東方魔剣術少年   作:mZu

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第116話

 狐仮面の身勝手な発言によって僕は一時的に休息を取る事にした。と言っても、それほど休めるかと言われるとそうでもない。目の前の人がどんな動きをするのかそれもよく分かっていない。あの歪な薙刀をどのように扱うのかそれは見ものではある。

 

「というわけでここからは私がお前らを倒そう」

 

「それはどうだろうな?」

 相手は槍を構えていた。黒色で塗られている僕の先には真っ直ぐな刀身がついている。装飾も何もないただの棒だが、刃はそうでもない。真っ直ぐなので両方とも刃として利用できるので突くのも薙ぎ払うのもどちらも出来る。その槍を構えている相手は左肩を見せながら半身になって立っていた。腰の辺りで固定されたようになっている槍は地面と並行。長さは六尺程度と間合いは一番ある。これを狐仮面がどのようにするかは本人にしか見えないところだろう。

 

「所詮は遊び、そう言うもんだろう?」

 狐仮面が聞くように話を続けるが、その時にはもう既に相手の間合いの中。驚いたように槍を振るう相手に狐仮面は薙刀の刃で軽く弾きながら低い体勢を崩す事なく、槍の下へと潜り込んで相手の懐へと入り込む。

 

 下から突き上げるその刃は首筋を掻き切る寸前のところで止められた。その間は数秒もないところだろうが、狐仮面は踵を返してツカツカと歩いていた。右肩に薙刀を背負いながら相手に背を向けるその行為はある意味での冒涜でしかなかった。

 

「これが遊びだと?月の民を馬鹿にするのも良い加減にしろ」

 

「地上人も時としてその牙を剥く。相手は見縊らない事だ」

 

「まぁ、良い。先程首を切らなかった事、後悔しても遅いぞ」

 

「楽しみにしている」

 かなり軽口な話し方で飄々としている狐仮面は顔を隠しているのもあって行動が読みづらかった。そして、相手の動きはよく見えるのだろうか相手からの突きを背後から回し蹴りで軽くいなしていた。微妙に風が吹いているのがその何よりの証拠なのだろう。

 

「さあ、来い。十回だ。それを超えたらお前の命はない」

 何かと怖い発言が目立つがそれはそれで別に構わないものだった。それこそ、狐仮面という人の性格が現れているような気はした。

 

 相手もその発言には身をたじろがせた。先程の件がある、その発言が冗談ではないことくらいは言わなくても伝わるものではある。相手はその槍を少しだけ角度を上げていた。それから一回目。

 

 突きを狐仮面の顔面に当てようとするが間合いの外側まで逃げられていたのか、当たるような素振りはなかった。とても可哀想ではある。僕には何ともならないし、狐仮面に任せるしかないのは言うまでもないが何も出来ないというのはここまで存在が小さくなるものとは思わなかった。

 

 二回目。

 

 避けられたところでもう一歩前に出て下へと落とした。地面には触れない程度で振り下ろしていたがそれでも狐仮面に掠るような事もなかった。それでもその間は殆どない。わざと、掠らせているような動きを狐仮面がしているようにも見えた。

 

 三回目。

 

 もう一歩前に出た相手は一旦槍を引かせてから狐仮面のいるところへ槍を突く、と見せかけたもので右手で上手く方向を切り替えて本来ならいない所を突いていた。しかし、そこには確かに狐仮面の姿があった。あの速さならそれなりに腕を磨いていた部類に入るのだろう。だが、それでもたどり着かない域に狐仮面がいるとしたら相手にとってもうやれるようなことはないと思える。現に当たりもしない上に右肩に薙刀を背負い続けているその姿はおおよそ焦っていたりする様子はなかった。自分の風を吹かせながらただただこの場に居座っているだけの迷惑な人物でしかなかった。

 

 四回目。

 

 相手はもう何も出来ないことを知りながらも、その槍を使って辺りを薙ぎ払う。相手の左側へと軽く、なんでいう距離ではないほど移動してくるり、と無駄に身体を回転させながら下へと下がり、その槍を避けた。弄ばれているのを知りながら僕はどこまでこの武器を振れるのかそればかりを考えてしまう。

