第156話
今宵の月は満月。その影に暗躍十二人の若者。人それぞれに紛れ込み、襲いこむ。その状態に気づくには何かが足りなかった。その何かは誰もが気付けなかった。
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もうそろそろ暑さも消えていく秋の初め、満月を過ぎて段々と月が痩せ細っていくそんな日々。
人里では死傷者が現れた。暗躍者は誰かは分からない。正に影に潜んだ者が後ろから斬り殺したような感じだった。
「これはどう形容したものか」
慧音はその様子を首を傾げて眺めていた。白昼堂々、その犯行は行われた。明らかに愉快犯の仕業ではあるがその脚は誰も追いかけられなかった。そこまでの話は本人も聞いていた。
しかし、目の前に起こっているその現状はとてもそうだとは思えなかった。二回斬られた跡があり、明らかに軌道が合わなかった。それこそ、二刀流でもなければこのような傷は付かない。
「恐らく、二本の刀を用いていると思います」
「本当にそうだとしたら飛び散る跡が左右で異なる?明らかに斬りづらい」
片方は右肩から左腰にかけて、もう一つはその間を通るようになっている。やるとすれば肩から腰にかけて斬るのとその間を後で斬ってる。しかし、着物は左側へ切られた後で上に切られている。二本で切っているのならば順序はあいにくい。慧音はそのように考えたと思われる。
「ですが、順序は関係なく斬りつけた可能性も」
「だと思いたいがもし、後で腰から肩にかけて斬っていたとすれば逃げた場所は合致する。抜刀してから横に斬り、その後で逃げながら斬ったとすれば辻褄は合う」
「そうだとして、問題はそれを為し得る人物ですよね」
「目撃者の多い白昼堂々で犯人の後ろ姿しか見なかったほどの速さ。取り敢えず全員に伝えよう。今回は簡単には行かなさそうだ」
「具体的にはどのくらい」
「それは人里に留めておく。人の形だったのだろう。それなら、人里が一番隠れやすい」
「そこで炙り出す、そんな所でしょうか」
「そこまで長くかけるつもりはない。しかし、出てこない限りはこちらは何も出来ない」
それだけは言える。慧音はそれでこの話を終わらせて早速準備をするように促す。本当にそれでよかったのか、それについてはどちらかと言えば不味かったと言える。
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とある日の人里。もう人は出てこなくなった。人里に留まらず、その周りからも被害が出始めた。妖怪でさえ襲われるその惨状に幻想郷は一つにまとまり出した。それをとある人物は甘い果実のように眺める。これはいい機会だと。