久しぶりの地上、しかし頭はかなり痛かった。恐らくという言葉を使わずとも酒が原因なのだろう。幾ら萃香さんと酒の席を付き合えたと言ってもそこと彼処では天地の差があった。
消費という言葉は恐るべし。
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こう帰ってきた訳だが本来なら一泊のつもりだったのだが、二泊しているという事実は如何にも変えられない。そして、何より怖いのはどのようになっているのかということだった。
「ただ今帰りました」
何を今更感は如何してもある。それ故に僕の声も迷走気味だった。如何したら良いのか、それにさえ迷いに迷って何処へ向かおうとしているのか不明である。
返事はなかった。恐らく出掛けているのだろう。僕はそう思うことにして踵を返す。幾ら親しんだ家とはいえ、誰もいないところに入ろうとは思わなかった。
僕は何処に行こうか、悩んでいた。守矢神社で神楽を学ぶのも悪くはない。それとも、鈍っているであろう風を使い方を確認、上達させる為に森の中を走るのも悪くはない。そう思った。この家の主である椛さんは今日も山の哨戒を行なっているはずだが、その場所はいつも違う。
人里の状況を見にいくのもどちらかと言えばなしとは言えなかった。何処に行こうか決めかねているその最中、声をかけられた。
「間に合いましたね」
白い短い髪の上には赤い山伏の帽子、一本下駄は高くいつも僕よりも視線が高い印象がある。
「あ、椛さん。すいません、何も言えずに」
会えるとは思わなかった。千里眼と風によって僕の存在は認知されていたと思われる。
「本当に自由にやってくれましたよね」
「もしかして怒ってますか?」
「聞くまでもないでしょう」
「身勝手な行為をしてすいませんでした」
「別に良いです。その代わり……。」
そこで椛さんは口を噤む。何を溜め込んでいるようだった。僕は待っていることしか出来なかったのでその時間はとても長く感じる。緊張感の中で何もしないというこの選択肢は戦闘中とそう変わらないような気がする。
「今度は私を連れて行ってくださいね)
「それは構いませんけど」
僕はそう答えるしかなかった。別に何か問題がある訳でもなさそうだし、僕はそれほど気にしなかった。だけど、椛さんの表情いつもよりも乙女をしていた。それだけは如何しても分からない。
○
外の空気というのは結構澄んでいて、カラッ、とした空気なのだと思えた。その事については今の状態では感謝しかなかった。
俺は取り敢えず、気分を良くするために深呼吸をしていた。頭が少しでもすっきりとするならば、それ以上の褒美はないだろう。それ以外には何も求めるつもりはない。
しかし、歩く距離は長かった。幻想郷の北東から南側へと行くのに最短距離で行こうにもこれだけ時間がかかるものだとは思わなかった。
ーーそう思いながら、やっとの想いで俺は魔法の森へと辿り着いた。
黒い屋根、円柱の塔に家庭庭園のある見慣れた場所。上からは日光は降り注ぐ。
俺は玄関を叩いた。力加減どころではなかった。疲労と気分の悪さは最高潮と言える。その中で意識もぼぉー、としてきた。
「はい、どちら様?温泉は楽しかった?」
「申し訳ないな。友人との付き合いで断る理由はなかった」
「そういうのは良いの。何かいうことがあるでしょう」
俺は朦朧とした意識の中で結構面倒な質問をされた。まともに頭も働かない。その中で俺は答えを出した。
「兎に角、横になりたい」
全く関係ないとは思っている。だけど、まともな判断はそう思うことしか出来なかった。
触れる肌が温かく、安心感があった。やっと家に帰ってこれたのだとそう思える。
「ちょ、ちょっと何してるのよ?」
「ちょっと熱があるわね。それに口が臭うし。何をしてきたのよ」
相手はかなり戸惑っていた。それもそうだろう。とは言いたかったが口はそれほど動かない。強烈な眠気に襲われる。まぶたはかなり重たい。
「取り敢えず横になりなさい」
かなり怒っていた。それでも放っておくなんて事はしなかった。如何でも良かったとは言わないが俺も大分意識はない。
「今度は私も誘いなさいよ!」
「如何なっても、知らん、ぞ?」
この言葉は俺の記憶にはなかったが後でアリスには酷く追及された。俺が何をしたというのだろうか?それについては頬を膨らませるばかりで教えてはくれなかった。