神社と言ったがとても廃れていて何の有り難みの感じられない場所である。草は生い茂り、石には苔が付いている。きわめつけは賽銭箱に書いている文字が何か掠れていて全く読めない。そこには居るはずの博麗の巫女である霊夢さんの姿はおらず、代わりにある人がいた。金髪の少しだけ癖のある髪でサラサラとしている。黄色の着物で前掛けには北斗七星が描かれている。
「ようこそ、博麗神社へ。」
摩多羅 隠岐奈。その人は多くの名を持つ神であり、どうやら幻想郷を創り出したうちの一人であるらしいが怪しい、となるのが先だった。ここで会ったので二回目となる。
「此処は霊夢さんと紫さんの場所ですよ。後戸の国に戻ったらどうですか?」
「いやいや、今日はやることがあるからね。」
少しだけ低い声で話している隠岐奈さんは何処か不気味で何かを企んでいるように感じたがいつも通りと言えばそれで終わりなのかもしれない。それほどに僕の中では怪しいと思っている。
「何ですか?僕は今日はのんびりしようと思ったんですが。」
「出来るよ。私が誘ってあげる。」
刹那、器の小さい神の方向は僕の元へと届いた。緑色の弾幕を張り巡らせ、僕の周りを囲んだ。そして何か違うものが見えた。青色の線が放射状に現れる。前からは緑色のもの単純な弾幕がやって来るがその一方で多方面からは青色の線のようなものが飛び交う。
僕は特に弾幕なんてものは持っていない。スペカというものを使用して遊ぶものと聞いているが今は戦闘だ。何か閃いていればこの状況を打破できるのかもしれない。そう思うと何となくそのように感じた。
「何が目的ですか?」
「私に対する冒涜の返しだよ。」
「しょうもない理由ですね。」
「そうでもないさ。力をもっと持つと分かるよ。そんな真似をされた時の気持ちが。」
「それは中途半端に強い人がいいそうな言葉ですね。」
それに対して僕は気をつけないといけないな、と自分を律した。気をつけないとこうなる可能性があるのかと思うと何となく虚しく思えた、そう言っている自分が。
青色の線は僕の前で交差する。行動を止められた上で前から直線の軌道を描いている緑色の弾が現れる。それはしゃがんで避けた。あまり他ごとを考えている暇もないらしい。それだけは何となく理解できた。
「兎も角、私はお前の態度に腹が立っている。それを謝れば許してやらんことも無い。」
隠岐奈さんはそのように言いながら高圧的な態度で自分が合っているとさえ言うような言い方をしている。正義と悪なんて存在しないと端的に言えば教えられた僕にとっては自分が正義だ。信念を曲げるつもりはない。
「自分が正義だ。それを貫けないで生きているとは言えない。」
「ほぉ?言うではないか。私の力を見せてもそんな事が言えるか?」
僕には絶対に勝てないだろうが一矢報いるくらいではいるつもりだ。そうでもないと誰かに鼻で笑われる。後ろで静観をする人でもなく、目の前の人でもなく、何処かの世界で偉そうにしている奴には。
「言ってやりますよ。」
四方八方からも現れる青色の線のような弾は僕に当たらない程度になっていた。何故かと言えば、集中の持続時間を消耗させるためか、それとも油断をさせて後で思い切り叩くのか。それはどうであれ、何か嫌な予感はする。此処で、前に出たら良いのか、それとも此処でじりじりと燻らせ続けるのか、それともあの時の弾幕を再現してみようか。
「いい度胸だ。」
そう言った隠岐奈さんからは更なる弾幕が現れた。橙色の米粒のような小さな弾が連続で大量に現れた。そして、僕の方だけではない、狙いをつけていない弾幕だった。大量にばらまいて僕を追い詰めようとしているのだろうか。
僕は走り出して前へ前へと進む事にした。これぐらいでしか出てこれるわけがないと思えた。量は多く、速度もかなりあるがまだ見えないわけではない。左、右へステップを踏んで進んでいき、斬波を飛ばして応戦した。まだ防御でしか扱えないがその内攻撃に回せるほどの威力を出したいと思う。
相手も僕のことを見えていないといわけではないらしい。偶に飛んでくる流星のような青色の弾が僕の元へと来るが牽制程度であり、僕としては無視して先に進む事にした。別に問題があると言うことでもないし、そもそも見てもいなかった。
そしてたどり着いた。瞬時に現れる橙色の米粒のような弾をどのように攻略するかは問題となる。
「此処までくるとは愚の骨頂だよ。」
「僕には弾幕なんてものはありませんから。こうするしか無いんですよ。」
「そうかい。不便なものだね。」
その時に僕は斬波を飛ばしておいた。それで生まれた隙を使って僕はさらに隠岐奈さんの懐の中へと入り、剣を振るう。丸腰の相手、ではあるがそんなことは気にしていられなかった。
右腕を回して瞬時に斬りつけるがあまり斬ったという感触はなかった。その代わり、背後から狙われたように衝撃が訪れた。そして前には扉があり、僕は抵抗出来ずに入り込んでしまった。その時には気づかなかったがわざわざこうしたのはかなりの恨みを買っていたかららしい。殺さない、そして何処かへ置いていく。そんな事がしようなんて。