に甘えたくなった。

 

「……(ニアを酔わせよう作戦成功したぞハルタ。)」

「(後で場所変わってよ?イゾウ)」

 

2人が視線を交わし何やら目で会話をしていたけどお構いなしにイゾウに甘える。

色んなことがあったけど、それでもわたしはここに帰ってきてそれをみんな受け入れてくれた。

 

「ここだけのはなしだよ?ほんとはね、わたしなんどもここからでていこうとしたんだ。みんなのじかんたくさんうばってるしわたしがいるからみんなやりたいことできないんじゃないかっておもってたの。…でもね、できなかった。どうしても…みんなとはなれたくなかったの。」

「…それでいいじゃないか。俺たちだってお前がいなくなった時、心に穴が開いた様な感覚に襲われた。お前も家族なんだから余計な心配は不要だ」

「うん。あのね?わたしがくじけずにここにもどってこれたのはハルタのおかげなんだよ?」

「俺の?」

「そう。ハルタからもらったこのチョーカーがあったからなにがあってもかえるんだ、っておもえたの。やっぱりここのひとたちすきだなぁ。みんなあったかい」

「「…………。」」

 

これは紛れもないわたしの()()

イゾウの膝の上に座って彼に体を預けながら彼らを見上げていうと2人はわたしを見て無言になった。

けど、どこか嬉しそうにしていた。

 

「(どうしようイゾウ。こんな無防備なニアってレアだよ。すっごい襲いたい)」

「(気持ちは痛いほどわかるがそんなことしたら後でマルコに殺されるぞ。我慢しろ。)」

 

ハルタと目が合うと彼の方に行き今度はハルタの膝の上に座る。

 

「にぃちゃたちはどうやってそんなにつよくなったの?」

「強くないよ。ただ強いって思うならそれは強くいたいって思ってるから…かな?」

「ニアにはまだ難しいか?」

「…ううん。わかるよ、それ。ふふっ。にぃちゃもわたしとおなじなんだね」

 

にっこりと笑っていうとハルタとイゾウが珍しく赤くなる。

照れたのかな?

 

「(イゾウ!どうしよう!かわいい!かわいいよ、ニアが!)」

「(今の笑顔を他の誰も見てなくて良かったな。この前みたいに失神者続出案件だぞ)」

 

そこにマルコがきた。

だんだんと眠たくなりわたしはうとうととする

 

「お前らこんな所でなにしてんだ?向こうでみんなと………てめぇら……懲りてなかったのか」

 

マルコがわたしを見るなりそんなことを言った

 

「まーくんはおこりんぼだねぇ。ほらにこっ!ってしよ!にこって!」

「ばっ!!ま…待て、ニアッ!!」

 

わたしはマルコに抱きつくと彼を座らせ頬を人差し指で持ち上げる

一通り戯れて気が済むとマルコの胸に体を預け力を抜いた

急に『くたぁ』となったわたしを彼が心配する。

 

「おい!ニアッ?!」

「ねむたいの。ねてもいい?」

「え?あ、あぁ。わかったよい」

 

許可を貰うと目を瞑る。

優しい手つきで頭を撫でられる。

その温かさに心地よさを感じながらわたしは眠りについた。

 

**********

 

それから数日、ニュース・クーが1枚の新聞を落としていった

 

「おい、エース!お前の弟またやらかしてるぞ!」

 

新聞を受け取るなり、ルーカスが言う

新聞にはマリンフォードでそぐわない行動を起こすルフィさんの写真があった。

ヒラリ…

と、もう一枚、手配書が落ちる

 

「ニア!お前これ!!」

 

その手配書にはわたしが写っていた。

 

懸賞金、3億ベリー。DEATH or ALIVE

ー癒し姫'ニア'ー

 

…3億って何?!バカなの!?死ぬの!?

 

「…初期手配額が3億か…。つくづく型破りな奴だな、ニア」

「だがまぁ…大将倒しちまったし、妥当じゃねぇか?」

「…ちょっとまて、海軍は知らないがこいつ3つの時に3億3000万の賞金首倒してるよな?」

 

ロキアスとルーカスが言うとカルガンが思い出したように言った。

 

「「「そういえば…」」」

 

あぁ、そういやそんな事もあったな(遠い目

 

「俺たちの修行や稽古に耐えて、赤髪と鷹の目に鍛えられて、赤犬を瀕死にして、マリンフォードを見事なまでにかき混ぜたな」

 

ビスタがそう言うとみんなが口を揃えて同じことを呟く

 

「「「低くねえか?」」」

 

いや、十分高いです!これ以上高くならなくていい!

 

「グラララ!だがこうなっちまったらもうこそこそ顔隠す必要もねえな、ニア!」

 

それは間違いない。

けど、うん。

わたしは1人じゃないんだ。だから怖くない

 

「ふふふっ、そうだね!わたしもうなかないよ、だからひとりにしないでね!」

 

ーーその後の彼らの行方は神のみぞ知るーー




〜ニアが眠った後の話〜

「お前らニアに酒飲ませたな?」
「いやー、いい機会かと思って。マルコも満更でもない感じじゃん」
「心の準備をさせろよい。こいつの甘え方は悩殺クラスだ」
「…さっきの笑顔は失神者続出案件だったもんな」
「あれねー。写真撮っとけばよかった。」

結局みんなの輪には入らず3人でずっとそんなことを語り合っていたそうな

**********

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
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