東方魔剣術少年   作:mZu

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第69話

赤い地面にボロボロの体で立ち続ける。その少年は明らかに挙動がおかしかった、いや、生物としてとても気になる。何が起ころうとしているのかもう何も言うようなことはない。

 

男はその事に関心しているのかそこから微動だにはしなかった。興味深いものを見つけて目が離れなくなり、ステンドガラスに顔を近づける子供かのように凝視続けている。何が可笑しいだなんて言う必要は何もない。

 

「お父さん、僕はこれで勝ちます。」

少年はボソリとしたもので自信というものを乗せた声を自身の体から出していた。その声はナイフのように鋭く、獣のように獰猛、そして覚悟を決めた潔い声だった。お父さんと呼ばれた男は自身の黒髪をかきあげていた。そして後ろで結んだ髪を少しだけ触れていた。

 

「お前はそこまで堕ちたか。どこまで勝ちたい。」

 

「禁忌に触れてでも僕はお父さんを倒す。」

少年は赤い地面を蹴り上げていた。言った瞬間、その行動に微動だにせず、ゆったりとした時間を過ごしている男はその言葉通り、微動だにしなかった。

 

少年は地面を滑りながら、左腕を右側へ腰を捻りながら振り切った。男は逆手持ちした状態で致命打を防ぐと右腕を伸ばしていた。休憩なんてものはない。隙を作らせない二人の戦いは速度のあるものだった。

 

男の右手の一突きを少年は振り切った剣の柄で受け止める。そして残った右腕で男に外側へ逃がし、下から上へと斬りあげる。

 

男は半身になりながらその一撃を避ける。

 

一突きを浴びせた刀を軸に回転を加えた男はその場から逃げる。そこから後ろへと回り、その場から姿を消した。最早追いかけっこをしているかのようだ。

 

少年は後ろを振り向く。そして逆手持ちに切り替えた右腕を無意識に後ろへ突き刺す。金属音が鳴る。

 

順手持ちに切り替えながら後ろを振り向いた瞬間に少年の左側を狙った一撃。反応して後ろへ向かいながら一回転。その時に牽制用に剣を振る。

 

二人はそのまま視線を交換しあった。その調子で何ともなさそうにしていたが最早どうしようもないと思える。

 

男が両側から刀を斜めに振り下ろした。少年はそれに反応して止める。そして瞬時に右脚を上げて下からの一撃を止める。そして両者が伸ばした。少年は転び、男は軽く払っただけだった。

 

男は地面に寝ているのを強引に起こすかのように地面ごと蹴り上げる。少年は転がって避けたがもう一撃は素早くやってきた。二刀による押し付け一撃をした後でフェイントとばかりに右脚で少年の顎を蹴る。何故、そこまでしようとするのかは分かったものではないがもうやるしかなかった。

 

少年は確実に受けた。その代わり、受けているだけでは終わらせなかった。下半身を起き上がらせて男の脚と交差させるように自分の脚を振り上げた。

 

しかし、男も素早く反応する。上がってきた脚を強引に地面に打ち付けるとそのまま回し蹴りを少年の頭部に当てる。少年はとても痛そうにしている。そして転がり回ることしかしなかった。少年が立ち上がろうとしたところで男が刀を振ってそれを阻止する。

 

少年は地面に寝転びながらもなんとか避けているが段々とおいつめらているのは言うでもなかった。明らかな不利な対面で少年は時間だけを無駄にした事をし続けた。いつ、これは終わるのだろうか、そんなことは聞くまでもなかった。あまりにも絶望的な状況に外から声が聞こえる。

 

男は地面すれすれを通した振り子のように放った右足の蹴りを瞬時に諦めた。少年は左手を逆手持ちにして男の脚の軌道の前に障害物として設置した。そこから起死回生の一撃を放とうと右脚で蹴り出して左脚で更に加速をつける。男の足元をすくい取ろうとしたがまるで分かっていたかのように避けた。少年は一旦楕円状に逃げてから立ち上がり、その場からの勢いを使って飛びかかりながら両腕を思い切り振り落とす。その速さ、力はここまでて一番なのかもしれない。男は自分の前で刀を交差させて受け止めた。だが、あまりにも時間が短かったのか、その刀は相手の力で落ちていた。少年はその勢いのまま男に飛びかかっていた。しかし、相手が逃げたこともあり、少し距離が長かったのか、少年は少しだけ奇妙な位置であった。

 

男は少年の渾身の一撃を止めていたがそれは間違いだった。もう危害が食らわない位置で刀を持つ手の力を思い切り抜いた。それは刀が弾かれそうになるほどで男の手の周りを回っていた。

 

しかし、男はその力を利用して逆手持ちにして地面に突き刺す勢いで振り下ろした。そして股下を通していた。

 

少年は顔面から地面に打ち付けられる。そこからピクリとも動かなかった。肩からは大量の血を出している。最早生きていると聞く必要もなくなる程、なのだろう。そして、そんな少年の様子を見て男は刀を手の中から落とした。その震える手で膝の上に置いて地面に伏せないようにしていた。

 

「二人、此奴を永遠亭まで運べ。まだ、間に合う。」

男はこちらへと向かっていた二人にそう言った。視線を向けるようなことはしなかったが雰囲気からその緊急性は理解したらしく、二人で傷の部分に触れることのないように運ぼうとしていた。

 

「大分、強かったな。」

 

「ああ。」

男は苦悶の表情で、話しかけていた人の目を見ていた。】

 

迷いの竹林と呼ばれている幻想郷の南側にある場所がある。その場所には永遠亭というとても腕の立つ医者のいる診療所があるのだが、行くまでの道のりはとても険しく、普通は行こうともしなかった。しかし、その中を必死の思いで駆け抜けていく二人がいた。その二人はサイドを長髪にしたショートの髪型をしている同じような烏帽子を被り、色の異なる一瞬見ただけでは見分けの付きにくい服装をしている。舞さん、里乃さんと今運んでいる少年には呼ばれる人だ。肩と上半身の前に傷を負ったその人はぐったりとした様子でいた。

 

 

「先生、この人を見てあげて欲しいの。」

放り込むような勢いで見せているがそうされた本人はかなり驚いて目を点にしていた。銀色の髪を三つ編みにしているが腰のあたりの長さまである。赤と後のツートンカラーが特徴的な服装をしていてスカートの部分には星座が描かれている。

 

「かなりの重症ね。」

 

「分かったわ。二人は外で待ってなさい。」

しかし、その女医は冷静になり、冷たく聞こえるその態度のまま自分の部屋へと入った。

 

「不安だね。」

 

「バーカ。」

 

「不謹慎だよ。」

 

「ご主人が無理しなければ僕はこうならなかったのに。」

 

「仕方ないよ、うん。」

 

「励ましになってない。」

 

「もう辞めうよ、これ。」

 

「うん、分かった。」

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