犬も歩けば棒に当たる   作:政影

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リサ姉の弟が矛盾なく存在できる可能性

①最近弟が生まれた。

②最近生き別れの弟が見つかった。




その他-4:今井リサの弟

「あーあ、天気予報の嘘つき」

 

 コンビニバイトからの帰り、アタシはビニール傘に激しく打ちつける雨に思わず愚痴をこぼした。

 油断して折り畳み傘を持っていなかった為、バイト先で傘を買う羽目になった。

 夕方までは晴れてたんだけどな~。

 

 威張って言う事じゃないけどアタシは浪費家だ。

 ベースの消耗品の弦とかオイルとかは必要経費という事でRoseliaのお財布から出るけどそれ以外にも出費は多い。

 最新のファッションは押さえておきたいから雑誌は買うし、当然それを見て衣類も買う。

 化粧品も女子高生には必須だ。

 スイーツも興味を持ったら必ず食べてみる。

 テニス部とダンス部でもそれぞれ用具代がかかるので。

 ……うん、お小遣いとバイト代がいつも消えるわけだね。

 というわけで、コンビニの傘でもできれば節約したい。

 

 軽く心と懐にダメージを受けた帰り道。

 家の門の所に濡れた雑巾みたいなものが落ちている。

 

 ――違った、猫だ。

 

 服が濡れるのも構わず抱き上げると見知った猫。

 

「ユキ!?」

 

 ぐったりしたユキは返事すらしない。

 もしかしたら隣の湊家から逃げ出して迷っちゃった?

 急いで湊家のインターホンを鳴らす。

 

『リサ? こんな時間にどうしたの?』

 

「友希那、ユキが大変なの! 開けて!」

 

『……意味がよく分からないけど入って』

 

 アタシの必死さが通じたのかすぐにドアが開いた。

 そこには友希那とワンコ……そしてワンコに抱かれているユキ!?

 

「あれ!?」

 

「ユキならここにいるけど……その猫は?」

 

「取り合えず拭こう」

 

 冷静なワンコのお陰でアタシは落ち着くことが出来た。

 そして赤面した。

 

 

 

 

「全くそそっかしいわね。でも小さな命が守られて良かったわ」

 

「流石リサさん」

 

「いやー、照れるよ」

 

 蒸しタオルで汚れを落としタオルで水気を取ったらユキそっくりの白猫だった。

 そこまで猫に詳しいわけじゃないし仕方ないよ!

 

「でも男の子」

 

「えっ……」

 

 ちょっと失礼して股を開いてみると二つの膨らみががが。

 

「いやそこで赤面されても」

 

「ギャルっぽい見た目なのに相変わらず純情なのよね」

 

「う、うるさいよ、二人とも! こんなにまじまじと……を見る機会なんてないでしょ!」

 

「えー、癒されるのに」

 

「猫に恥ずかしい部分なんて無いわ」

 

 うん、この二人の価値観はアタシとはかけ離れてるから参考にならない。

 でもよく見ると……いいや何でもない!

 

 

 

 

「にゃーん♪」

 

 乾かした後に温めたユキのミルクをあげたら元気になって良かった。

 アタシにすり寄ってくる姿はとっても可愛い♪

 ちなみにユキは病気とかがうつるといけないから別室に隔離、ごめんね。

 

「にゃーんちゃ「シャー!」」

 

「にゃー「シャー!」」

 

 何故か二人が近づくと威嚇してる。

 相性なのかな~。

 あ、友希那が結構凹んでる、可愛い。

 

 でもこんなに猫に懐かれるのって初めてかも。

 友希那がメロメロになるのもわかる気がする。

 

 ……こんな小さな体で危険だらけの外の世界を生きてきたんだ。

 

 

「で、リサはこの子にすべてを賭ける覚悟はある?」

 

「え、いきなりそんな重たい話!?」

 

 友希那のどこかで聞いたような台詞にびっくりした。

 

 ……そうだよね、つい助けちゃったけど軽々しく扱っていい命じゃないし。

 首輪もしてないから野良の可能性が高いけど……。

 

「里親探すとか去勢して地域猫って手もあるけど」

 

 ワンコの助け舟、でもこの子を見ていると手放したくないと思っちゃう。

 

 

 そっか……友希那とワンコに何となく似てるからか。

 

 二人とも変なところで意地っ張り、どんなに辛くても中々人に頼らない。

 

 二人を間近で見てきたお節介なアタシはこの子に二人を重ねてしまう。

 

「もしアタシがこの子の面倒を最後まで見たいって言ったら手伝ってくれる?」

 

「当然よ」「勿論」

 

 アタシの問いに間髪を入れずに答える二人。

 あー、アタシが飼いたいって言うのを予想してたな~。

 

 飼うとしてとりあえず外出中の親に許可をもらわないと。

 

 

「あ、お母さん、猫飼いたいんだけど」

 

『世話が出来るなら、いいわよ』

 

「うん、ありがとう」

 

 

 物分かりが良すぎて涙が出そう。

 後は……。

 

「動物病院の予約は任せて。必要なもののリストアップも」

 

「今日明日の食事とトイレと寝床は用意するわ。飼育マニュアルもね」

 

 息ぴったり過ぎて怖いって。

 どんだけ猫好きなの!?

 

「後は名前ね」

 

「リサさんの弟。格好良いやつで」

 

「う~ん」

 

 名前か~、命名なんて滅多にしないし迷うね。

 取っ掛かりを二人に求める。

 

「最初の文字はやっぱり『リ』よね」

 

「リサさんの好きなものから取るとか」

 

 友希那もワンコもノリノリだね、採用。

 となると二文字目は好きなものから……。

 

「……『リユ』『リキ』『リナ』、男の子なら『リキ』かな?」

 

「『リキ』良い名前じゃない。そうよね、ワンコ?」

 

「え、あ、うん、ユキとも響きが似てるし良いと思う、よ」

 

「そっか、じゃあこれからリキって呼ぶよ、マイブラザー♪」

 

「にゃーん♪」

 

 抱き上げ名前を呼んでやると嬉しそうに鳴くリキ。

 アタシの弟になったからには絶対に幸せにしてあげるんだからね。

 月一着服を買うのを我慢すればきっと大丈夫、多分!

 

 

 

 

 弟になった記念にマフラーとかセーターとか編んであげようかな。

 こう見えてもお姉ちゃんは手先が器用なんだぞ。

 

 ……目の前の二人とユキにもついでにね♪




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<備考>

今井リサ:世話焼き大好き今井さん。

湊友希那:必ず懐かせてみせる、Roseliaの名にかけて。

ワンコ:某エロゲ主人公の名前と同じだと気付いたがスルー。

ユキ:お姉ちゃん達大好き。

リキ:お姉ちゃんだけ大好き。

入学した年の話って読みたいですか?(リサさん、千聖さん出番多め)

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