その日、カカシは演習場の近くの慰霊碑の前にいた。個人の墓標に祈りやら弱音事やら、あるいはその前日にあった四方山話をするのが習慣となって久しい。だから何故かと問われるとそのような気分だったからとしか返せなかった。いや、気分で英霊達に祈るというのは聞こえが悪すぎる。理由をつけるとするのならば、中忍試験が始まりつつある里は余りに賑やかで、亡くなった友や先輩方が誰にも想われないでいるのが酷く虚しくなってしまったからだろう。そういうことにした。
黙していると、雑多な周囲の気配が良く感じ取れる。それすら律してこそ悟りの道が開けると聞くが、あいにくカカシはまだそこまでの域に達してはいなかった。
「やぁ。カカシ君、邪魔をしてしまったかな?」
分かっていた通り、客人が背後より声をかけてきた。かがんでいた腰を持ち上げて振り返る。
「……これはこれは藍染上忍」
眼鏡をかけた男は、柄杓の入った手桶と菊の花束を持ってカカシに近づいてきた。邪気を感じさせない笑顔に、憎まれ口の一つは叩こうとした口が塞がった。カカシ達の年代のほとんどは藍染から上忍としての心構えや基本の戦闘技能の教導を受けて、今や立派な上忍として活躍できている面もある。忍の戦闘力としては逆転したが、恩を受けてきた先人に対して軽々しい発言は控えておくべきだろう。
「あなたも慰霊碑にですか?」
「うん。尤も僕は君ほど熱心ではないけどね。それでも年に数回はこうしてここに来るんだ」
カカシ達のような遊撃隊ではなく、真正面から敵の忍軍を迎え撃った本隊に藍染は配属されていた。失った戦友の数はカカシよりも多い。数の大小が想いの大小に勝るとは限らないが、積み重ねてきた経験の分だけ死が近づいてきて、上忍は死に対する忌避感が麻痺しつつある。それを忘れないためにカカシも日課を欠かさなくなったのだが、最近は死に対して向き合う儀式のような意味合いが強くなった。まるでいつ死を迎えても悔いのないようにする為の遺書を書く代替行為になってしまっている感はカカシにも否めなった。
「悩んでいるのかい?」
「いや別にそんなことは――」
藍染は慰霊碑にゆっくりと水をかけて清掃し始めた。枯れた花を取り除いて新しい花に取り換える。
「別にこの行為自体に意味はないんだよ」
「えっ?」
「こうしていることさ」
言いつつも藍染の手は止まらない。手つきはとても丁寧なもので、先程の言動とは矛盾しているように感じた。
「人が生きてきた最後の標。僕たちがそれを清掃するのはこうあって欲しいと願うからさ。自分が死んだ後も誰かの記憶に留まり続けたいとね」
「それは――極論に過ぎるのでは?」
「そうだね。でも同時にこうも思うのだよ。それは遺す側の意見であって僕たち今を生きる人間にとってはそうではないのだとも」
黙って目を閉じた。カカシはなんだか無性にそうしたくなったのだ。
「墓標の前で手を合わせる。そして故人を想う。それは遺された者が死を受け入れる儀式だ」
「……何となくわかる気がします」
「我々は死に向かって生き続けている。けどそれは決して生が無機質というわけではないんだよ」
「…………」
「君もまだ若い。あまり考えすぎないほうがいい」
いつの間にか慰霊碑は綺麗に磨き上げられ、花は供えられていた。線香からはゆらゆらと煙が上がっている。カカシは胸に溜まった何かが軽くなった気がして、息をフーーッと長く吐く。
「今日は任務はあるのかい?」
「いや。今日は非番です。うちの下忍どもは中忍試験で久しぶりの休みです」
「たまにはお茶でもどうかな」
「……ナンパみたいですね。でも付き合いますよ」
