家族の為ならどこまでも   作:実茶

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第7話 人間やればできるものだ

わたしが海賊に拾われてから数年が経ちました。大きな出来事もなく平和に暮らしようやく喋れるようになりました

とは言うものの言葉の発達が少し遅れてるのか単語を繋げる程度にしか喋れないけど

相変わらずみなさん過保護で武器はまだ持たせてもらったことないけどあんまり強い敵じゃなかったら陰からこっそり戦闘の光景を見せてくれるようにはなったのだ。

ふっ、恐ろしい。無理無理、あんなの怖すぎて一瞬で逃げ出す自信がある。刀向けられたら恐怖で身が竦んで動けないよ、普通。

こんな平和な毎日が続けばいいのになぁ

…これをフラグって言うんだろうな。あーあ。人生ってほんと、何が起こるかわからないなー

 

***********

 

時は数刻前まで遡る。

今日は隊長じゃなくて隊員と一緒にいた。

 

「カルにぃ、ひま?」

「ん?おお!暇だぜ?なんだ、遊びたいのか?」

 

隊長がいないときでも誰かが必ずがわたしのそばにいる。

隊員の中で1番一緒にいるのはカルガンとルーカスだ。

カルガンは茶髪に藍色の目をした比較的小柄な武闘派のお兄さんで、ルーカスは紺色の髪に黒色の目をした長身のイケメンなお兄さんだ。

 

「隊長達から今日は会議だから大人しくしとけって言われてんだろ?あんまちょろちょろさせると俺が怒られるから、そうだなぁ…トランプでもするか」

 

コクコクと首を縦に振るとカルガンがトランプを用意する。

ちょろちょろさせるとって、わたしそんなちょろちょろしないよ!

しばらくカルガンと遊んでいると聞き覚えのない声がロビーに響いた。

 

「なんだぁ?白ひげはこんな小せぇガキを船に乗せてんのか?」

「誰だっ…っ!!?なっ!!ルーカス!!?」

 

見知らぬ大男に襟を掴まれ引き摺られている血塗れのルーカス。

彼は気を失っているのかピクリとも動かずぐったりしている。

 

「ルカ…にぃ?」

「まて!ニア!!俺の後ろにいろ!!」

 

わたしが思わずルーカスに近づこうとするとカルガンに腕を引っ張られ下がらされる

 

「はーっはっは、ガキ!いいか?海賊ってのは弱肉強食…。殺し、殺され、そのスリルを味わうものさ!……ん?ガキ……ちょっと顔見せてみろ」

 

大男はルーカスを引き摺ったままわたしの方に歩いてくるが、恐怖で身が竦み動けなかった。

 

「ニアに近づくな!!」

「テメェにようはねぇんだよ!どきやがれ!」

「ぐあっ!」

 

カルガンがわたしの前に立ち刀を構えるが大男が平手を飛ばすと彼は防げずに壁まで飛ばされる。

 

「カルに………っ!!いたいっ!」

 

カルガンに意識を向けると腕を掴まれ、引き寄せられる

 

「銀髪にオッドアイ、か…。珍しい容姿してんじゃねぇか。気が変わった。ガキ、お前を試してやる」

 

試すって何?

そんなことよりもはやくルーカスを離してよ!

なんでこんなに怒りが湧くの!?

怖くて怖くて…逃げたしたいのに、ルーカスととカルガンを置いて1人で逃げることができない

わたしも馬鹿になったもんだよ、ほんと

 

「ほぉ…。怖気付かねェんだな。気に入ったぜ、おチビちゃん?」

 

大男がニヤリと笑うと仲間から剣を借りわたしの前に放った。

 

「剣を取れ。俺とタイマン張ってくれや」

「何言ってんだ、てめぇ!!ニアは剣を持ったことも使ったこともましてや人を斬ったことも無いんだぞ?!持たせたところで使えるわけないだろ!何をさせるつもりだ!!」

 

カルガンが体制を整え必死に止めようと喰らいつく。

 

「外野は黙ってやがれ。…おチビちゃん、お前にチャンスをやる。5手、お前に与えてやるからそれ以内に俺を剣で斬ってみろ。なーに、掠っただけでも当たったことにしてやるよ。その間俺はなんの反撃もしねぇ。これまでにないハンデだろ?お前が俺に剣を当てれたらこれ以上は荒らさずに消えてやる。」

 

「ルカにぃ…はなす」

「ルカ……?あぁ、この兄ちゃんのことか?いいぜ。お前が俺に剣を当てれたら解放してやるよ」

 

