家族の為ならどこまでも   作:実茶

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こんにちは、実茶です
皆さんお久しぶりです!
キャラエピソード書いてみました
イオンさんの能力をほんの少し変更しました。
そんな大した違いはないので大丈夫だと思います…多分おそらくきっと←


〜episode AEON〜

*イオンside*

 

こんにちは、ボクはイオン。

超人系(パラミシア)"ビジビジの実"の能力者さ。

人の見える世界…()()()()()()()()()()能力。

見えなくしたり、別のものを見せたり、人の"心の中"を見たり……すごい能力だよねぇ。

けど、そんなボクにも苦い思い出がある。

少し与太話に付き合ってくれるかな?

 

**********

 

ボクはね、ガレザラ島っていう島の町外れで生まれたんだ。

薄紫色の髪と目で周りからは『気味が悪い』って遠巻きにされていてね…いつも1人だった。

ボクが生まれた時には父はすでにいなかった。

ボクには血の繋がった妹がいるんだけどその妹が生まれた時、母は亡くなった。

だからボクは妹と肩を寄り添って細々と暮らしていた。

裕福ではなかったけどそれなりに幸せだった

でもある日……

 

「ただいま」

「あ、お兄ちゃん(死神さん)!お帰り」

「…今、なんて?」

「ん?あのね、村の人が言ってたの。紫色って"死の象徴"だって。一緒にいたら魂取られちゃうって!でもわたしお兄ちゃんいないと生活できないもの。だからわたしの魂食べないでね!」

「何を言っているんだい?ボクが一度でも君にそんな素振りを見せたことがあるかな?」

「今まではなくてもこれからあるかもしれないじゃん」

「……村の人に何を吹き込まれたか知らないけどボクはボクだよ。夕飯作るね」

「………そうやって優しい()()して安心させて魂を後でもっていく魂胆?」

「何が楽しくて妹に手をかけなきゃダメなんだい?まぁ…この家を出ていくのも、ボクを追い出すのも、君の好きにするといいよ。」

 

ボクは村人に『死神』というあだ名をつけられていた。

嫌だったけど、辛かったけど、妹のために頑張って働いていたんだ。

けど、妹にまで侮蔑される様になりボクの居場所は……生きてる意味は…無くなってしまった。

その日の夜、眠れなくて家を出る。

村から少し離れたところに海があり、その海岸で海を眺める

ふと視線を横に向けると崩壊した船と船から飛び出す様にして散らばる財宝の様なものがあった。

好奇心から物色してみると宝箱に目がいく。

箱を開けると中には変な模様の書かれた木の実が入っていた。

……文献で読んだことがある。……これは悪魔の実だ。

 

「なんの実だろう。」

 

悪魔の実という存在は知っていたが種類までは把握しきっていなかった。

ボクだって男の子なんだ。好奇心には勝てない。

鼓動が早くなるのを感じながらその実をかじる

 

「ーーーっうえっ。まっっず。不味いとは聞いてたけどここまで殺人的に不味いとは……アカデミー賞並みだね。」

 

強がっては見たけど不味すぎて泣きそうだ。

体を見てみるけど特に異変はない。まぁ、そのうち分かるかな?

ボクは空になった宝箱に散らばっている財宝を入れて家へと持ち帰った。

リビングに箱を置き自室へ行くと眠りにつく。

朝目が覚めると妹が先に起きていた。

 

「…なにこれ。」

「あぁ、昨日の夜に「すっごい!お宝じゃん!」…話聞いて?」

 

妹が箱を開けて中身を確認すると目を輝かせる。

 

「お兄ちゃんが持ってきたのかな?」

「そうだ…「お兄ちゃーーん!あ、間違えた。死神さーーん!」そんな大きな声出さなくても目の前にいるよ」

「あれ?お兄ちゃん、いないの?」

「ここにいるって」

 

ボクが妹の肩をトントンと叩くと『心底驚いた』という反応をする

 

「ーーーっひゃあっ!!……って、お兄ちゃん!?いつからそこに!!」

「始めからいたよ。」

「嘘!さっきまで絶対居なかった!!やだ!気持ち悪い!!やっぱりお兄ちゃんは死神なの!?」

 

ーーー気持ち悪いーーー

 