甘味処で甘いものが苦手なカカシは磯辺焼きを、藍染の前にはぜんざいが置かれた。男二人が並んで座るというのはなんともこう、座り心地が悪い。それでも熱い茶を啜りながらポツリポツリと口が滑りだした。
「どうだね最近は?」
「まぁぼちぼちです」
日々の任務の進捗。雑多な出来事。そして話はカカシの担当する下忍達に移る。
「君たちの班の噂は聞いているよ。随分ユニークな構成じゃないか」
「ええ。意外性ナンバー1のうずまきナルト。うちは一族の生き残りうちはサスケ。くノ一成績トップの春野サクラ。どれも面白い奴らですよ」
すくなくとも下忍の中では一番注目されている班であるのは間違いなかった。九尾を封印されているナルトはともかく、やはりうちはの生き残りがいるという理由が大きい。かつて警邏部隊として里内の忍同士の争いすら止めて捕縛する実力。大戦では一族のみに覚醒する特殊な瞳術、『写輪眼』で多くの功績を残し他里では一対一の戦いでは敵わない為、逃亡が推奨されるほど忍の世界で名を轟かせている。それこそ千手の名が霞むほどだ。カカシの片目にも同じ物が眠っている。
「カカシ君。担当上忍の君なら十分承知の上だと思うが、それでもうるさい先輩の小言として一つ忠告させてもらうよ」
改まった口調で藍染はカカシに向き直った。
「神隠しに遭わないように、自身の班員はしっかり見守ってくれよ」
「ええ。サスケの奴は俺の方だけでなく、暗部も影で監視しています。勿論ナルトも」
「……もう一人いるだろう?」
「サクラ……ですか? 一応家までは送っていますし、集団行動をするよう言っていますが」
「繰り返し言おう。班員はしっかり見守ってくれ」
ここまで念押しされる理由がカカシには分からなかった。サスケやナルトならその秘められし潜在能力から狙う者は後を絶たない。サクラに関しても他の担当上忍以上に注意深く見守っている自覚はあるのだが――理由があるとするなら
「サクラを人質にサスケやナルトが狙われかねない――といったところですか?」
「その可能性も否めないが、そうじゃないんだカカシ君」
あの時のように、カカシがまだ余りに若く忍の掟を重視し過ぎて周囲の和を乱していた時に宥めた口調で藍染は語る。ゆっくり、耳の奥に響く優しい声音で。
「彼女は特別な才能を持っている。それこそサスケ君やナルト君のようにね」
チャクラコントロール? 幻術の才能? 類まれなる頭脳? カカシに思いつくのはそのくらいだった。どれも飛びぬけて突出しているわけではない。しかしそれは磨き上げられる前の話で、宝石の原石としての才能は確かにある。それでも現状ではサスケとナルトに大きく実力に劣っているのは事実だ。
藍染がわざわざ注意するほどまでの何かが彼女に眠っているというのだろうか。
「それは――いや、止めておきましょう」
思わず開きかけた口を閉ざす。担当上忍であるカカシが他ならぬ自分の担当する班員の才能を教えて欲しいと問いかけるのは羞恥の念が強すぎる。おそらくそれでよかったのだろう。藍染も笑みを浮かべて茶を啜った。体の奥に届いてくるような陽気に気も安らぐ。こうしたゆっくりとした時間を過ごす機会が久しくなかったカカシにとって、流れる空気も心地よいものだった。
「独り身の僕にこう言う資格はないのは分かっているんだけどね。君も好い人を見つけたほうがいい」
手の中の茶碗が揺らいだ。
「……まだそんなことを考えるほど余裕はないですね。手の離せない部下もいますし」
言い訳じみた言葉と一緒に茶を飲みこんだ。気のせいか酷く苦い。
「色々と背負えるのは若い時だけさ。僕のように無駄に年をとってしまえば背負えるものも背負えなくなる。……あんまり言うと説教臭くなってしまうかな?」