つまりわたしが勝てばルーカスは解放されるということ。

なら、やってやろうじゃないか。地面に放りなげられた刀を拾い鞘から抜く。剣と鞘を構え、ビスタさんの真似をする。いわゆる二刀流もどき

 

「ん?お前、二刀流なのか?ならもう一本貸すぜ」

 

なんか、勘違いしてくれた。子どもだからって油断してるんだろう。二刀流の方が成功率は上がる。危険だけど

渡された2本目の刀も鞘から抜き、鞘を1つ口に咥える。

鞘を持つのは作戦があるからだ

 

「なんだ?鞘がそんなに大事か?…おもしれぇ!きてみろ、おチビちゃん!」

「だめだ!よせ、ニア!!」

 

カルガンが止めようとこっちにくるが敵の仲間に背中を斬られ止められた

 

「邪魔しないでもらおう!」

「しまっ!!」

「ーーーっ!(カルにぃ!!)」

 

鞘を咥えているから声が出せない。

やらなきゃ…わたしが、こいつらを倒さなきゃ!!

ーーードクンッ、ドクンッ!

鼓動が早くなるのがわかる。心臓がうるさい。

落ち着け、焦ったら負けだ。

思い出せ……今まで教えてもらってきたこと

 

「ニ…ア。よせ、、にげ…ろ」

 

ぐったりしていたルーカスが意識を取り戻した

 

「(ルカにぃ。いま、たすける)」

 

そう思うと、わたしは駆け出した。

力の限り地面を蹴って飛び上がり左手の剣で左上から右下に振り下ろす

それを大男は後ろに引いて避けた。

…そんなの想定済みだ。右手の剣を突き刺す

が、大男は体を右に傾けて避けた

 

「なかなかいい動きするじゃねぇか!」

 

突きが躱された勢いで大男の背後に回ったわたしは体を反転させながら地面に着地する。その時に咥えていた鞘をそっと大男の足元に転がした。相手は油断しているからこっちを見ていない為、気づいていない。

 

「っ!やぁっ!!」

 

着地して鞘を転がすまで0.1秒。すぐさま地面を蹴り背後から突きの攻撃を仕掛ける。

それを躱したとき大男は足元の鞘を踏み、体勢を崩して尻餅をついた。

 

「ってぇ!!」

「(しめた!)」

 

また体を反転させ、すかさず刀を振るったとき大男はニヤリと笑いルーカスを盾にした。

 

「ーーーーっ!!!」

 

とっさに反対の刀の柄を動いている方の手首に当てる

となるともちろん体が開いてしまう為ガラ空きになる。

…それを人は"隙"という。

 

「くくくっ……。いい子だ、おチビちゃん。」

 

ズサッ!!!

大男は自分の腰に差していた刀でわたしの腹部を貫いた。

 

「「ニアーーーーッッ!!!」」

 

カルガンとルーカスが同時に叫ぶ。

ーーーーーっ!!!

痛い、痛い痛い痛いっ!!

なんだこれ、ちくしょう!!痛い!!

 

「気が変わった。ちょっと一緒に来てもらおうか」

 

カラン…。

全身が脱力し右手に持っていた方の刀を地面に落とした

 

「なんの騒ぎだ………………ニア?!ど、どういう状況だよい!これ!!」

 

…あれ?マルコさんの声が聞こえる…。気のせいかな?だって隊長達はいま会議のはず…。あぁ、意識が飛びそう

でも、まだ気絶するわけにはいかない

 

「くくくくっ…遅かったなぁ。まぁ、お前たち隊長がいなかったおかげでここまで入り込めたんだけどな。さておチビちゃん、もう一回顔を見せてくれ。綺麗なオッドアイの目を」

 

今わたしは串刺しにされてる状態だ。

大男は刀を引き寄せわたしを自分に近づける。

…この距離ならルーカスにも手が届く。

わたしは精一杯うつむき顔を見せないようにした。

大男がそれを見てルーカスの襟から手を離しわたしの顔を持ち上げようと顎に手をかけた

 

「(いまだっ!!)」

 

わたしは意識を覚醒させ、ルーカスの襟やしを掴み後ろに引いた。

彼は突然の動きについて行けず自分の足にひっかかり尻餅をつく。

その時、 ガチャン!と、何かが落ちた音がしたが気にしている余裕は無かった。

大男がわたしの突然の行動に驚いている

 

「5てめ!」

 

そう言って左手に持っていた刀を左上から右下に振り下ろした。

 

ズサァァァッ!!!

