ハイスクールD×D~赤龍帝の幼馴染は転生者~   作:ジント

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久しぶりに更新します。
にじファン時代から結構設定を変えたのと留年のダブルパンチで遅れる事になりましたが第一話です。こちらの更新はもう一つの作品より更新が遅いと思います。具体的に言うとモチベーションの低下で。それでも改稿出来次第次々と登校しようと思います。それでは駄文ですがどうぞ。


第一話

 

 

Auf Wiedersehen(さよならだ). これ喰らって、地獄に逝けや。

 

 

 

―――――――●●●―――――――

 

『オキナサイ! オキナサイ! オ、オキナイナラ、キ、キス、スルワヨ・・・・』

 

「・・・・んあ」

 

ツンデレ声の目覚ましによって床で寝ていた俺は目を覚ました。

 

本来はこの部屋の主を寝床から起こすのが役割なのだが、その主はベッドの上でいびきをかきながら寝続けている。

 

俺はおぼつかない足取りで部屋の主――――イッセーの前まで来ると、

 

「いつまで寝てんだ。とっとと起きろ!」

 

あらかじめ用意してあったハリセンを顔面目がけて振り下ろす!

 

パアァァァァァン!

 

「痛っでぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

派手な音と共に、鼻っ柱を抑えながらイッセーはベッドから転がり落ちる。

 

「さあ、飯食ったら今日の分の勉強を始めるぞ。休む暇もないと思え」

 

中三の夏休みの初日の朝、床で悶絶するイッセーに向けて俺はそう告げた。

 

 

――――――●●●―――――

 

何故俺がイッセーの部屋で寝ていたか?

 

別にBでLな腐った女子が好むような理由ではない。

 

始まりは昨日の終業式が終わった後、

 

 

『ロウ、お願いだ俺に勉強を教えてくれ!』

 

『何処で頭打ったイッセー!? お前が勉強? 冗談だろ!?』

 

『冗談じゃない! とりあえずこれを見ろ』

 

『えっと、私立駒王学園入学案内・・・・って駒王学園!? この辺りじゃ一番の難関校だぞ? お前の頭じゃたとえ天地がひっくり返ってもありえねえよ!』

 

『確かお前の志望校もそこだったよな? ならついでに色々と頼む!』

 

『そもそも何でここに入りたい? ちゃんと理由を説明しろ』

 

『女子が多い! 女子高生に囲まれて授業を受けたい! この学校でハーレムを作る!』

 

『このスケベが!』

 

『スケベで何が悪い! いいか、俺にはもう入学早々彼女をゲットしてそのあと別れと出会いを繰り返して卒業の時に複数の女子が俺を取り合ってバトルロワイヤルをするという壮大な計画が立てられているんだ! 入試なんて最初の部分で躓くわけにはいかないんだよぉぉぉぉ!』

 

『そんな不純かつ小数点以下の可能性のために貴重な夏休みの時間を削れと?』

 

『頼む! お願いします! 何でもするから!』

 

『・・・・ほお、言ったな』

 

『えっ』

 

『しょうがねえ奴だ。今日からみっちり勉強をおしえてやる。ただし、途中で逃げるのは絶対に許さないからな。夏休みが終わる頃には“趣味は勉強、尊敬する人は二宮金次郎、好きな言葉は晴耕雨読”といった優等生に生まれ変わらせてやる』

 

『ちょっと待ったあああああああああああああああッッ! 何ソレ? もはや別人になっちゃってるよ俺? そこまでしなくてもいいから普通に勉強を教えてくれるだけでも・・・・』

 

『何でもするって言ったろ。それに学問に王道は無い! さっそくお前ん家に泊まり込みで勉強会だ。おばさんもおじさんも快諾してくれそうだし何も問題はないな』

 

『うわあああああッ! 誰か、誰か助けてぇぇぇぇ!』

 

 

―――――という事があったからだ。

 

 

そんな訳で現在。

 

