犬も歩けば棒に当たる   作:政影

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Rausch(LV)→BDP9th→いつも通りの放課後デイズ(LV)で力尽きてました。


個別ルート的何か、です。


<イベント発生条件>

(キャラ:好感度)
日菜:MAX
紗夜:中以上
つぐみ:中以上
Roseliaの中で紗夜の好感度が一番高い


本編X(シーズン0~2)
本編X-1:生徒会長選準備(シーズン1冬)


「見て見て、このおねーちゃんとのツーショット。るんっ♪ ってするでしょ?」

 

 アルバムを手にした日菜ちゃんの呑気な発言に眉間を指で押さえる紗夜さん、ごまかし笑いのつぐみちゃん、スルーする私。

 場所は氷川家、紗夜さんのお部屋。

 この四人が集まった目的とは――

 

「日菜、そんなふざけた態度で本当に生徒会長になる気があるの!?」

 

「うん♪」

 

 ……日菜ちゃんを生徒会長にするための集まりだった。

 

 

 

 

「二人ともつき合わせてごめんなさい」

 

「乗りかかった船なので気にしないで」

 

「日菜先輩には普段からお世話になっていますし」

 

 紗夜さんの謝罪に襟を正す。

 一度引き受けた以上全力を尽くさないと。

 

「特にワンコさんはもう一人の立候補者からもお誘いを受けたそうですね?」

 

「……何故か立候補する現副会長からも応援演説の依頼が」

 

「ふふっ、ワンコ先輩って生徒会で頼りにされていますからね」

 

 頼り……というか面倒な案件を優先的に割り振られているだけのような。

 先代の生徒会長からの申し送り事項に「こき使え」とでも書かれているのかな?

 お世話になった分恩返しはするけど。

 

「あたしが立候補しなかったら副会長の応援してた?」

 

「そうだと思う」

 

「そっか♪」

 

 何故か嬉しそうな表情の日菜ちゃん。

 こっちは断るのに苦労したというのに。

 日菜ちゃんが当選した場合は三役に就かないと提案したけど「そうじゃない!」って怒られるし。

 むしろ副会長が当選した場合にはこれまで以上にこき使う宣言をされた、解せぬ。

 

「……話を戻すとパスパレ、Roselia、Afterglowファンの票を見込むとして」

 

「生徒会一年は五分、二年と三年は相手が優勢ですね」

 

「少々気が引けますが、日菜のクラスメイトの瀬田さんにお願いするというのは」

 

「一応当たってみましたけど薫さんは中立を保つそうで」

 

「まとめると日菜先輩25%、副会長35%、浮動票が40%、みたいな感じでしょうか?」

 

「劣勢ですか、ですがまだ巻き返せる範囲ですね」

 

「副会長には申し訳ないけど、生徒会の外から見たら役職柄そんなに目立ってなかったのが大差がつかなかった理由」

 

「事務方としては優秀なんですけどね……逆に日菜先輩はイベント毎に参加者として目立ってましたし」

 

 色々やらかした割に敵が少ないのは、アイドル活動を通して裏表の無さが知れ渡っているお陰か。

 紗夜さんの言う通りまだ勝ち目はある。

 

 

「うーん、そういうのってるんっ♪ てこないなー」

 

 

「っ!」「!?」「あっ」

 

 日菜ちゃんのつまらなさそうな発言にギョッとする私達。

 こういう時の日菜ちゃんの発言は悔しいことに正鵠を射ている場合が多い。

 

 考えろ、私。

 

 何故日菜ちゃんが生徒会長に立候補したのかを。

 

「ちょっと、日「ごめんね、日菜ちゃん」」

 

 紗夜さんの発言を遮り頭を下げる。

 多分、これが正解かな。

 

「ちょっと票数を意識し過ぎてたかも。ちゃんと生徒一人一人に目を向けるよ」

 

「あはは、流石ワンコちゃんだ♪」

 

「えっと……日菜先輩の『学校全体を面白くする♪』という目標に賛同してくれる人に投票してもらわなければ意味がない、と?」

 

「羽沢さん、解説ありがとうございます。……だったら何故二人を呼んだの?」

 

 それは私も疑問に思った。

 てっきり選挙戦略を練るために呼ばれたのかと思ったのに。

 

「だってこの四人で一つの事に取り組んだらるんっ♪ ってくるでしょ?」

 

「全く……あなたって子は」

 

 ため息混じりに言う紗夜さん、口元が緩んでるけど。

 相変わらず日菜ちゃんに振り回される私達だけどそれも悪くないかな、って。

 

「選挙ポスターとかビラとかは後で私とつぐみちゃんで何とかするから、今日は候補者演説と応援演説を考えるよ」

 

「うん♪ 得票率100%よゆーでしょ!」

 

 傲慢とも天真爛漫とも受け取れる発言。

 昔はそれがとても苦手だった。

 それが今では……私も丸くなったという事かな?

 

 

 

 

「はい、羽沢珈琲店特製カレーと」

 

「スペシャルフライドポテト、召し上がれ」

 

「るるんっ♪」

 

「これはっ……ありがとうございます」

 

 氷川夫妻が不在という事で、事前の打ち合わせ通り夕飯は台所を借りてつぐみちゃんと私で作った。

 ちゃんと香辛料を用意してくるあたりつぐみちゃんは抜かりない。

 他所のお宅で油料理とか私は節操がない。

 

・カレーライス(トッピング各種)

・フライドポテト

・サラダ

・チーズケーキ

・ラッシー

 

「おねーちゃん、美味しいね♪」

 

「ええ、そうね」

 

 カレーに舌鼓を打つ日菜ちゃんと山盛りのフライドポテトに無表情を装いつつも喜びが隠しきれていない紗夜さん。

 そんな二人を見て満面の笑みを浮かべるつぐみちゃん。

 どういうわけか泣きそうになってくる。

 香辛料が目に染みたかな?