その刀は大男の胸を切り裂いた

ーーーやった!

 

ドサッ!

 

「う゛ぁっ!!」

「「「「ニアッ!!!」」」

 

大男を斬り、彼は剣の柄から手を離した。

そのせいでわたしの体は無抵抗に地面に落ち、打ち付けられた

くそっ、痛いじゃないかこのやろう、呪ってやるー!

 

「ニア!大丈夫か?!」

 

ルーカスが体を引きずってこっちにくるがすぐに弾き飛ばされた。

大男がまだ倒れていなかったのだ。

近づいてきたルーカスを張り倒し、遠退きかけたわたしの意識を今の痛みを数倍上回る苦しみが引き戻した

大男はわたしの腹部に刺さった刀を抜き、わたしの首を地面に押さえつけたのだ。

 

「っはっ!!はぁっ!!」

 

苦しい、痛い!呼吸ができないっ!

だれかっ…たすけて!!

 

「このガキ…殺してやる!!」

 

苦しみに悶え、手足をばたつかせていると右手になにか硬いものが触れた。これは…触感でしかないけどわかる。銃だ。

多分さっきの音だろう。ルーカスが落としたものだと思う。

わたしを冷静にさせるには十分だった。

周りの音は聞こえない。なにか騒いでるが意識を向ける余裕が無かった。

触感だけで形を把握し、安全レバーを引いた。

 

「しねぇえぇぇえ!!!」

「(これならっ!!)」

 

パァン!パン!パン!パン!

 

わたしを上から押さえつけ、刀を突き刺そうとしてきた大男の額と心臓部に2発ずつ打ち込んだ

いつか教えてもらった撃ち方だ。致死率の高い撃ち方。

手加減してる余裕なんてない、殺さなきゃ殺される!

わたしの頭にはそれしかなかった。

次の瞬間大男の力が抜けるのがわかった。体重がグラリと前へ傾く

あ、これ潰されるやつ。

間抜けな事を考えると無抵抗に体が動き温もりに包まれる。

ルーカスがわたしの腕を引き、抱え込むようにして抱きしめていた

 

ドサッ

 

大男が倒れた。

危なっ。あそこにいたら完全に窒息死してたわ。斬首じゃなくて窒息だ窒息。

…どっちも苦しいじゃないか、ばかやろう

 

「船長!!!」

「このガキっ!よくも!」

 

周りの敵たちが一斉に襲いかかってくるがそれは騒ぎを聞いて駆けつけた隊長たちの手によって一瞬で鎮圧された。

 

「っっっニア!!無事かっ!?」

 

今度は聞き覚えのある声が駆け寄ってくる。意識は朦朧としていて視界がぼやけてきたけど、声の主を知りたかった。

 

「ニア、ニアッ!!」

 

わたしを抱いているルーカスも必死に名前を呼ぶ。

あぁ、ルーカスもボロボロじゃん。

 

「ルカ…にぃ。ケガ…。しんじゃ、や」

 

治って。ルーカスの痛みをどうか取り除いてください

そう強く念じたのも束の間。わたしの意識は限界でゆっくりと闇に堕ちていった

 

***********

 

-ルーカスサイド-

 

甲板で見張りをしていたら他の海賊が乗り込んできた。

 

「はっはっは!なんだぁ?隊長たちは今いねぇのか。ラッキーだぜ!」

 

こいつ…見覚えがある。確か手配書があったよな。

 

「ブレイク船長!白ひげなんて恐るる足りねぇです!やっちまいましょう!」

 

ブレイク?ブレイク…ブレイクってまさかっ!!

 

「3億3000万ベリー、"破壊王"ブレイクか!」

「俺を知ってんのか。光栄だな。さぁて……殺すか」

 

俺はそいつにあっさり負け、しばらく気を失っていた。

意識を取り戻すとニアがそいつと戦おうとしていた。よせ、ニア…

破壊王がいくら油断してるからって言ってお前の敵う相手じゃない!

それでもニアは背を向けなかった。

逃げてくれ…頼むっ!!

そんな俺の心中が伝わるはずもなくニアは破壊王が出した条件を飲み戦い始めた。

はっきり言って俺は感嘆した。戦闘は初めてで刀を扱う事だって今までなかったはず。なのに目の前の子どもは自分の身長より長い剣を二本、軽々と振り回してる

 

ザクッ!

