IF日本国召喚~憲法改正後の日本が転移しました 作:RIM-156 SM-2ER
バタタタタ
空気を叩く音がギムの町に響き渡る。中世的な街並みに迷彩柄のヘリコプターが降り立つというのは何ともシュールな光景だった。避難民の第3陣がCH-1Aキャリアー大型輸送ヘリコプターやMV-22オスプレイに乗り込んでいく。乗せられる限界まで人を乗せるとヘリ部隊は上昇し後方のエジェイに向けて飛んでいく。
茂木が飛びゆくヘリコプターを眺めていると副官が小走りに近寄ってくる。
「旅団長!敵別働隊をここより北方5km地点と南方6km地点に確認しました。それと第1空母打撃艦隊から近隣の集落からの住人の避難は間もなく完了するとの事です」
「そうか・・・・。事前計画通りに1個戦車小隊と1個歩兵大隊を配備した迎撃部隊を北と南に配置し偵察中隊は西方の警戒を、残る部隊は遊撃部隊として敵のかく乱だ!いいな?」
「はい」
副官は司令部に戻り、迎撃配備の指令をだした。
この命令を受け第3即応歩兵連隊所属の2個歩兵大隊は即応戦車中隊所属の2個戦車小隊と合流しそれぞれ敵別働隊がくるであろう北と西に配備される。第3強襲偵察中隊の歩兵3個小隊と装甲車両1個小隊、バイク1個小隊の計5個小隊はロウリアとの国境線である西方の監視を開始。1個歩兵大隊と1個戦車小隊、2個装輪装甲戦闘車小隊は遊撃部隊として必要な時にすぐさま出撃が出来るように警戒をしていた。防空砲兵大隊近距離防空中隊所属の2個自走高射機関砲小隊は周囲にワイバーンの脅威がないことから二手に分かれて、北と南の防衛部隊に参加した。
日本側の準備はついに整った。
――――――
戦闘開始は日本側が配置を完了してから約1時間ほどしてからであった。高い錬度をうかがわせる綺麗な隊列を組んだロウリア王国軍の2つの別動隊はほぼ同じ時刻に誇らしげにギムに向かって行進を始めた。クワ・トイネ公国軍ならばその綺麗な隊列と兵士の数を見ただけでおそれおののき、有効な攻撃もできただろう。
だが残念なことに日本側からしてみれば綺麗な隊列で固まって動く軍隊など的以外の何物でもなかった。そうとは知らないロウリア王国軍はどんどんとギムに近づいてくる。
クワ・トイネ公国軍が討って出てくる気配も見せないことにロウリア王国軍の兵士たちの心の中にはちょっとした安堵感が生まれる。
だがその安堵は瞬時にして失われることとなった。
「敵が1km地点を切った!戦車小隊は機関銃・主砲の準備!!」
ギム西方を守る、4台の31式戦車の主砲である55口径130mm戦車砲に31式翼安定榴弾*1が装填される*2。
砲手が砲弾が装填されたことを確認すると砲塔旋回装置を操作して迫りくるロウリア軍に照準を合わせる。
「撃てぇええええ!」
戦車小隊長はインカムを使って号令を出した。その瞬間4台の戦車の砲手は主砲の引き金を引いた。
ドォオオンドォオオンドォオオンドォオオン
4発の翼安定榴弾はロウリア王国軍の隊列のど真ん中に命中した。
ドカァアンドカァアンドカァアンドカァアン
500ポンド無誘導爆弾まで及ばないもののそれなりの威力を持つ130mm榴弾は近くにいた兵士を殺傷していく。砲弾の外殻の破片や中に仕込まれていたワイヤーが爆風によって飛ばされ近くにいた兵士の肉を切り裂く。
のどや胸、頭などに破片が刺さったり、爆発で即死したものは幸せだろう。少なくとも自身の体に破片が刺さり取れない苦しみを味合わずに済むのだから。
「ギャァアア!痛い!痛い!」
「何だ!なんかが刺さってる!!とってくれぇえええ!」
そんなロウリア王国軍の惨劇を気にせず、31式戦車はさらに榴弾を撃ちこんでいく。2秒に1回というペースで放たれる榴弾は隊列のいたるところに着弾し、死傷者を量産する。
「くっ!!突撃だ!!ココにたむろしていてもやられるだけだ!速さでかく乱するんだ!!」
南方攻略隊の指揮官ジューンフィルアはそう指示をだす。その指示をきいて、騎兵隊が全速力で駆けてゆく、敵の攻撃かく乱するためだ。爆裂魔法も高速で移動する騎兵にはなかなか当たらないと考えていた。ジューンフィルアはそのわずかな望みにかけることにした。
だが日本国国防陸軍はそのわずかな希望をも容赦なく叩き潰す。騎兵隊がギムまで500mまで迫った時だった。
タタタタタタ
軽い破裂音とともに多数の曳光弾がロウリア王国軍騎馬隊に殺到する。6.8㎜*3、7.62㎜、8.58mm弾*412,7㎜ありとあらゆる銃から放たれるさまざまな弾丸は騎兵が装備していた金属鎧を貫通し、体内に侵入すると内臓や骨、血管を傷つけ、かき回して騎兵を死に至らしめてゆく。
「ぐぼぉぁっ!」
「グフッ・・・・・!」
ロウリア王国軍は知らないだろうが歩兵や騎兵が防御陣地に突っ込んでくるときに何が一番防御に最適かというと機関銃を大量に運用し弾幕を張ることである。地球上においては機関銃の存在が騎兵という兵科を終わらせたといえることからもわかる通り、騎兵にとって機関銃は天敵なのだ*5