妹に面と向かって言われてしまいボクは心の底から傷ついた。

ドロドロした感情が湧き上がる。

 

「……この財宝は君の好きにするといい。…ボクはここを出ていくよ」

「え…?お兄…ちゃん…。わたしを1人にするの!?」

「…ふふっ……ふふふっ…。君はどこまでも勝手だね。ボクがどれだけ優しくしようが『死神』だと罵って…我慢してれば今度は『気持ち悪い』?…死神と一緒だなんて御免だろ?その財宝はあげるからそれで許せ。あぁ、でも少しはもらっていくね?」

「いやっ…!ごめん、待って!出て行かないで!!」

 

財宝を少し自分の懐にしまうと出ていく旨を伝える。

すると、妹が縋り付いてくるがボクはその手を払った。

 

「…いい加減にしろよ。今まで散々ボクの心を傷つけてきたくせに、今更その甘えを許せって?……なにを勘違いしてるか知らないけど、ボクはそこまでお人好しじゃない。」

 

震える彼女に冷たい言葉を放って家を出た。

村の人に会ったがなにも言われなかった。

いつもならわざわざ走ってきて罵りにくるのに……。

…まさか、ボク…周りに認識されていない?

出ていく宣言をしたけれどそれがどうしても知りたくて宿屋に向かい何泊かする。

宿屋の女将さんになにも言われなかった。それどころかボクがいることすら気付いていないみたいだった。

無銭で部屋を借りてしまったことに罪悪感を覚えるが、まぁ…なかったことにしよう。

 

「……は、ははっ。はははっ。なんだよ、これ……。これが、悪魔の実の力…。」

 

誰にも気付いてもらえないことを嘆くべきか、罵られなくなったことを喜ぶべきか…。

それと同時に人の"声"が聞こえるようになった。

 

"あいつは汚い"

"あいつ、騙そう"

"死んじゃえ、バーカ!"

 

「ーーーっ……なにっ、これっ……」

 

頭を抱えて座り込む。

人の心をのぞいているようだった。

ポロポロと涙が流れ、その悪意に吐き気がこみ上げる

 

「ーーっうぇっ。おえぇっ」

 

ボクはここにいちゃいけない。

ここにいたら狂ってしまいそうだ。

ボクは逃げるようにして村を飛び出し、山を越えるために歩く

今、どこにいるか現在地すら分からなかったが道が続く限り歩き続けた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

家を飛び出してきたはいいけど、体力のないボクに山越えなんて無謀だったのか息が上がる。

それでも気を振り絞って歩き続けるとようやく山を抜けた。

少し休憩するために木陰に入り水を飲む

すると商人かな?

人の会話が聞こえてきた

 

「…この先に街がある。今から襲うぞ」

「へい、お頭。」

「へへへっ。女、子どもは全部売り飛ばしてやる」

 

……山賊だった。

絡まれても面倒だし道を変えよう。

しばらく休み体力が回復するとまた歩き出す。

 

「きゃあああっ!」

「助けてっ!!」

 

叫び声が聞こえてくる。さっきの山賊達か。

襲うの早すぎない?どれだけせっかちなの?

ボクはそれなりに戦えるけど、わざわざ助けに行くほどお人好しじゃないからね。ごめんね?

そんなことを思っていると今度は山賊達の悲鳴が聞こえた

 

「てめぇら、誰のシマに手ェ出してやがんだ?あぁん?」

 

視線を向けるといかにも柄の悪そうな人たちが数人で山賊達を蹴散らしていた

 

「俺たち白ひげ海賊団の縄張りで好き勝手するたァ…いい度胸じゃねぇか!!」

 

白ひげ……?聞いたことあるな。

面倒なことになりそうだ。さっさとここを離れよう。

 

そう思いまた方向転換すると誰かにぶつかってしまった

顔を上げるとチンピラの2人組が……

 

「ってぇ……。悪りぃな、前見てなk……お前、何者だ?」

「え?」

「『え?』じゃねぇよ!お前、いきなり現れたか?!さっきまでここには誰もいなかっただろう!」

「…ずっとここにいましたよ」

 

初対面や目上の人には一応敬語で話すようにしている。

波風立てないためだ。

 

「嘘をつけ!お前みたいなひょろいイケメンがいたら真っ先に山賊の標的になるだろう!」

「ひょろいイケメン??」

「おい、やめろ!!一般人に手ェ出すなってオヤジに言われてんだろ!」

「いーやっ!こいつ…何かあるぞ!オヤジの邪魔になるなら…」

「やめろって!こいつが何したんだ!こいつに喧嘩売ってもなんのメリットもないだろう!」

 

詰め寄ってくるチンピラを宥めるチンピラ。

……海賊っていってたよね。

ボク殺されるのかな?

