幻想郷では異常気象が続いていた。それは南側では冬のように寒くなっていて、紅魔館の辺りでは夏、妖怪の山では秋、そして博麗神社では春という四つの季節が同時に来ていた。それに合わせて少しだけ暴れている妖怪もいると言う。何が原因でこのようになったのかは不明であるがそれを突き止めようとする人が二人、この異変について嗅ぎ回っている人が一人、単純に力に憑かれたのが一人だけいた。そして全く関係ない人が一人。
人里の上空。
この場所では四つの季節の影響をもろに受ける場所となっていて単純に近づいたものはその寒さ、暑さにやられる場所となっていた。地獄とまではいかないにしても顕著に影響は受けている場所である事には間違いない。その中でアゲハチョウのような綺麗な羽を持つ妖精が舞っていた。頭には黄色の触覚を出していて氷のような水色の髪をさらさらと風に流していた。袖が羽根のように煌びやかな緑色の服装で下はそれよりも薄い緑色をしている。葉の表と裏と言うと分かりやすいかもしれない。靴は履いていない。
それに対峙しているのは黒い髪を後ろで赤いリボンで結んでいる博麗の巫女、博麗 霊夢だった。
「どしたのー?こんな所に巫女が現れるなんて。何か異変でも起きたのかな。私が力を貸してあげようかな?」」
「能天気な妖精だけはとても楽しそうなのよね。悪いけど妖精に力を借りるほど落ちぶれていないわよ。」
「なら、暴れようっと。行くよー。」
その人は触角から緑色の弾を射出する。弾幕として存在してからゆっくりとやって来る。その量は霊夢にとってみれば本当に遊びと言えるもので少しだけ手を抜いていたのかもしれない。
札の数は二。遠回しに訪れる時間差のある攻撃を相手は難なくクリアしていく。まるで愉快な子供たちの遊び。妖精と遊んでいるだけの単純なもので何処と無くそっけないものだった。誇張もなしに詰まらない猿芝居を見せられているようなもので霊夢にとって何か陥落したものがあった。それが何なのかは何もわからない。しかし、何かが失くなっていた。
「面倒なのよね。」
「何をー、行くよー。」
そう妖精は霊夢に勝とうと努力する。しかし、それはそう簡単には届かないもので呆気のないものですんなりと幕を閉じた。
札は三枚。それだけだった。一撃目に隠して二撃目を外させると止まった体に三撃目を浴びせる。とても簡単な仕事だった。いや、霊夢にとってちょっとした時間つぶしでしかなかった。
「こうさんー」
「面倒だわね。ちょっと強かったわね。」
「夏の熱気が私を狂わせるー!新世界の神にもなれそうな気分だよ。」
「妖精は簡単な思考回路で楽よねー。」
霊夢はそれからは何も攻撃は与えなかった。真犯人というわけでもなければ、ただの夏の熱気に当てられた妖精。叩きのめそうとも考えもしなかった。