IS~衛宮の娘は遥か高き宇宙を目指す~   作:明日香

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第1話「運命の日」

この世界には【転生】という言葉がある。

多くの人はその言葉をまったく信じないけれど。

私はこの言葉が実際に起こる現象だと知っている。

何故なら私はその【転生】をした者の1人だからだ。

え?中二臭い?

そう言われても実際に私は【転生】した者なんだから文句は言わないでほしい。

話を戻すけど前世の私は本当に身体が弱かった。

前世における私のお父さんは私が生まれる前に交通事故で死んで、私のお母さんも私が産まれると同時に死んだらしい。

生まれた時から天涯孤独でずっと病院暮らしで知っている景色は病室と窓から見える風景だけだった。

前世の私を診察してくれていたお医者さんも私が長く生きられるように、外の景色を見ることができる様に、それこそ身を粉にするかのように頑張ってくれていたけど前世の私は10歳になる前にこの世を去った。

その時の私は『今度生まれてくるときは元気な身体で生まれたい』と願った。

そしたら私は慈愛に満ちた表情の女性に抱きしめられた状態でこの世界に生を受けた。

そういうわけで二度目の生を受けた私なんだけど神様が前世の私の願いを聞いてくれていたのか私を産んでくれたお母さんとのおかげは知らないけれど私はとっても健康で頑丈な身体で生まれた。

お父さんは航空自衛隊の隊長でお母さんは私達が住んでいる街のセカンドオーナーだった。

お父さんはいつも仕事で忙しいけれどいつも私を可愛がってくれたしお母さんもとんでもない機械音痴だったけど溢れんばかりの愛情を私に注いでくれた。

こんな平凡だけど優しい日々が続くと思っていた。

あの日が来るまでは…。

【白騎士事件】

この世界を大きく歪ませる原因となった兵器としてのIS【インフィニット・ストラトス】が台頭した事件だ。

世間では2000発以上のミサイルがたった1機のISが全て撃墜したことになっていたけれど実際は少し違う。

たった1発だけ着弾している場所があった。

それが私の住んでいる家だった。

あの時私は死んだと思った。

でもその時私に死は来なかった。

お母さんが身を呈して私を守ってくれたから…。

 

 

『幸せになりなさい』

 

 

お母さんはそう言い残して私の目の前で息を引き取った。

そしてお父さんも【白騎士】を鹵獲しようとする世界各国の軍から【白騎士】を守って命を落とした。

あの日、お父さんとお母さんが死んだ。

だけど私は生き残った。

【白騎士】を恨んでないと言えば嘘になる。

だけど誰かを恨み続けるよりもお父さんとお母さんの子供だと胸を張って生きていきたい。

1人暮らしはいろいろ大変だけど間桐おじさんや藤村おばさん達の手助けもあって今もこうして生きている。

お父さん…お母さん…私、衛宮真優は今…

 

 

『さっさと死ね!!』

 

「断る!!」

 

「どうしてこうなった…」

 

大親友の箒と一緒にISを盗んだテロリストに追いかけまわされています…。

 

 

第1話「運命の日」

 

 

 

 

どこかの森

 

 

ズガガガッ!!

 

 

「このっ!ちょこまかと!!」

 

「危なっ!?」

 

「くっ!」

 

「逃げるな!!」

 

「この状況で逃げるなと言われて逃げないバカがいるか!!」

 

「いやいやいや!!当たったら死ぬっしょ!?」

 

 

IS【インフィニット・ストラトス】…

この製作した本人の意思を無視して世界を歪めてしまったマルチフォーム・スーツであり、社会からは史上最強の【兵器】と認識されている“女性にとっての”力の象徴である。

 

 

「だったらさっさと死ね!!」

 

「死ねるか!!」

 

「断る!!」

 

 

『いったい何がどこで間が悪くなったのだろうか…』

そんなことを考えながら真優と真優の隣を走る真優の親友である少女…篠ノ之箒は自分の後ろからアサルトライフルを連射してくるISを身に纏ったテロリストから逃げていた。

きっかけは今から1時間前のことである

 

 

 

 

IS研究所

 

 

「これがイギリスのISの研究所か~」

 

「倉持技研も凄かったけどここも凄いな」

 

 

それは真優がテロリストに追いかけまわされる15分前…

真由は自身が通っている中学校の修学旅行で現在の国際社会において絶大な発言力を持つ国の1つであるイギリスへ修学旅行として来ている時のことである。

 