「な、なんなんだ!奴らは!」
ジューンフィルアは悪態をつく。事前の斥候の情報などからこの陣地を守る敵はたった600ほどだと知っていた。1万もの大軍で襲い掛かればアッという間に全滅させられるのではないかと敵の防御兵力の少なさに哀れみすら抱いた。だがふたを開けてみれば騎兵は穴だらけにされ歩兵が吹き飛ぶ。そんな悪夢のような光景が目の前に広がっていた。いまだに9000ほどの味方が残ってはいるがそれは隊列の後ろの方にいてギムに突撃していないからである。ギムに突撃すればあの光弾に貫かれあっという間に壊滅してしまうことは目に見えていた。すでに前線部隊の士気は最悪で隊列を抜けて勝手に離脱するものもちらほらいる。
たった600の敵に負けたという事実にジューンフィルアは歯噛みするが無作為に兵を死なせるわけにもいかず、苦々しい面持ちで口を開いた。
「・・・・・撤退だ・・・・・」
後方の部隊である7500ほどはまだ無事であり、指揮命令系統が生きていることからジューンフィルアの指示がきちんと届きまとまって撤退ができた。
だが前線の部隊の残り1500は指揮命令系統がすでに壊滅状態であり、あるものは勇気を振り絞り近くにいたどこの部隊の所属とも知れない兵士とともに突撃し機銃弾に貫かれ、あるものは一人か近くで生き残ってた味方と散り散りになって逃亡し、あるものは発狂して近くにいた兵士を刺し殺し直後に飛んできた機銃弾に貫かれる
ロウリア王国軍クワ・トイネ侵攻軍先遣隊ギム攻略西方別動隊は2500もの兵士を失い撤退した。
―――――――
そのころ北方でも似たような光景が繰り広げられていた。
飛んできた榴弾に吹き飛ばされ、NATO弾に貫かれる。溶けるように兵士が減っていく。
「くっ!!これでは・・・・・・」
アデムは前線から少し離れた後方で吹き飛ばされてゆく味方を見ながら悪態をつく。すでに2000ほどの兵が死んでいる。戦闘開始から30分もたっていない。
重装歩兵に敵がくぎ付けになっているすきに横から奇襲する作戦だったが、重装歩兵部隊は早くも壊滅してしまいひそかに出発し念には念を入れて大きく迂回していたにも関わらず敵に別動隊のことがばれてしまっており、奇襲作戦は破綻していた。
その時、アデムのもとに伝令兵がやってくる。
「アデム様!!南方攻略別動隊のジューンフィルア隊が撤退を始めました!!」
「なっ、なにぃ!!」
勝手に撤退を始めたという報告を聞いてアデムは一瞬頭に血が上ったが、すぐに考え込んで思考回路を変えた。
一回撤退して崩れかけた隊列を立て直し、改めて作戦を練り直す必要があると思った。そして伝令兵に伝えた。
「我々も撤退を始める!!後方でジューンフィルア隊と合流し再度作戦を練り直す」
「了解!」
アデムたちもついに撤退を始めた。やはり撤退の様子はジューンフィルア達と似たようなもので前線部隊は崩壊し、後方だけがなんとかまとまって撤退が出来た。
――――――
「敵、北方部隊撤退開始しました!全軍引き上げていきます」
双眼鏡で敵の様子を眺めていた参謀は、横にいた茂木にそう報告をした。茂木も双眼鏡から目を離すと重々しく頷いた。
「今のうちに各部隊は負傷者の搬送と武器弾薬の補充をすましておけ」
「はい」
通信兵が茂木の指示を伝えるべく走り出し、その後ろ姿が見えなくなると参謀は小さな声で茂木に話しかける。
「旅団長。さすがにもう連中も懲りたのでは?本隊の合流まで侵攻を行わないかもしれません」
「そうだな・・・。確かにその可能性もある。だがたぶん敵はまた来る。今度のは今までの2回の戦闘よりも激しくなるだろう。偵察部隊と防空部隊を3つに分けて、ギムの前方、北方、西方に配備しておけ。ドローンや偵察機を使って敵の動向を把握しろ!主力の戦車と歩兵部隊はギム中央でいつでも出撃できるように準備しておくんだ。いいな!」
「はっ」
この後、茂木の予想は的中することになる。
いかがでしたでしょうか?
ギム防衛戦、長い・・・・・。自分でまいた種だけれども、書くの嫌になるぐらい長い・・・・・。でも、終わりは見えてきた!たぶん23話でギム防衛戦終了だと思います!
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております
ではまた次回。さようならぁ
次回 第17話 ギム防衛戦(慢心)
お楽しみに
日本が転移した時に海外にいた日本人はどうしよう?
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いつの間にか日本に現れている。
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取り残されてしまう。