IS~衛宮の娘は遥か高き宇宙を目指す~   作:明日香

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第19話「夢幻召喚-インストール-」

 

 

バトル・フィールドのバリアが割れた直後…

IS学園 第1アリーナ バトル・フィールド

 

 

「あれは…!」

 

 

簪との戦闘を無事に終えた私が周囲の確認をした直後、

バトル・フィールドのバリアが砕け散り、黒いヒトガタが落ちてきた。

いや、それだけならまだいい。

ある程度の敵ならば今の状態でも十分に迎撃できる。

だが、アリーナに落ちてきたあのデカブツは…。

 

 

「何故、ここに【破壊者】が来ている!?」

 

 

忘れもしない…。

私がシュヴァツェア・ハーゼに入るきっかけとなった理由…。

奴は今から2年前に北海に突然現れ、無差別に破壊をふりまき、3つの都市を壊滅させ、バルト海で姿を消した。

幸いマキリ様が住んでいた街は通貨しなかったが、私が軍の任務で駐屯していたリューベルクを僅か10分で火の海にした。

ISですらもまったく歯が立たなかった人類史上最悪の被害をもたらしたバケモノだ。

故に、ドイツ軍でつけられたあのバケモノのコードネームは【破壊者】。

ISが別の兵器に破壊知られたとしたらISの時代が崩壊する。

この事件を隠ぺいしたIS委員会はそんなことを考えていたのだろう。

故にあの事件は突如発生した異常気象による自然災害だと世間に公表された。

あの時、私が居た基地も襲撃され、私以外の軍人は全員殺された。

その中にシュヴァツェ・ハーゼの前の隊長と副隊長も含まれ、

あの地獄を生き残った私は異例の三階級特進となり、シュヴァツェ・ハーゼの隊長となった。

この異例の昇進は口止めの意味があるのだろう。

まあ、世界を混乱させないためにはああするしかなかったのだと私は割り切っているが…。

だが、再び奴が現れたとなれば話は別だ。

私はIS学園の生徒として以前に軍人として奴の魔の手からここにいる民間人を守る義務がある。

勝算は殆どないがやるしかないだろう。

さあ、行くぞ!

 

 

第19話「夢幻召喚-インストール-」

 

 

◆ Side 真優

 

 

IS学園 第1アリーナ バトル・フィールド

 

 

「なに…あれ…」

 

 

試合中に突然現れた黒い巨人に私は眼を釘付けにされていた。

突然現れた黒い巨人はなんとなくだけどあの時IS学園にやってきたアンノウンを連想させた。

私の本能が叫んでいる。

あの巨人は全てを滅ぼす破壊者だと…。

すぐに逃げなければ殺されてしまうと…。

管制室に通信しようとしてみたけれどジャミングされていて通信が繋がらなくなっていた。

それに隔壁も完全に塞がってしまっている。どうやら逃げ場はないようだ。

それに…。

 

 

『たすけて…』

 

「この声は…」

 

 

私の頭の中に女の子の声が聞こえた。

この声は聞き覚えがある。

あの時、学年別トーナメントの前に聞こえたあの声だ。

間違いない。

この声の持ち主はあの黒い巨人の中に囚われている。

なら…やるべきことはひとつだ。

 

 

「真優さん…?何を…」

 

 

後ろからセシリアが声をかけてくるけど生憎セシリアに返事をしている暇はない。

見たところあのデカブツはまだ完全に起動していない。

助けを求めている声の主を助け出すには速攻であの黒い巨人を沈黙させなくちゃいけない。

 

 

「…いくよ!」

 

『―――――――――!』

 

 

スラスターを全開にして黒い巨人との距離を詰める。

幸い見た目通り動きは非常に鈍いようだ。

かなり堅そうだけど出力を全開にしたエクスカリバーならダメージを与えられるはず!

 

 

「はあああああああああああ!!!!」

 

 

ドスッ!

 

 

黒い巨人との距離が0になると私は出力を最大にしたエクスカリバーを振り下ろした。

よし、このままいけば…倒せる!

そう思った瞬間、私の胸から槍のようなものが刺さっていた。

 

 

「カハッ…」

 

「真優!」

 

 

私は自分の身に何が起こったのか理解できなかった。

ただ、私が誰かに貫かれたということ…。

後ろから刺されているせいで私を刺したのが誰なのかはわからなかった。

ただ、最後にラウラの声が聞こえた気がする。

あ…ヤバイ…意識が…。

ラウラ…ごめん…。

 

 

◆ Side ラウラ

 

 

IS学園 第1アリーナ バトル・フィールド

 

 

 

イメージBGM:蒼穹のファフナーより マークザイン

 

 

「真優!」

 

 