「相変わらずおいしいっすねおばさん」

 

俺は兵藤家のリビングにて朝食をごちそうになっていた。

 

久々におばさんの味噌汁を飲んだが、相変わらずおいしい。

 

ちなみにここにいるのは俺、イッセー、おじさん、おばさんの計四人だ。

 

二人には昨日事情を話したのだが予想通り快諾してくれた上に食事まで作ってくれる事になった。

 

適当にコンビニ弁当で済まそうと思っていたからありがたい。

 

「あら、おだてても何も出ないわよロウ君」

 

「お世辞じゃないですよ。それにしてもわざわざ俺の分まで作ってくれるなんてすみません」

 

「別にいいのよ。昔は家事が出来るようになるまで一緒に食べてたし、イッセーの勉強も見てくれているしね」

 

俺の両親は仕事柄ほとんど家にいない。

 

前世でもそうだったので特に気にはならなかったが、自炊が可能な年齢になるまではこの家にお世話になっていた。

 

本当に俺って世話になりっぱなしだな。

 

「それにしてもイッセーが駒王学園にか・・・・正直どうなんだい?」

 

「それは―――――」

 

おじさんに聞かれちらりと横を見る。

 

そこには死んだ魚の如き目をしたイッセーが黙々と飯を食っていた。

 

ふむ、アレ(・・)が予想以上に聞いたらしい。

 

試しにイッセーの目の前にエロ本を置いてみる。

 

だがしかし、小学校の頃から性欲の権化とまで言われたイッセーが何の反応も示さない。

 

「だ、大丈夫なのかい? イッセーがエロ本を前に何も言わないなんて・・・・」

 

心配そうな顔でおじさんとおばさんが俺を見てくる。

 

「問題ないっすよ。 これを使っただけですから」

 

と、俺は《サルでも分かる催眠術》と書かれた本を取り出した。

 

「さっきこいつに催眠術使ったら面白いくらい効いたんです。

今なら勉強した事が簡単に頭に入る筈だから基本的な事は全部この夏休み中に覚えさせられます」

 

俺がそう言うと二人は安心したような表情を浮かべる。

 

「そうか。それなら安心だね」

 

「そうね。今まで勉強しなかったツケが来ただけだし、しっかりとお願いね」

 

それを聞いて少々顔が引きつるのと同時に何だか申し訳ない感じになってしまった。

 

「・・・・すみません。あの時、俺がイッセーを説得できていれば」

 

「いや、あれは君のせいじゃないよ。バカな夢を見たイッセーが悪い」

 

「そうよ。『不良になったらモテる』なんて幻想抱いて、結局彼女を作るどころかロクでもない噂が広まって敬遠されたのは自業自得よ」

 

そう、今から二年くらい前の話だ。

 

当時から俺とイッセーは不良として名を馳せた。

 

俺にとって中学校の勉強など退屈なものでしかなく、故に前世と同じように授業をサボり、色々な事に首を突っ込んでいくうちに俺は再び不良と呼ばれるようになった。

 

ここまではいい。

 

だが誤算だったのはイッセーまで俺と一緒に不良になった事だ。

 

理由は実にこいつらしく『不良になったらモテる』との事だった。

 

なんでもイッセーによると俺は学校の女子の間ではかなり人気があるらしく、それならば自分も不良になればモテるんじゃないか? という考えに至った訳だ。

 

もちろん俺は説得した。

 

俺が不良をやってるのは学校の勉強が退屈だからでモテるのはイケメンだからだと何度も言ったのだが、それを聞くたびにイッセーは俺も不良になると言って聞かなかった。

 

最終的に俺が根負けし、一緒に学校をサボって喧嘩にイタズラ、覗きにギャンブル、他にも無免許運転やら様々な事をやらかした。

 

正直、一人でやるよりもイッセーと一緒にはしゃぐのは楽しかった。

 

だが、ある日悪友の元浜と松田からもたらされた噂話によってイッセーは不良をやめる事となる

 

