第20話
完全憑依。
そんな言葉が人里の至る所では飛び交っている。どうやらこの場所では大きな謎として人里の人々を混乱へと落としこんでいるらしい。
あの二人が手を組んだ、という噂があるがそれがどのようなものでどのような結果を生み出すのかは全く見当がつかない。そもそも誰と誰が手を組んだのか、それさえも分からない。
人は言う、運が尽きたのだ、と。
時、ほとんど同じくして博麗神社では同じような噂が流れていた。
「どうやら人里で異変が起きているらしい。」
そう言ったのは昔の友達である霧雨 魔理沙。
「それは紫から聞いているわ。」
と縁側で茶を飲みながらゆっくりと落ち着いている博麗 霊夢。
「それなら話は早いぜ。私と一緒に行こうぜ。」
「そうね。少しだけ考えておくのもいいわね。」
「なら、私は行く気になるまでここに居るぜ。」
霊夢の横に座りにいく魔理沙。横にいた人は特に気にすることはなくその場で座り続けた。
「霊夢、支度は済んだの?」
スキマと呼ばれる空間を切り裂く能力を持つ金色の長い髪をしている紫色のドレスを着用した人が現れる。
「勝手に押し付けておいて何をいうかと思えば。そんな事なんて。」
「博麗の巫女がそれだと私の立場がたたないじゃない。」
「そんな言って脅しても無駄よ。そもそも気力が湧かないもの。」
「それなら引き出してあげるわよ。」
「紫。まぁ、辞めとこうぜ。霊夢も嫌がっているんだ。その内本人が出たいと思うまで待つのも良いと思うぜ。」
「いつからそんな口を聞けると思っているのかしら?まだ早いわよ。」
「行くわよ。行けばいいんでしょうが。早く探すわよ。」
「だそうよ。貴方は何処かに消えなさい。」
霊夢はその言葉を聞いて魔理沙に紫には見せられないような悲壮感に溢れる表情を浮かべていた。最早、戻る事は許されないような事である。
「分かったぜ。」
魔理沙は持っていた箒に跨り南の方向へと飛んでいった。
「これで良いわ。さぁ、行きましょう。」
「ええ。」
霊夢の表情は其処まで明るいわけではなかった。しかし、幻想郷の平和のためには必要な犠牲というのもある。
魔理沙はその辺りのことはよく理解しているつもりだ。
それでも不満である事には変わりはない。
昼間の人里。
その場所では大きな会場が用意されていた。其処で動いている金の量はどのようなものであるのかは分からないが莫大なものであるのには違いない。
その場所では一人煌びやかな格好をした人と催促状や借用書を貼り付けた青色の髪をしているパーカーを羽織った少女がいた。この対照的な格好をしている二人が姉妹であり、今回の完全憑依異変の犯人である。
噂では誰も勝てないとされ、どんどん金や大事なものを奪っていくという非道なことをして回っている。しかし、そのことを明かしていないので霊夢にとって特に問題とはされなかった。
単純に人気のあるアイドルがコンサートを開催しているだけの事なのである。
「さぁ、これからコンサートが始まるわね。」
「そうすれば、女苑も金が稼げるね。」
そう、この二人が最凶最悪の姉妹。