IF日本国召喚~憲法改正後の日本が転移しました 作:RIM-156 SM-2ER
すいません。投稿をすっかり忘れて、CODにはまっていました。どうかご容赦くださいませ。
それとだいぶ前にですが「話のペースが遅い」とご指摘をいただきました。私も誠心誠意、話を何とか短くできるように努力させていただきますが、なにとぞ大目に見て頂けるとありがたいです。
では本編どうぞ。
キィイイイン
高く響き渡るエンジン音。
洋上に浮かぶ一隻の
2機のF/A-3Bには
「第3遊撃旅団の救援任務。敵さんもなかなか賢いみたいね・・・・・。運にも味方されたようだけど」
艦橋から4機を眺めていた音羽はぽつりとそう呟いた。
霧にまぎれて囮部隊を出し、主力と誤認させ第3遊撃旅団主力部隊を誘引した後に別方向からの総攻撃。言うのは簡単だがやるのはなかなか難しい。成功したのは第3遊撃旅団のみならず日本国国防軍全体が圧倒的技術格差によって油断していたという幸運に恵まれたからだ。
油断していなければ上空からドローンや航空機による偵察を徹底させただろうし、第3遊撃旅団も霧が完全に晴れるまでは赤外線カメラを使って敵兵の状況を監視していただろう。
どんなに圧倒的であっても油断してはいけない。この戦いから得られた教訓と言えた。
「何がともあれ、民間人には絶対被害を出さないこと。これは出撃するパイロットにも厳命しておいて」
「はい」
横にいた航空団司令が音羽の指示を快諾した。
その時、出撃する予定のパイロット4名が出てきて自身の乗機に乗り込んだ。周りにいた整備士はミサイルの安全ピンを抜いてパイロットに見せる。
キャノピーが閉められ、パイロットは計器を見て機体に異常がないことを確認した。
エンジンの出力があがり、エンジンから噴き出る炎の勢いが目に見えて増した。そして次の瞬間、電磁カタパルトによって機体が撃ちだされた。カタパルトの恩恵で瞬時に離陸可能速度まで加速する機体は大空へと飛び立った。
――――――
「いけぇ!いけぇ!ここを乗り越えギムに乗り込むのだ!!」
南方では未だに死闘が繰り広げられていた。
偵察警戒車の主砲の30mm機関砲は既に弾切れで、南方警戒隊はアサルトライフルと対空戦車の40mm機関砲で何とか戦っていたが、自走高射機関砲の40mm機関砲もアサルトライフルも弾切れが近い。
早く増援が来なければ撤退するしか道はなかった。
「くそっ!!増援はまだなのか!!もう撤退するしかないぞ!!」
ロウリア軍は既に3000人近い戦死者が出ていたが圧倒的数で攻めているため、一向に減る気配が見えない。
南方警戒隊の指揮を執っていた中尉は撤退を考え始めていたその時だった。
「中尉!!総司令部よりです!!3個戦車中隊を基幹とする増援部隊が後5分で到着するとの事です!!」
「増援?それは本当か!?」
「間違いありません!」
戦車を基幹とする増援部隊。撤退を考えていた中尉、いや南方警戒隊の全員に希望の光が見え始めた。
「ならば後5分は持ちこたえるぞ!5分後、増援部隊が到着したらここの防衛を引き継ぎ我が隊は撤退すると司令部に伝えておけ」
「了解です!」
南方警戒隊約100名はなにがなんでもココを守り通す覚悟を決めた。
――――――
「
空爆に向かっているのは昨日の部隊とは違う
編隊長のヴェクター4-1の機長は上空10000メートルで監視活動にあたっている早期警戒機にギム上空の航空機の有無を尋ねた。いくら技術格差があるといってもワイバーンがいれば精密爆撃に影響が出る可能性もあるからだ。
『ディスイズビーグル3。ギム上空にボギーなし。安心してプレゼントを渡せるぞ』
「安心した。ではプレゼントを宅配するとしよう」
『それと、ギム上空に着いたら地上部隊から指示がある。チャンネル4に合わせておけ』
「ラジャー」
早期警戒機の管制官の答えに編隊長は軽口をたたいたが、最後の指示は友軍に対して爆弾を投下しないようにする重要なものだった。目標地点であるギムはもうすぐだった。
高度5000mからの市街地で集結している敵軍の上空に爆弾を落とし、下にいる第3遊撃旅団を援護するのが彼らの任務だ。
「ヴェクターフォースツー。
『ラジャー』
F/A-3Bの機体下部に搭載されている電子式光学照準システムの電源が入れられ、地上の熱源がはっきりとディスプレイに映し出された。映像はまるで白黒映像のようだった。映し出されるギムの町並み。ところどころでワイバーンの火炎弾攻撃で発生したと思われる火の熱源反応が白くくっきりと映し出されていた。
『ヴェクターフォースワン。
