IF日本国召喚~憲法改正後の日本が転移しました 作:RIM-156 SM-2ER
この話の日本は原作みたいに犠牲者0、超強いみたいなことはしません。軍人だって人間ですから油断もします。接近戦になれば死者も出ます。どんなに技術格差があっても犠牲0は難しい。まぁ、法律も条約もルールもくそくらえと言わんばかりに核乱打でもすれば別物ですが・・・・・。
では本編どうぞ
「アデム様!」
撤退を終えたアデムの元に一人の男が駆け寄ってくる。南方攻略部隊の指揮を執っていたジューンフィルアであった。彼は、アデムの性格から勝手に撤退の指示を出した自分が殺されると考えており、その顔はとても青ざめていた。震える声で恐る恐る喋り始めた。
「勝手に撤退の判断を下してしまい、申し訳ありませんでした」
チャキ、という金属のすれる音を聞いてジューンフィルアは自分が殺されると思い顔を青ざめさせる。逃げようと思ってもその恐ろしさの余り足がすくんで動けなかった。
だがアデムは彼の予想外の行動に出た。
「いや、むしろ撤退してくれたおかげで素早い合流が出来た礼を言おう」
金属のすれる音を鳴らしながら彼は馬から降りる。先ほどの音は剣を抜く音ではなく馬から降りようとした時に鞍と鎧がこすれる音だったらしい。
アデムの予想外の行動にジューンフィルアはぽかんとしてしまう。
「すぐに軍議を開く!」
「は、はっ!」
ジューンフィルアはアデムの声ではっとするとアデムについていく。
10分ほどで再び指揮官が集まってきたが、作戦前と比べるとその顔触れは明らかに減っており、指揮官の顔も疲労に染まっていた。
「さて、どうするかだ。ギムをどう攻略をする?」
「本隊の到着を待っての攻略をするべきだ」
「いやっ!敵は撤退の準備を始めているらしい!本隊の到着を待っていれば逃げられてしまう。勝ち逃げなど許さない」
「では、どう攻略するのだ?敵は恐ろしい魔導兵器を持っているぞ!!」
すると騎兵隊の隊長が声を上げた。
「我々騎兵隊が囮となって敵主力をひきつけているすきに、ギム後方から全軍で突撃、攻略するべきだと考えます」
するとジューンフィルアは反対の声を上げた。
「攻略するとなると残った兵士の8から9割は必要だ!!分散していてはあの魔導兵器で各個撃破されるからな。だが残った部隊の囮では敵主力の誘因は不可能だ!!」
すると騎兵隊長は不敵な笑みを浮かべる。
「いえ。霧を使えば出来ます」
「霧?」
ジューンフィルアの声に騎兵隊長はコクリと頷いた。
「はっ。この時期この近辺は朝は冷え込みます。加えて近くを流れているキノエ川から霧が発生します。ココ1週間は毎日のように霧が発生しています。恐らく明日の早朝も発生するでしょう。そして霧にまぎれ旗を大量に立てて進軍を開始すれば敵は我々を主力と誤認するはず。そして敵主力を誘引したところで全軍で攻撃します」
「なるほど……だが森を抜けて後方に回るのは出来ないのか?そちらの方が効果があろう?」
アデムがそう聞くと、代わりにジューンフィルアが報告をした。
「実は先の戦闘の後、敗残兵の一部がギムの後方に回ろうとしたのですが、森を抜けた瞬間に爆裂魔法を受けたようです」
敗残兵を襲ったのは開戦前に国防陸軍工兵隊がギム後方に回り込まれないように設置した、不活性化機能ならびに自爆装置付きの対人地雷とクレイモアであった。一部の部隊が見張りに立っており、ロウリア王国軍が回り込もうとしてきたらクレイモアを起爆する算段であった。今回は敗残兵が十数人程度だったので対人地雷と狙撃銃で対処したが、本隊が回り込もうとしてきたらそれらのクレイモアによって無視できない損害を受けることになるだろう。
「つまり後方に抜けようとするのは危険なのだな?」
「はい」
ジューンフィルアの返事を聞いてアデムは少し考え込む。そして暫くして口を開いた。
「よかろう!この作戦を採用する。明日は早い!早めに寝ておけ」
「「「「はっ!」」」」
ついにギム撤退戦の中で最も激戦だったギム二日目の戦闘が開始されようとしていた。
―――――
翌日。騎兵隊長の読みが当たりギム周辺は深い霧に包まれた。夜のうちから個人用の暗視装置などで周囲を監視していたが夜間からの低い気温のせいで電圧が下がってしまい、モイジが「霧はすぐに晴れるでしょう」といったこともあり、第3遊撃旅団の兵士たちは裸眼での監視を行っていた。だがモイジの予想に反し、当日が曇りであったことが災いし霧は1時間たっても濃いままであった。茂木もさすがにまずいと判断し赤外線カメラの使用を命じたが、起伏の激しい地形やところどころにある岩などの障害物のせいで監視能力がダウンしていた。