【破壊者】と戦闘を始めようとする真優の援護に向かおうとした直後に突如として現れた黒い影は二つ持つ槍のうち紅い槍で真優を突き刺した。

『サー』と頭から血の気が引いていく感覚が嫌に感じられた。

僅かに残った理性が黒い影の正体が第四次聖杯戦争で召喚されたディルムッド・オディナだと判断する。

私の祖母ともいえるアイリスフィール・フォン・アインツベルンが遺した記録によると彼の英霊は私の祖父に当たる衛宮切嗣の策略により本来の力を出し切れず、マスターの令呪によって自害させられ衛宮切嗣とアイリスフィール・フォン・アインツベルン、そして、第四次聖杯戦争において召喚されたサーヴァントであるセイバーに破滅の呪詛を叫びながら敗退したとあった。

再びこの現世に現れたのは私達に復讐を成すために呼び出されたのであろうか。

だが、奴がどの様に召喚されたことなど今はどうでもいい。

こいつは私の目の前で私の友である真優に害をなした。

それだけでこの狂気に落ちた亡霊を討つ理由には十分だ。

 

 

「オオオオオオッ!!」

 

 

左目の眼帯を脱ぎ捨て、スラスターを全開にながら【バーサーカー】へと突撃する。

接近戦において邪魔になるレールキャノンをパージし、真優が落としたエクスカリバーの片割れを手に取り、突撃した勢いを生かしてバーサーカーへ叩きつける。

 

 

ガキィンッ!!

 

 

『aaaaaaaaaaaaa!!!』

 

 

だが、バーサーカーはいとも容易く私の攻撃を防ぎ、逆に黄色の槍で私に反撃してくる。

この攻撃を生身で受けるわけにはいかない。

受けてしまえばISのパイロット保護機能が正常に作動しなくなってしまう。

ある程度はシールドエネルギーとレーゲンの装甲で防げるがあまり頼ってはいけない。

 

 

「ハアッ!!!」

 

『!!!』

 

 

ガァンッ!!

 

 

だが、あまり時間をかけすぎれば【破壊者】が動き出してしまう。

そうなってしまえばIS学園はおろかここを中心に半径500km以内に存在する全てが破壊されてしまう。

それだけはなんとしても防がなければならない!

急がなければ…

 

 

ピーッ!ピーッ!ピーッ!!

 

 

「エネルギー切れ!?こんな時に!!」

 

 

そう思った直後、レーゲンからアラームが鳴り、シールドエネルギーが0になったことを私に知らせた。

それにより、レーゲンは機能を停止し、そのまま体勢を崩してしまった。

まずい。この隙をバーサーカーが見逃すわけがない。

 

 

『!!!』

 

「しまっ!?」

 

 

バーサーカーの紅い槍が私に突き出される。

回避しようにもこの体勢では回避行動をとることができない。

ISスーツ程度の防御力では容易く切り裂かれ、バーサーカーの紅い槍は私の心臓を貫くだろう。

ここで私は死ぬのか…?

あの事件の真実に辿りつくこともなく、誰を守ることができずに…。

 

 

『!!!』

 

 

力が欲しい…。

目の前の脅威を薙ぎ払い、仲間達を守る力を…!

 

 

ドクン…

 

 

何かが、私の中で蠢いた。

 

 

イメージBGM:Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤより 少女は暗闇の中で

 

 

【――願うか…?汝、自らの変革を望むか…?より強い力を欲するか?】

 

 

言うまでもない。

力を得るのなら…それで真優達を守ることができるのなら…。

 

 

「【私の身体なぞくれてやる!!だから…その力を私に寄こせ!】」

 

『Damage level…D.

 Mind condition…Uplift.

 Certification…CLEAR.

 ………………………Error.』

 

「【なんだ!?】」

 

 

私の叫びと共にその何かが起動するが途中でエラーを起こし、沈黙した。

一体何が起こったのかわからない。

だが、それと同時に頭が少しずつ冴えていく。

なぜ私はあんな得体のしれないものに頼ろうとしていた…?

そんなことをしてしまえば士郎様も凛様も喜ぶはずがないのに…。

まったく…得体も知れない力に頼るとは専門家【スペシャリスト】失格だな。

しかし、何故システムがエラーを起こしたんだ…?

 

 

イメージBGM:ゾイド -ZOIDS-より 神秘への誘い

 

 

「【駄目だよ。そんな紛い物の力に頼っちゃ…】」

 

「【貴女は…母さん!?でも、このままでは真優達が…】」

 

 

そんなことを考えていると少女の声が聞こえた。

声がした方向を見ると声の主は私と同じ姿をした少女だった。

そして、私の中の本能が彼女は私のオリジナルであるイリヤスフィールだと気がついた。

理由はわからない。だけど彼女は私を止めるためにやってきた。

だが、このままでは真優達を助けることができない。

では、どうすれば…。

 

 

「【でも、貴女が大切な人を守りたいと願うのなら…。

 貴女が知る最良の手段で最強の力を呼び寄せるの。貴女ならできるでしょ?】」

 

「【最良の手段…?まさか!?】」

 

「【そう、そのまさかだよ】」

 

「【だけどあれをするには触媒が…それに大聖杯も…】」

 

 

母が私に行った最良の手段と言うのはすぐにわかった。

だが、それを行うには色々なものが圧倒的に足りない。

確かにホムンクルスの、そしてマスターとしての力は母よりも遥かに上だ。

それでもその手段を決行するのはあまりにも無謀すぎる。

だが、ここで何もしなければ真優達は殺されてしまう。

ならば…やってやろうじゃないか!!