 

ニアが4手目を振り下ろした時、破壊王が俺を盾に使いそれを見たニアは振り下ろしていた方と反対の剣の柄を手首に当て、攻撃をそらした

それを見た破壊王はニヤリとわらい約束を違え、ニアを刺した

 

「「ニアーーーーッッ!!」」

 

カルガンと叫び声が被る。俺らの悲鳴にも近い叫びを聞いて人が集まってきた。その中には隊長たちもちらほらいて安心した時、俺の体が後ろに引かれた。ニアが俺の安全を確保しようと襟やしを掴み引っ張ったようだ。だが突然の動きについて行けず受け身を取れずに尻餅をつく。

驚いてる破壊王の隙をつき、ニアは破壊王を斬った。

串刺しにされてるニアは無抵抗で地面に叩きつけられ苦しそうな声を上げる。俺は体を引きずってニアに近づこうとするが破壊王の手によって弾き飛ばされた。

こいつっ…まだ動けたのか!大人しくやられとけよ!

 

「しねぇえぇぇえ!!!」

 

破壊王が逆上し、ニアを押さえつけて剣を突き刺そうとした時…

耳を刺すような発砲音が響き渡った。

ニアが破壊王の頭と胸を撃ったのだ。

コ…コロラド撃ち?!

しかもあれは…俺の銃?!

見覚えのある銃を破壊王に向けているのを見て俺は無意識に銃を入れてるホルダーを触った。そこにはあるはずのものが無い。

…間違いない、俺の銃だ。

さっき尻餅をついた時に落としたのか…。

っ!!そんな事より!あの状況だと倒れる破壊王にニアが潰されてしまう!!

俺は必死に手を伸ばしニアの腕を掴むと力一杯抱き寄せ、守るように抱きしめた。

 

ドサッ…

 

破壊王が倒れ、周囲の敵の仲間たちが騒ぎ出すがその場にいた他のクルーや隊長たちによりすぐに騒動は収まった。

 

「ルカ…にぃ。ケガ…、しんじゃ、や」

 

俺に甘えるように頭を擦り付けてくるニア。

普段なら可愛いと思うところだが、この状況だとどうしても笑えない。

ガクッとニアの力が唐突に抜け、俺は慌ててニアの体を支える…と

 

「「「え?」」」

 

その場にいた全員が信じられない光景を見たかのように驚きの声をあげた。

それもそうだ。満身創痍だった俺の怪我が嘘だったかのように消えたのだから

 

「…何が…おきた?」

 

誰かがみんなの気持ちを代弁するかのように呟く。静寂が訪れた空間で1番最初に我に帰ったのは長男のマルコ隊長だった。

 

「考えるのは後だよい!まずニアの手当てを!!ハルタ!船医とナースを呼んでくれよい!ビスタ!ここの片付けを頼む!サッチ!ニアを運べ!」

 

「「「わかった!!」」」

 

さすが隊長、行動が早い。

俺は素直にニアをサッチ隊長に渡すと立ち上がって自分の銃を拾い見つめる

…守られた。戦いの'た'の字も知らないような子どもに身を挺して守られた。

 

「ばかやろう…」

 

銃を握りしめて呟く。俺たちなんて置いてさっさと逃げればよかったものを…

自分の弱さが不甲斐なくて悔しい。なのにニアが俺たちの為に戦ってくれたのが嬉しい。

 

「コロラド撃ちはな、だいぶ前だが俺が教えた」

 

ふと見るとイゾウ隊長が俺の近くにいた。

イゾウ隊長もさっきの一部始終を見てたみたいだ。二丁銃を両手に持っているからきっと破壊王を撃つ準備をしていたのだろう。

 

「当時はまだ言葉も上手く喋れないガキに教えたところで覚えてないだろうと思ってたがニアがちゃんと話しを聞いてくれるから嬉しくて色々と戦い方についてみんなで教えていたんだ。あいつは、それらをちゃんと覚えていた。だから今日、戦えたんだ」

 

隊長たちに教え込まれたことを生かしたって事か。

 

「"分かる"と"できる"は違う。なのに、初めての実戦にも関わらずあいつはやってのけた。凄いやつだな。俺たちの妹は」

 

「イゾウ隊長…。俺…」

 

「悔しがってる暇があるなら鍛えたらどうだ?で、ニアが起きたら説教でもなんでもすればいい。お前だって言いたいことが山ほどあるだろ?」

 

「ーーーっ!!はいっ!!」

 

そうだ。ニアはまだ死んで無い。

絶対に戻ってこい、バカニア!

起きなかったら許さねぇからな!!

 

-サイドエンド-




文才が欲しいです笑
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