そしてアンケートにご協力してくれた皆様ありがとうございます。
アンケートの結果はあとがきにて発表します。
――マリア視点――
私がクルルと初めて会ったのはフロンティア事変が解決し、Dr.ウェルの手で月に飛ばされたマムが地上に戻った後の事だ。
『マリア・カデンツァヴナ・イヴ。この話は君にとって悪くない取引だろう?さあ…どうするかね?』
国連からの
『グアアァァァァッ!?発泡スチロールが擦れ合う音が頭の中にぃぃぃぃぃぃぃっ!?』
―ドサッ―
突然目の前の男が頭を押さえ悲鳴を上げた後、床のの上に倒れた。
『これは…一体……?』
『クックックッ……俺様特製の毒電波のお味はいかが……なんてな』
『誰っ!?』
倒れた男の尋常でない様子に疑問を浮かべていると誰もいない筈の私の背後から声が聞こえ、声をあげて背後を向くと誰もいない室内に突然黄色の二本足の眼鏡を掛けたカエルモドキ――クルルが姿を現した。
『あなたは……確か月に飛ばされたマムを助けてくれた立花 響と一緒にいたケロロってやつの仲間の……』
『久しぶりだなマリア・カデンツァヴナ・イヴ。俺はケロロ小隊の作戦参謀曹長、クルルだ。まあ…よろしくしなくてもいいぜぇ?クーックックックックッ』
クルルは私に自分の名前を言った後、口元に手を当てて嫌な笑い声を上げた。
『……そう。それで?そんな人(?)が私に何のようかしら?』
当時の私は警戒しながら、目の前の彼に質問を投げかけてみるとクルルは笑いながらそれに答えた。
『なあに…ちょっとばかしお前さんに興味をもっちまったからなぁ。だから少しばかりお前さんと話がしたくてあのウルセーオッサンを黙らしたって訳さ』
『私と話……?』
『ああ…あのバーさんからお前さんの話を聞いてなぁ……。聞いてみたら色々とおもしれぇ事を体験したらしいじゃねーか?』
『ッ!?そ…それで、私と何の話がしたいの?』
そう言ったクルルがジロリと私の身体を舐め回すように見ている視線に私は両腕で身体を隠すように抱きしめてクルルにもう一度質問をした。
クルルはまた嫌な笑い声を上げると話の内容を話し出した。
『クックックッ……話は簡単だ。マリア・カデンツァヴナ・イヴ、お前さん……俺様の実験に付き合いな』
『実験に?何故私があなたの実験に付き合わないといけない?』
『【ダブルコントラクト】。
それにお前が世界に向けて歌ったあの歌。あれはお前さんの故郷に伝わるわらべ歌らしいな?あの時、軽く計測してみたら信じらんねぇくらいのフォニックゲインが確認した。
んで…その不可思議な歌詞も含め、お前さんを調べあげようとこうして接触した訳だ』
『ついでにちょっとした実験にも付き合ってもらうがな……』とそう言った後、クルルはまた嫌な笑い声を上げた。
『……仮に私があなたの提案に乗ったとして、私に何のメリットがあるの?』
私の疑問の声にクルルは予想していたと笑いながら答えた。
『クク…ッ!そう言うと思ったぜぇ。そうだな……お前らの母親のナスターシャとか言うバーさんの病を治せると言ったら……どうする?』
『ッ!?なん…ですって?それは本当にできるの!』
私はその言葉を聞いて思わず声をあげてしまったが、それに気にすることなくクルルは答えてくれた。
『確かにあのバーさんの病の進行具合は今の
『それは本当なの!』
その言葉を聞いて様子思わず喜びの声をあげてしまったが、それでもマムの病が治せると思うと叫ばずにはいられなかった。
『クックックッ…ついでにあのガキ共の安全を保証してやんよ。んで……どうする?』
『………』
クルルの出す取引の条件は私にとってメリットがありすぎる。確かに宇宙人である彼の言う実験に付き合うのはどんな目に合うのかと恐怖がないといえば嘘になるが、それでも国連の圧力も無しに私の家族の安全が保証されるのなら、私の気持ちは既に決まっていた。
『いいわよ…クルル。あなたの取引に応じてあげる』
『いいねぇ…そうでなきゃ面白くねぇからなぁ……クーックックッ!』
こうして私は取引に応じるとクルルに言ってから手を差し出すと彼も笑いながらその手を取った。
『それで、私に何をさせたいの?』
『なあに、ちっとばかし俺が開発した発明品を試してもらうだけだ。まあ、もっとも……どんな目に合うのかはその日のお楽しみだがなぁ……クーックックックックックックックックッ!』
この時、私はクルルの取引を受け入れたのを早くも後悔した。
それからロンドンのチャリティーライブまで私はクルルの(理不尽な)実験に付き合った。
ある時は変な銃で子供の姿や恥ずかしい鬼の格好をさせられたり、痩せると言って変なダンスをクリスと一緒に踊らせられたり(結果は増量。クリスと共にお仕置きした)。シンフォギアの代わりの強化スーツを無理やり着させられたりと……ああもう!本当に嫌な奴!
