あの時何も攻撃してこなかったラフムに何の疑問を抱かず、終わった後に気付いた絶望感が甦りました。
ああ、俺は本当に何て事を……!
今さらながらもう一度謝ろう、ごめんなさいシドゥリさん!本当にごめんなさい!俺は俺は……
ウアアアアアァァァァァッ!!
……今回の話は絶望感があります。
それではどうぞ。
おしらせ:超劇場版4のドロロの忍法が聞き取り辛く、名前が間違っているかもしれません。もし名前がわかった人がいれば教えてください。
――三人称視点――
「……ただいま戻りました」
フランス郊外にあるとある屋敷。その一室で前回、マリア達を無力化した黒い鎧の小柄な少女――セレナ・カデンツァヴナ・イヴが部屋の奥にある椅子に座っているローブを身に付けた女性に声をかけた。
「ご苦労様。渡したファウストローブの調子はどうでしたか?」
「……はい、説明された以上の出力を出せた素晴らしい性能でした」
「そうですか…捕らえた装者達はどうしました?」
「……はい、言われた通りに彼女達を地下牢に入れておきました」
セレナは虚ろな瞳を女性に向けながら、報告を告げると女性は椅子から立ち上がりセレナの前まで歩いてくるとセレナの顔を撫でた後、優しい笑みを彼女に向ける。
「よくやりましたね、ファウストローブに不具合があればすぐに言いなさい。…次の仕事は三人の素体を
「…はい、わかりました――」
――お母様。
そう言ってセレナは頭を下げて部屋を後にした。
「――フフ、まさか半年前に拾った子供がここまで役に立つとは…いい拾い物をしたな」
セレナが部屋から離れた後、女性は先ほど浮かべた優しい笑みが消え…獣のような獰猛な笑みを浮かべていた。
「もう少しだ……もう少しで私の野望が叶う。それまでは私の為に働いてもらうぞ?」
――私のかわいい
――三人称視点、終了――
――セレナ視点――
お母様との話を終えた私は与えられた部屋に入り、机に置いてある骸骨の絵が描かれた青い本を手に取り、備え付けられたベッドに横になって本を胸に抱きながら目を瞑る。
意識を本に集中すると本を介して
それを感じた私はクスリと笑った後、お母様に呼ばれるまで今日起きた事を友達に話してあげた。
友達と話している最中、私は今日出会ったお母様の敵であるS.O.N.G.のシンフォギア装者達との戦いを思い出していた。
(……あの
友達と会話しながら、私と同じ色の目を持ったあの人の顔を思い出す。
(……私と同じ目をした不思議な人。あの人を視たとき頭痛がした……でもなんで私はあの時――)
――懐かしいと感じたんだろ?
『《―――?》』
「……ううん。大丈夫、何でもないよ。ありがとう」
本を通じて友達が大丈夫?と心配の感情が送られてきた。それを感じた私は嬉しくなり、友達にお礼の言葉を伝えた。
『《セレナ、そろそろ時間です。準備が終えたら儀式の間に来なさい》』
友達にお礼を言った後、お母様から呼び出しの念話が聴こえてきた。私はわかりましたと返事を返すとお母様の念話が切れた後、ベッドから立ち上がり私は友達にまた後でね?と伝え鏡に写る自身の身だしなみを整える。
(……そうだ。例えあの人が私の事を知っていても関係無い。お母様の願いを叶え、私は
決意を改めて私は部屋を後にし、お母様が待つ儀式の間に向かった。
――セレナ視点、終了――
――三人称視点――
――米国――
場所は米国。まだ人々が眠っている深夜、そこではギロロ伍長が自身の専用機体――ギロロロボに乗り、謎の建造物の近くを飛びながら調査を続けていた。
「至近距離から観測しても反応は無し……か。一体あれはなんだ……ん?」
ギロロ伍長が思考していると突然、少女の歌声が彼の耳に入ってきた。
「(なんだこれは……歌声?)……なっ!?」
―キュルルォォオォォオオッ!―
ギロロが歌声に疑問を浮かべていると突如彼の前方から
「くっ!あれは一体!?…グゥッ!」
ギロロは驚きながらもそれをかわしたが、ナニカは向きを変えて再びギロロ襲いかかるがギロロは今度はギロロロボの左腕に装備されてあるシールドで防ぎ、腕を腕を振って距離を取りその姿を確認した。
「光の龍だとっ!?クッ!」
ギロロは襲いかかってきたナニカの正体を知って驚いたが再び突進してきた光の龍に機体ごと突き飛ばされ、建造物の上を転がったがすぐに立て直して光の龍にギロロロボの右手に持つビームライフルを向け、ビームを何度も撃ち放った。
だが、光の龍はビームを吸収しながらギロロの下へ襲いかかる。
「ビームを吸収した!?……っ!」
ビームを吸収した事に驚いていると光の龍の体が割れて、複数の体に分裂し一斉にギロロに襲いかかった!