 

「(解析(トレース)、開始(オン))」

 

「どうした真優?またいつもの癖が出たのか?」

 

「にゅっ!?…う、うん。やっぱこういった場所はどういった場所なのか気になって」

 

 

真優は【転生者】以外に他の人間と異なる点がある。

それは【魔術】と呼ばれる特殊な力を有しているのである。

その彼女が持つ【魔術】の力の中でも真優が得意とするのは【解析】と【投影】と【強化】の3つ。

そして、真優は何か気になる物があれば【解析】の能力を使ってその物の構造や構成物質、製作者の理念や製作者がその物に掛けた想いまで知ろうとする癖があるのである。

 

 

「ほどほどにしておけよ。こういった場所は国家機密のエリアがあってもおかしくないんだからな」

 

「むぅ、わかってるよ!箒の心配性!」

 

「はあ…。本当にわかっているのだろうな…?」

 

 

幸いこの能力は世間に知られてはいなかったが箒は【魔術】とまではいかないが真優が気になる物を徹底的に知りたがると言う癖を熟知しており、制止しても聞かないということも勿論知っていた。

 

 

「ん?なんか一ヶ所だけ変な場所があるね」

 

「変?何かあったのか?」

 

「私、様子を見てくる!」

 

「真優!…まったく!!」

 

 

だが、この時箒は無理をしてでも真優を止めるべきだと心の底から後悔するハメになるがそれは後の祭りである。

 

 

 

 

「変な感じがあったのはここだね」

 

「ここは…どう見ても専用機の整備エリアじゃないか!!」

 

 

変な反応を追って順路から外れた真優とそんな真優を追ってきた箒は辿り着いたエリアの周囲を見回すと2人が辿り着いたエリアはイギリスの国家機密の塊である専用機の整備エリアだった。

 

 

「うーん。なんでこんな場所に変な感じがしたんだろ?」

 

「そんなこと私が知るか。さっさと戻るぞ」

 

「でもあの人が装着しているISってイギリスの国家代表のISだよね?」

 

「は?」

 

 

真優は何故自分が感じ取った違和感がこんな場所からしていたのか首を捻っていると箒が真優を引っ張って順路へ戻ろうとした瞬間…

 

 

「貴様達、見たな?」

 

「え?」

 

「は?」

 

「貴様達には消えてもらう」

 

 

IS…それも専用機を盗んだテロリストと遭遇してしまい、テロリストがアサルトライフルを構えた瞬間、2人揃って回れ右をして一気に走りだし、ISと命懸けの鬼ごっこを興じるハメになった。

 

 

 

 

どこかの森

 

 

ドガァンッ!!!!

 

 

「どうしてこうなった…」

 

「元はといえば真優が気になると言って機密エリアに入ったせいではないか!!」

 

「そんなこと言われても気になったんだからしょうがないじゃない!!」

 

 

お互いに言い争いをしながら全力疾走でテロリストから逃げている真優と箒はいつの間にか見知らぬ森の中へ入っていた。

 

 

「ええい!いい加減死ね!!」

 

「「死ねるか!!」」

 

 

真優と箒が走る道はまったく整備が行き届いておらず、非常に走りにくい場所であったがうっそうと生える木々はアサルトライフルの弾すら貫通させず、真優と箒にとってこれ以上とない盾になっていた。

 

 

「チッ!!」

 

 

そして、この森に生える木々はテロリストの移動速度の低下にも役立っており、相手がISにも関わらず真優と箒が逃げられている最大の要素であった。

 

 

「しかし今更だがここはいったいどこの森なんだ?研究所の近くにはこんなにも広い森は無かったはずだが…」

 

「そんなの私にはわかんないよ!!!」

 

「そ、そうだな…。すまん」

 

「あ、どこか開けた場所に出るよ!!」

 

テロリストとの距離が大きく離れて多少の余裕ができた箒は自分達が走っている森はいったいどこの森かと考え、真優に疑問をぶつけるがそんなこと真優が知るはずもなく、箒は真優に謝ると突如2人の視界が大きく開けた。

 

 

 

 

森の湖

 

 

「これは…!」

 

「綺麗…」

 

「森の中の湖…なんというかアーサー王伝説の湖を連想するな…」

 