……でも、あんな奴でも私達のピンチを助けてくれたのはたしかなのよね。
月に飛ばされたマムの命を救ってくれた上に魔法少女事変で悩んでいた私にヒントをくれた(あいつらしい分かりづらいヒントだけど)。
それに……地球龍事変で龍の巫女として現れたセレナを助けてくれた。
ひねくれて嫌な奴だけど、そんなあなたには感謝してる……ありがとうクルル。
――マリア視点、終了――
・
・
・
――三人称視点――
――ケロロ小隊、地下秘密基地クルル
「間違いねぇ…こいつはどうみても俺達の事を指し示しているな。だが、どうやって俺達が過去に跳んだのかが……」
キャロルの幼い頃に記した日記を観たクルルは時間を気にせず、そのまま朝になるまで日記を何度も読み返し、日記の内容が真実であると確信してどういう事かその頭を働かせていると彼の研究室の外にいる者との連絡が入りそれに目を向けた。
―ピピッ―
「ァン、誰だ?」
『クルルいる?』
連絡を取ると目の前に四角い画面が開き、研究室の外にいるマリアの顔が映っていた。
「なんだマリアか、なんの用だ?」
『なんだじゃないわ。あなたが昨日から手伝わせたエルフナインとキャロルを迎えに来たの。小さい二人を朝まで手伝わせるなんて何を考えているのあなたは!それで、二人はそこにいるの?』
「ああ、あのチビ共か…。あいつらなら俺の後ろでグースカと寝ているぜ。仕事中に寝て役に立たなかったからな……結局、俺様が全部片付けちまった。……たく、これくらいの事もできねーとは…まだまだお子様だなぁ……クーックックックッ!」
『それは二人がまだ小さいからでしょ!あなたと一緒にしないであげて!……とにかく、二人を迎えに来たから早くここを開けてくれる?』
クルルの言葉を聞いたマリアが眉間を寄せて、彼の言葉に反論してから扉を開けるようお願いする。
「…………ああ、わかった…後ろでスゥスゥと寝息がウルセェーからなぁ…―ピッ―ホレ、扉を開けてやったから、サッサとチビ共を連れていきな、場所を占有して邪魔だからなぁ」
『そんな事言わないの!だいたいあなたはいつも―――』
―プツッ―
喋っている途中でプツンと画面が閉じ、クルルはマリアがこちらに来る前に片手で先ほど観ていた日記の内容が映っていたモニターを消して…それと同時にケースに包まれたキャロルの日記が乗った台座ごと床に収納し、その間に空いているもう片方の手で人が入れる程のカプセルが映ったモニターを開き、さっきまで調べていたと想わせるようにカプセルに関するデータを瞬く間に表示する。
「ちょっとクルル!人が話しているのに通話を切らないで!」
クルルがモニターを展開し終えた後、ほんの数秒差でマリアがセレナを連れてやって来た。
「ァアン?お前さんが忙しそうに見えたからなぁ…たまには気を効かせてやったんだよ、クーックックックックッ……!」
「~~~っ!本っ当にあなたは嫌な奴ね……!」
「クーックックックックッ!俺様にとっちゃあ誉め言葉だぜぇ……」
「こ の 男 は ~~~っ!」
クルルの煽りにマリアはプルプルと身体を震わせ、目の前で笑う
「マ、マリア姉さん…落ち着いて。ほら!本部で皆さんが待っているよ?」
「……フゥ、そうね。これ以上こいつの言葉に付き合っていたら日が暮れてしまうわ。ありがとうセレナ」
怒りに震えるマリアを見たセレナは彼女の腕を掴んで、本来の目的を伝えるとその言葉を聞いたマリアはゆっくりと息を吐いて冷静さを取り戻し、自分を止めてくれた妹にお礼を言った。
「チッ…つまんねーの。ホレ、そこで寝てっからサッサと連れていきな…いつまでもそこにいられたら邪魔なんでな」
「もう…ほらキャロル、エルフナイン二人共起きなさい。司令達が待ってるわよ」
クルルの悪態を無視したマリアは毛布にくるまっているキャロルとエルフナインの身体を揺すり起きるように声をかける。
「くあぁ……」
「ふみゅ……あれ?マリアさん?おはようございます……」
「はい、おはよう。二人共クルルの仕事を手伝うのはいいけど…遅くなるのなら一度連絡しなさい」
「はぅ…すみません」
そう言ったマリアの言葉にエルフナインは申し訳なさそうな表情をしてマリアに謝った。
「よろしい。ほら…帰るわよ、みんな二人の帰りを待ってるわ」
