犬も歩けば棒に当たる   作:政影

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思いつきです。

お誕生日おめでとうございます。


その他1(シーズン1)
その他-1:今井リサ誕生日(シーズン1-8/25)


『Happy birthday, dear LISA.Happy birthday to you.』

 

 ライブ会場が一つになって歌ってくれたアタシへのバースデーソング。

 ライブ前にそわそわしていたあこや燐子の様子から、何かあるとは気付いていたけど想像以上だった。

 

「誕生日おめでとう、リサ」

 

「あ、ありがとう……ぐす」

 

 友希那から手渡された青薔薇の花束。

 もう涙腺が限界。

 ついに溢れ出た涙を友希那が優しく拭き取ってくれる。

 

「次の曲、いけるかしら?」

 

「……もちろん。皆にお返ししないとね♪」

 

「当然よ」

 

 微笑を浮かべる友希那。

 友希那が離れると入れ違いにワンコが近づいてくる。

 

「預かるよ」

 

「よろしく」

 

 花束をワンコに預けるとベースを構え直す。

 

 さあ、Roseliaのベース今井リサここにありってね。

 全力で楽しませちゃうんだから♪

 

 

 

 

「お疲れ様。リサさんがボロ泣きだったけど良かった」

 

「ちょっとボロ泣きじゃないって!」

 

 タオルと飲み物を受け取りながらワンコに抗議する。

 

「そうですよ、チョイ泣き位です」

 

「紗夜まで何言ってるの!」

 

「……今井さんの泣き顔、可愛い……です」

 

「うん、あこもそう思う!」

 

「もう、みんなまで!」

 

 最近弄られ役が板についてきた気が……。

 バンド内の空気が良いのは良いんだけどね~。

 

「あなた達早く着替えなさい。この後羽沢珈琲店で打ち上げでしょ?」

 

「え、何それ、初耳なんだけど」

 

「おかしいわね。……まあいいわ。バンドメンバーで貸切にしたから早く行くわよ」

 

 相変わらずマイペースな幼馴染に微笑みを浮かべるとアタシは衣装を脱ぎ始めた。

 

 

 

 

「……真っ暗だね」

 

「おかしいわね」

 

 羽沢珈琲店に着いたものの明かりは点いてなかった。

 

「もしや暗黒空間にガオン!」

 

「あこちゃん……懐かしい」

 

「ちょっと羽沢店長に連絡する」

 

「私はつぐみさんに」

 

「頼んだわ」

 

 それにしても何だか変だよね。

 貸切の札は掛かってるし……サプライズかも!

 ここは引っかかった振りをして乗っかってあげるか~。

 

「ちょっと入ってみるね」

 

「あっ」

 

 後ろで何か聞こえたけど構わずドアノブを回す……やっぱり鍵は掛かってない。

 

「お邪魔しまーす」

 

 一応声を掛けて入ってみるも中は暗いまま。

 暗さに目が慣れてくると床に誰か寝ているのが見えた。

 

「ちょっと、大丈夫!」

 

 嫌な予感がして急いで抱き上げる。

 

 ゴロン……ゴロ……ゴロ。

 

 頭が、もげた。

 

「あ……あ……」

 

 声にならない、逃げなきゃ、立ち上がれない。

 もう……やだ……。

 

 

 パン! パン! パン! パン!

 

 

「ひっ……」

 

 破裂音が四回鳴ると同時に明かりが点いた。

 周りには見知った顔ぶれ。

 

『ハッピーバースデー、リサ(さん)(先輩)(ちー)(ちゃん)』

 

 

 

 

「……つまり、全部サプライズだったの?」

 

「ええ、ごめんなさい。まさかこんな事になるなんて」

 

 腰を抜かしたアタシは友希那に膝枕をしてもらい、繋げた椅子の上で横になっている。

 目の間には床に正座したワンコ、ヒナ、こころ。

 

「私は日菜ちゃんにリサさんが店に入ったらクラッカーを鳴らして明かりを点けてとお願いした」

 

「あたしはそれだけだとるんっ♪ てしないからこころちゃんに人体模型をお願いしたよ」

 

「お誕生日会と肝試しを一緒にできたら素敵じゃない?」

 

 ……アタシにとって最悪の組み合わせになったわけだ。

 

「リサさんにお漏らしさせてごめんなさい」

 

「リサちーお漏らしごめんね」

 

「まあリサったらお漏らししちゃったのね、ごめんなさい」

 

「アタシは漏らしてないって!」

 

 しっかり間違いを訂正しておかないと新学期になったら物笑いの種だね。

 

「うん……まあ……アタシの為に色々考えてくれたのは嬉しいけど」

 

 視線を横にずらせば二十五個の誕生日プレゼント。

 こんなに祝ってもらえるなんてアタシってなんて幸せなんだろう。

 ……友希那に膝枕してもらってるし。

 

「バースデーソング歌っていい」

 

「お、嬉しいね」

 

 ワンコは立ち上がるとアコースティック・ギターを手に椅子に座る。

 アタシも体を起こして集中する。

 

「付け焼刃なのでみんなの歌声でカバーして」

 

 

 ♪~♪~♪~

 

 

 確かに上手ではないかもしれないけど優しい旋律。

 それに二十五人分の歌声が重なる。

 あ、また涙腺がヤバい。

 

「……お誕生日おめでとう、リサさん。で、選手交代」

 

「「え!?」」

 

 ワンコの言葉と共に登場した人物にアタシと友希那は驚いた。

 

「ギター借りるよ」

 

「お願いします」

 

 

 ♪~♪~♪~

 

 

 先程とは……失礼だが段違いの力強い旋律と歌声。

 アタシの世界で二番目に好きな歌声……。

 そしてアタシの原点。

 

「お誕生日おめでとうリサちゃん。これからも娘達、いやRoseliaをよろしく」

 

「あ、はい、頑張ります!」

 

 涙腺はもう営業時間外だ。

 

「何でお父さんがいるのよ! ワンコ、あなたね!」

 

「リサちゃんの誕生日を祝っちゃ駄目かい?」

 

「だって面白、いやリサさんが喜びそうだったし」

 

 怒られている二人はどこ吹く風。

 その様子に思わず笑ってしまう。

 

「それにいきなり知らない男性が来たら他の人が混乱するでしょ?」

 

「そうでもないですよ、湊さん。この招待状……一生の宝物にします」

 

「え、美竹さん、これって……!?」

 

「どれどれ~あ、懐かしい♪」

 

 蘭が持ってきたのはいつの間にか関係者に配られていたらしい招待状。

 そこには昔三人でセッションしていた時の写真が印刷されてた。

 

 蘇るあのころの記憶。

 

 あの頃からアタシは成長できたのかな?

 

 来年の誕生日までの一年きっと色々あると思うけど、胸を張って友希那達と一緒に歩いて行けたら……いいな。




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<備考>

今井リサ:今回の騒動も笑って許す慈愛の女神、漏らしてない。

湊友希那:サプライズを仕掛けるつもりが仕掛けられてぷんぷん丸。

ワンコ&氷川日菜&弦巻こころ:混ぜるな危険。

湊父:その後数日間は娘に無視される事に。

美竹蘭:大勝利。

入学した年の話って読みたいですか?(リサさん、千聖さん出番多め)

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