…………ただで殺されてたまるか。

 

「…そ、そうだな。すまん、突然現れたように見えて驚いたんだ。」

「ったく、すぐに喧嘩売る癖なおせよな…。君、悪かっ………!?」

 

ボクの殺気に気付いたのか彼らはボクから距離を取り警戒する。

すると彼らの後ろから格の違う人がやってきた。

 

「お前ら、何してんだ?そろそろ時間だよい!船に戻れ!」

「マルコ隊長!でもっ、こいつが!」

「あぁん?こいつってどいつだ?寝ぼけてんのか?」

「マルコ隊長、もしかしてこいつが見えてない…っ?!」

 

今しかない。

ボクは隠し持っていた千本を素早く目の前にいる敵の首目掛けて投げる。

それは首のツボを的確に刺し彼は倒れた

 

「「ーーー?!」」

「てめぇっ!!やりやがったな!?」

「下がれ!…こいつ、どこから出てきやがったよい!?」

「初めからいたんだよ!」

「能力者か…!しかも厄介な能力だよい!」

 

警戒してくる彼らを無表情でみる。

 

「ただでは……殺されませんよ?」

「…殺され……?…お前、こいつ挑発したのかよい?」

「俺じゃなくて、そいつが」

「チィ…面倒なやつに喧嘩ふっかけたな。だが、俺らの仲間をやってくれたんだ…。覚悟はできてんだろうなァ?」

 

…仮死状態にしただけだけど、話聞いてくれなさそうだしまぁいいか

仮死状態っていってもほかっといたら死ぬだろうしあながち間違いではないか。

 

「やられたらやり返すのが海賊というものでは…?ボクは海賊ではありませんが…、もう…うんざりなんですよ。敵意を向けられるのも、罵られるのも…!」

「(こいつ、訳ありか。…だが)手加減はしねぇよい!」

 

チャクラムを取り出して投げる。

けどその人はそれを悠々と躱した。

 

「珍しい武器使うじゃねぇか!!………おらァっ!」

 

反撃してくるが彼の攻撃する場所がわかるからボクもかわす

彼の攻撃を軽々と躱すと驚いた表情を浮かべる

 

「お前……見聞色が使えんのか?」

「なんですか、それ」

「覇気をしらねぇのか…。」

「よそ見すると危ないですよ?」

 

投げたチャクラムが返ってきて彼の頭に当たりそうになるが、しゃがんで躱す

 

「チィ、なかなかやるじゃねぇかよい。おい、お前…そいつ連れて先戻ってろ」

「援軍を呼ばれては面倒です。逃しません」

 

もう1人にも千本を投げ気絶させる

 

「ーーーっ!!?…てめぇ……許さねぇ!」

 

彼は怒り本気で蹴りを繰り出してくる。その場を飛び退きチャクラムのリングを目の前で交差させ相手の足を嵌める

 

「なっ……!」

「捕まえました。これを引けば……っ?!」

 

足を斬ろうとチャクラムを外に引くと彼の足は青い炎になり斬れることはなかった

 

「俺は動物系(ゾオン)、トリトリの実の能力者。幻獣種…モデル不死鳥だ。俺相手にここまでやるたァ…中々の実力者だが……ここまでだよいっ!」

 

ボクが驚いた隙に懐に入り込まれ鳩尾を蹴られる。

壁に体を打ちつけると呼吸が出来なくなりその場に倒れ伏した。

けどそれで終わらずに彼はボクの襟を掴み持ち上げる

……相手は海賊だもんな…。そりゃこうなるか

 

「てめぇにどんな事情があるかしらねぇが…仲間を殺されたとなりゃただじゃすまねぇぞ……」

「ゴホッ……殺すなら…殺してください。もう、疲れました。ただ一ついうなら…彼らは死んでませんよ」

「・・・・・は?」

「だから、彼らは死んでません。正しい処置をすればまだ息を吹き返します。仮死状態になってるだけ」

「……………お前、その処置ってーのできるのか?」

「そりゃ…これでも医療に携わってますからね」

「なら、あいつら起こしてくれるかよい?」

 