「確かにイギリスで森の中の湖と言うと頭に浮かぶのはそれだよね」

 

 

真優と箒は一瞬だけとはいえ自分達が先程まで命を狙われていることを忘れてしまう程に目の前に広がる湖の美しさに見とれ、日本でも非常に有名な伝説である【アーサー王伝説】を思い浮かべていた。

 

 

「本当にここは綺麗…さっきまでの出来事が嘘みたい…」

 

「ああ。このまま諦めてくれるといいんだが…」

 

「そうだよね…」

 

 

美しい湖を見ながら真優と箒はこのままあのテロリストが諦めてくれたらと思ったがそんな二人の思いはあっけなく砕かれてしまう。

 

 

ドガァンッ!!!

 

 

「あうっ!!」

 

「かはっ!!」

 

 

真優と箒のすぐ近くに着弾したグレネード弾の爆風が真優と箒を吹き飛ばし、地面に激しく叩きつけられた真優と箒は地面に叩きつけられた痛みで顔を歪めながらグレネード弾が飛んで来たと思われる方向へ視線を向けるとそこには先程まで自分達を追っていたテロリストが悪魔的な笑みを浮かべながらアサルトライフルを真優と箒に突き付けていた。

 

 

「IS相手に良く逃げ回ったがここまでだな」

 

「うぅ…」

 

「くっ…」

 

「安心しろ。痛みは一瞬ですませてやるからな」

 

 

相手はISのため自分達がどうあがいてもダメージを与えることができない。

加えて相手が持つアサルトライフルは自分達の命をいとも簡単に奪うことができる。

アサルトライフルを突き付けられた真優と箒はどうあがいても自分の死は絶対に避けることができないと悟った。

 

 

「お前らはここで、ジ・エンドだ」

 

 

テロリストがアサルトライフルの引き金を引く。

助けは来ない。

自分達はここで死ぬ。

誰にも知られること無くこの世界から存在を抹消される。

真優と箒は絶望した。

だが…

 

 

「(ここで死ぬの…?ここで誰にも知られること無く?)」

 

「(私は死ぬのか?一夏にも姉さんにも自分の想いを告げられずに…?)」

 

「(イヤだ!!イヤだイヤだイヤだ!!!)」

 

「(まだ死にたくない!!)」

 

「「((だって、私はまだ成すべきことがあるのだから!!))」」

 

 

真優と箒は自分が生きることを諦めていなかった。

死にたくない。

自分が成すべきことがある。

そんな真優と箒の生への執着は1つの奇跡を起こした。

 

 

「な、なに!?」

 

「なっ!?」

 

「クソッ!!どんな手品を…!!」

 

 

真優と箒の2人とテロリストの間から眩い光が発生し、光が治まると光が発生した場所には…

 

 

「間に合いましたか」

 

「やれやれ、まさかこのような形で再びこの世界に来ることになるなんてな」

 

 

赤い外套を身に纏った黒髪の青年と甲冑を身に纏った金髪の少女が真優と箒を守るような形で佇んでいた。

 

 

「「問おう」」

 

「貴女が、私のマスターか?」

 

「こんな役立たずを呼んだのは君か?」

 

 

その2人が真優と箒に問いかけてきた。

自分達を呼んだのがお前達かと…。

真優と箒はこの2人が自分達を助けるために来てくれたのだと悟るとこう答えた。

 

 

「うん」

 

「ああ」

 

「私が貴方達のマスターだよ」

 

「私がお前達のマスターだ」

 

 

現れた2人に対し堂々と宣言した。

自分達がマスターだと。

それを聞いた2人も満足した表情をすると真優と箒の剣になると宣言し、手に持った得物をテロリストに向けた。

 

 

「ああ。契約完了だ。これから俺は君達の剣となる」

 

「これより我が剣は貴女達とともにあり、貴女達の運命は私とある」

 

「さて、ではマスターの命を脅かす貴様には消えてもらおう」

 

「どんな手品か知らないがまとめて殺してやる!!」

 

 

目の前に現れた2人に対し、テロリストは2人に向けてアサルトライフルを構えながら突撃した。

目の前に居る2人はISを身に纏った程度で倒せるような存在ではないということに気がつかずに…。

 

 

「遅い」

 

「ひょっ?」

 

「錯乱した状態で殺せるほど俺は甘くない」

 

 