「藍染上忍はまだまだお若いでしょ。相手ならいくらでもいそうなもんですが……」
「そんなことはないさ。いい歳したおじさんだよ、僕は」
千手の血筋がそうさせるのか。綱手も藍染も見た目から年齢が判断し辛い。肌艶も良くもう40代近いとは到底カカシには思えなかった。とはいえ、いつ命を失ってもおかしくない上に血筋が重要な忍は十代から結婚し、子供を持つ者も少なくない。木の葉では上忍クラスの忍の出産手当は厚く、任務の間も無料で託児所で子供を預かってくれる等の福利厚生がしっかりしている。千手の血筋が途絶えつつある現状、好環境の中藍染があえて相手を見つけて子を
腹立たしいほど天気の良い午後のことだった。
時を同じくして火影の執務室。ヒルゼンは過去類をみないほど上機嫌だった。
「久しぶりじゃのう。よう戻った」
「火影からのお呼びとあってはのォ」
「私はこいつに無理やり連れて来られただけだ。そもそも惣右介の昇進と聞かなければ里には帰っていなかった」
理由はどうであれ、教え子の二人と顔を合わせて話が出来る。火影ではなく、猿飛ヒルゼンとしての付き合いが出来る相手は長きに渡る火影の役職人生の中で、もう数える程度しかいなくなってしまった。これだけ火影を続けていればしようのない話ではあるが、可愛い教え子との触れ合いは肩にのしかかっていた責任を一時でも忘れることができる貴重な機会だ。それも三忍として各国でも有名な教え子というのだから、二人も同時に会えるのは何年ぶりの話か思い出せないほどだった。
「おや? 大蛇丸はどこじゃ?」
「あー大蛇丸か、奴は――」
「――大蛇丸なら少し遅れて里に帰るとの連絡があった。なぁ綱手よ」
綱手の視線が言葉を遮った自来也に向く。そう通せと言わんばかりに顎をクイとやる自来也の素振りに渋々綱手も『まぁな』とぼやいた。
「ほっほ。いつの間にか少しは仲良くなったようで安心したぞ」
好々爺といった表情のヒルゼン。
そんなヒルゼンも四代目を救えなかった負い目から一時期塞ぎこんでいたが、見かねて声をかけたのはよりにもよって一番あり得なさそうなダンゾウだった。どれ程今の己が醜く、見苦しいかを淡々と説明され、そのまま命を懸けた手合わせが始まった。お互いさるもの。猿魔を変化させた金剛如意棒とダンゾウの風遁を纏ったチャクラ刀がぶつかり合って、近くの山が禿山になるほどの被害が出た。
だが互いの得物を撃ちあってゆく内に、ヒルゼンにも伝わって来るものがあった。怒り、失意、苦悩、憐憫。それはダンゾウにも同様に。
互いが何故自身の考えを理解できないのか? そんなエゴのぶつかり合いで、真の意味での理解など出来るはずもないのに。両者が自らの意見を曲げるには長く生き過ぎた。結局力のみが忍を納得させるに値する。それはそれは忍らしい話だった。
「もう……
「よいのか? ワシを殺して火影になる絶好の機会じゃぞ?」
息が荒い。互いに急所こそ避けてはいるものの出血は酷く、加齢による体力の消耗も激しかった。次の瞬間には出血で意識が失われてもおかしくないほどだったが、競い合うライバルと激戦を繰り広げた後で闘気は衰えず、むしろ覚醒していた。普段争いを好まないヒルゼンですら攻撃的な、若かりし頃の気勢を取り戻して挑発する。
「今回は残念ながらその頃合いではなかったようだ」
「その次の機会はもはや訪れんぞダンゾウよ」
降伏の体をとったダンゾウ相手に金剛如意棒を油断なく構える。明確な反逆行為には死をもって償うしかない。例え木の葉の権力者であるダンゾウであろうとも、いやダンゾウだからこそ許されない行いというものがある。