2番機が地上で戦っている第3遊撃旅団とロウリア王国軍らしき熱源を捉えた。2番機とデータを共有しているため、1番機にも映像が送られてくる。
動目標はおもに4つのグループに分かれ、1つ目のグループは戦車を伴っており市街地の外を南に進んでおり、2つ目のグループは市街地の入口あたりで槍などを構えた軍団と装甲車部隊が攻防戦を繰り広げていたが、槍を持った兵士がちらほらと町に侵入していた。3つ目のグループは装甲車を伴っており、装甲車の上や周りには銃器を持った歩兵らしき影も見えた。4つ目は少し広めの広場のような所に集まっており、何も持たない民間人らしき影と銃や無反動砲を持った兵士が伏せ撃ちの状態で5つ目のグループと戦っているのが分かる。最後のグループは1000人ほどで槍や剣で武装しており、広場に侵入しようと数に物を言わせてじわじわと進んでいた。
最後の確認をとるために地上部隊に連絡を取った。
「此方、第1空母打撃艦隊所属第112戦闘攻撃隊。現在ギム上空。爆撃目標の指示をくれ。オーバー」
『・・・・・こちら第3遊撃旅団。増援感謝する。爆撃目標は市街地に侵入している敵軍だ。誤爆を避けるために友軍部隊からは閃光信号弾を発射させる。そちらで確認できるか?オーバー』
「閃光信号弾を友軍から発射させるんだな?了解した。確認しだい敵軍に爆撃する。オーバー」
『よろしく頼んだ。アウト』
地上の第3遊撃旅団司令部に所属する前線航空管制官との通信を終えると2機のガンナーは地上から放たれるであろう閃光信号弾を待っていた。
本来ならGPSなどを使って座標を送信し、敵座標に爆弾を誘導してもらうのだがこの世界に来てGPS衛星が消えてしまったため、このような原始的な方法をとるしかなかったのだ。
「!閃光信号弾を確認!
市街地にいる3つのグループの内2つのグループから閃光信号弾が放たれた。
爆撃目標を確定させた2機のガンナーは敵軍にレーザー波を照射する。2機は爆弾を投下し、確実に誘導するため一旦旋回し、エアブレーキを開いて速度を落とした。
「
2機のF/A-3Bから合計26発の爆弾が投下された。
投下された爆弾は搭載するセンサーのみで自身の位置や速度を把握し、まっすぐ落ちてゆく。高度2000mほどでエアブレーキを開き速度を調整するとレーザーシーカーを起動させ、投下母機である2機から照射されたレーダー波の反射反応を頼りに目標に向かっていく。
ヒュウという風を切る音とともに24発の爆弾はどんどん地面に近づいてゆく。そして爆弾が市街地に侵入していたロウリア王国兵1000名の近くに着弾し、弾頭信管が起爆した。
ドォオオオオン
弾頭信管の爆発によって本体に詰め込まれている87kgもの高性能軍用爆薬も起爆し、合計2.2tにも及ぶ爆薬の爆発がロウリア軍に襲いかかった。
大半のロウリア兵は近くに爆弾が着弾したことで破片や爆風で即死した。辺りには人間の体の一部や肉片が飛び散り、建物は半径200m圏内は全壊した。
「よし!!ついでに大軍に襲われている友軍も援護するぞ!爆弾のバーゲンセールだ!」
2機は任務の達成を確認すると急降下で1500mほどまで降りる。そのまま南方警戒隊が戦闘を繰り広げているところまで向かうと、突撃している敵軍の後方に残りの40発の爆弾をばらまいた。
ドォオンドォオン
連続した爆発が起こり、ロウリア王国軍本隊の後詰の部隊は壊滅した。
爆弾は市街地から500mほど離れた位置に投下しているので第3遊撃旅団には被害は一切なかった。
「
2機の猛禽はロウリア王国軍には混乱と絶望を、第3遊撃旅団には希望を残して巣に帰っていった。
――――――
「くっ!!何なのだ!!奴らは一体!!」
アデムは運よくF/A-3Bの空爆から逃れることが出来たが、部隊の他の指揮官はほぼ戦死。ロウリア王国軍の指揮命令系統は南方警戒隊との戦闘でただでさえ弱っていたところに空爆が加わったことで、完全に破壊された。
「あ、アデム様!あそこに!や、奴らが!!!」
同じように運よく生き残った兵士の内の一人がある方向を指差した。
アデムが慌ててその方を見ると、そこには戦車や装甲戦闘車の大群が迫っていた。
「あ・・・・あああ!ぁああああああ!!撤退だ!!撤退だぁああああああ!!」
アデムは余りの恐怖にそう叫びながら馬に乗って駈け出した。ついにロウリア王国軍ギム攻略隊が完全に壊滅した瞬間だった。
――――――
「戦車隊、前進!!奴らに今までの借りを返してやれ!!」
戦車大隊長の指示で3個戦車中隊を基幹とする45台もの戦車は主砲である130mm滑腔砲を撃ちながら、指揮命令系統を失いただの烏合の衆と化したロウリア王国軍にとどめを刺すべく、前進を続けていた。