 

 

「【大丈夫…自分の力を信じて。友達を守るんでしょ?】」

 

「【はい。ありがとう。そして、母さんに会えてうれしかった】」

 

「【がんばってね。ラウラ】」

 

 

母に後押しされ、私の視界は一気に鮮明になっていく。

それと同時に身体を捻ってバーサーカーの刺突を回避し、一気に距離を取る。

バーサーカーの動きすらスローモーションのように見える。

そして、身体が凄く軽く感じられる。

今ならば…やれる!!

 

 

イメージBGM:Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤより 少女見参!

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

距離を取ると同時に私は地面に手をつき、とある詠唱を唱え始める。

それと同時に私から半径1m程の地面に魔法陣が描かれ、光を発し始める。

そう。私が始めたのは英霊召喚の儀式。

目には目を、歯には歯を、英霊の力には英霊の力で対抗する。

 

 

「――――告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

バーサーカーはそんな私の召喚を止めようと突撃してくるがもう遅い。

私がホムンクルスとして生み出されてからシン様達と出会うまでこの詠唱の練習を散々させられてきた。

故にこの詠唱を早口で済ませることができる。

私が詠唱を唱え終えると同時に魔法陣から眩い光が放たれ、光の中から現れた者がバーサーカーの槍を防いだ。

 

 

「まったく。触媒も何もかも無い状態での召喚とはまた無茶な召喚をされたものです」

 

【!!!】

 

「ひさしいですね【ランサー】。ああ、今は【バーサーカー】でしたか」

 

 

光の中から現れたのは黒い甲冑を身に纏った青年だった。

土壇場での英霊召喚は成功したようだ。

私の記憶の中からこのサーヴァントの正体を導き出した。

なるほど、非常に分が悪い賭けは私の勝ちだったようだ。

私が召喚したのは第四次聖杯戦争において圧倒的な力を見せた円卓の騎士サー・ランスロットだ。

しかも第四次聖杯戦争と違い、最優のサーヴァント【セイバー】として召喚された。

 

 

「問いましょう。貴女が私のマスターですか?」

 

「ああ。私がお前のマスターのラウラ・ボーデヴィッヒだ。早速だがバーサーカーの足止めを頼む」

 

「承知いたしました。この剣、貴女の為に振るいましょう!」

 

 

ランスロットとの契約が正式に果たされ、私の左手が熱に帯び、左手には三画の令呪が刻まれていた。

流石に母のように全身に令呪を備えると言うことは不可能だったようだがそれでも十分だ。

今は聖杯戦争をしているわけではないからな。

ランスロットはバーサーカーとの交戦を始めた。

さて、あとはあの【破壊者】を破壊しなくてはならないな。

幸いアルトリア達もこちらに駆け付けてくれている。この戦力ならあの【破壊者】も破壊できるはずだ。

さあ、行くぞ!

 

 

◆ Side ?????

 

 

???

 

 

声が聞こえてくる。自身の主を守り抜いた一人の騎士の声が…。

このままでは騎士が守り抜いた方の命が消えてしまいます。

だから、私にその方の命を助けてほしいと…。

なるほど、私の力ならばこの方の命を救うことができますね。

わかりました。後は私に任せて今はお休みください。

 

 

◆ Side アルトリア

 

 

IS学園 第1アリーナ バトル・フィールド

 

 

「そ、そんな…」

 

 

私は今私の目の前で起こっている現実を受け入れることができないでいました。

いきなり黒い巨人が現れたと思えばそれを討とうとした真優がランサーに後ろから胸を刺されてそれに激昂したラウラがランサーに挑んで敗北して敗北したラウラがランスロットを召喚して…。

これは本当に現実なのでしょうか…?

今、ランサーとランスロットが戦闘を始めました。

あの黒い巨人もシンの大切な人を奪った兵器です。

あれが動けばここは跡形も無く壊滅するでしょう…。

気が狂いそうになる。

早くこの場から逃げ出したい。

でも、身体が私の意に反して動こうともしない。

私は…私は…どうすれば…。

 

 

「アルトリア!」

 

「チルノ…?」

 

「アルトリア!真優を助けに行くよ!!」

 

「ダメなんです…。身体に…力が入らないんです。それに貴女も見たでしょう?あの傷ではマユは…」

 

 

気がつけば私の隣にチルノが立って私に声をかけてきました。

その眼は輝きを失っておらず、全く諦めていないことがわかります。

チルノは本当に強い…。

このような絶望的な状況にも関わらず立ち向かおうとしている。

今の私にその強さはない。

それにあの傷ではマユはもう手遅れです…。

この世界の医学がどれだけ発達していたとしても心臓を刺された者を救う術はない…。

もう、私にできることは…。

 

 

ゴッ!!

