IS~衛宮の娘は遥か高き宇宙を目指す~   作:明日香

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第1章IS学園1学期編
Prologue


 

 

『昔、俺は正義の味方を目指していたんだ』

 

『昔は…?今は諦めたの?』

 

『いいえ。このバカは今でも正義の味方を目指しているのよ』

 

 

懐かしい記憶…。

私が二度目の生を受けて五回目の誕生日を迎えた日…。

まだ、私のお父さんとお母さんが生きていた日の思い出…。

 

 

『ちょっ!?凛!!それは真優にはまだ内緒だって言ったじゃないか!』

 

『ふふ。どうせ遅かれ早かればれるんだから今言ったっていいじゃない』

 

 

今まで秘密にしていたことをお母さんにばらされて顔を真っ赤にしているお父さんと

お父さんの反応を心の底から楽しんでいるお母さん…。

その二人をじっと見ている私…。

たぶんどこにでもあるような平穏な日常…。

お父さんもお母さんはこの平穏な日常を大切にしていた。

 

 

『…ったく』

 

『まあまあ。今日の月はうんと綺麗なんだから楽しまなくちゃ損よ』

 

『…そうだな』

 

 

綺麗な月が出ていたことは今でもはっきりと覚えている。

 

 

『ねぇ、真優。貴女は大人になったらどんなことをしたいの?』

 

『まだ五歳になったばかりの真優にその質問は辛いと思うぞ…。凛』

 

 

あの日、お母さんが将来何になりたいのか聞いてきたことも…。

お父さんが呆れながらお母さんにツッコミを入れていたのも…。

 

 

『私は…―――――――――かな』

 

 

そして…あの日私がお父さんとお母さんに語った夢も…。

 

 

『そう。なら安心ね?士郎』

 

『ああ。安心した』

 

 

お父さんとお母さんが私の夢を応援してくれたことを今でもはっきりと覚えている。

あの事件が起こってお父さんとお母さんが死んでしまって、諦めかけていた夢だけど…

 

 

「解析、開始」

 

 

私の心を救ってくれたあの人と私を支えてくれる沢山の人達のおかげで

今もその夢を目指して頑張って生きている。

 

 

「創造理念…解明。

 基本骨子…解明。

 構成材質…解明。

 製作技術…解明

 全行程…完了…。

 よし、今日はここまでかな」

 

 

昔は宇宙に出るなんて非常に難しいと言われていたけど今は私でも――に行く術がある。

だから私はあの人に助けられた時から使えるようになっているこの力を使って

ある学園に入学するための勉強をしている。

私がなんでこの力を使えるのかわからないけれどたぶん、この力は誰かの為に使える力だ。

だから私はこの力を自分の為だけじゃなくて私を支えてくれている人達の為に使う。

お父さんのような正義の味方にはなれないけど私は私なりに頑張っていく。

 

 

「真優。そろそろいくぞ」

 

「うん。わかった」

 

 

私の夢はまだまだ遠いけどそれでも一歩ずつ、前に進んでいく。

いつかは遥か高く、風が歌う空のよりも高いあの場所へ…。

お父さん、お母さん。いってきます。

 

 

 

 




どうも、明日香です。
第一話が投稿されてから5ヶ月近く経ってからの投稿になりましたがプロローグです。
これから真優がどのような人生を送っていくのか…。
その物語を楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、失礼します。

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