「撃て!撃てぇ!!くそったれどもを血の海に沈めてやれ!!」
日中紛争を経験した戦車大隊長はそう指示を出すが、気の弱い若い兵士は悲惨な光景に吐き気をおぼえていた。だが、ここで手を抜けば奴らが盗賊となり民間人が犠牲になると自分に言い聞かせ、必死で任務にあたっていた。
ドォンドォンドォン
130mm榴弾がロウリア王国軍のいたるところで着弾し、周りにいた兵士を吹き飛ばしてゆく。ちりぢりになって逃げようとする兵士も、16式装輪装甲戦闘車の105mmライフル砲から放たれる榴弾や27式歩兵戦闘車*1の40mm機関砲の餌食となっていく。
このギム防衛戦中に何度も繰り返された火薬と鉄によって生み出される効率的な殺戮と血の海が広がるばかりであった。
その後、ロウリア軍が散り散りになって逃走したためクワ・トイネ側に逃げた兵士を拘束もしくは殺害する残敵掃討戦に移行。
戦車2個中隊と歩兵1個大隊、1個装甲躑弾兵中隊、1個対空大隊を残し、残敵掃討に向かいった。
午後12時に住人の避難が完了しクワ・トイネ公国軍が撤退を開始、さらに2時間後にはクワ・トイネ公国軍の撤退が完了したため、残敵掃討戦を終了し掃討担当部隊は事前に決められた地点で合流した後、防衛陣地を構築中のエジェイに撤退を開始。ギム残留部隊も撤退を開始し、1個戦車中隊ならびに1個歩兵中隊、1個装甲車中隊を殿軍としてギムから撤退した。
これで2日間にわたって繰り広げられたギム撤退戦は終了した。
――――――
【ギム撤退戦】
日本国国防軍
投入兵力:14,781名
投入部隊:国防陸軍第3遊撃旅団
国防陸軍第1航空師団第5輸送ヘリコプター中隊
国防海軍第1空母打撃艦隊
死者・行方不明者:23名(当初のワイバーンによる空襲の影響による死者:10名、ギム攻防戦での死者:6名、残敵掃討時の死者、7名)
負傷者:52名(軽症者:37名、重傷者:14名、意識不明:1名)
捕虜:0名
クワ・トイネ公国軍
投入兵力:3,554名
投入部隊:西部方面騎士団
死者・行方不明者:69名(制空戦での死者:24名、空襲時の死者:41名、ギム攻防戦時:1名、撤退時:3名)
負傷者:103名(軽症者:61名、重傷者:39名、意識不明:3名)
捕虜:0名
ロウリア王国軍
投入兵力:28.000名
投入部隊:ロウリア王国陸軍クワ・トイネ侵攻方面軍ギム攻略先遣隊
死者・行方不明者:20,356名(制空戦:150名、第1次総攻撃:1,561名、第2次総攻撃:7,891名、第3次総攻撃並びにギム領主館前広場攻防戦:8,863名、残敵掃討時:1,891名
負傷者:6,921名(軽症者:2,001名、重傷者:4,915名、意識不明:5名)
捕虜:561名
―――――――
このギムで流れた血は日本に衝撃をもたらした。野党からは「戦争が予測できた地域に、部隊をわざわざ派遣したのでは?」という追及があったが、政府与党の答弁は「確かにロウリア王国はクワ・トイネとの緊張状態にあり、我が国も仮想敵国と認識してはいたものの、演習期間中にロウリア王国軍が攻撃を仕掛けてくることは予想できず、本演習の目的も人道的観点から戦争時に民間人に対し被害が及ばないよう。民間人の避難及びその方法等を現地当局並びに軍事組織に対し、教導する目的でありました」とシラを切り、ロウリア王国からの攻撃を根拠として、ギム攻防戦終結の僅か2日後に個別的自衛権の行使を行い、参戦を決定した。
これにより、クワ・トイネ公国には第2空母打撃艦隊及び第2艦隊、第1揚陸艦隊、第2揚陸艦隊、第41揚陸任務群と海兵隊2個師団、陸軍1個師団、2個旅団、1個工兵団の派遣を行った。
ロウリア王国軍は先遣隊との連絡が取れなくなったことで偵察隊をギムに派遣。その際、負傷者を含む生存者983名を保護し、ギム攻略先遣隊の壊滅を認識。本隊のクワ・トイネ侵攻方面軍本隊約18万がギム及びその周囲に侵攻するがギムはもぬけの殻。また第3遊撃旅団の設置したブービートラップで多数の死傷者が出たため、ギムの放棄を決定。ギムからクワ・トイネ側に10kmほど進んだところに布陣するも予想外の損害に頭を悩ませることとなった。
いかがでしたでしょうか。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回。さようならぁ!
次回 第24話 本格的な戦争
お楽しみに!!
日本が転移した時に海外にいた日本人はどうしよう?
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いつの間にか日本に現れている。
-
取り残されてしまう。