赤いカーペットの敷かれている高貴な部屋には長い机がある。六人がけのようで椅子が六つあるがそれでも広々と使える。そして空いている人が少し屈めば入れそうな高さのある窓からは近くにある演習場の兵士たちのどよめく声が聞こえる。皆、それぞれに思いを込めてあの一撃を放っていると思われる。
その熱意を上から眺めていたのは白い肌で体調の優れなさそうな白い髪で細身でありながら黒い鎧を身にまとっている男だった。
ブリタニア王国の国王であるラーには来客が来るはずだった。その客は普通ではない。まともに正面からは入ってこないのである。その為、この窓はここ2、3日は空いている。
「またあいつが来るのか?」
紫色のラフなシャツと茶色の短パンを履いている如何にも気怠そうな男が六人がけのテーブルに備え付けられている椅子に腰掛けていた。右側に重心をかけて本当に面倒くさそうにしている。
「苦手な人物であるのはよく分かったがあまりその気は出すなよ。私にはとても大切な客人であり、共に大事にしたい友人だ。」
「それは分かってる。だからこそだ。何であいつのことを気に入っているんだ?」
少し怒り気味に聞いたその男はラーに対してナイフの一本でも向けているようだ。
「あの人は私の事を偏見の目では見なかった。それだけだ。」
「やっぱり大事なのか。」
「そうだな。もうそろそろ退室するのが良い。ベルゼブブ。」
「はいはい、」
その男、ベルゼブブは重い腰をあげるとゆっくりとこの部屋の扉を開いて出て行った。
「さて、客人よ、歓迎のためのドリンクは如何かな?」
「そうか。今日は辞めておこう。」
当然現れた男は特に見栄えのいい服装ということではなく、そこらへんにいるような人の服装と酷似している。この男はシソー国の国王である。
「今日は珍しくワインを出してみたのだがお気に召さなかったか。気分が変わったら言ってくれ。」
「そうか。それで今日読んだ理由というのは何だ。」
男は早速話を切り出した。窓の縁に座る男は浮かせた脚をそのままにしていた。
「実は折り入って話があってな。息子を幻想郷なる世界に連れて行ってみたいと思っているんだ。如何だろうか?」
「そうか。別に止めることは何もないが、もう俺の息子は行ってしまっている。」
「うむ。それでは今から向かわせるとしたいが親として心配でな。どのような場所が話が聞きたい。」
「そうか。それなら、話す。が、実際に行ったほうが早い。如何する。」
「それは前向きに検討させてもらう。だが、今は判断材料として貴方の話を聞きたい。」
「ならば、聞かせよう。その前にその事は話しているか。」
「ああ。本人は楽しみにしている。」
「そうか。」
男はそれから自分の話をし始めた。それを聞いたラーは何を思ったのかはまた別の話になる。
お父さんの登場をお楽しみ、ということで東方紺珠伝終わり!