艦隊これくしょんー置いていく者、置いて行かれる者ー   作:きいこ

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というわけでDeep Sea Fleetの後書きすらまともに書けていないまま懲りずに投稿。ペルソナQ2とうたわれるもののせいです。


お蔵入りネタの供養という感じなので内容は薄いですし設定も深くはありません、むしろめちゃくちゃです。艦娘の設定はDeep Sea Fleetとあまり変わらないと思ってください。


第1話「瑞鶴の場合1」

突然だが、艦隊の旗艦(リーダー)というのは時に残酷な選択を迫られるときがままある。

 

 

そもそもこの鎮守府では提督の方針により、旗艦の艦娘にはかなり強い命令権限が与えられている、特に撤退など、こと艦娘の生命に強く結びつくような状況においては提督とほぼ同等の権限を持つ、これは鎮守府の提督室で指示を出す提督よりも、実際に現場で事を見て行動している艦娘の方がより状況を把握できるという提督の考えによるものだ。

 

 

実際提督も旗艦の判断を尊重する場面も多いし、随伴の艦娘も原則として旗艦の艦娘の命令には従わなければならない。

 

 

 

早い話が、旗艦というのは艦隊の中で最も偉い立場であり、それと同時に責任ある立場なのだ。

 

 

 

 

 

「…提督、出撃艦隊旗艦の瑞鶴が具申します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこそ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大破状態の赤城先輩を放棄、5体での撤退を開始、戦線を離脱します」

 

 

自身の判断、発言に伴う影響や責任の重さを、改めて思い知らされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ず、瑞鶴さん!?」

 

 

「何言ってんの!?」

 

 

瑞鶴の提督に対する具申内容に、随伴艦の扶桑、鈴谷、天龍、朝潮は全員耳を疑った、なにせ赤城を見捨てて撤退すると言っているのだから当然だろう。

 

 

『…本当に、それしか無いんだな?』

 

 

「…はい、それが最善の選択だと、私は判断しました」

 

 

赤城を放棄する、という瑞鶴の判断を聞いた提督はインカムの向こう側でふむ…と唸るような声を出した後、口を開いて結論を出した。

 

 

『分かった、旗艦の判断を認めよう、赤城を放棄しての撤退を許可する』

 

 

「…申し訳ありません、()()()()()()赤城先輩を…」

 

 

『俺はお前の旗艦としての能力においては全幅の信頼を置いている、たとえその対象が赤城だとしても、それが旗艦のお前にとって最善の選択なんだとすれば異論はない、俺も提督として()()()()()に対する覚悟は出来てるさ』

 

 

「…………」

 

 

()()()()()提督の言葉に何と返せば良いのか分からず、瑞鶴は何も言わずに通信を切った

 

 

 

「……………赤城先輩、私…」

 

 

瑞鶴は騒いでいる随伴艦の言葉を無視し、大破相当のダメージを負って座り込んでいる赤城を泣きそうな顔で見下ろしている、脚部の機動艤装は敵からの攻撃で損壊しており自力での移動はほぼ不可能、おまけに随伴艦の状態も全員中破相当以上のダメージを負っており、目下戦闘中の現状で彼女を庇いながらの撤退は「無理」だと瑞鶴は判断した、早い話が今の赤城は足手まといだということだ。

 

 

「…いいんですよ、あなたの判断は何一つ間違ってはいない、ここで私を庇えばさらに被害は拡大し、轟沈する艦娘も私だけでは済まないでしょう、ならば私を切り捨ててこれ以上の被害を最小限に抑える、旗艦として賢明な判断です」

 

 

これから見捨てられるというのに、赤城は瑞鶴を責めることもせず、旗艦として()()()()()()()()()瑞鶴を評価した。

 

 

「旗艦というのは時に残酷な決断を迫られます、そこで必要とされるのは、生半可な甘さではなく、優しい冷酷さです」

 

 

赤城はそう優しい口調で立ち上がると、残っている艦載機を弓の弦に添える。

 

 

「幸い飛行甲板は生きています、ほとんど力は出ないでしょうが、ここで敵の注意を引きつけることは出来ます」

 

 

赤城は眼前にいる戦艦棲艦や空母棲艦を中心とした強力な敵艦隊に向けて矢を放つ、艦載機に変化した数は通常時の半数にも満たないが、足止めには十分だ。

 

 

「行きなさい瑞鶴!これから先、あなたはこの事で様々な困難に遭うかもしれない、でもあなたは決してこの決断を後悔してはいけません!最期のその時まで、旗艦としての役割と責任を全うしたことを誇りに思いなさい!」

 

 

赤城のその言葉にハッとした瑞鶴は、改めて随伴艦の方を向き直り、言い放つ。

 

 

「赤城先輩を置いて撤退する、私に続きなさい」

 

 

「ハァ!?ふざけないで下さい!」

 

 

「仲間を見捨てるんですか!?きっと何か出来ることが…!」

 

 

「『旗艦命令』よ!()()()()()のせいで轟沈したくなければ、私に続いて撤退しなさい!」

 

 

天龍と朝潮の反論をばっさりと切り捨て、瑞鶴は改めて随伴艦に命令する。

 

 

「「っ!!」」

 

 

旗艦命令、その言葉がどれほどの力を持つかはこの鎮守府の艦娘であれば誰もがよく理解している、その言葉が使われればどんなに理不尽な内容の命令であろうと従わなければならないし、またそれを理解している瑞鶴自身も旗艦命令の発令には細心の注意を払い、余程の事がなければ使わない。

 

 

「「………」」

 

 

随伴艦娘たちは何も言わず、瑞鶴を射殺すような目つきで睨みつつ撤退を始めた。

 

 

それを見た瑞鶴も続いて撤退しようとしたが、最期に一言だけ…と赤城は瑞鶴にだけ聞こえる声で言い残した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!!」

 

 

彼女の遺言とも言えるその言葉は、瑞鶴の心に一生消えることの無い心傷(きず)とも呪いとも言えるような何かを、確かに刻み込んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、瑞鶴たちはとてつもない険悪な雰囲気の中、無事に戦闘海域からの離脱に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電探から赤城の反応が消失したのは、それとほぼ同じタイミングだった。




次回「憎悪と怨嗟」

さぁ、ご都合主義の再来だ。
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