「はい!」
それを聞いたマリアは笑みを浮かべて手を差し出すとエルフナインは元気よく返事してその手を握りしめた。
「それじゃねクルル。たまにはカレー以外も食べなさい」
「はっ……気が向いたらな。ありえねぇけどなぁ……クーックックックックッ……!」
―ピロンッ―
クルルが笑っていると彼の横にあるもうひとつのモニターにケロン軍本部からの暗号メールが届いた。
「ちょうど仕事が入ったな。ほれ、サッサと帰んな」
「全く、ほら行きましょ二人共。セレナも」
クルルの態度に肩をすくませたマリアはキャロルとエルフナインを連れて研究室を跡にした。セレナもその後に続こうとしたがその足を止めて、既にパネルを操作して暗号を次々と解いているクルルに顔を向けて声をかけた。
「あの……クルルさん、少しいいですか?」
「ぁん?別にいいが俺様は忙しいからな、手短に頼むぜ」
クルルはモニターを操作する手を緩めずに言うとセレナは初めて
「……6年前、あの研究所でクルルさん達と会った事ありませんか?」
「あ……?」
その言葉を聞いたクルルは手を止めると椅子を回転させて、どういう事だ?とセレナに質問する。
「あの時、身体がボロボロで記憶が曖昧だったんですけど……あの燃え盛る研究所で死にかけた私をケロロさん達が現れて私を助けてくれましたよね?」
「………………えねぇ」ボソッ
セレナの言葉を聞いたクルルは無表情になり、セレナに気付かれない小声でありえねぇと口にした。
「あの…クルルさん?」
「……ぅんや、何でもねぇ。けど俺達は6年前はまだ
「そう…ですか……お時間を取らせてすみません。それでは……」
セレナの声に思考を止めたクルルは何でもないと言ってからセレナの問いに答えるとそれを聞いた彼女は少し表情を暗くしたが、すぐに笑みを浮かべ質問に答えてくれたクルルに礼を言ってマリア達の跡を追いかけて行った。
「…………俺様とした事がアイツの言葉でようやくあの疑問が解けるとはなぁ。何故マリアの妹であるセレナ・カデンツァヴナ・イヴの姿が6年前と変わってなかったのはそういう事かよ…ククッ。隊長……どうやら俺達は近い内にとんでもねぇ事に巻き込まれるらしいぜぇ…?ククッ、クーックックックックッ!」
自分だけになった研究室でクルルはこの場にいないケロロに忠告して、暗号を解いたケロン軍本部からのメールの内容を観て一人笑い声をあげた。
そして、メールにはこう書かれていた。
・
・
・
【ケロン軍本部より伝達】
・
・ケロロ小隊は現場に赴き、ケロン軍の古代兵器――【ケロノストーン】を確保し、本部に転送せよ。
・尚、遺跡には当時のケロン軍が残した条約前の防衛システムがあるとみられる為、万全の装備を整えて目標を確保せよ。
・極秘任務なので、他の敵性宇宙人や
――三人称視点、終了――
この作品のシェム・ハとエンキはケロロ達と同じ宇宙人としてますが、本編の二人の設定を見ると宇宙人みたいですが合ってますかね?違っていたらすみません。
どうもクロトダンです。
更新お待たせしてすみません。
いかがでしたか?
色々ツッコミ所があると思いますが、ない知恵を振り絞って頑張りました。
そしてここで、アンケートの結果を発表します!
まず第3位:ケロロ達と装者達の日常
投票数:42票
2位は襲来!ガルル小隊編
投票数:43票
そして1位は……セレナ生存の地球龍事変に決まりました!
その投票数は73票と他の二つに大差をつけました。
いやアンケートを始めた途端に大量の票が入ってビックリしました。
皆さんがセレナが好きな気持ちが伝わりました。良かったねセレナ。
それでは皆さん今年も自分の作品を応援してくださりありがとうございます。
来年もよろしくお願いします。
それではよいお年を!
次はどの話がみたい?
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襲来!ガルル小隊編
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セレナ生存の地球龍事変
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ケロロ達と装者達の日常