 

 五回目。

 

 狐仮面の居るところへと突きを放つ。自暴自棄になろうともおかしくはない状況だが、命のやり取りの前ではそれを気にしていられるほど悠長な事はなかった。当たり前のようにすり潰す。槍と交代するように狐仮面は相手の間合いの中へと入る。クルクルと身体を回した後で相手の視界からは消えたのかもう何も動けなかった、そして頭を大げさに振って周りを見渡す。もうこれは魔術のようなものだった。そして、後ろから一発蹴りを入れる。本当に軽く体が動く程度のもので本気で蹴っているような素振りは何もなかった。そして少々笑みをこぼしながらフラフラ、と相手の周りを歩く。当然ながら相手の間合いには完全に入っているのだが、それを機に止める様子はなさそうだ。

 

 六回目。

 

 あまりにも憎たらしくも狐仮面が間合いには入りつつ、何もしてこない事に業を煮やしたのか、もはや粗暴な振り回しになっていた。狐仮面も構えている薙刀に変わりはない。肩の位置からは動く事もなく、相手の周りをフラフラと歩いている。そこに相手も嫌気がさしたのだろう。自分の身体を使った回転で回数を重ねていく。何でもない振り回しに狐仮面もしゃがんだり、跳んだりと無駄に忙しそうに動いていた。七回目、八回目、九回目……。

 

 十回目。

 

 それが来る前に狐仮面は槍を折った。真っ直ぐな先と手で持てる程度の長さの柄。相手が持っているのはたかだか、叩くかつつくだけの棒切れ。だが、それも狐仮面によって弾かれた。僕から見えるのはそこだけで相手の表情しか見えなかった。

 

「これをやる」

 その短い言葉にどのような意味合いがあるのかは分からない。遠くに捨てられた棒切れと凝視され続ける相手が孤独のようでもう見ていられなかった。

 

 相手の手には折れた槍の先が渡されていた。別に当てられないわけでもないその距離で相手は半泣きの状態だった。泣きながら、訳のわからない声を出して自分で自分の喉笛を掻き切った。その様子は丁度狐仮面の立ち位置的にはしっかりと見えなかったがその後の状況から察するにそのようになっていた。味方も恐らく敵もこの状態では何も出来なかった。彼の人心崩壊術には僕を含めて誰も介入出来ないようだ。

 

 狐仮面はその場に屈む。脚を揃えて爪先立ちでその場に居て武器である薙刀を自分の右横に置いて何かをしていた。周りは静かに吸い込まれるような風を吹かせている。狐仮面が渦の中心であるかのように。

 

 それから、狐仮面が立ち上がり、無言で空を眺めた後で恒例と言わんばかりの無言を貫いた。

 

「もう帰ってくれないか。無駄な命は散らしたくない」

 そこから急にポツポツ、と話を始めた。その事については何もいう事はないが強いて言うなら、相当お怒りの状態だった。もしかすると戦闘の続きである可能性もあったがそれを言っていられるほど楽しいものでもない。これは殺し合いだ、その事は忘れたつもりもない。

 

「せめてもの、土産だ。お前の首を取って帰る事にする」

 

「そうか。して、それはお前一人でやるつもりか」

 

「無論、そのつもりだ」

 

「それならこの薙刀を全てを見せてやろう」

 狐仮面の肩にずっと背負われていた薙刀を存分に発揮しているらしいが僕もそれには興味はあった。

 

 相手は二刀流。右腕の方を逆手にした太刀の持ち方で色と少しだけ青みがかった刀身と楕円形の唾。

 

 左腕は赤みがかった色をしている刀身と楕円形の唾、波紋は炎を象ったような形をしている。

 

 対する狐仮面は薙刀のようなものだが、柄の両端に刃があるのが特徴的で真ん中には切れ込みのある気がする武器だった。頑なにそこだけは手をどかそうとはしていない。

 

 狐仮面は相手を前にしても構えるような事はなく、右肩に背負ったままで武器としての役割を果たせていないように見える。それだけではなく、視線は何処か遠くを見ている。動く素振りもなければ、相手の動向を探る気もないそよ風に身を任せているだけの流浪人だった。その身に着用している灰色の着物が余計にそれを想起させる。