「さすがに昨日の戦闘で懲りたんじゃないのか?」
国防陸軍の兵士の一人が戦闘糧食のカレーを食べながら同僚に話しかけた。
「確かにな。このまま撤退完了まで何もないかもしれないな。何せ中世対現代だ。目をつむっていても勝てるさ」
そう圧倒的技術格差という安心感も彼らの慢心に拍車をかける事態となっていた。さらに1時間ほどたってようやく気温が上昇し始め、霧も徐々に晴れてきた。茂木はその事実を踏まえて赤外線カメラの使用をやめさせた。ギムは電気が通っていないために発電車や畜電車などから電子機器の電力を賄っているのだが、現代では戦車や装甲車などの車両にも電力は必要で、曇っているせいで太陽光発電もできず発電用燃料も少なくなってきており、低い気温のせいで畜電車の電圧も下がっているためなるべく電気を使いたくなかったのだ。霧ももうすぐ晴れるだろうという慢心もあり赤外線カメラの使用をやめてしまった。
だがそれが辛い辛い撤退戦の引き金となった。
「……ん?」
一人の兵士が霧の中に何やら動く影を見つける。彼はそばにあった双眼鏡を手にとって影の正体が何なのか確かめた。
そして彼は見た。霧の狭間に無数のロウリア王国軍旗が並んでいるのを、そしてゆっくりとそれでいて確実にギムに向かってくる様子を見たのだ。彼はすぐさま胸についている個人用無線機の受話器を手にとり、プレストークボタンを押しこむと叫んだ。
「ギム西方より敵襲!!!かなりの数だ!!増援をもとむ!!」
軍旗というのは中世の軍隊だとある程度の数の部隊に一つあるものでその部隊がどこの所属なのか、部隊の指揮官がどこにいるのかを表すものだった。
それが無数に立っているのだから敵軍の総攻撃だと認識したのだ。それは司令部も同じだった。
「くっ、やはり総攻撃か!各個撃破されないようにまとまった方向からある程度散開しながら来るつもりだ!数が数だけに中途半端な戦力では防ぎきれない!」
「待機中の遊撃部隊に連絡しろ!ギム西方に急行し敵の侵攻を食い止めろと!いそげ!」
「はい!」
戦闘開始と同時に司令部はあわただしく動き始める。茂木は近くにいた参謀に問いかけた。
「住人の避難は?」
「はっ。輸送大型ヘリ6機、オスプレイ10機、汎用ヘリ6機の昼夜問わずの輸送作戦のおかげで、残り人数6800人ほどです」
ギムからエジェイまではヘリの巡航速度で往復30分ほどオスプレイだと15分だ。ヘリに乗る住人に必要最低限以外の荷物を全て捨てさせぎゅうぎゅうになるまで押し込んだ場合に1度の往復で輸送できる人数は380名である。オスプレイはその間2往復でき1往復で450名を輸送可能なので、ヘリ部隊が1往復している間に900名が輸送可能である。途中の燃料補給なども考えても6800という人数は少ないと言えた。
「撤退完了まであと何時間かかる?」
「はい。住人の撤退が終わった後はクワ・トイネ公国軍の兵士もヘリに載せて撤退させなければなりませんから民間人の避難完了まで後4時間。我々の撤退開始までは6時間、撤退完了までは7時間かかります」
撤退完了は第3遊撃旅団が陸路でこのギムから完全に撤退するまでの時間だった。民間人避難完了までの4時間。クワ・トイネ公国軍は戦えるので最悪取り残されてもよいと考えると彼らは後4時間の時間を稼ぐ必要があった。
4時間程度なら圧倒的技術格差を持ってすれば耐え忍ぶことが出来る。日本側にはそんな気持ちが芽生えていた。
いかがでしたでしょうか?
ギム撤退戦。何とか23話で書き上げた・・・・。読み返してみてもなげぇ・・・・。ちょくちょく出していきます。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回、さようならぁ。
次回 第18話 ギム撤退戦(最後の最初)
お楽しみに
日本が転移した時に海外にいた日本人はどうしよう?
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いつの間にか日本に現れている。
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取り残されてしまう。