~とある英霊の独白~   作:萃夢想天

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あまりに行き詰まり、SSを書く息抜きの為にSSを書く。
なんだか業が深いなぁと思いつつも、FGOでQP周回を続ける
自分自身を振り返って「あ、同じか」と真理に至る私でした。

現在FGOの1.5部をクリアしていないマスターの皆様に警告します。
このお話は、亜種特異点「悪性隔絶魔境・新宿」の重大なネタバレが
書かれています。ご覧になる際は自己責任でお願い致します。


注意)このお話は筆者の別のFGO作品からの移植です。
これからはこちらの方でシリーズ化していく予定です。
ご迷惑をおかけします。





【英霊召喚】~とある数学教授の独白~

 

 

 

 

今日という日を、きっと私は忘れる事が出来ないだろう。

 

 

同様に、私という存在を根底から覆そうとした君のことも。

 

 

完敗だヨ、少女(少年)

 

 

私が、私達が、持てる総てを注ぎ込んで組み上げた「世界を用いた密室殺人」は失敗に終わった。

 

 

使えるものは何でも使った。

 

 

富も、名声も、権力も、人脈も、虚偽も、真実も、そして____________私自身すらも。

 

 

認めよう(・・・・)、カルデアのマスター。人理修復を成し遂げた、只の人間よ。

 

 

この【新宿のアーチャー】こと、【ジェームズ・モリアーティ】を此処まで追い詰められたのは。

 

 

君だけなのだと、ネ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうせ君にはバレてしまっているのだから、包み隠さず話そうじゃないか。

 

私という存在は、結局のところ『悪』以外の何者でもなく、最も『悪』に相応しい者だった。

いや、相応しいと表現するより的確な表現がある。私は、『悪である』事を誰かに願われたのだ。

 

御伽噺(フェアリーテイル)都市伝説(アーバンレジェンド)とは少し違うが、本質は然程変わらぬ近しい物から私は生み出された。

 

君、「勧善懲悪」って言葉を知ってるかネ? 分かりやすく言えば、「弱きを助け強きを挫く」で

お決まりのアレさ。誰しもが好み待ち焦がれる、『正義の味方が悪を討つ』王道ストーリーだヨ。

さて、ここで数学教授らしく問題を出そう。なに、そう警戒しなくてもいい。簡単な問いだから。

 

先程私が挙げた「勧善懲悪」のお話を進める時、必要になる登場人物は大きく分けると二種類。

物語(ストーリー)の主人公である正義の味方ともう一人。サァ、答えてみたまえ。

え? いや、馬鹿にしてるんじゃないとも。この場で君には、正しく認識してほしいだけなのサ。

 

フフ、その通り。答えは『正義の味方に倒されるべき悪』!

 

正義を成す為には悪が必要不可欠であり、この関係性は数学の方程式と同じように不変なのだヨ。

順序が仮に逆転したとしても、方程式の解は変わらない。正義の裏にこそ、悪は潜むのさフフフ。

 

何が言いたいのかって? これからが面白くなるってところなのに、急かすねぇ君は。

いやいや、私はあの憎き鹿討帽の安楽椅子野郎とは違うとも。望む時に解答を示そうじゃないか。

 

要するに私は単なる『悪』じゃなく『必要悪』という存在であれと、そう定められたのさ。

無論、この世界にだとも。今や数十億に膨れ上がった総人口を囲む世界に、指名されたって訳サ。

 

世界からの指定ってのはまぁ厄介でネ! 因果の逆転でも起こさない限り、何が起きようと世界の

筋書き通りに事が進行する。所謂『ご都合主義』と呼ばれる展開も、編集担当の世界の匙加減で

どうとでもなってしまう。私はその為に、『倒されるべき悪』であれと、世界から望まれた。

 

私を倒す正義の味方? 忌々しいあの男だヨ。パイプで紫煙燻らせてカッコつけてるつもりか⁉

知ってるんだからな私は! そのパイプの中身は煙草じゃなく、人様に言えないお薬だってネ!

生前の当時ならまだしも、今の時代でそんなもん公然と吸ってたら国家権力と優雅な午後の時間を

過ごす事になるような代物サ! 若々しい年齢で召喚されたくせしてあの野郎マジ許せネー‼

 

あぁ、話が逸れちゃったネ。ゴメンゴメン。

 

とにかく、私は確かに『悪』であったし、これからも私は『悪』として語り継がれていくだろう。

それについては気にしてない。だって、実際にあくどい犯罪計画を立案してやらせてたからネェ。

仮に世界の半分が空想上の出来事(フィクション)だと笑っても、残りの半分はそうもいかないのだヨ。

現実に「お話」として世界に刻まれてしまっている以上、それは世界にとっての『事実』なのサ。

 

世界が正義の味方を必要とし、正義の味方には倒すべき悪が不可欠。とすると、フフフ。

実に興味深い事が分かるんだ。それが何かは分かるかな? 今度は早めに正解発表といこう。

 

答えは___________世界は『正義』と『悪』の双方を望んでいる! という『真実』だヨ!