「見てみろヒルゼン。わしらの体を……」
「……互いに歳をとったのう」
「相変わらず察しの悪い奴め。打撲、傷等の負傷率はほぼ互角だ。私が本気でお前を殺そうとしたのに比べて、お前は私を生かして捕えようとしたにも関わらずだ」
「…………」
「さっさと殺せ。木の葉の不穏分子がまだここに燻っている」
ダンゾウの眼に抵抗の意志はなかった。そこにあったのは若かりし頃のダンゾウの姿。二代目と共に雲隠れの手練れに追われた際、ダンゾウに先んじて囮を買って出たのはヒルゼンだった。あの時心中、ヒルゼンは苦悩の末の判断だった。里には妻と子を残し血気盛んな年代の頃。腕には自信があったが、だからこそ死にたくないという気持ちも同じくらいに強く、初代や二代目には遠く及ばない実力だからこそ自身の伸びしろを他の誰よりも期待していた故にだ。決心を一押ししたのは里に残した子の安らかな寝顔。木の葉という愛すべき里に住まう愛すべき人たちを守る一助になるのなら、より里に貢献できる二代目を生かすために自らが、と考えた。
ダンゾウの姿がその時の自分のイメージとダブってしまった。今、正に命を絶とうとしている愚か者が、あの時の苦悩を抱え込んで消化しきれないままここにいるのだ。ここまで一番の理解者を放っておいたのかと、火影の座にかまけていた己に嫌気がさした。
「……不穏分子ならばその対処方法を一番詳しく知っておるのが道理じゃろう? 蛇の道は蛇と言うではないか。往生して責から逃げようとしても、そうはさせんぞ」
「いつかその甘さに足を掬われることになりかねんぞ」
「歳をとれば誰もが足腰を悪くするものだ。――だが最近良い杖を見つけての」
「?」
「ごつごつと節ばって手には馴染まんが、ワシが全体重をかけても曲がりはしない丈夫なやつだ。それがあれば暗い夜道でも安心して進める。
「……」
それ以来、ヒルゼンの統治は以前のような甘さが少なくなり、全盛期には遠く及ばぬものの、常在戦場の心得で健康な肉体を維持している。自来也の眼でも、服の上から筋肉の存在を感ずることが出来るほどにはヒルゼンの健勝が読み取れた。しばらく里から離れていた身としては、高齢の師の健康が気がかりだったこともあり、一安心だった。
「大蛇丸がいないのは残念じゃが話をしよう。お主らに隠し事をする必要もない。話はワシの後継ぎのことじゃ――っと待たんかっ! 綱手!」
直ぐに立ち上がり退席しようとした綱手に厳しい叱責が飛ぶ。
「私は前もって言ったはずだぞ! 無理やりここに連れて来られて、よりにもよって火影の話か? 断るっ!」
「……綱手よ。まず話を聞け。それからじゃ」
「下らないな」
「――よいな綱手よ」
声音は落ち着いてながらもさすが火影。有無を言わさぬ圧力があった。綱手もしばらくの沈黙の後に、席についた。ピリピリとした空気に居心地悪そうに自来也は衿をはためかせた。少しばかり里に戻って来たことを後悔し始めた自来也の前でヒルゼンが口を開く。
「ワシはもう長くない。あと二年もせん内にまともに動けなくなるだろう」
「今日見たところまだまだ現役に見えたが」
「あまり茶化すな自来也よ。自分の体のことは自分が一番分かっておる」
「フンッ。それで本題は?」
「……次の火影についてじゃがワシはお前たち三忍が適任だと思っておる。これは師の贔屓目抜きで、上層部の総意じゃ」
動き出そうと身構える綱手の腕を自来也が掴んだ。まだ話は始まったばかりだ。ヒルゼンも話を続ける。
「お前たちが火影の座に乗り気でないのも分かっておる。後で大蛇丸にも話を通すが、おそらく良い返事は聞けぬじゃろう」
