東方魔剣術少年   作:mZu

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第166話

 二人とも大分落ち着いてきた。

 

 サイドを長くして全体的に短めなシルエットをしている髪型、緑色と紫色の同じようなドレスのような服装。茶色っぽい髪色の里乃さんと竹色の舞さんは僕の手を掴んでとある人の元へと引っ張った。その力は怒っているようでそうでもない。そんなぐらいだった。抵抗する理由もないのでもう二人の好きなようにさせた。

 

 二人が僕を運んで行った先、それはここの館の主人である人の部屋だった。随分と筒抜けなような気もするが本当に良いのだろうか。

 

「「入ります」」

 二人はお互いに片側の扉を空いている手のひらで押し出した。その先にはキョトンとした表情で紅茶の入ったカップを置いている主人の姿があった。

 

「毎回思うけど私ってそんなに威厳がないかしら?今はそんな事どうでもいいの。貴方には随分と大きな借りを作ってしまったわね」

 

「何の事ですか?」

 僕にはあまり覚えがなかった。こちら側に居た時は不定期ながらも定期的に手紙を送っていた。それなのに何かやらかしたのだろうか。

 

「月のことよ。私達を救ってくれた張本人がそんな様子じゃ私たちの気持ちはどうすれば良いのかしらね?」

 

「月の民の戦力を大きく削って数の力を押し込んだ後、依姫さんと戦った件ですか。居ましたっけ?」

 

「どう言うこと?咲夜、咲夜、居る?」

 僕には本当に見覚えのないことだった。あの場に咲夜さんとレミリアさんが居たのだろうか。四人誰かがいた事は覚えている。そんな記憶の片隅にも手を掛けていそうな記憶はどうしても思い出せなかった。

 

「はい」

 

「咲夜、ヒカルに助けられたのは覚えてるわよね」

 

「そのはずですが。どうして今聞かれるのです?」

 

「ヒカルが覚えていないと言うから。私はあの時倒れてたし。どうなのかなって」

 

「確かにあの時の後ろ姿は見惚れるものがありましたが。私の妄想だったのでしょうか?」

 

「僕には判断できないです」

 

「夢ということにしましょうか」

 

「それはそれで不味いんじゃない、咲夜」

 その意味合いは特に理由は理解出来ない。此処でそのような発言をした咲夜さんにそれを窘めるレミリアさん。僕には到底。

 

「「私(僕)達だってそんな経験したい」」

 

「そんな意味では。違いますから」

 そう言えばそうだったようなそうでもなかったような。僕は結構重要なことを忘れていたようだ。今、僕の両腕にくっ付いている二人はご主人様、と勝手な身分の上下関係を作り上げているのだった。いや、それでも関係ないのではないか。よく分からない。

 

「窮地の時にそのような人を思い浮かべる時点で気のあるとしか言えないじゃない。さぁ、咲夜。どうにかしてみなさい」

 レミリアのこの場を引っ掻き回したいという悪魔的な発想は僕の言葉で終わらせることにした。

 

「確かに助けたような気がします。咲夜さんの記憶は正しいと思います」

 あまりにも咲夜さんに対する集中砲火を見ていられなかったので僕は口を挟むことにした。

 

「それはそれで気にいりませんね私達だってされたいのに」

 

「まぁまぁ、そんな危険な状況に巻き込まれていないだけ良いということで。それで何とか」

 二人のその言いぶりにも僕は窘める。

 

「今はこれで我慢します」

 

「そうですね。そうしましょう」

 それから、僕は暫く話をしていた。何をしていたのか、それだけを話していた。これからのことは何一つ話していない。

 

 その代わり、最後のレミリアさんの紅の道はどういう意味なのかはよく分からなかった。

 レミリアの部屋でヒカルと舞、里乃。最後に咲夜が話していた頃、門の前では武人たる二人が話していた。

 

「彼奴とは知り合いなのか?」

 

「知り合いも何もよく鍛錬したものですよ」

 

「とても釣り合うとは思わないが」

 

「刀と拳では少し難しいですが、拳と脚なら同等ですよ」

 

「それは納得もいく。しかしだ。剣士に脚技を扱う理由はあるのか」

 

「あの方の話ですと、攻撃の間の隙を移動する間に潰すために使うようです」

 

「確かに彼奴の剣技には独自性がある。恐らく何か大きな欠点を覆い隠すような動きであるのはよく分かる」

 

「それは妖怪と人間の肉体の強さに大きく違いがあるからです」

 

 

「身の脆さは確かにあったか。しかし、あの精神力は並ではなかった」

 

「見ていれば分かりますよ。何か成長するにあたって過酷な状況で自分を追い込んだのでしょう」

 

「何度も死にかけているようだった」

 

「貴方のことはよく知りませんが何かあれば任せますね」

 

「私はそんな存在ではない」

 

「冗談を交えただけですよ」

 

「本当にそうだと良いのだが」

 二人はお互いに顔を見合わせて少しだけ笑みを溢すとそれだけで会話を終わらせた。

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