 

 

「ガ…!!」

 

 

するとチルノは私の顔を思いっきり殴りました。

正直、今までのどの攻撃よりも痛かった…。

 

 

「っ!?なにを…」

 

「貴女があんまりにも情けなかったから。さっきまで私と戦っていた時の覇気はどうしたの?

 正直今の貴女は嫌い。貴女みたいな奴がこの剣の前の所持者だったなんて認めない」

 

「チルノ…?」

 

「今、私達がやるべきことはあの黒い巨人を倒してみんなを守ることじゃないの?」

 

 

私が思わず抗議の声を上げると私の目の前には普段私が知るチルノではなくなっていました。

彼女の眼は普段の無邪気な眼ではなく、まるで全てを焼き尽くさんばかりの強烈な怒気と弱者に有無を言わせない絶対強者の王気【オーラ】を放つ一人の【王】の眼をしていました。

 

 

「あそこで戦っている奴が貴女とどんな関わりがあるのかは知らない。

 でも、そのことへの詮索はあの巨人を止めてからでもできるでしょう?」

 

「…ええ。そうですね。ありがとうございます。貴女のおかげで眼が覚めました」

 

「そう。なら、行こう!アルトリア!」

 

 

だんだん頭が冴えていき、これから私がすべきことが頭に浮かび上がってきます。

それと同時に身体に力が戻ってきました。

そうだ…。こんな所で立ち止まっているわけにはいかない。

ここで諦めてしまえば多くの人々が犠牲になる。

そんなこと、認めるわけにはいかない。

それを止めるための力が今の私にはあるのだから。

 

 

「わたくしも参りますわ。アルトリアさん、チルノさん」

 

「おっと。俺達も忘れないでくれよ?」

 

「私達も共に戦うぞ」

 

「そーそー。あたし達もいるんだから!」

 

「数は多い方がいいでしょう?」

 

「ふふ。あれだけ大きいんだからわざわざ狙う必要なんてないね」

 

「私も助太刀させてもらおう!」

 

「一応最低限の補給は済ませた…。衛宮さんの回収くらいならできる」

 

「イチカ、ホウキ…それにみんなも…」

 

 

どうやらセシリアも無事だったようですね。

その手にはガラディーンが握られています。

さらに、いつの間にかシールドエネルギーの補給を済ませたカンザシと観客席にいたイチカ達もこの場に集結しています。

流石に私達だけは辛かったかもしれませんがこれならばあの破壊神を討つことができるはずです。

 

 

「私がAICで奴の動きを止める!簪が真優を回収次第各員はそれぞれの最大火力を奴にぶつけてやれ!!」

 

『了解!』

 

 

ここにいる全員の意志がひとつになる。

胸が高鳴り、全身にこれまで感じられなかった力を感じる。

とても優しくて、温かい力を…。

ああ。これが人の想いの力というものなのでしょうか…?

 

 

「真優さんを回収…できたよ」

 

「よし!各員ありったけの攻撃を奴に喰らわせろ!!」

 

「零落白夜…瞬!!」

 

「あまり射撃は得意ではないがあれだけの巨体なら外さん!」

 

「さあ!ジャンジャン撃つわよ!!」

 

「最大出力のアグニだよ。これに耐えきれる?」

 

「遠慮はいらないよ。全弾持っていって!!」

 

「さあ、ミサイルの嵐とベアリング弾のフルコースだ。全部喰らっていきたまえ!!」

 

 

ラウラが彼女の専用機の特殊能力で巨神の動きを封じているうちにカンザシがマユを回収してくれたようです。流石カンザシですね。これで心おきなく私達は最強の攻撃で集中攻撃できます。

そして、ラウラの号令と共にイチカ達がそれぞれの最強攻撃を放ちはじめました。

まともに巨神の装甲を破壊できるのはイチカの零落白夜とシャルルのアグニだけでしょうがそれでも内部へのダメージは十分に届くでしょう。それだけでも十分に効果はあります。

 

 

「アルトリアさん達の機体のシールドエネルギーも回復しておいたよ」

 

「ありがとうございます。今なら最高の一撃が放てそうです」

 

 

カンザシが持ってきてくれた使い捨てのシールエネルギーの補給ユニットのおかげでリリィへのシールドエネルギーの補給が終わり、リリィが再び展開されました。

今ならば今までにない最高の一撃が放てる気がします。

さあ、いきますよ!!