勝負は一瞬で終わった。

赤い外套を羽織った青年がテロリストの鳩尾に拳を一撃入れるだけでテロリストが糸の切れた操り人形のように気絶し、テロリストが身に纏っていたISも待機状態となって青年の足元に転がっていた。

 

 

「さて、邪魔者を片付けたわけだが、マスター達はどうやってここに来た?」

 

「えっと…」

 

「実は私達も何故このような場所に辿り着いたのかわからないのだ…」

 

「ただ言えるのはその人から逃げていたらこの森に辿り着いたとしか…」

 

「ふむ…この森は限られた者しか辿りつけん。すまないがマスターたちの名前を確認したい」

 

「私は篠ノ之箒という。こっちが…」

 

「衛宮真優だよ」

 

 

無力化したテロリストを何処からか取り出した鎖で拘束する青年にどうやってこの森に来たのか尋ねられた真優と箒はどう答えるか迷ったが嘘を言っても意味がないと判断してここに辿り着くまでの顛末を青年と少女騎士に説明すると名前を尋ねられ、自身の名前を言ってなかったことを思い出した真優と箒は2人に自分の名前を教えた。

 

 

「エミヤ…あの、失礼ですがマユのご両親の名は?」

 

「衛宮士郎と衛宮凛だけどどうかしたの?」

 

「そうですか…そうだったのですね…シロウ、リン…」

 

 

すると少女騎士は真優の名前を聞くと動揺しながら真優に真優の両親の名を聞き、真優は自分の両親の名を少女騎士に教えるとどこか嬉しそうな声で納得していた。

 

 

「マユのご両親は今何を?」

 

「………」

 

「マユ?」

 

「すまない。真優のご両親は9年前に2人とも他界しているんだ」

 

「………申し訳ありません。マユ、不謹慎でした」

 

「…いいよ。2人ともお母さんは私を救ってくれたしお父さんも誰かを守りきったんだから」

 

「そうですか…2人とも立派に生き抜いたのですね…。ありがとうございます。マユ」

 

 

マユの両親の死を聞いた少女騎士がとても落ち込んだ表情で真優に謝ると真優は自分にとって両親は誇りだと答え、真優の答えを聞いた少女騎士はどこか安心した表情で真優に礼を言った。

 

 

「さて、君達が名乗って俺達が名乗らないわけにはいかないな。俺の名前はシン、シン・アスカ。今は故あってこの世界の守護者をしている」

 

「私の名前はセイバー…」

 

 

ゴンッ!!

 

 

「痛いじゃないですかシン…」

 

「聖杯戦争でもないのに自身の名を隠そうとするな」

 

「むむむ…」

 

「何が『むむむ』だ。まあ、本名を聞いたら聞いたで2人が驚くだろうがな」

 

 

真優と少女騎士の話が終わったところを見計らった青年…シン・アスカは自身の名を名乗り、少女騎士もセイバーと名乗った瞬間シンの鉄拳がセイバーの脳天に直撃し、セイバーと名乗った少女騎士は涙目でシンに訴えかけるがシンはセイバーと名乗った少女騎士の抗議を無視して本名を隠そうとするなと言い、セイバーと名乗った少女騎士は改めて本名を名乗った。

 

 

「私の名前はアルトリア・ペンドラゴンと申します」

 

「ペンドラゴン?もしかしてアーサー王だったり?」

 

「はい、貴女達が知っているアーサー王は私です」

 

「「え?えええええええええええええええ!!!?」」

 

 

セイバーと名乗った少女騎士…アルトリアの名前を聞いた真優と箒は目の前に居るアルトリアがかの有名なアーサー王そのものであると知って驚きのあまり叫んでしまった。

 

 

「…こうなる反応が目に見えていたのでセイバーと名乗ろうとしたのですが?シン」

 

「どうせ遅かれ早かれ知ることになるんだ。だったら早い方がいい」

 

 

真優と箒の反応を見て自身の予想通りの反応だったためにアルトリアはシンをジト目で見たがシン自身は別段堪えた様子も出さずに話の続きをした。

 

 

「さて、これからマスター達はどうするんだ?恐らくむこうでは君達が突然居なくなってパニックになっているだろうな」

 

「あ!みんなのところに戻らなきゃ!!」

 

「い、急ぐぞ真優!!」

 

「やれやれ、慌しいマスターだな」

 

「何を暢気なことを…。ともかくマユとホウキを追いますよ!!」

 

