買い物は一通り終わらせた。それから何をしたのかというと荷物を紅魔館に運んでいくことになるのだがあまり時間もかからなかった。さっさと要件を片付けていく咲夜さんのその腕もそうだがあまり荷物は多くはない。そこはどうしても謎である。
「これで最後ね。さて、帰りましょうか。」
「そうですね。」
今は人里の東側だろうか。中心ではあるがどちらかと言えばそちらに傾いている。これでもまだ完全には調べがついていないのでどれだけ大きいのだろう、この人里という場所は。
「少し待ちな。」
僕は聞き覚えのある声なので振り向くことにした。その人はどうやら男性のようで白い髪で少しだけボサついているような気はする。腰には色々を身につけている。食料や水入れを付けているのが何となく慣れていないような感じがある。服装は旅人らしく布で顔を覆い隠していて和装をしている。背中には大きめな剣を背負っている。如何にも怪しい格好をしているその人は僕の近くに寄ってくる。
「誰ですか?」
「本当に気づいていないのか?それとも天然なのか。」
「聞いたことのある声ではあるんですけどね。」
「相変わらずだな。」
その人は頭につけていた布を解く。その顔は確かに見た事はある。その人は僕にとって兄のような存在だった。
「ケプリさんでしたか。」
「うん。本当に少し変えると誰か分からないのはちゃんと俺のことは見ていないのか。」
「いえ、そんなことはないはずなんですけど。」
「まぁ、そんな事は良い。」
ケプリというのはブリタニア王国の王子で僕よりも年齢は一つ上である。この人もやはり日頃からお父さんとされる存在に日夜、しごかれていて良い愚痴仲間ではある。僕は懐かしい気分になった。
「お知り合いなのですね。私は紅魔館のメイド長を務めています十六夜 咲夜と申します。」
「俺はケプリだ。ヒカルとは小さい頃からの知り合いだ。よろしく頼む。」
「宜しければ紅魔館へと来ませんか。部屋も用意できますよ。」
「いや、それは辞めておこう。」
「まだ気にしているんですか。」
「お互いのためにその方が良いだろう。大人気ないと思うなよ。」
「分かってます。」
「咲夜、と言ったか。その気遣いに感謝する。」
ケプリさんはそう言ってから布で頭を隠すと人里の中に紛れ込んでいってしまった。
「意外と頑固な人ですね。」
「ライバルですから。こうなるのも仕方ないです。」
「もしかして仲が悪いのかしら?」
「いいえ。そのような事はありません。ただ、前に髪が白いのを言ったら怒られました。」
「だからなのね。」
「別に気にする事はないと思いますよ。」
「そうね。もう帰りましょうか。」
咲夜さんに言われるがままに僕は紅魔館へと戻った。まぁ、良い経験にはなったのだろう。それとケプリさんはどこに向かうのだろうか。