 

 

「この剣は太陽の写し身!輪転する勝利の剣!!」

 

「この剣は星が生み出した聖剣!勝利を約束する黄金の剣!!」

 

「この剣は人が生み出したもう一つの聖剣!絶望を絶つ希望の剣!!」

 

 

剣を高らかに掲げ、私達は自身の力の全てをそれぞれの剣の刀身に注いでいきます。

そして、それぞれの剣から紅蓮の輝きと蒼き輝き、そして黄金の輝きを放ち、輝きが臨界に達すると同時にそれぞれの剣の真名を解放しました。

 

 

「輪転する【エクスカリバー】!!勝利の剣【ガラディーン】!!!」

 

「約束された【エクス】!!勝利の剣【カリバー】!!!」

 

「永久に遥か【エクスカリバー】!!黄金の剣【イマージュ】!!!」

 

 

ドガアアアアアアアアアアンッ!!!!!

 

 

紅蓮の輝きと蒼き輝き、そして黄金の輝きが合わさり、束となった私達の一撃はそのまま吸い込まれるように巨神の胴体へ吸い込まれていき、巨大な光の柱が立ちました。

これだけの攻撃を受けたのです完全な破壊は無理だったとしてもかなりのダメージを与えられた筈です。

この戦い…私達の勝利です!

 

 

◆ Side 真優

 

 

???

 

 

何かに胸を突き刺された私は暗い…暗い闇の中にいた…。

ここは、とても暗い。自分の身体が何処にあるのかすらわからない。

この感覚はここで生まれる前の私が前に生きていた世界で死んだ時と同じだ。

つまり、私は死んだのだろうか…?

いや、違う。私が死んだのならもうこの意識は塗りつぶされる筈だ。

 

 

『はい。貴女はまだ死んでいません』

 

 

どこからか聞き覚えの無い声が聞こえた。

でも、不思議と恐怖は感じなかった。この声の主が私に敵意が無いからだ。寧ろ私を守ってくれるような温かさと安心感を与えてくれる。

それにここには彼女?しかいない。ならば話をしてみる価値がある。

 

 

『私が死んでいないということはまだ私は生きているんだよね?』

 

『はい。今、貴女の命は貴女が纏っていた鎧の意志が繋ぎとめました』

 

『インパルスが…』

 

『ですが、それも長くはもちません』

 

 

どうやら私が生きているのはインパルスが必死に私の命を繋ぎとめてくれたかららしい。ならばここでモタモタしているわけにはいかない。

話を聞く限りでは私の命はあまり時間が経たないうちに消えてしまう。ならそうなる前に元の世界に戻る必要がある。

 

 

『どうすれば戻れる?』

 

『私と正式な契約をしてください。そうすれば私の力で身体を一気に回復させます』

 

『うん。わかった』

 

『………即断ですか』

 

 

どうやら戻るにはここにいる彼女?と契約をする必要があるらしい。ならば断る理由はない。

私の即決ぶりに彼女?は呆れているのかもしれないけれど躊躇って命を落としてしまったなどという最期は御免こうむる。私はまだ死にたくない。ここで契約して助かるのならば喜んで契約する。

それにまだあそこにはみんなが居る。早く戻らないと…。

 

 

『どうすれば契約できる?』

 

『貴女様の名前を名乗っていただき、契約すると宣言していただければ契約は完了します』

 

『わかった。えっと、貴女の名前は?』

 

『サファイアです』

 

 

思ったより簡単に契約ができるようだ。

かなり簡単すぎる気がするけどそのおかげで早く戻ることができるのだ。今はそのことを感謝しよう。

さあ、サッサとサファイアと契約してアルトリア達を助けに行くよ!!

 

 

『私、衛宮真優はサファイアと契約することを宣言します!』

 

『…契約完了しました。よろしくお願いします。真優様』

 

『よろしく、サファイア!さあ、戻ろう。私達の居るべき場所に!!』

 

 

サファイアと契約が終わった瞬間、身体が引っ張られる感覚がした。たぶんこれで私は元の場所に戻ることができるはずだ。

今、あっちがどうなっているかわからないけど…無事でいてね。みんな!

 

 

◆ Side アルトリア

 

 

IS学園 第1アリーナ バトルフィールド

 

 

ガシャン…

 

 

「これは…また酷いな…」

 

「殆どの部位が消し飛んでいるし、残った胴体も全ての装甲が吹き飛ばされているね」

 

「動力炉も完全に破壊されているようだ」

 

「…気をつけろ。まだ中枢付近が生きている」

 

「…!何か出てくるよ!!」

 

 

光の柱が何とかおさまると光の柱が立っていた場所には巨神だったものが倒れていました。

四肢と頭と背中に背負っていた円盤が消し飛び、胴体も中身が剥き出しの状態になっていました。

ここまで来ると無残の一言に尽きますがそれでもまだ中枢部が生きているようです。

なんて頑丈な…そう思った瞬間、私は信じられないものを再び見ました。

 

 

「あれは…!?」

 

 

白と赤の騎士甲冑…。

忘れるはずがない。私の存在のせいで運命を狂わされた私にとって最大の罪の証…。

その罪の証の名は…。

 

 

「サー…モードレッド…?」

 

 

サー・モードレッド…。

私と言う存在の複製品【コピー】として生み出された私の子供…。

私が、この手で殺してしまった子供…。

なぜ、貴女がここにいるのですか…?