そう言われたからボクは彼らの首に刺さった千本を抜き血を吐かせる。

彼らは咳き込むと周りを見渡した

 

「あれっ!?ここは…?!俺は生きてるのか?」

「ーーっ…いてて」

「じっとして」

「「?!?!」」

 

驚く彼らに近づき消毒をして首に包帯を巻く

 

「これで大丈夫です。」

「すげぇ手際だ。…中々の逸材だな。お前……俺らとくるか?」

「え……」

「「マルコ隊長!?」」

「なんで……?ボク今、彼らを…」

「こいつらが先に喧嘩ふっかけたんだろ?まぁ、死んでないからいいよい」

「でも…」

「いいから来い!話はそれからだよい」

 

腕を掴まれ立たされる。「ついてこい」と言われたからついていくことにした。

ここで抗っても不利だからね。

彼の後ろをついて行ってたんだけど……船に着くなり彼が振り返るとボクがいなくなったと思ったらしい

 

「あれ?あいつどこ行った?」

「この能力便利なのか面倒なのか…」

 

はぁ。と、ため息をつきキョロキョロしている彼の背中を人差し指で小突く

すると彼は気づいたようだ。

 

「ーーっ!?…あっ、お前…。面倒な能力だな。コントロールできねぇのか?」

「やり方が分からなくて…」

「仕方ねぇな。力の使い方も教えてやる。とりあえずオヤジに会わせるからついてこい」

 

頷くと彼はボクに背を向けて歩き出す。それについていくと白いひげを生やした大きな人がいた

 

「オヤジ〜。話があるんだけどよ」

「グラララ!どうしたァ、マルコ!」

「こいつ仲間にしたいんだがいいか?」

 

彼が親指で後ろを指差すがオヤジって人にもボクが見えてないらしく険しい顔をした。

 

「マルコ、おれをからかってんのかァ?それともストレスで頭がおかしくなったのか?」

「………オヤジにも見えないか。すげぇ能力だな。というかオヤジ、何気に酷いこと言わなかったよい?」

「気にすんな!それより、おれにも見えないってなんだ?そこに透明になる能力者でもいるってんのか?」

「透明になるっていうか…どっちかっていうなら()()()()()()()()能力…か?触れると見えるようになるらしいんだが…。おい!姿見せろよい!」

 

そう言われたから彼の肩に手を置く

と、オヤジと呼ばれた人が目を丸くしてから笑い出した。

 

「ーーっ!?グラララ…!面白ェ能力だな。探すのが大変そうだが」

「あぁ。あとこいつ、医療にも通じてるしそれなりに強えよい。」

「グラララ!!そりゃまたすげぇやつ見つけてきやがったな!!お前、名前はなんて言うんだ?」

「イオン…」

「イオンか!よし、おれの息子になれ!!」

「でも…ボクは…」

「さっきのことなら気にすんなよい。あいつらが悪いんだし、誰も死んでねぇからいいんだ」

 

そう笑顔で言われた。

 

「息子って言われても…何すればいいんですか?ボク、略奪とかできませんよ?」

「グララ!グラララ!!んなことしなくていいんだよ!この船でおれの名を背負ってお前の好きなように生きろ!」

「…ボクの…好きなように…。好きなように…いきても、いいの?…もう、我慢しなくて…いいんですか?」

「………(訳ありか、こいつ。)」

「訳ありって程でもありませんが…ただ、紫色は不吉な色だから…」

「…おれ、今言葉にしたか?」

「あっ……」

「…そういや、さっきもおれの蹴りを軽々躱したよな?見聞色使ってねぇのになんでわかるんだ?お前」

「悪魔の実を食べてから…時々声が聞こえるようになったんです。人の心の声が頭の中に流れ込んで……だからさっきあなたと戦ってた時も蹴る場所がわかったから、避けられたんです」

「ーーーー…ん?お前の目ェ、紅かったか?」

「え?いや、薄紫の筈です」

 

どうやら今、ボクの目は紅いらしい。

 