「ふふ。なんだかんだで退屈しそうにないな」

 

 

シンに指摘されて自分の担任達が自分達を探しているだろうと気がついた真優と箒は大急ぎで来た道を戻りだし、そんな真優と箒を見ていたシンにアルトリアはシンが拘束したテロリストとテロリストが奪って使用していたISを手に取りながら真優と箒を追い、シンもまた彼女達を追うのであった。

 

 

 

 

数ヵ月後…

 

 

IS学園

 

 

「あれから色々あったね~」

 

「ええ。マユがホウキと一緒に担任の方に怒られたり強奪されかけていたイギリスの専用機を奪還したことによって2人揃って表彰されたり私がマユとホウキと同じ学校に編入されたりホウキの急な転校が決まってシンがホウキの護衛としてついて行ったり私達がIS学園の入学試験に合格したりと本当に色々ありましたね。」

 

 

真優と箒がシンとアルトリアと出会ってから早数ヶ月…

あれからISの研究所へ戻っている時に2人の安否を心配して研究所の周辺を走り回っていた真優と箒の担任に発見されて散々怒られた後無事でよかったと笑顔で迎え入れられ、更にそのすぐ後にイギリスの専用機を強奪したテロリストを運んできたシンとアルトリアがイギリスの軍に引き渡したことでまた大騒ぎに遭い、真優と箒の2人がイギリスから表彰を受けて(シンとアルトリアは早々に逃げた)修学旅行が少し長くなったりアルトリアが真優と箒が通っている学校に編入したりテロに遭いかけたという理由で箒が転校させられたりその後の進路先であったIS学園で合格したりと真優と箒の修学旅行が終わって数ヶ月の間に様々な出来事が立て続けに起こったのである。

 

 

「まあ、箒とシンとは何処に居ても念話でいつでも話せたから寂しくはないけどね。」

 

 

IS学園の校門を見ながら真優は自分と箒はいつでも念話で会話ができるから寂しくなかったと言いながら笑った。

箒とは離れ離れになったが真優と箒の間にはアルトリアとセイバーを通して念話が可能であり、友達の形態電話に気軽に掛ける様な要領で頻繁に連絡をしあっていた。

そして、つい先日に箒から自分はIS学園に入学することになったと告げられたことを思い出した。

 

 

「箒もIS学園に入学することには驚いたけど」

 

「私は校長になっていたタイガから推薦を受けて…」

 

「まあ、アルトリアは全部の成績がトップだから」

 

「はあ…タイガには困ったものです」

 

「あはは…。シンも政府から箒の護衛として雇われてIS学園の用務員という立場でIS学園に入るらしいし」

 

「その連絡が入った時は私も驚きました…」

 

「私も試験に合格してここに来たわけだからね!」

 

「これはもう偶然じゃなくて運命ってレベルだよね」

 

「そうですね」

 

 

IS学園の門を見ながら真優は自分達がIS学園で再会を果たしたということに運命じみたものを感じずにはいられなかった。

箒は保護プログラム的な意味での入学、シンは日本政府に箒の護衛として雇われて用務員としてIS学園に入り、アルトリアは真優の伯母であり通っている学校の校長である藤村大河の推薦で余裕の合格、真優自身も筆記と実技の両方の試験を無事合格してこのIS学園に入学を果たした。

 

 

「あそこに居るのって箒とシンじゃない?」

 

「そのようです。あ、ホウキは私達に手を振っていますね」

 

 

改めて修学旅行から始まった激動の日々を真優はしみじみと思い出していると自分達と同じくIS学園に入学を果たした箒と箒の護衛としてIS学園に用務員という形で配属されたシンが校門のすぐ近くで真優とアルトリアを待っていた。

 

 

「おーい!箒―!シーン!」

 

「真優!アルトリア!ひさしぶりだな!」

 

「ひさしぶりですね。ホウキ、シン」

 

「ああ、2人ともひさしぶりだな」

 

 

数ヶ月前に別れた親友と再会し、喜びにふける真優と箒を傍目にアルトリアとシンもお互いの再会を喜んだ。

少女達の物語が今、始まる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はじめまして。この小説を執筆している明日香と申します。
今回ここハーメルン様にてこの小説を投稿させていただくことになりました。
感想をいただければ幸いです。
まだまだ至らぬ点がありますがこれからよろしくお願いします。


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