 

 

「くそっ…」

 

 

私の周囲を見回すと、イチカ達は疲労のあまり膝を突いていました。

無理もありません。皆、先程の攻撃で消耗しきっています…。

このままでは応戦することもままなりません…。

頼みの綱のランスロットもランサーから手が離せない状況です…。

ああ。私達はここで…

 

 

「大丈夫。みんなは私が守るから…」

 

 

後ろから誰かの声が聞こえました。

この声は…でも、彼女はランサーに心臓を貫かれて…。

ですが、彼女の声はハッキリと私達の耳に届きました。

 

 

「マユ…?」

 

「私は大丈夫だから安心してね」

 

 

マユの姿は先程の痛々しい姿ではなく、紅い外套を身に纏い、シンが持っていた短剣を持ち、威風堂々とした姿で私達の前に立っていました。

ああ…安心したら凄く眠くなってきました。ですが、まだ眠るわけにはいきません。

私の仲間と私の子供の戦いなのですから…。マユ、ご武運を…。

 

 

◆ Side 真優

 

 

真優が目覚めた直後…

IS学園 第1アリーナ バトル・フィールド

 

 

「ふぅ…なんとか間に合ったみたいだね」

 

「【そのようですね】」

 

 

私が意識を取り戻すと状況は大きく変化していた。

試合に乱入してきたあの黒い巨人は跡形もなく破壊されていた。たぶん、ここにいるみんなが協力して撃破したのだろう。

…なんか見覚えのない人が一人増えているけど。

まずは目の前にいるあの子を助けないと!

でも、インパルスは私を守るために全てのエネルギーを使ってしまったから動かせない。

 

 

イメージBGM:Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤより 少女進化!

 

 

「それでも、私はあの子を助けたい」

 

 

――どうやって?――

 

 

『それは…クラスカード!なぜ真優様がそれを!?』

 

 

どうやってしたくもない戦いを強要されている子を助け出すのか…?

すると私の頭の中にあの子と戦って助けだす方法が浮かび上がった。まるで、最初からその方法を知っていたかのように…。

色々とリスクはあるけれどこの方法ならばあの子を救いだせる。ならば…実行するだけ!

 

 

「夢幻召喚【インストール】」

 

「【やれやれ…。月での役割が終わったと思えばまた呼び出されるとは…私も運が無い】」

 

「【力を…貸してくれる?】」

 

「【…いいだろう。私の名はアーチャー。こうして呼ばれた以上君の力になろう】」

 

 

今までとは違う呪文を唱え、私の身体が紅い光に包まれていく。

紅い光に包まれると同時に聞こえたアーチャーと言う人の声はとても温かく、懐かしい、頼もしい、そんな声だった…。

そして、紅い光が収まると私の姿は一瞬だけ見えたアーチャーが纏っていた服と同じ服、赤原礼装を身に纏っていた。

同時に私の頭の中にアーチャーの力とその使い方が私の頭の中に入ってくる。ああ、だから私の身体に馴染むんだ。

アーチャーの力は私が持っている力と殆ど同じなのだから…。

 

 

「投影、開始」

 

 

いつもしている鍛錬の中で最も言い慣れた呪文を詠唱し、両手に一振りずつ剣を“作り出す“。

作り出したのはお父さんが剣の練習をする時に使っていた中華風の短剣。おそらく私が最も使い慣れている剣だ。

アーチャーが使える武装の中にはもっと強力な剣があったけれど私はこの剣を選んだ。

 

 

「大丈夫。みんなは私が守るから…」

 

「マユ…?」

 

「私は大丈夫だから安心してね」

 

 

剣を構えたまま、私はみんなの前に立つ。

アルトリア達は驚いた顔をしていた。まあ、死んだと思っていた私が姿を変えてアルトリア達の前に立っているんだから当然だよね。

ちゃんと説明したいけれど、今はそんな状況じゃない。

私はみんなを安心させるように笑みを浮かべた後、あの事の距離を詰める。

今はあの子を助け出すことが一番重要なことだから。

 

 

「やあ!!」

 

『!』

 

 

ガキィンッ!!

 

 

よし、私が生み出した剣は十分通用する。

少なくとも一度受けただけで剣が砕けると言うことはない。

それならば…あの子を救い出す方法がある。

それだけで…十分だ!!

 

 

カァンッ!キィンッ!カァンッ!!

 

 

『!』

 

「やあ!!」

 

 

バキィンッ!!

 

 

「っ!投影開始!」

 

 

剣が砕けた!?いや、まだだ!