 

 相手の身体が傾いた。

 

 そこから素早い直進的な動きで左腕が動いていた。なぎ払いのような大きな動きで相手の出方を見るようだ。

 

 クルリ、と回す。その薙刀は下から太刀を掬い上げてあらぬ方向へと舵を切った。狐仮面の右手の中で回り続けた薙刀は主の辺りで静観していた。そこまで動きは早くもない、しかしその身の動かなさはある意味では脅威ではあるだろうと考える。冷静でありながら、相手の動きを静観する薙刀はその操り主との相性が良さそうに見える。

 

 相手は右腕の逆手にした太刀で左腕が少々邪魔になってもかなり強引に攻めへの糸口を広げようとしていた。それでも狐仮面には通りもしなかった。

 

 薙刀がその先への侵入を許さず、強引に動かした右腕もどうにもならなさそうだった。それでも相手はまたもや強引に左腕を振るって薙刀を退かすがすぐに一歩後退した。身を危険を感じたのだろう、狐仮面の腰を軸に回転した薙刀の刃の間合いに入っていたからこそ。

 

 あの変則的な間合いと体の何処かを軸にした武器に扱い方を攻略するのは太刀では難しそうに思える。中距離からの攻撃なら通りそうだが、それをするには薙刀に分がある。僕なら、遠くから一ノ技や二ノ技を使って近づかない方法を取る。

 

 しかし、相手にそれがあるかは定かではない。僕は縁側でこの二人の戦いを見ている事にした。何か参考になる事もあるのかもしれない。その目にはきっと何かが宿っているのだろう。

 

 相手は二本の腕で太刀を持っておきながらその動きにはもう先程の勢いはない。一旦様子を見るつもりなのだろうが狐仮面に通用するかどうかはまだ分かったものではない。

 

 もう流れは狐仮面に掴まれているのだろう、と僕は相手を気の毒に思い始めた。二人から流れてくる風は全てを狐仮面が覆っている。殺気も殺意も相手に対する倒そうと思う心も全て狐仮面が相手ごと取り込んでいる。勝ち目はない、なんて言えるこの試合に意味はあるのだろうか。

 

 狐仮面が歩く、横に移動しながら徐々に間合いを詰めていくのがこれほど怖いと思えるのはいつぶりだろうか。ゆっくりとした行動に反して段々と恐怖を植えつけていくその動きには薙刀がより大きく見えるかもしれない。だが、それは相手が思っているだけで僕には感じない。当事者が感じている何かが揺さぶれる感覚はそこに起因するかもしれない。僕は見守ることしかしない訳で永琳さんもそれは変わる事はない。

 

「永琳さん、この戦いには何の意味があるんですか?」

 

「大きく関係あるわよ。私達は月から逃げてきた二人なの。だから向こうからすれば裏切りものを排除しようとしているだけなのよ」

 

「それはどうして?」

 

「穢れる行為をしたからよ。それで姫は追放された。私は迎えに行く時に使者を殺してこの地に残った。だから仕方ないことよ」

 

「穢れはあってこそ生きていると言えると思うんですけどね」

 永琳さんは少しだけ黙っていた。僕もこれ以上は話すことにはなれなかったので怒っているのだろうか、と僕は思った。

 

 沢山のことを学んで初めて一人前となれるような気はする、良かったことや悪かったこと、人に迷惑をかけるようなことを全て経験してこそ。その中で自分が何になりたいのか、僕は今その辺りにいると思っている。

 

「穢れはもう落とせないものよ。どれだけ足掻こうとも抜き去る事はできない。一生の傷なの」

 

「だから永琳さんはこの状況を仕方ない事だと片付けるんですか」

 

「まぁ、そうなるわね」

 

「この世の中は誰かの汚れによって成り立っています。なので、自分の行いには自信を持ってもいいと思います。いつも誰かのために薬を作っている永琳さんを僕は穢れを背負っている人として見たくないです。そのひたむきな姿勢は尊敬します」

 

