東方魔剣術少年   作:mZu

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第160話

 月面の丘陵地。ここで一人の女性が戦況を確認していた。

 

「相手の人数と味方の減り具合は?」

 

「相手の人数は約三千、此方は一人、二人というところです」

 

「了解した。このままで構わない、と伝えてくれ」

 

「了解」

 彼女に命令を受けたその男は丘陵地から戦線の左側へと向かった。その様子を見ながら一つため息を吐く。

 

 月の民の戦力は約百。小分隊観測が二箇所で計四人。先ほどの伝達係が一人。そして彼女。残りは戦線を押し上げるために戦っている。とても単調な作戦でありながら統率を取るのにはとても楽だった。

 

 ここでの時間は長引けば長引くほど良い。

 

 向こうの出方にもよるが、恐らく伏兵の一つは準備しているだろうと彼女は読んでいた。だからこそ、大将首をわざわざ残した。基本的に地上人は自分たちの下の存在であり、力的にも知能的にもそうだとされている。その事に間違いはないし、月の民の大部分がそうだと感じている。少なくとも私だけが地上人の恐ろしさを知っている。

 

「現れたな」

 空に浮かぶ四つの存在。丘陵地からは大体平行線の向こうに現れた。

 

 彼女は静かに刀を抜いてから空中に向けて竜巻を放つ。避けられないということはない、されど大きく進路を阻害される、その程度。前に来た人なら造作もない。

 

 彼女はそれ以外に何も攻撃は仕掛けなかった。ここでも耐久をすれば良い。最近できるようになった最後のために取っておいたものもある。

 

 彼女は竜巻が収まり、相手が攻撃を仕掛けるまで待っていた。その琢磨機によって乱された空を眺めながら。

 

「伏兵の一つや二つ、対処出来ないとでも?」

 

「中々やるわね」

 赤い服の少女は荒い口ぶりでその人へ言葉を飛ばす。

 

「これからが地獄になるだろう」

 

「やってやろうぜ」

 黒色の服装の少女は辺りに缶をばら撒く。そこから現れた緑色の弾幕は直線的な軌道で素早い速度で敵へと向かう。

 

 しかしながら、レベルが違った。サラサラ、と動いた刀に全てを切り伏せられる。呆気ない、とその一言に尽きる。

 

「密度が足りないな」

 彼女が出したのは火。一つ一つは小さくともその熱は地上にあるものとは異なる。神の火なのだ。

 

「それぐらいでしたら、私が」

 

「残念だが、地上にあるものとは異なる。避けることをお勧めする」

 彼女は飛び出してきた銀髪の少女に一言、助言した。しかし、その言葉の返答は残虐なものだった。

 

 ナイフ。何十本ものナイフが彼女の前には現れた。

 

 彼女は突如のことに目を見開き、風を作り出す。軌道の乱されたナイフは反対方向へと飛び、自分たちに危害を加える結果となった。

 

「あー、もう近くで一気に叩きましょう」

 黒髪の少女がそう指示を出す。

 

「仕方ないわね。私が出す弾幕に紛れなさい」

 水色の髪をしている幼女がそう指示を出す。見た目とは裏腹に判断力は高いと見た。

 

「任せるわ」

 

「じゃあ、私も」

 金髪の少女はポケットから取り出したそれを彼女へ向ける。そこから発射されたのはとんでもないものだった。

 

 白色をした太いレーザーが彼女の前に現れる。人一人を包み込むような大きさ。

 

 それは刃。全てを切り裂き、根本から否定するためのもの。

 

 レーザーはその刃に全て切り裂かれた。それは元々出されていた八卦炉まで届いた。

 

 それと移り変わるように赤色の弾幕が現れる。一つから出ているとは思えない角度の量、その中に三人は紛れ込む。

 

 しかし、その程度で彼女が動くようなことはなかった。

 

 しっかりとした観察眼、三人の動きを完璧に捉え、赤色の弾幕も彼女は全てを返していく。乱された動きに隙を生じさせる。動きはとりづらくなったところに襲い掛かる衝撃波の数々。当たる事はない、されど当てられる事もない。

 

 わざと、そうさせられているようなその弾幕。

 

 それは光。太陽よりも明るい真っ白な光。色という概念が取り払われたそれに一番遠くから弾幕を放っていた人が気絶する。

 

「本物の光はこういうものだ」

 

「眩しっ!」

 

「うぉ、目が」

 

「くぅ!」

 三人の声も彼女には聞こえるような事もない。その間にも三人に対して衝撃波を放ち続ける。慈悲などなかった。動けば当たる。そういうものだった。

 

「最後だ」

 彼女の放つそれらは今まで当たるはずもなかったのに急に一撃に当てられる。三人はついに空中に浮かぶ力を失い、墜落。彼女はそれを見逃さずに刀を片手にそれを追いかける。

 

「どうなってんのよ!」

 

「力の差というものだ。巫女」

 彼女が放つは水。

 

 その水は圧という形で三人に襲い掛かる。押し潰され、その場でついに倒れ込む。

 

 圧倒的な力の差は三人でも埋める事も敵わなかった。

 

「私はどうやら手を抜くのを忘れたようだ」

 

「どんだけ強いのよ?」

 

「逆にお前らが弱すぎる」

 彼女は刀を片手に次の一撃を叩き込む準備をしていた。

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