「今、力を使ってると仮定すると……お前が食べた悪魔の実はおそらく"ビジビジの実"だ。人の視覚に訴えかける能力だろうよい。お前の姿が見えなくなるのもそのせいだ。声が聞こえるようになったのはその能力の応用じゃねぇか?」

「基礎も分からないのに…?」

「無意識なら分からないこともないよい。だが能力ってーのはコントロールできないと危ねぇんだ。気ィつけろよ」

 

ボクは彼の船に乗ることになったんだけど、そこでもやっぱり1人だった。

誰からも見てもらえなくて寂しかった。

甲板で膝を抱えて蹲ってると隊員がやってきたんだ

 

「なぁ、あのイオンって新入り、紹介されてから1回も見たことねぇんだけど、どこにいるかしってるか?」

「いーや、俺もあの日以来見かけてない。話しかけたいんだが…こうも見つからないとお手上げってもんだ」

「仲良くしたいんだけどなぁ」

 

彼らがボクの話をしているのを聞いていると船が途端にとまった。

どうやら海軍の船と鉢合わせしたらしい。

総出で海軍と戦うが隊員たちは押されていた。

 

『助けないの?』

ー助けても罵られるだけー

『彼らは君と仲良くなりたいんだよ?』

ーそんなの口だけではなんとでも言えるー

『また心を閉ざして1人になるの?』

ーそうしないと傷つくじゃないかー

『なら君はずっと1人のままだよ?』

ー孤独は…嫌だー

『なら、助けないと。』

ーボクに…できるかな?ー

『それは、やってみなきゃ。だって…』

「『一歩踏み出さなきゃ始まらない』」

 

心の中で誰かと会話すると答えが出る

…そうだ、ボクだって本当はみんなと仲良くなりたい。

これはボクの『本心』

ボクは剣を振り上げている兵士にチャクラムを投げる

 

「「「「!?!?」」」」

 

敵も味方も突然現れたボクに驚いていたがお構いなしに隠し持っていたクナイを投げ的確に喉を狙う

 

「なっ!なんだ貴様は!!」

「…素直に答えると思っているのならあなたは馬鹿ですね。」

 

チャクラムを投げ頸動脈を斬る。

数十分の攻防の後、ボクは勝利を手にした。

 

「ふう…。意外としぶとかったですね。みなさん、怪我は無いですか?」

 

振り返ってそういうとみんな目を丸くしてボクを見ていた。

 

「あ……えっと、」

 

注目されるのは慣れてないせいか内心で焦る。

不味かったかな…?余計なことしたかな?

 

「ーーーすっげぇ!!チャクラムってあんな風に使うんだ!!かっけぇよ!お前!」

「助かったぜ!イオンだったよな?俺はカルガン、よろしくな!!」

「え?は、はい。イオン…です。」

「はははっ!敬語なんていらねぇよ!俺はルーカスだ!」

「はいはーい!俺、ロキアス!よろしくな、イーリオン!……って、いたぁっ!なんで殴るんだよ、マルコ隊長!」

「イオンだっつってんだろい!助かったぜ、イオン。ありがとな」

「………いえ。」

「どうした?」

「お礼なんて…初めて言われました」

 

目を逸らしてそういうとみんなに髪をわしゃわしゃとされた

 

「これからいくらでも言ってやるよ!だからこれからもよろしくな!」

「ーーーーっ…ありがとう…ございます」

 

それからボクはだんだんと力をコントロールできるようになっていった。

隊員たちはタメでいいっていうから隊員は普通の口調で隊長は敬語で話すようにした。

 

「おーいイオン!ちょっと話があんだけどよ」

「こんにちは、マルコ隊長。なんでしょうか?」

 

ある昼下がり、マルコ隊長とイゾウ隊長とビスタ隊長がボクのところにきた。

 

「お前、2番隊の隊長にならねぇか?」

「……隊長…ですか?ボクが」

「あぁ。ずっと欠番だったんだ。オヤジと話してたんだがイオンなら問題ないだろう?」

「問題大有りだと思いますよ?ボクに人を纏める力はありませんし…それにボクなんかが隊長になったら2番隊がお行儀良くなりますよ?海賊がこんなんばっかでいいんですか?」