四合で剣が砕かれるのならそれ以上の力を込めて私の剣をもう一度作りなおす!

作りだした剣が再び砕かれたらまた、同じことを繰り返す!!何度剣が砕かれても…私は諦めない!諦めるもんか!!

 

 

「でやあああ!!」

 

『!』

 

 

キィンッ!ガァンッ!キィンッ!キィンッ!!

 

 

「【マスター。このまま剣を打ち合い続けても泥沼になるだけだ。『彼女』を操っている原因を見極め、その原因を取り除け】」

 

「【わかった!】」

 

 

アーチャーの分析によるとやっぱりあの子はここにはいない誰かに操られているらしい。

そうでなければアルトリアクラスの剣の使い手がこんなにもキレが無い剣撃をするわけがない。

たぶんあの黒い巨人が動かなかったのもあの子が操っている誰かに対して反抗をしていたから。

でも、それもあまり長く続かなくなってきているのがわかる。

だって少しずつだけどあの子の動きが人形のようになってきているからだ。

たぶん、人としての意志を奪われ始めているのだと思う。

 

 

ガキィンッ!!

 

 

「【アーチャー、サファイア、あの子を操っている原因はわかりそう?】」

 

「【すまない。原因は大分解析できているが…完全な解析にはもう少し時間がかかりそうだ】」

 

「【あとどれくらいかかりそう?】」

 

「【3分時間をください!】」

 

「【いや、1分で済ませる!】」

 

「【わかった!】」

 

 

ズガァンッ!

 

 

攻撃を剣で受け流しつつもアーチャーとサファイアに原因の解析がどこまで進んでいるか尋ねた。

どうやらまだ完全には解析ができていないらしい。

だから完全に解析が終わるまであと1分…いやあと3分もたせる!

 

 

『!!』

 

「はあ!!」

 

 

カァンッ!キィンッ!カァンッ!カァンッ!キィンッ!カァンッ!バキィンッ!!

 

 

「投影開始!」

 

 

神速の剣技に対して私も剣で攻撃を受け流しつつ何度もカウンターを入れる。

そして、また剣が砕かれたためさっきよりも更に力を込めて再び剣を作りだす。だけど、今のままではまたすぐに砕かれてしまうしあの子が纏っている鎧に弾かれてしまう。

なら…

 

 

「投影…強化【オーバーエッジ】!!」

 

 

カッ!!

 

 

作り出した剣に【強化】を施し、切れ味と耐久力を底上げする!!

 

 

「やあ!!」

 

『!』

 

 

ズバアッ!!

 

 

一気に懐に飛び込み、強化した剣であの子がかぶっている鎧を弾きとばした。そして、兜に隠されていたあの子は私が想像していたとおり、アルトリアと瓜二つの顔だった。

ここで疑念は確信に変わった。父に助けを求めていたあの子の名前はモードレッド。

アーサー王伝説に登場したブリテンを滅ぼした円卓の騎士であり、アーサー王…アルトリアと血の繋がった子供だ。女の子だということには驚いたけどアルトリアも女の子だったしこの子が女の子でも不思議じゃないよね。

 

 

「【マスター。彼女が操られている原因を突き止めた】」

 

「【原因は?】」

 

「【彼女の鎧の胸部部分にある白いコアだ。彼女を解放するためにはこのコアを破壊する必要がある】」

 

「【わかった!】」

 

 

そうこうしている間に二人がモードレッドを操っている原因を突きとめてくれた。

モードレッドを操っているのはあの子の鎧の胸のあたりにある白い球体…おそらくISコアと思われるものがあの子を操っている。原因が分かればあとはやるだけなんだけどアルトリア並みの強さを持つモードレッドの攻撃を突破してコアを破壊する…?

…いや、かなり無茶をやるけど方法はある。

 

 

イメージBGM:Fate/stay nightより エミヤ -Kenji Kawai ver.-

 

 

バッ!

 

 

「【真優様!?】」

 

「鶴翼、欠落ヲ不ラズ【シンギ ムケツニシテバンジャク】」

 

『!』

 

 

カァンッ!

 

 

「凍結解除【フリーズアウト】」

 

 

私はさっき作り出した剣をモードレッドへ投擲する。

もちろん投げた剣はモードレッドに弾きかれるけど問題ない。

 

 

「心技、泰山ニ至リ【チカラ ヤマヲヌキ】、心技、黄河ヲ渡ル【ツルギ ミズヲワカツ】」

 

 

バッ!

 

 

『!』

 

「【この動きは…まさか!?】」

 

 

「唯名、別天ニ納メ【セイメイ リキュウニトドキ】」

 

 

さっきと同じ要領で同じ剣を作りだし、別の角度からもう一度投擲する。

それと同時にさっき弾かれた剣が互いに引き寄せられるように軌道を変え、モードレッドへ襲いかかる。

どうやらアーチャーはこの動作に見覚えがあるらしい。

それは当然だ。この技はアーチャーの記憶にあった技を自分なりに真似したものだから。

今まで無かった攻撃だからだろうか…モードレッドの動きも止まっている。

今が…チャンスだ!!