―キュルルォォオォォオオッ!―
「なっ!?しまっ――」
―――ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
ギロロは複数の光の龍の猛攻を避け続けるが、流石のギロロもこの数に対応出来なかったのか一瞬の隙を突かれてしまったギロロの悲鳴が米国の夜空に響き渡った。
・
・
・
――オーストラリア――
「成分分析完了……ククーッ!やはりな、ケロン星に残る古い記録と同じ奴だ。となると……」
同時刻、夕方のオーストラリアにいるクルルは建造物の上に座りこみ、建造物に差し込んだケーブルコードから繋いであるノートパソコンに写る分析結果を見て笑いながら、ケロン星本部にハッキングした情報と自身の仮説を照らし合わせ、建造物の正体について考えていると彼の背後からギロロを襲った光の龍が現れ、クルルに襲いかかった!
―キュルルォォオォォオオッ!―
「……クッ!?」
―バシィッ!―
光の龍と接触する直前で事前に張っておいたバリアにぶつかり、光の龍が弾かれた。
「やべぇ…予想より早く動きだしやがった……チィ!」
最初に現れたのを皮切りに次々と光の龍がクルルの周囲を取り囲み、彼を
(ククーッ!ここまでか……!なら、この情報をあいつらに……!)
―ピッ―
―キュルルォォオォォオオッ!―
「クッ!?」
――ノオォォォォォォォッ!?
建造物についての情報を転送すると同時にバリアが破かれ、光の龍に呑み込まれたクルルの悲鳴がオーストラリアの空に響き渡った。
・
・
・
――アフリカ――
同時刻、アフリカに聳え立つ建造物を駆け昇るドロロ。その彼の後を追いかける複数の光の龍がドロロに襲いかかるがドロロはそれを次々とかわしていると自身の足元が光のを見るや、嫌な予感を感じその場を跳び上がるとそれと同時に彼が立っていた場所から複数の光の龍が飛び出してきた!
「機龍忍法!飛影超護!」
ドロロは慌てることなく背中から取り出した円錐形の四個の黒い機械を取り出し、それを光の龍に向けて投げ飛ばした。
投げた四個の機械が空中で回転して、ガンダムシリーズに出てくるファンネルビットのように動き回り、ビームを放つが光の龍に通じないとわかるとすぐにビットを自身の回りに戻し、ビットを操り三角のバリアを張って光の龍の突進を防いだ。
「この龍は一体?何者かの強い意思を感じるでござる……ハッ!」
ドロロは攻撃を防ぎつつ、光の龍を通して感じる何者かの強い意思について自身が感じた違和感に考えていると彼の頭上から、先ほどとは比べほどにならない数の光の龍がドロロに殺到し、彼が張るバリアを砕きドロロの身体を呑み込んだ。
――不覚っ!?
光の繭に包まれたドロロは意識を失い、少しずつ大きくなりながら建造物に引き寄せられていった……。
・
・
・
――郊外の屋敷――
「……お母様、三人の
「御苦労様です」
郊外の屋敷の地下にある儀式の間、そこでは宙に浮かぶ青い本に手をかざしたセレナが後ろに立つローブを羽織る錬金術師の女に開いた本に映る
「よくやりましたねセレナ。それでこそ私の
「……はい、ありがとうございます。……お母様の喜ぶ顔が見れて嬉しいです」
「フフフ……(ああ、本当によくできた人形だよお前は……)」
誉められたセレナはお礼の言葉を告げると錬金術師の女は自身の命令をきく都合のいい
「さあ、セレナ。残る
錬金術師の女は大袈裟な素振りをした後、悲しい表情を浮かぶと顔を押さえて地面に座り込んだ。
「……悲しまないでくださいお母様。教えてください…どうすればいいのですか?」
悲しむふりをする女を見たセレナはそれに疑問を持たず…いや、
「…………ああ、ありがとうセレナ。あなたは本当によくできた
抱きしめられた女は歪んだ笑みを浮かべた後、すぐに元の優しい表情に戻しセレナに向けると彼女の耳に命令を告げ、女の命令を聞いたセレナは笑みを向ける。
「……はい、わかりました。それではすぐに日本に向かいますね」
そう言ったセレナは青い本を手に持ち、地下を後にした。
「フフフ……もう少しだ……。もう少しで私の野望が叶う。地球龍を誕生させ、私がこの星の支配者になれる!」
――フフフ……アーハッハッハッハッハッハッハッ!
