龍骸   作:ランブルダンプ

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名前

「一つ質問なんだけど、私達界隈って……?」

「いい事に気付きましたねー!私の知っている限りでは10人くらい居るんですよ」

「え?つまり……元男で義体から抜け出せなくなった人?」

 

そう返さしたら爆笑された。

 

「あっはは!!そうじゃないですよ!」

 

聞くとこの義体はある共通した製作者が作っているらしく、独自のアルゴリズムを使っているので同族の目から見ればおっかなびっくり使用してた俺の行動はかなり目立っていたらしい。

 

「まぁ殆どは新しいのが来たなー、くらいの感想だと思いますけど」

 

自分の行動がバレバレだと知ってヒヤッとする。

まぁ現地に来たのが彼女一人だけならそこまで大騒ぎする事ではないかもだが。

 

「所で何でわざわざ来たんだ?」

「リーダーがちょっと気になる奴が居るから見てこいと言いまして」

 

リーダー?似たような境遇同士で仲間を作ってるのか。

 

「会ってみます?一応性格破綻者はいない面子ですよー?」

「えーっと」

「もしくは私の触手で快楽の海に叩き落とすとか!!」

「あはは、冗談きついなぁ……」

「ふふ?」

 

微笑むと同時に腕がバラッと裂けて無数の触手へと変貌した。

 

「え?会うor触手なの!?」

「いえいえ、単純に私の好みがTS娘なんですよ」

「……何故真っ先に会いに来たのかよく分かった」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

触手にヤられるのも嫌だったので素直についていく事にした。

 

彼女はターコイズと名乗り、機能は『触手』なんだとか。

 

(ターコイズ……タコ……触手?)

 

まさかそんな連想ゲームな訳が……

 

「ちなみに私のはターコイズのTと同じくTENTACLE(触手)のTですよー」

「マジで言ってんの!?」

「大体機能と名前は連想しやすいものになってますからねー。貴女のは?」

 

そう聞かれても……?

 

「いや、知らないんだけど。え?元の名前とか無いの?」

「無いですよ、私達は基本その為に生み出されたAIですし」

 

んん?

 

「なら俺がこうなってる状況って?」

「はっきり言って異常ですね!しかも初の男ですよ!体は女の子だけど」

 

よかったですねー!精神的ハーレム!とかターコイズ……タコ子が言ってくるが俺はそれどころでは無かった。

 

(つまりこいつらは意識を持った義体なのか!?)

 

 

 

 

2000年に精神と物質、つまり肉体との繋がりを完全に断ち切られ、それまでの倫理観は完全に意味を成さなくなった。

 

そこから問題になったのは今まで魂として扱ってきた精神の問題だ。

 

義体に精神を移せばその義体は動く。

しかし、その義体をプログラミングで動かした場合は?

そのプログラミングは精神なのか?

 

そのプログラムを人体に移したら、それは魂なのか?

 

仮に魂がプログラムならば、人間の人間性は何処にある?

 

当時はプログラムで義体を動かせるものは無く、机上の空論であった。

 

しかし、その存在が今目の前に居る。

 

 

 

 

「思ったよりヤバいんだな……」

「別に平気ですよ、振る舞いとか見てても女の子にしか見えませんよ?」

「そうじゃない!それと、俺は男だ!!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

連れてこられたのは同じ街の外れに建てられたボロボロのマンションだった。

 

「ここが?」

「私たちの住み家だね。中は魔改造されてるから入って入って」

 

促されるままに一歩進む。中は暗い。

 

瞬間、咄嗟に顔を反らす。

 

数秒前まで俺の顔があった場所を雷光を纏った腕が通り過ぎていた。

 

直後の二閃三閃を瞬時に切り替えた戦闘モードで避ける。

 

転がった瞬間に悪手に気づいた、壁だ。

 

眼前の爪を飛び起きてかわし、追従して迫る爪から壁を蹴って逃れる。

 

「何なんだよ!?」

「避けれるな。よし合格!」

 

声が聞こえ、部屋の電気がつけられた。

襲ってきた奴の方を向くと、狼の様な耳と尻尾を生やした肌の露出が多い少女が立っていた。

 

「ん?もう構えなくていいぞ?ちょっと試しただけだからな」

 

無意識に身構えていたらそう話し掛けられた。

 

両腕からバチバチ閃光走ってるのに信用出来ると思ってるんですかねぇ!?

そう思いながら辺りを見渡すと入り口からひょこっとタコ子が顔を出した。

 

「ありゃー、それ私の時もやられたんですよね」

「腕試しってやつだな、じゃあアタシは日課の散歩してくるから。またな!新人!」

 

そう言い終えると嵐のように出ていってしまった。

 

「えぇ……??」

「責めないでやってくれ、多分奴なりの仲間の儀式なんだ」

 

困惑している所に上から声を掛けられた。

そちらを見やると鋭角的な機械の羽を生やした赤髪の少女が階段から降りてきた。

 

「あ、ヴぁーちゃんただいまー!」

「ヴぁーちゃんと言うな!お婆ちゃんみたいに聞こえるだろう!」

 

早速タコ子とコントを始めた少女が暫く揉めた後、こちらに顔を向けて手を差し伸べてきた。

 

「我輩の名はヴァーミリオン、『V』の名前の通り能力はVAMPIRE(吸血鬼)だ」

「あ、あぁ。よろしくお願いします」

 

先程の狼少女があっただけに礼儀正しい反応にびっくりする。

と思っていた所で急に握手していた手をグイっと引かれた。

 

「おおっと!?」

「ふむ、珍しい生体式か」

「え、ちょっ」

「これまで色々と人間も機械のも血の類いは味わってきたが、同族は初めてだな」

「あのー?」

「味見していいか?」

「駄目に決まってるでしょ!?」

 

駄目だ、一見まともだけどアレな人だ。

首筋に噛みつかれる距離まで近づいたヴァーミリオンの顔を掴んで遠ざけ面白そうにしている青髪の彼女に向かって叫んだ。

 

「ターコイズ……タコ子!!何処が性格破綻者居ないだよ!?全員そうじゃねぇか!!」

「タコ子!?なにその名前可愛い!!」

「む、その手の名前があるのはズルいぞ。我輩にも寄越せ」

「張り合うのそこ!?」

 

何とかヴァーミリオンの手を振りほどいて距離をとる。

 

「分かった、考えるから。えー……っと……ヴァーミリオンだからリオンで」

「ほう!!流石人間が元の娘じゃな!それに……」

 

リオンが続けて何かを言い掛けた瞬間蹴破られたドアの轟音にその言葉は遮られた。

 

「話は聴かせてもらった!!アタシにもなんか寄越せ!!」

「ぐへっ」

 

先程と段違いのスピードで飛び掛かられ、もつれあって倒れ込む。

ついでに首筋を噛まれた。

 

「痛った!?」

「あ、すまぬ。なにぶん獲物を捕まえた気分なのでな」

 

大型犬か何かかよ……

十中八九、狼だよな……何か駄犬の雰囲気マシマシだけど。

髪色は白、WOLFとWHITEを掛けてるのだろう。

もういいや適当で。

 

「えーっと、シロ」

「成る程!なら黒髪のお前はクロだな!!」

 

白の反対は黒。

驚くほどあっけなく、俺の当分の名前が決まった瞬間だった。

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