その噂話とは、美少女を見たら襲いかかる野獣イッセー。カップルを見かければ男を半殺しにして女の子を連れ去り、人目につかない所で鬼畜三昧のエロプレイを強制し、『くっくっく、見ず知らずの、それも彼氏をボコった男の前で卑しい顔しやがってこのメス〇〇がッ!!』と罵っては乱行につぐ乱行をし、さらにはボコッた男の方もあとでおいしく頂く、というものだった。

 

それを聞いた時のイッセーの顔は忘れられない。

 

ついでにイッセーを見る女子の目も忘れられない。

 

あれはあきらかに汚物を見る目だった。

 

そして俺も俺でイッセーとそういう関係であるという噂が流れつつあり、急いで事態の究明を図った。

 

あらゆる伝手をを頼り、その噂を流したのは以前俺達にボコられた不良グループの奴らだと分かった時、俺とイッセーは連中相手に口に出すのも憚られるようなお仕置きを行い、その後、真っ当な学生として生きる事にしたのだ。

 

・・・・と言っても、未だに喧嘩を吹っかけられることがあるが。

 

考えてみれば俺って前世から全然成長してないんじゃないだろうか?

 

いやしかし、精神は肉体に引っ張られるとも言うしおかしくはないのかもしれない。

 

「あの時の写真はたくさん撮ってあるのよねぇ。特に中二の時なんてたくさんあるのよ。もしイッセーに女の子の友達がたくさん出来て家に来たら、是非ともアルバムを見せたいわぁ」

 

「・・・・黒歴史を見せるとかどんな罰ゲーム?」

 

中二の頃のイッセーはまさしく中二病を発症していた。

 

無駄にカッコつけた言動、自作の詩、髪を染める、バイクを乗り回す。

 

まさしく黒歴史。

 

当時の事には触れないのが俺達の暗黙の了解になってるくらいだ。

 

・・・・まあ、女の子の友達が出来るなんてこいつにとっては儚い夢でしかないだろうが。

 

「まあ、よろしく頼むよロウ君。エッチなだけで悪い子じゃないんだから」

 

「それは分かってますって。・・・・ご馳走様でした。ほらイッセー、さっさと片付けて勉強するぞ」

 

とりあえず今日は文系科目を・・・・ざっと十二時間くらいやらせるか。

 

のろのろと動き出すイッセーを尻目に、俺は今後のプランを練るのだった。

 

 

―――――●●●――――

 

~五日後~

 

 

「さてさて、ブツも手に入ったしさっさと帰ろうかね」

 

イッセーに勉強を教え始めてから早五日が経過し、俺は自宅から二駅ほど離れたところにある本屋へと寄っていた。

 

この五日間でのイッセーへの勉強は予想以上の効果を上げている。

 

元々エロい事しか頭にないのでまるでスポンジのように頭に入って行くのだろう。

 

まあ、たまに「お・・・・ぱい・・・・おん・・・のこ」とかブツブツ言っているが気にしない。

 

放っておくと何も食べずに勉強し続けるのも気にしない。

 

あいつの頑丈さは良く知っているのでこの程度ならまだ大丈夫だ。

 

この調子でいけば夏休みが終わる頃には大幅な学力の向上を期待できる。

 

そんなわけで少しはご褒美を上げても問題ないだろうと思い、馴染みの少々胡散臭い本屋へ足を向けたのだ。

 

少々値段は高かったが、まだ十八歳未満の俺たちは普通の店では買えないためこういった怪しい店で買わなくてはならない。

 

それでも置いてある本はそれほど凄い物でもないし、当然エロDVDなんてものは売ってない。

 

松田や元浜はどうやってあれほどのエロ本やエロDVDを揃えてるんだ?