 

 

「両雄、共ニ命ヲ別ツ【ワレラ トモニテンヲイダカズ】」

 

『!?』

 

「奥義…鶴翼三連!」

 

 

パキン…

 

 

同時に四振りの剣がモードレッドの動きを封じ込め、本命の一撃を叩きこむ。

本来ならもっと威力があるはずだけど今の私にこれ以上の威力は出せないし、狙いはあくまでモードレッドを操っているコアだ。

コアさえ破壊できれば私の目的は達成される。

そして、私が放った一撃は確実にコアを破壊し、目的も達成された。

 

 

イメージBGM:Fate/stay nightより 運命の夜

 

 

「が…があああああああああああああ!!!!!!」

 

「【アーチャー、これは…!?】」

 

「【依り代が破壊されたことで彼女の存在が消えかかっている。どうするつもりだ、マスター?】」

 

 

コアを破壊した途端にモードレッドが苦しみだした。

アーチャーが言うには私が破壊したコアはモードレッドをこの世界に留めておくための依り代でそれが破壊されたことによってモードレッドが世界から消されかけているらしい。

つまり、このまま放っておけばモードレッドは死んでしまうことになる。

 

 

「【もちろん、助ける】」

 

「【やれやれ…。今回のマスターもお人好しだな…。アレをやるのなら相応の覚悟はしておけ】」

 

「【覚悟は…出来ているよ】」

 

 

ならば…私はモードレッドを助け出す。

ようやく苦しみから解放されたというのにこのまま消えてしまうなんてそんなこと許せるはずがない。

だから、私はモードレッドを助け出す。

その方法は…ただひとつ。

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

 繰り返すつどに五度。

 ただ、満たされる刻を破却する」

 

「【まさか…彼女と契約をされるおつもりですか!?無茶です!そんなことをすれば…】」

 

 

苦しんでいるモードレッドを優しく抱きしめて頭の中に浮かんだとある呪文を詠唱する。

私の行動を見てサファイアが慌てているけどそんなことは関係ない。

血が必要だというのなら私の血を使って代用する。

魔力というものが足りなければサファイアにある力で無理矢理にでも魔力というものを供給する。

触媒は目の前にいるモードレッドが触媒になる。

どこにも無茶だという要素はない。

確かに全身が焼き尽くされるような痛みが私を襲っているけどこのくらいの痛みは今のモードレッドの痛みに比べれば無いに等しい。

まあ、例え無茶だとしてもその無茶でモードレッドを救えるのなら躊躇いはしないけどね。

 

 

「――――告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

カッ!

 

 

詠唱が唱え終わり、私とモードレッドを中心に眩い光が放たれる。

モードレッドの悲鳴も聞こえなくなった。だけどモードレッドはここにいる。

私の賭けは…私の勝ちに終わった。

 

 

「はは…。まさか敵だった俺を自分の命をかけて助けようとするなんてな…とんだ我儘娘だ。」

 

 

鈴のような、それでいて力強い声が私の耳に響いた。

確かにこれは私自身の我儘だ。

人によっては偽善とも言われるかもしれない。

それでも、私は救いを求めていたモードレッドを助けたかった。

 

 

「だけど…ありがとな」

 

 

あ、ヤバイ…身体が一気に重くなってきた…。

ちょっと無理をしすぎたかな…。

意識が徐々にブラックアウトしていくなか、最後に私の目に映ったのはどこか照れくさそうに笑うモードレッドの顔で、最後にモードレッドのお礼が聞こえると同時に私の意識は完全にブラックアウトした。

ああ…今日は疲れたな…おやすみなさい…。

 

 

 




どうも、明日香です。
今回はラウラのランスロット召喚と真優の覚醒、そしてデストロイとモードレッドとの戦い、そして真優とモードレッドの契約となりました(ZEROランサーの出番は犠牲となったのだ…)。
はい、デストロイはバリアを破っただけでそれ以外の活躍は無しに破壊されました。
ぶっちゃけデストロイが動けばインパルスかデスティニーに乗ったシンしか撃破可能な人物がいなくなり、シンが勝ってもIS学園もほぼ壊滅し、死傷者は数え切れないほど出てしまうという事態になってしまうのでこの章では出番なしで消えていきました。
さて、今回のラウラのランスロット召喚と真優の夢幻召喚ですがそれができた理由についてはまだこの章では明かされません。その理由が明かされるのはおそらくこの物語の終盤になるでしょう。
さあ、次回でこの学年別トーナメント編も終わりを迎えます。
ランスロットとZEROランサーの戦いがどうなったのか?今回の襲撃の黒幕はどこへ行ったのか?学年別トーナメントはどなったのか?
次回を楽しみに頂けたら幸いです。


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