かつて四代目を選出する際にも大蛇丸や自来也も火影の他薦を断っている。大蛇丸の事情は知らないが、自来也にはその理由があった。
かつて仙術を学んだ“妙木山”。そこで若かりし頃大ガマ仙人からある予言を受けたのだ。自来也の弟子が忍の世界に破滅か、あるいは平穏をもたらすことになるだろうと。どちらを選ぶことになるかは自来也の教え次第。荒唐無稽な話だが大ガマ仙人の予言は今まで外れたことはない。二度の大戦に触れて、憎しみの連鎖が蔓延る忍の世界を変えたいという思いは自来也の中で無視できないほど強くなっている。
しかし、未だ自来也は条件に値する弟子を見つけていない。否、正確には二人いたのだが弟子の一人である四代目は九尾の封印の際に亡くなり、もう一人も既に戦闘で亡くなったと聞いている。火影自体に憧れを抱いていないと言えば嘘になるが、それ以上に自来也は忍の世に平穏を齎すことこそが自身に定められた運命であり役目だと確信していた。
火影の役目と弟子の育成はとても両立できるとは思えないし、どちらもないがしろにはできない。
「そこで代わりと言ってはなんだが火影候補を見極めて、火影になった暁には共に支えてやってほしい。老い先短い爺の最後のお願いじゃ……」
弱々しい態度でヒルゼンに言われると三忍ですら断る事は難しかった。ダンゾウの影響を受けて腹芸が上手くなったヒルゼンは教え子ですら違和感を感じさせない。
「あ~、候補はいるんだろ? ほら……カカシなんてどうだ? あいつなら強いし、交渉にも長けてそうでいいんじゃないか、四代目の弟子だし。奴ならわざわざ支えるまでもないぐらい立派な火影に――」
「――四代目の時とは時代が違う。間諜による情報の独占こそが木の葉を主要国家に押し上げている所以の一つである今、お前たちのような世界を回り海千山千のつわものの補助なしにやっていけるほど甘くはないのじゃよ。それにカカシにも声をかけてみたが、三忍を前に自分では力不足と断られた。お主らが受けてくれればこんな心配はせずとも済むんじゃがのう」
目線を逸らした先で綱手は自来也と目が合った。互いに考えることは一緒らしい。
「中忍試験が終わるまでに火影か、相談役か決めておいてもらえると助かるの」
そう言い残すと、別件があるとヒルゼンは去っていった。
残された二人は冷めた茶を啜った。“逃げるか”どちらが言い出したかはハッキリと分からない程に心中はリンクしていた。面倒事の匂いがたまらない。幸い綱手に関しては久しぶりに藍染に会うという主目的も達成したことだ。大蛇丸のきな臭い動きも気にならないこともないが、それ以上に里に留まることで増える厄介事のほうが当人にとっては面倒極まりない。
「――言い忘れていたが、結界班に感知結界の暗号を変えておくよう通達しておいた。逃げても直ぐに分かるぞ。里の周囲は中忍試験をつつがなく進行できるよう警備はいつもの倍用意しておるからの」
それだけ言い残すと今度こそ扉を閉めてヒルゼンが出てゆく。十分に足音が遠ざかるのを確認して、それでも念のため自来也がチャクラで強化した視力で遠見をし確かにヒルゼンがいないのを判断してようやく人心地ついた。未だ心臓の鼓動が耳から響いている気さえしていた。
「食えない爺さんだ」
「まったくだ。猿だ猿だと先代の火影に言われてきたらしいが、ありゃ狸の間違いだな」
口から出るのは皮肉だが、両者の顔に浮かぶのは緩やかな笑み。あれほど抵抗していた面倒な課題も不思議と今の綱手には断る気が浮かばなかった。火影就任に関しては断じて固辞するつもりだが、少しぐらい力を貸してやるのもやぶさかではない。老い先短い師の最後の頼みなのだから。
思惑渦巻く木の葉情勢。中忍試験が今始まろうとしていた。