「丁度ホワイト……シロが戻ってきたし、新入りに我輩達の活動を教えようか」
「お!行きますか久しぶりに!」
「習うより慣れろだな!行くぞクロ!」
リオンが何かを説明しかけていたのを遮り、シロが俺を担ぎ上げると超スピードで階段を駆け上がり通路を抜けて広いホールへと連れてこられた。
「待て!シロ!何かリオンが説明しかけ」
「ほら、エレベーターに乗った乗った!」
ホント待って……
「リオンにタコ子もじきに来るだろうし、心配するな!」
「えーっと……何で連続でエレベーターのボタン押してるんだ?」
シロがパパっと押したボタンは2.4.6.10。
何故か二階から順に上に行かず4階へ止まった後に2階、6階から下がってまた2階、10階と移動する。
さらに不思議なのは一回たりともエレベーターの扉が開かない事だ。
続けて五階のボタンを押したシロに問い掛ける。
「シロ、何やってんのこれ?」
「んー?まだネットは繋がってるから『異世界 エレベーター』で検索する事をオススメするぞ」
「『異世界』、『エレベーター』……?」
「そうそう……てやっ」
データを閲覧してると10階に着き開いた扉から侵入してきた何かをシロが粉砕した。
「今何殺った!?」
「毎回入ってくるんだけど、この工程は省略出来ないからなー」
調べた結果を見るに、昔のデータベースにあるオカルトじみた話のようだった。
「10階で誰かが乗ってきたら成功出来ないって書いてあったけど」
「今殺したのが向こうへ行けなくする防御と言うか、弁みたいなものだな」
そのまま降りずにエレベーターが五階へと移動していく。
そして扉が開いてリオンとタコ子が乗ってきた。
「ああ、五階で女の人が乗ってくるって事か」
「ついでに人ではないって条件も満たしてるよー!」
「どうせ合流するんだから一緒に乗れば良かっただろうに……」
四人に増え、狭くなったエレベーターで会話をし合う。
「えーっと、つまり……オカルト的な話??10階のアレ見たら信じるしかないけれど」
「まあじきに10階に着く。まずはその世界を見てからだ」
再び10階に着いた。
ドアが開き、シロを先頭に次々とエレベーターから降りていく。
俺もタコ子に背中を押されながら外へと降りた。
「なんだ……ここは……??」
そこに広がっていた光景は……
視界は暗い筈なのに明るく見えている。
燃えるような紅い空には鯨が泳ぎ、それに追従する小魚が光を反射してキラキラと輝く。
燃える町並みに氷柱がそびえ、雨が降る。
風が猫を巻き上げ細かい歯になり看板へと刺さり根をはやす。
撹拌された家が分解され秒針の針のように震え雪になる。
物理法則を軒並み無視して広がる光景。
「めっちゃ綺麗だ……」
異様ではある。
しかし、ただひたすら美しい眺めだった。
時間を忘れてずっと眺めていたい。
そう思っていると、肩を叩かれたので振り向く。
すると、今見た光景とは別の方向で壮大な光景が広がっていた。
形容するなら、龍。
その巨体は視界には収まりきらず、頭蓋だけでこれまで知ってるどの建造物よりも大きい。
紅い空に黒い巨大な羽を広げ、視界を覆う。
見ればかすかに動いている事から、信じられないがあの巨大な物体は生き物である事が分かった。
……生き物??
「あれ、待って……生き……?死んで……ロゼが……?俺、俺は??」
「ちっ、今回も駄目か」
リオンの声がした瞬間、全身を地面から伸びる杭に貫かれた。
「ガッ…………!?」
全身に走る激痛、耳から侵入してくる触手が頭の中を掻き回す。
「アァあああ!??ぐ、ぁあ゛ああ??」
「暴れないでくださいねー、今また最初からやり直しますから」
「……ッ!……っあぁ!!」
力を振り絞って右手の拘束を引きちぎり、頭に侵入している触手を引き抜く。
装備してあったサブアームを起動し、全身に刺さる杭を壊す。
地面へと倒れ込むが、少しでも逃げようと手をつこうとして、手首と両足が切り落とされている事に気がついた。
「せっかくアタシがここからの敵相手に出来るように序盤で伏線張っておいたりしたのに……」
手足がない、動けない、逃げられない。
地面に倒れたままの俺の頭を誰かが乱暴に掴み、吊り下げる。
「ここまで台無しになったんだ、味見くらいはいいよな?」
「り、リオン……」
辛うじて名前を呼ぶと赤髪の彼女は獰猛に微笑んだ。
「あぁ、前回もその名前をつけてくれたな。割と気に入ってはいるよ。まあ次回も名前を考えておいてくれ」
そう言い、首筋へと噛みついた。
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