 

あいつらが独自のルートだから教えられないと言った時の顔を思い出したら殴りたくなってきた

 

そこから数冊のエロ本が入った袋を持ったまま、俺は人気が無い方に進んでいく。

 

途中で誰も使っていないようなコインロッカーが並ぶ通路を抜けて入り組んだ道を通り、やがて少し広い空地へとたどり着いた。

 

 

そして―――――――。

 

 

「で、さっきから何だよあんた?」

 

さっきから後ろにいる尾行者(・・・)へと声をかける。

 

気づいたのは本屋を出た辺りから。

 

妙に粘っこい視線を向けて来るので振り切ろうとしたのだが振り切れなかった。

 

この感じからして普段から突っかかってくるチンピラではなく本職(・・)の奴であるのは間違いない。

 

しかし、俺は恨みは結構買っているが、ここまでやばそうな連中との縁は・・・・あんまりないんだがな。

 

とりあえずあれこれ考えてもどうしようもないのと、相手はおそらく一人である事からこうして誰も寄り付かない場所へと誘導したのだ。

 

俺が声を上げてから少しして、路地から黒いスーツを着た男が出て来る。

 

黒髪に掘りの深い顔立ち。体格は中肉中背の一見すると何処にでもいるサラリーマン。

 

だが、俺には分かる、いや、分かってしまった(・・・・・・・・)

 

こいつはやばい(・・・・・・)

 

俺は前世も含めて今までかなりの修羅場を潜り抜けてきた。

 

それでも、これほどのプレッシャーは感じた事は今までで一度も無い。

 

あきらかに人間が出せるようなものじゃないぞ。

 

・・・・いや、そもそもこいつは人間なのか(・・・・・・・・・)

 

「・・・・あまり手荒な真似をしたくない。少年、大人しく私のいう事を聞いてくれないかな」

 

男は口を開いたと思ったら何やらふざけた事を言ってきた。

 

「もし、断ったら?」

 

出来る限り表情を崩さず軽い感じで聞き返す。

 

もちろん油断などしてはいない。

 

相手の一挙一動を見逃さず徹底的に観察し続ける。

 

「最悪、君を死体にして連れて行く」

 

・・・・死体ときたか。

 

出来れば冗談とかで済まして欲しいが、相手の目を見る限り本気らしい。

 

・・・・仕方がない。どうも腹をくくる必要がありそうだ。

 

命がけの戦いなどあまりしたくは無いのだが、そうも言ってられない状況だしな。

 

「あ~そりゃ勘弁してもらいたいなぁ」

 

頭を掻きながら丁度左半身が相手の方を向くように方向転換する。

 

 

そして、

 

 

「――――――てなわけで死ね」

 

直後に轟音。

 

発生源はオレの左手、正確にはそこに握られた自動拳銃(デザートイーグル)からだ。

 

不良をやっているうちに出来た人脈を頼って手に入れた代物で、普段は先程の通路のコインロッカーの中に隠してあるのだが一応持ってきておいて正解だったか。

 

装填してあるのは非致死性のゴムスタン弾だが、この至近距離ではヘビー級ボクサーのパンチ並みの威力がある。

 

下手をすれば内臓破裂もあり得るそれを眉間、喉、鳩尾、股間と言った正中線上に四連射。

 

先制攻撃としては少々過激なものだ。

 

だが、並みの人間なら病院行き確定なそれを、

 

「・・・・マジ?」

 

あろうことか男は少しよろめく程度で耐えきった。

 

「最近の若者はそんなものまで持ち歩いているのか。正直驚いたな」

 

「俺はあんたのその頑丈さにビックリだよ。ひょっとして強化人間とか改造人間とかそんなやつ?」

 

「前提からして違う。私は人間ではなく―――――」

 

俺の問いに対し男はにやりと笑い、

 

 

――――――バサッ!

 

 

背中から一対の黒い翼が現れた。

 

「いわゆる堕天使と言うやつさ」

 

 

―――――●●●―――――

 

 

これが俺の堕天使とのファーストコンタクト。

そしてこの日を持って俺は世界の裏側へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 


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