東方魔剣術少年   作:mZu

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第137話

 次の日、晴れた空に深い森、そして僕達の目の前には深い洞穴があった。道は整備されており、両端には縄の結ばれた杭が打たれていてなだらかな下り坂が続いている。

 

 その先を見ていたところ、所々に灯りがあるものの、その暗さは紅魔館にも似ている明暗が繰り返されている。

 

「館の廊下みたいですね」

 

「いや、そうなると恐怖の館だろう」

 

「紅魔館ですよ」

 

「主人の趣味が悪くないか?」

 

「同感です」

 

「そこは顔を立てて欲しかった」

 

「僕には理解できない事は否定出来ないですし」

 

「俺はこれ以上話せる気がしない。行こう」

 

「そうですね」

 僕は先に歩いていく事にした。その横で八本の剣と一本の大剣を持ち歩きながら付いてくる。

 

「……しかし、薄暗いな」

 

「僕は意外と慣れてますけどね」

 

「それはもう毒されているぞ」

 

「そうかもしれませんね」

 僕はケプリさんの言葉をはぐらかした。実際のところ、見慣れた光景なのでそれほど気にならない。それは実のところ、ケプリさんには理解出来なさそうな事なのだろうか。

 

「だが、雰囲気あるのは確かだ」

 

「この薄暗さ、ワクワクしますよね」

 

「時々、お前が子供なのか大人なのか判断に困る」

 ケプリさんの表情はその言葉通りに難解なものだった。褒めている、というよりかは貶している。だが、其処に悪意というよりかは純粋に感心しているような満足感のある笑顔。僕にはどのように判断すれば良いのかは全く分からなかった。

 

 其処からは暫く、薄暗い小道が続いていく。紅魔館の廊下よりも明るいものの、岩肌が見えているという自然物である事に関する恐怖はこちらが勝る。ある意味新鮮で珍しい体験をしていると強く感じる。

 

「……しかし、よく此処を来ようとしたものだな」

 

「看板とかあれば雰囲気で来ようと思ったりするんじゃないですか?」

 

「お前は見たのか、それ」

 

「いや、全く」

 

「取り敢えず嫌な予感はしている」

 

「それは温泉とかそういう方面だとは思えませんよ」

 

「全くだ。行くだけは行こう」

 少しだけ歩く速度を早めた。僕もそれにはついて行く。どうにかなるとは思うが初めての場所で何か起こすわけにもいかないとは薄々とは思っている。

 

「そうですね。折角の善意ですから」

 

「そうだな」

 岩肌に僕たちの声は反響する。その声に何かは反応しているのだろうがその正体は今のところ、掴めない。僕は考えていた、もうそろそろ広い場所に出るとは思いながら。

 

「暇つぶしに一つ、聞きたいことがある」

 

「何ですか?」

 そう考えているうちにケプリさんから話しかけられた。景色は特に変わっていない。

 

「手紙は届いているか?」

 

「いえ、何も知りません」

 

「そうか。いや、何。少し前に嫌な予感があってな、手紙を書いて三箇所に送った。紅魔館と人里の寺子屋、そして博麗神社。恐らくと届くだろうと安易に考えていたがどうやらそうではなかったらしい」

 

「今、妖怪の山に居ますから。それで届かなかったようですね」

 

「それはまた危険なところだな。守矢神社を除いて近寄るな、というのが通説だ。それでどうやって暮らしている?」

 

「椛さんの家を間借りしてます」

 

「……椛、犬走 椛のことか?」

 

「はい」

 その言葉でケプリさんは黙ってしまった。あまりにも衝撃的だったらしい。

 

「そうか。それはまたすごいところに」

 片事気味に話すケプリさんに僕は不審だと感じてしまった。どうしても本物だとは思えない。

 

「確かに凄い人ですよね。いつもは優しいんですけど、真剣な時はかなり怖いです」

 

「それは、うーん、そうか。安全に暮らしているなら何でもない。顔も見れたし、何も問題はない」

 

「話、終わらせましょうか?」

 

「あぁ、そうしてくれ」

 ケプリさんがどのようにその結論に至ったのかは聞くのは野暮なので何も反応は示そうとは思わないがどちらかと言えば不思議ではあった。

 

 それから洞穴を通り抜けて、大きな空間に出てきた。遠くには明るい灯火がいくつもある場所があって、何か街として機能しているようだ。温泉があるという話なので、宿や食事処や酒飲み場があるのかもしれない。

 

 僕はそう思うと何となく興味をそそられた。何か気を引くものがあるのかもしれない、そう思うと。

 

「それにしても遠いですね」

 

「せめて、道案内くらいは付けてほしいな」

 軽い冗談。僕達は此処からその街へと歩いて行く事にした。

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