「よくねぇな」

「でしょう?申し訳ないですがお断りさせていただきます」

「ははははっ!断り方一つにしても丁寧だなお前!」

「仕方ねぇな。無理強いさせるわけにはいかねぇし…」

「ふふっ…ごめんなさ………ん?」

「「「ん?」」」

 

急に"声"が聞こえ、"見る"力を使う。

ボクは自身の能力で大きく分けて6つの使い方を見出した。

対象の人や物を"見えなくする"

人の心を"直接見る"

物を見てそれに対し"関係する人見つける"

対象にした物に"視線を集める"

自分が見えているものと"違う物を見せる"

そして今使っている"限定した物以外を透明にする"という力

簡単に言って透視能力だ。それで甲板を見るとシースが倒れていた

ボクは思わず走り出し、それに隊長たちが驚いてついてくる。

甲板に出ると沢山の人たちと倒れてるシースが…

 

「「「シース!?!」」

 

ボクが駆け寄り彼を起こすと腹部から血が流れる

 

「ははっ!もう気づかれたのか!てめぇらも死ね」

「……誰?」

「俺か?俺は懸賞金5億ベリー"百足のムカデ"だ。白ひげの首をとりにきた。」

 

彼が悠々とそういうとボクはだんだんとイライラしてきた

 

「隊長、シースを頼みます。」

「イオン!?まさかお前1人でやるつもりか!」

「何人いると思ってるんだ!?俺たちに任せてお前がシースを…」

「ふっ…ふふっ。ボクの仲間に手を出したんです。死んでも文句はないよな?」

「「「イ、イオン?」」」

 

次の瞬百足率いる百足海賊団は血飛沫を上げ全員倒れ伏した。

チャクラムを弧を描くように投げて一斉に斬っただけなんだけどね。

 

「えっ、何が起きた!?」

「…イオンってあんな強いのか!?」

「あいつ怒らせるのはやめといた方がいいな」

 

隊長たちが口々に言うけど、うん。早くシースを手当てしてください

 

「隊長?シースを早く医療室に」

「あっ、はい」

 

にっこりと笑って言うとマルコ隊長がシースを担ぎ船内へ走る

 

「笑顔ひとつでマルコに言うこと聞かせたぞ、あいつ」

「…とんだ伏兵がいたものだな。敵じゃなくてよかった…」

 

さて…。とボクが彼らに向き直る

 

「まだ生きてる人は居ますか?急所は外したから当たりどころが悪くなければ生きてますよね?動ける人は早く仲間連れて出てってもらえませんか?」

「「「ーーーーっ!!はっはいぃ!!!」」」

 

バタバタと逃げの準備をしてる彼らにもう一つ雷を落とす

 

「あぁ、あと百足(ひゃくあし)のムカデって…頭痛が痛い。みたいな言い方でカッコ悪いので改名することをお勧めします」

 

そういうと百足海賊団の船長がボクに抗議する。

 

「俺がつけたわけじゃねぇ!!」

「ふふっ、元気そうですね。……あぁ、そういえばあなた…シースのお腹を刺したんですよね?…3倍返しでいいですか?その臓物抉り抜いてあげましょう」

「逃げるぞ!野郎ども!!こいつマジで危ねぇ!!」

「「「おぉーーー!!!!」」」

 

敵が蜘蛛の子を散らすように逃げていくと静寂が訪れる。

 

「……お前、ほんとになんで隊員やってんだ?」

「いや…うん。海賊らしいといえばらしいぞ」

 

ビスタ隊長達がそう言う。

…別に何もおかしなことしてないけど

 

「イオン!……あ、終わったのか。」

「おかえりなさい、マルコ隊長。シースの様子は?」

「大丈夫だよい。…つーかお前、俺を使いやがったな?」

「ボクはお願いしただけですよ?」

「マルコ。こいつは怒らせちゃいけない部類の人間だ。」

「笑顔で物凄い毒を吐くぞ。」

 

そういうと彼らは笑った。

いつか抱いたドロドロした感情が溶けていくのがわかる。

…あぁ、居心地がいいな。ここは

 

**********

 

それから月日は流れ、ボクは戦闘員を辞めた。

きっかけは体力切れで倒れた時だ。

戦えというのならいつでも戦うという条件のもと前線から外してもらい裏方へと回る。

船に図書室を見つけ、あまり使われていないようだったから掃除をして本を読んでいたらとても静かで心地よい時間を過ごすことができた。

それからそこを気に入り、鑑賞用の花や香り豊かな物を置いて憩いの場とした。

 