「随分な物言いね」

 そう言う言葉を投げかけながらも、何処か穏やかな口調である永琳さんは僕の中では到底理解できない領域に向かっていたように感じた。

 

「無駄話は終わったか」

 

「終わったわよ」

 

「そうか、それではもう一つの型を見せようか」

 狐仮面の発言が妙にタイミングが良いが、僕は聞けなかった。それよりも気になることは目の前にあり、その技をどうにか自分のものにできないかそれに魅了されていた。

 

 それにしても、相手は相手でかなり疲弊しているようにも見えた。狐仮面の薙刀による攻撃の全てが相手にとっては痛手となっていたのは確かなようで何もかも可能性を狭せているようだった。僕が見てもこれだから、狐仮面からすれば見せる必要もないと思いたいが、何か考えはあるのだろうか。静かに観ているようにしよう。

 

「話が聞こえるんですか?」

 

「あ、あぁ。一応な」

 意外にも答えてくれた狐仮面は薙刀を雑巾を絞り込むように外した。特殊な形状をしているとは思っていたが切れ込みの意味は何なのかはここでようやく判明した。

 

 薙刀の刃を最大限に利用した二刀。刀とは違い、柄の長い形状でその先には薙刀そのものの刃が取り付けられている。槍とも異なるその武器は正に変則的な動きをする人には打ってつけのものなのだろう。それにしても歪な武器である事には変わりない。

 

 二本の太刀を構えている相手とは変わらないはずなのだが、相反する二人は違う風に見える。垂れ下げた腕から少し切っ先を上げている刀の構えのはずなのに、こうも変わるとは思わなかった。

 

「あれはどのように表現するのが正しいのでしょうか?」

 

「あまり詮索しない方が得策よ」

 

「そうですね。辞めておきます」

 永琳さんはもうそろそろと思いながら、弓を引いていた。矢尻を掴みながらゆっくりと自分の体に沿わせていく。当たる部分はあるがそれは避けていた。

 

 僕はそれを横目に何も言うことはなく、目の前の事象を眺めている事にした。

 

 狐仮面も何をしたいのかは理解出来ないが何もしない。それ故に相手も何もしていなかった。相手からすれば何もしようとは思えないのだろう。勝てるとは限らないのだから。対する狐仮面はまだ何かを隠しているのだろうか攻めに入ることはなかった。

 

 大きく踏み出した、相手は腰に太刀を当てながら腕を交差させて。それを気軽く返す狐仮面はもう何も言えないほどにそれ以上のことはしなかった。もう勝てるなんて話ではなく、油断していても勝利は確実とまで言いたげだった。だが、実際のところはまだ勝負は決していない。

 

 相手も逃げ出せば良いものを月の民としてのプライドが邪魔をするのか、そのような素振りは見せなかった。それどころか、向かってくる。

 

 タンタン、と軽い足取りで向かってくる相手は下段からの突き刺しに近いような形で太刀を動かしながらで狐仮面の間合いに入る。薙刀がそれに反応してこちら側へと来ないように薙刀の柄で押さえつけていた。だが、ここで動き方を変えたのは狐仮面の方だった。次の一撃が来るその前に右足で思い切り蹴り飛ばした。

 

 そこからは舞を踊るように前へと進んでいく。上下段の薙ぎ払いで退けさせた後で薙刀を模した回転で相手の攻撃をさせないようにさせ、両腕から繰り出した突きによって遠くへと退かせる。

 

 相手の動きに合わせてその動きを変えていくのはある意味では強みでもあった。だからと言ってここまで来るとまた違う事件のような気もする。

 

 下段から入り込んだ狐仮面は脚を使いながら相手の右脚を崩しながら薙刀で押し出して転がり込むように仕向けたがそれは相手は勢いを転がることで殺したのでそこまではならなかった。

 

「私を楽しませてくれよ」

 

「そんなことも言えないようにしてやる」

 相手はそこで覚悟を決めたのか、捨て身の進撃を見せた。その身を低くしながら両肩を動かして腕を交差させる。下から潜り込むように走り出した相手に狐仮面は一撃目を後ろに飛び去り、左右に狙いをばらけさせながら後ろへと回り込んだ。