自身の野望が叶うと確信し、笑いを抑えきれなかった女は狂喜の笑みを浮かべ、狂った笑い声が地下室を木霊した。
――三人称視点、終了――
・
・
・
――奏視点――
「なあ、了子さん。こいつの正体は何なのかわかったのか?」
日本政府に連なる生体研究に向かった了子さんの護衛についてきたあたしはこの研究所に運び込まれたナニカの死体を調べている了子さんに質問すると了子さんは返事をしないで、ここ数日の間に調べ上げた情報を見て口元を抑え、一緒にそれを見ていた他の研究員もさの顔を見ると驚愕の表情をしていた。
「…………」
「了子さん?」
「……奏ちゃん、この話を聞いたら胸糞が悪くなると思うけど、それでも聞きたい?」
もう一度声をかけると了子さんはゆっくりと深呼吸をした後あたしに質問すると、それを聞いたあたしは真剣な表情をして頷くと了子さんは鋭い目をしたまま分析の結果を口にした。
「この生物にはある二つの遺伝子が組み込まれているのよ」
「二つの遺伝子?」
あたしが首を傾げると了子さんはパネルを操作して、モニターに
「この生物の遺伝子の二つの内、一つの遺伝子については解明出来たわ」
「……それでその遺伝子は一体何だ?」
了子さんは一度目を瞑り少し間を置いてから、目を開き口を開いた。
「この生物には……」
――人間の遺伝子が入っていたわ。
「なっ!?」
それを聞いたあたしは驚いて言葉を失う。了子さんはそれに構わず続きを話した。
「解ったのはそれだけじゃなく、その遺伝子は五年前に行方不明になった人物の遺伝子情報が入っていたの。しかもそれが数十年前から各地で続いてる連続失踪事件に関わる人物のね……」
――連続失踪事件。
それはあたしが生まれる前から起こっていた事件で時に一人又は数十人の人々が世界各地で行方不明になった怪事件。
数十年も人が行方不明になるこの事件は日本にも起こっており、当時小学生だったあたしの友達の何人かも行方不明になった。まさか、行方不明になったあいつらも……っ!?
「ウグッ!…………ちょっと待ってくれよ了子さん。この怪物がその行方不明事件に関わっているのなら、それじゃあ……その遺伝子を持ったそいつは一体何なんだ……っ!」
その先の光景を想像したあたしは、込み上げてきた吐き気をなんとか抑えると、了子さんに画面に映る怪物について質問した。
「……爬虫類に似たこれの遺伝子はこの地球上のどの生物にも存在しなかった。……けど、この姿を見れば研究者として認めたくないけど、これは今この地球上に存在しない生物……」
了子さんは一度言葉を切って、存在しない存在の名前を口にした。
「――ドラゴンの遺伝子よ」
その言葉と同時にモニターに映る翼を生やした怪物――竜人間の手がピクリと動いた瞬間、モニターが炎に包まれた。
――奏視点、終了――
セレナが……!ギロロ達が……!奏達が……!
どうも皆さん、クロトダンです。
いかがでしたか?セレナを操っている錬金術師の女が登場しました。
ほんと胸糞の悪い女ですね。
そして前回セレナが着ていた鎧は錬金術師の女が用意したファウストローブでした。何の聖遺物のファウストローブなのかは次の話に。
錬金術師の女の命令を聞いたとはいえ、セレナがギロロ達を捕らえてしまいドラゴンに変えられてましたね。この話には出てませんがタママも既に……!
そして炎に包まれた生体研究所にいる奏と了子さんは無事なのか!
ケロロ達はこの困難をどう打開するのか……!
次回に続く!
次はどの話がみたい?
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襲来!ガルル小隊編
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セレナ生存の地球龍事変
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ケロロ達と装者達の日常