東方魔剣術少年   作:mZu

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第136話

 いきなり取り掛かったことと言えば、この迷惑な行為をした元凶である天人を起こすところからだった。まるで気絶したかのように腰を抜かしているその人は地面に倒れ込みながら、しばらく瞬きをしていなかった。

 

 僕はその人に近づいて声を掛ける。それから肩を叩いて体を揺らしてゆっくりと上半身を起こす。

 

 その人は僕の目を見ているが何も話さなかった。よく見ると唇が震えている。僕は何か言葉が出るまでそのままにしておいた。

 

「生殺しになる。辞めとけ」

 そう言いながら、僕の左肩を叩いたケプリさんは少し呆れ返っているようで表情には抑揚はない。

 

「そうですね」

 

「天人、だったか。お前のやった行為は許される事ではない。しかし、俺は判断は下せない。だからここの修繕を手伝うのであれば、皆も少しは許してくれるだろう」

 

「嫌よ。私には関係のない事だわ」

 

「ならば、お灸を据えないといけないらしい。生半可な気持ちで死ねると思うなよ」

 

「やれるもんならやってみなさいよ。出来るならね」

 天人はここぞとばかりに威張り散らしている。もしかするとこれが平常運転なのかもしれない。ケプリさんも何処かただならぬ雰囲気を出している。

 

「俺たち二人ならば、出来ないこともない。そう感じているだろう?」

 

「それでもよ。天人を殺すだけの覚悟はあるの?」

 

「人を斬るのであれば、容易い事だ。だが、少なからず悲しむ人がいる以上、その人たちまで責任は取れない。少なくとも俺達は人に負の感情を与えるために剣を振るうわけではない」

 

「ない、って事ね」

 

「そうだな、殺す気はない」

 

「だったら、私がここにいる理由なんてないわ」

 僕は即座に剣を抜いて、一閃。

 

「自分勝手、好き勝手に進むのも時には必要だ。しかし、この状況では辞めておいた方がいい。此奴は許さん」

 

「そうですね。せめて、要石を退かしてから帰っていってください」

 

「少なくとも、な」

 

「分かったわよ。やれば良いんでしょ!」

 天人は早速地面に倒れたまま要石を退かしていった、と言うよりは消していった。消えてから見えた家屋は見るも悲惨な姿になっている。

 

「これで良い?」

 

「ありがどう御座います。一番難儀しそうなところがなくなったので修繕がやりやすそうです。今日のところは疲れたでしょう。なので、帰って身体を休めてから気が向いたら手伝いお願いしますね」

 

「アンタはどうするのよ?」

 

「僕は今からやりますよ。屋根の下で休めた方が安心出来ますからね」

 

「怒らないの?」

 

「怒り方、知りませんので」

 

「さっきしてたじゃない」

 

「あれだと意識が飛ぶんですよね」

 

「とんでもないわね」

 

「それでは、また後で会いましょうか」

 天人はボロボロの身体を起こして、空へと帰っていった。今はそれで良い。

 

「流石に甘くないか?」

 

「いいえ、これくらいから始まっていくんですよ」

 

「悠長だな」

 

「追いかける後ろがないと走ろうなんて思いませんから」

 

「お前らしいな」

 それから僕達は家屋の残骸を片付けるところから始めた。人里の人々には僕達から説明した。天人の肩代わりでしかない事に怒っている人も居たが僕はあえてそういう声は無視する事にした。逆に一言、口を動かすより手を動かした方が皆が幸せになりますよ、と伝えた。

 

 僕達が動いてからというもの、文句は言われるが抗議するだけではなかった。それと同じように手も動かしている。僕はそこまで脅したつもりはないが汗を垂れ流しながら団結している姿を見ていて僕も更にやってみようと思えた。

 あれから二日、皆の尽力もあり瓦礫の撤去は終わった。後は建築するだけなのだが、木材が足りないらしく、作業は滞っている。

 

 人里の皆には感謝をされ、とある場所を教えてもらった。こういう時は個よりも数が重視されるので僕達はここら辺でお役御免となった。

 

 ここまで二日間働き詰めの僕達には良い場所を教えてもらったと思う。とある場所とは詰まるところ、温泉だった。場所は地下にあるらしく、幻想郷の北東にある整備された洞穴からいけるとのこと。僕達はとりあえずそこに向かう事にした。

 

「手紙の内容はどのように書きましたか?」

 僕はケプリさんに聞いていた。

 

「暫く帰らない、とは伝えてある」

 

「僕も変わりません。小旅行で行きませんか?」

 

「多分、大丈夫だろう」

 

「取り敢えず、今日は僕達がやれることをやりましょう」

 

「だろうと思った。まとめ役に聞いてからやる事にしよう。それのついでに明日には暫く開けることを伝えるか」

 

「そうですね」

 僕はそれを聞いてから立ち上がる。そして、まとめ役であるとある女性に話をしにいく事にした。青いメッシュの入った銀髪で人里では自警隊を率いている人だ。半人半獣とのことだが、あまりその事は感じない。どちらかと言えば、優しい雰囲気のある情に熱い人柄で面倒見がいいような気はする。

 

 その人に話しかけてから僕達はここを後にした。椛さんには地底に行く事は特に話していない。それはケプリさんも同様のようでアリスさんには何も話はしていないらしい。

 

 僕はケプリさんに気に入ったら二人で行くように言ってみたら、少し戸惑ったような表情をされた。

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