 

 そこからの足掛け。後ろから刈られた足に相手は何も抵抗することが出来ずに後ろに倒れ込んだ。そこから狐仮面の右足は相手の身体を擦れるような形で振り回す。それからは狐仮面は何もしなかった。ただ唯一右腕に持っていた薙刀を垂直にしながら回していた。何かを巻き取っているようで何処か雰囲気が変わっている、と思いたい。なのだが、平常心に近い狐仮面は薙刀を繋ぎ合わせていた。ただ、気になるところは刃の向きは左右で変わらないところだろうか。

 

「早く立て。面白くないだろうが」

 

「ふざけるのも良い加減にしろ」

 狐仮面の余裕そうな雰囲気はいつもに増して強かった。それも知らないのだろう相手は激昂して感情を露わにしているがその温度差はそう易々と埋まりそうにないほどだった。僕はゆっくりと眺めながら、その様子を観察する事にした。永琳さんはその中でも疑問に思う、僕の視界に入っていないのだが、何かやろうと準備はしているようだった。向きは狐仮面。何をしたいのかは少し待っている事にしたいが聞きたかった。

 

 しかし、狐仮面が薙刀の刃の向きを同じさせていて左手を空けている事に何かあるとするならば、僕は何も聞こうなんて思えなかった。

 

「ふざけている、か。それはもう一つ意味がありそうなものだな」

 それは同感した。狐仮面の強さはある一定の基準を超えている。手を抜いてもらっているところで勝てそうにない、その辺りが正当な評価と言えるだろう。

 

「それとも、もうそろそろ根を上げたいところか」

 

「そんな事はない」

 

「まぁ、安心しろ。気付くか気付かないかその瀬戸際だ。運が良かったら理解できるかもな」

 僕は静かに眺めている事にした。眺めているだけだが、何となく理解出来た。だけど、それが可能かどうかは二人の信頼関係とそれに見合った技術があるのだろうか。

 

「来い」

 その合図に永琳さんが答える。相手は訳の分からぬその一撃に絶命した。額には一本の矢が刺さっている。その刺さり方は少し上から打たれていたようだが、それをするなら相当難しいと思う。

 

 狐仮面が左手で永琳さんの矢を掴んで、自分のものにした。その時に矢の勢いに任せて身体を回転させた後で物理法則を無視したような向きと動きで放たれていた。確か、僕の目が正しいなら倒れ込みながら回転をかけた直上、そこから放った矢がすぐに相手の脳天を貫いた。

 

その軌道は吸い付くようなもので何もかもを無視している。

 

「三個目は弓だ」

 

「どうやって撃ったんですか?」

 

「魔法を使う身としてそれは聞いちゃいけないな」

 狐仮面は軽く笑っていた。その間に逆刃薙に柄を回転させて置いてから右肩に担いだ。あの時は確かに弓のような形をしていたが今は普通の薙刀の形だった。そこに嘘偽りはないはずだが、分離できたりするので普通に扱うのは難しいのだろう。

 

「その通りですね」

 僕は変に納得をしたフリをしてこの場を切り抜けてみる事にしたがそれでも狐仮面はその動きを全面的に否定した。

 

「もし使いたいなら永琳にでも聞いておけ」

 

「あれ、永琳さん。魔法は扱えましたか?」

 

「聞くまでもない。其奴から薬の知識を抜いても色々と残るが魔法だけは専門外だったはずだ」

 それについては僕は同感ではあった。

 

「つまり、私は自分の腕力で引き寄せた結果だ」

 

「それより、前にいる四人はどうするつもり?」

 永琳さんのその一言で状況は一転した。一人は弓兵、二人が太刀を腰には携えていて一人は槍。ここまで倒した人を収束させたような相手に僕はどのようにするのか、考えた。

 

 一番厄介なのはやはり弓なのだろうか。此方からはそれほど攻撃を与えられるわけでもない、突っ込めば三人に挟まれる。だからと言って、太刀の二人を倒そうものなら、槍がどのように動くのかは頭の片隅にも置いておく必要はありそうだ。狐仮面はどのようにするつもりなのだろうか?

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