東方魔剣術少年   作:mZu

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第82話

 それから僕はパチュリーさんに背負ってフランさんと美鈴さんに紅魔館を任せる事にした。それなりに回るのだろうと思っている。

 

 その時のフランさんは寂しそうで不安そうだったがあえて僕からは声をかけようとはしなかった。時には厳しくすることも必要だと言いたいわけではないがかけない方が良さそうだと思えた。

 

「師匠、連れて来ましたよ」

 鈴仙さんは少し疲労気味に永琳さんのことを呼んでいた。鈴仙さんは永琳さんの助手としてその腕を日々学んでいる。その一環で人里に薬を売っていたりする。その他に助手として実験台としての役割もあるのだが、真意は闇の中だ。

 

「早く寝かせてあげなさい」

 永琳さんは冷たい声で指令を出していた。いきなり患者が増えているのでそれはてんてこ舞いなのだろう。紅魔館からは二人の患者が増えていた。そして僕達とすれ違う形で人里から二人の患者が連れてこられた。計五人の患者を診ている事になるがそれでも弱音を吐こうなんて事は考えていないらしく、とても疲れているのだろうがそれを見せようとはしなかった。

 

「人里でも一人が同じような傷はあるわ。それと何方も失血している。でも、傷口はとても綺麗なのよ。それと何か毒という可能性もなかったわ。そちらは何かわかった事はあるかしら?」

 永琳さんは記録を取りながら僕に質問して来た。鈴仙さんは万能血という擬似的な血液を入れたパックをそれぞれの人に針を通して入れていた。僕はそれを横目に永琳さんの質問に答えた。

 

「レミリアさんが手足も出ずに傷を負っていました。ですが、部屋は何も汚れていませんでした。もしかすると何かを求めていた可能性があります」

 

「どのような状況だったか、それだけ説明してもらえるかしら?」

 

「部屋は不自然に距離のある椅子以外は何も異常はなかったです。本当にこの部屋の状況と同じでしょうね。患者が居てとても忙しそうに鈴仙がしています」

 

「まぁ、そういう例えもあるわね」

 永琳さんはまさかの例え方に笑いを堪えられないようで口元を隠して笑っていた。失礼だと思う気持ちより少し気恥ずかしいという方が大きかった。

 

「それともう一人。パチュリーさんのいる図書館でも荒らされた形跡はありませんでした」

 

「そうね。そうなると厄介な事になったわね」

 僕でも分かるように深く考えていた。それだけ凶悪な存在が現れたとなれば管理者なり巫女が黙っていないとは思うが流石に難しいと考える。あれだけ綺麗な紅魔館で四人の被害が出ている。この幻想郷にとってかなり影響のありそうな気はしている。

 

「被害は大きくなりそうですね」

 

「それも確かに言えるけどそれ以上に問題になることがあるのよ」

 

「それは?」

 僕は聞いた。

 

「対応が出来なくなるわ」

 模造血の備品が無くなるのだろうと思ったがそれよりもかなり体力を削られた状態で連れられてくるので永琳さんの薬が効くのが賭けになる。後者は永琳さんから直接聞いた話だ。確かに前者のことが起こり、後者でしか対応できなくなった時、それは匙を投げる事を意味しているのかもしれない。

 

「それは困ります」

 

「だからこそ、早く解決しないと見殺しになる事になるわよ」

 永琳さんの表情は鬼気迫るものだった。ただしそれは脅しでも何でもなく当たり前の事だった。それは何も知らない僕でも分かる。

 

「何とかしないといけないわけですね」

 

「だからこそ、これは早く終わらせないといけないわ」

 永琳さんはそう言って鈴仙さんの手伝いに回った。僕は近くで物の出し入れを行っている時に聞いた話では人里から連れてくる時に脚を捻ったらしい。向かっているついでで診てもらっているらしい。

 最初に起きたのはレミリアさんだった。やはり種族の違いがそのような事を起こしていると思う。起きてから状況が分かっていなかったが長く主人として居たからか、慌てる事なく冷静だった。

 

「こんばんは、いやおはようございます。何方でしょうね」

 僕は声をかける事にした。見ている限り、何か気になる点はないので多分大丈夫だと思う。

 

「ヒカル、何か久しく感じるわね。それで私はどうなっていたのかしら?」

 

「血を抜かれていて自室で倒れていたのを僕が助けました。他に咲夜さんとパチュリーさんも別室で休んでみますよ」

 

「それで私はここに居るのね。大体状況は理解できたわ」

 レミリアさんは少しだけ気分を悪くしているようで機嫌が悪そうだった。仕方がないと思うがそれで済む話でもない。

 

「それで何があったんですか?」

 

「私はいつも通り紅茶を飲んでたわ」

 いつも通りの過ごし方だ。それまではテーブルの上をよくみていればよく分かった。

 

「その時に、小さな吸血鬼が現れたのよ。それで私は椅子を蹴り飛ばしながら立ち上がったのよ。そうしたら食べられていたわ。多分だけど血を狙っていたわね」

 レミリアさんは意外にも丁寧に教えてくれた。僕が考えるに相当の手練れであるのは間違いない。そして血を狙った目的だが、まだ本調子ではないのだろうと思う。

 

「姿はどんな感じでしたか?」

 僕は質問をレミリアさんに投げてみた。少しだけ遅れて返答が返って来た。

 

「白い肌、はだけた黒色のドレス。瞳の色は青色だったかしら?忘れたわ。そして私と同じ大きさだったわ」

 レミリアさんは断片的な情報だけ残して疲れたのか横になった。そこで僕もしばらくも取れそうにない事を伝えてお暇する事にした。

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