 

どちらか片方だけでは世界は成り立たず、立ち行かない。それこそが『世界』の方程式サ。

この方程式に気付いた時は腹が立ったものだ。なにせ、絶対に勝てない事の証明でもある。

この私が『倒されるべき悪』である以上は、決して『悪を倒す正義の味方』には勝てないのだと!

 

___________難し過ぎる? そ、そうかナ? そうかも………。

 

まぁどんなに言葉を繕おうとも、変わらない事実がある。私は『悪』、君は私を倒す『善』。

君が私を倒した時のように、相手が『悪』であるのであれば、君は阻む総てを倒すだろう。

絶望の渦中といってもいい状況の連続を生き延び、そして人理を修復せしめた君ならば、ネ。

 

だがもしも君が『別の正義』と相対する事になったのなら、その時は迷わず私を呼びたまえ。

決して曲がらず諦めない善である君を倒す可能性があるとすれば、それはより強大な『善』だ。

奪われたものを取り返そうとした君と同じように、奪われた者(・・・・・)奪い返しにくる(・・・・・・・)だろう。

 

『善』と『善』が戦っても、強大な方が勝ち残るという生存競争の縮図が出来上がるのみ。

そんなものは獣のルールだ。理知的に歴史を紡ぐ人間の辿るべき道筋とは掛け離れている。

だからこそ、そういう場合にこそ、私のような『世界から望まれた悪』が本領を発揮しよう。

 

正しい理想と意思を背負って立つ者を、実に『悪』らしく絡め取り、魔弾で幕を降ろそう。

 

フフフ、ハァーッハッハッハ‼ なぁーに、だぁーいじょーぶ! 心配する事は何も無いサ!

ちょっと驚かせてみただけだヨ、本気にしなくてもいい。そんな未来など、訪れないとも!

 

………そうサ、君が心配する事は何も無い。だって君には、この私がついているのだからネ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、君ならきっと大丈夫。

 

 

私は今まで何人もの人間を見て、知って、使って、操ってきた。

 

 

だから分かってしまうのさ。

 

 

君がこの先に待ち受ける未来で、絶望に膝を屈してしまう事も。

 

 

そして、そう。そして君ならば、私の知っている君ならば。

 

 

その絶望から何度だって立ち上がり、苦難の道を歩み続ける事も。

 

 

悪に対する素養が皆無な君の事だ、知る由もなく消えた世界を知って涙を流すだろう。

 

 

顔も名も知らぬ誰かが望むというだけで、『正義』と『悪』の双方を望む醜悪な世界の。

 

 

如何に残酷な可能性の先を歩んでいたのかを、いつか君は知る事になるのだろう。

 

 

でもネ、大丈夫だよ。

 

 

君は諦める事を知っていても、選択しようとしない。

 

 

相手を知ろうとする行為の罪深さを知っていても、無知である己の罪深さを許さない。

 

 

戦う事への恐怖から逃げ出したくても、失ってしまう事への恐怖に歯を食い縛り耐える。

 

 

そんな紛れもない『善』である君だからこそ、世界はあの隔絶された悪の魔境に誘った。

 

 

『倒されるべき悪』である私達を止めるべく、恐れを捨てられないまま立ちはだかった。

 

 

滅びゆく悪の都で君は何を見た? 何を知った? 何を学んだ? 何と、戦った?

 

 

絢爛の光に眼を焼かれ、ついに愛する者が愛した全てを奪った、創作戯曲の悪を処し。

 

 

栄枯盛衰の供物にされ、やがて己を失い他を映す虚栄と化した、都市伝説の悪を討ち。

 

 

発展という傲慢に貪られ、既に故郷も懐古も置き去りに駆けた、御伽噺の悪を止めて。

 

 

対なす正義の標的に定められ、個を捨ててもなお応報を望んだ、推理小説の悪を解き。

 

 

それら全ての『悪』を知り、あの隔絶魔境の謎を解き明かした唯一の人間である君は。

 

 

あらゆる逆境、艱難辛苦を乗り越えて突き進み、唯一無二の解答(未来)を導き出すだろう。

 

 

誇りを胸に、ちっぽけな若者よ。

 

 

君が望む未来を勝ち取る確率は極めて高い。

 

 

何故かって? そりゃあ勿論、君だからだよ(・・・・・・)

 

 

この【新宿のアーチャー】こと、【ジェームズ・モリアーティ】の犯罪を暴く事が出来たのは。

 

 

あの世界有数の名探偵、シャーロック・ホームズですら成し得なかった名推理を成した。

 

 

それだけで、私が君を仕えるべき主人(マスター)として仰ぐには、充分過ぎる理由になるのサ。

 

 

巧く私を使いこなしてくれることを祈るヨ、マイマスター。

 

 

私という『悪』を過程に『善』を成す、君にとっての最高の切札(ジョーカー)になってみせるからネ。

 

 

 

 






イケオジのアラフィフが悪い顔しながらぐだを褒める姿が書きたかった‼


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