「イオンー…って、また植物増えてねぇかよい?ほとんど誰も使ってないからいいがお前の部屋みたいになってんぞ…」

「こんにちは、マルコ隊長。ここにくるのは珍しいですね。どうしたんですか?」

「あぁ、お前は滅多にここから出ないと思ってな。だから紹介するぜ?新しい俺らの家族だ」

 

そういうとハルタ隊長が赤ん坊とも言える子どもをボクの前に出す

 

「……女の子…」

 

ボクは忘れかけていた妹のことを思い出す。

昔の記憶が蘇り目を伏せた。

 

「ニアって言うんだよ!可愛いでしょ?」

 

ハルタ隊長がそういうからチラッと横目で子どもを見る

よく見たら宝石のようだった。

銀色の髪に黄金と空色の瞳。雪のような白い肌…

 

「いあー!いえー!」

「ーーーーーっ!!!」

 

言葉ではなんて言っているかわからない。

けど、ボクには確かに"彼女の声"が聞こえた

 

「じゃあ他の人にも紹介してくるね」

 

そう言って彼らは去っていった。

脈が早くなり顔が熱くなるのがわかる。

ポトリと水滴が手の甲に落ちる。…汗かと思ったが違った。

あぁ、涙だ。…ボクは…嬉しかったんだ。

あんな、まだ生まれて間もないような子どもが…ボクを"兄"として見てくれたことが…

 

『ニアっていいます!お兄さん、綺麗ですね!』

 

彼女の"心"はそう言っていた。

…けど、勘違いだったら?

そう思うと怖かった。だからボクはしばらく図書室から出なかった

ある日彼女は大怪我をしたらしい。

一命を取り留め奇跡の生還を遂げると怪我が治るまでに言葉を覚えるんだとか。

だからボクにも協力してほしいとイゾウ隊長に言われた。

…けど、妹と仲良くできるかな?

あの子はあいつじゃないってわかってるけど…"妹"という存在はボクにとって恐怖でしかない

考え事をしていると図書室のドアが開いた。扉の向こうには彼女がいた

 

「あれ?ひと、いる。」

「あぁ、あいつはイオンって言うんだ。かなり博識だから色んなこと知ってるんだぜ?」

 

カルガンとあの時の少女が一緒に図書室にきた。

…あの子…大きくなったね

 

「…イオンにぃちゃ?……ふふっ」

「どうした?ニア」

 

彼女はボクを見ると可愛らしく笑う。

カルガンがそれを見て不思議そうな顔を浮かべた。

 

「おにいちゃん、きれい!!」

 

屈託のない笑顔でボクにそう言い放った

 

『ニアっていいます!お兄さん、綺麗ですね!』

 

あの時聞いた声に間違いはなかった

この子が……ボクの"妹"…

 

「ふふっ…ふふふっ!おいで、ニア。ボクとお勉強しようか」

 

ボクがそういうと彼女は花も綻ぶような笑顔をボクに向けた

 

「!!する!!にぃちゃ!おしえる!」

「教え()。だよ?」

「おしえ、て!」

「そうそう。言葉の勉強もしようか」

「うん!」

 

…ニアが来てすごく楽しくなった。

ボクの…ボク達の可愛い可愛い大切な【妹】

白ひげ海賊団(ここ)がボクの居場所

そして、ボクの()

ニアを膝の上に座らせ本を読むと興味深々というように一生懸命聞いてくれる。

そんな姿に頬が緩む

これが本当の…()()なのかな。

 

 

出会ってくれてありがとう…。

よろしくね、My sister。

 

**********

 

……ボクの話はこんな所かな?

楽しめたかい?

え?血の繋がった方の妹はどうなったかって?

ふふっ……さぁ、どうなっただろうね?

みんなの想像にお任せするよ。

おっと、もうこんな時間だ…。

じゃあボクはこれで

 

Au revoir(またお会いしましょう)

 

*side end*

 




はい。
ミステリアスプチチートお兄様の過去編でした。

連休中、外に出れなくて暇だったので本編の方もちょこちょこと書き換えてました。
時間と興味があったら読んでいただけると幸いです。
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