 

 

 

 

「お風呂上がったよ」

 

「うーん、風呂上りなのに色気を感じない」

 

「放っておいて」

 

 日菜ちゃんの無礼な発言を無視してリビングのソファーに座る。

 すぐにハーブティーが出され横に日菜ちゃんが座った。

 

「紗夜さん達は?」

 

「もうおねーちゃんの部屋に行ったよ。明日も朝から早いからね」

 

「それを言ったら日菜ちゃんもでしょ?」

 

 相変わらずの売れっ子アイドル。

 本屋に立ち寄ると必ず目にする。

 

「うん、これ飲んだら寝るよ」

 

 そう言いつつテレビを点けると丁度パスパレが出演していた。

 

「あ、この前収録したやつだ。いつも通り彩ちゃんが噛んだんだっけ」

 

「ネタバレ禁止。まあいつも通りだけど」

 

 演奏を終え司会者からマイクを向けられ楽しそうに話す日菜ちゃん。

 ……真横にいるのに酷く遠い存在。

 何考えているんだろう、私。

 

「んー、えいっ!」

 

「えっ!?」

 

 いきなり顔を横に向けさせられると唇に柔らかい感触。

 眼前には悪戯っぽい笑みを浮かべる日菜ちゃん。

 

「浮気禁止♪」

 

「何言ってるの、寝るよ」

 

 動揺を隠すように急いで日菜ちゃんの部屋に向かう。

 ……の前に歯を磨かないと。

 

 

 

 

「ふんふーん♪ どう日菜ちゃんの新作アロマ?」

 

「普通」

 

「部屋は寒くない?」

 

「普通」

 

「お布団の硬さは?」

 

「普通」

 

「……日菜ちゃんの唇は?」

 

「……柔らかい」

 

「でしょ!」

 

 布団の上から覆い被さってくる日菜ちゃん。

 甘い香りに段々と思考が麻痺してくる。

 

「アイドルなんだから軽はずみな行動は止めて」

 

「酷いなー、ワンコちゃん以外には……おねーちゃんとパスパレの皆と」

 

「自重!」

 

 何か頭が痛くなってきた。

 もしバレて傷が付くのは日菜ちゃんなのに……。

 胸のモヤモヤが溢れだしそう。

 

「……我慢するからそんな顔しないでよ」

 

 真剣な表情の日菜ちゃんから目を逸らせない。

 

 自分で言っておいて唇を重ねたい欲求に襲われる。

 

 どうしちゃったんだろ、私。

 

「……あはは、今度こそ嫌われちゃったかな?」

 

 

 

 その言葉に何かが壊れる音を聞いた気がした。

 

 

 

「えっ!?」

 

 布団から強引に出ると逆に日菜ちゃん両腕を掴み布団に押さえつける。

 苦痛に歪む日菜ちゃんの表情にどす黒い感情が溢れる。

 このまま感情に身を任せてしまいたい。

 早く解放しないと。

 思考がまとまらない。

 

「いいよ……来てよ……」

 

 苦痛と怯えを抑えつけながら、それでも笑おうとする日菜ちゃん。

 

 何でそんな表情が出来るの!?

 

 

「こんなの……嫌だ……本当は……好きなのに…………」

 

 

 ポタポタと涙が押さえつけた日菜ちゃんの顔に落ちる。

 言葉とは裏腹に腕を押さえつけたまま。

 

 誰か、助けて!

 

「そっか……ありがとう、ワンコちゃん。おねーちゃん、よろしく!」

 

「!?」

 

 予想外の言葉と同時にドアが開きマスクをした紗夜さんが入ってきた。

 アロマオイルの受け皿を手に取ると窓を全開にして下に投げ捨てる。

 入り込んだ冬の冷たい風が私の狂った熱を奪い取っていく。

 私から解放される日菜ちゃん……良かった。

 

 

 

 

「……はぁ、紗夜さんまでグルだったとは」

 

「ごめんなさい。断り切れなくて」

 

「いやーまさかあそこまで効果があるなんてね。もしかして欲求不満?」

 

「日菜ちゃん黙ってて」」

 

 どうやら日菜ちゃんの新作アロマオイルには理性を弱める効能があるようで。

 私の本音を知りたいが為に紗夜さんを巻き込んで一芝居打ったとか。

 ……私があそこまで狂暴化するとは思わなかったらしいけど。

 

「……私だけ仲間外れですか」

 

「っ!? 羽沢さん、ごめんなさい。日菜が急に決行しようと言い出したので巻き込んだ形になってしまって」

 

「つぐちゃんがいるからワンコちゃんも油断してたしね♪」

 

「けれど、私の部屋に泊まってほしいと思ってたのは事実です。今日は一緒の布団で寝ましょう」

 

「紗夜さん……」

 

 見つめあう紗夜さんとつぐみちゃん、こっちは問題なさそう。

 というか完全に二人の世界に。

 で、私はというと――

 

「ワンコちゃん、もう一回好きって言って♪」

 

「はいはい、好きだよ」

 

「もー、雑過ぎるよ~」

 

 またたびをあげた猫みたいになった日菜ちゃんに絡みつかれている。

 ここまでくると可愛いを通り越してうざい、かも。

 まあ私も気づかなかった本音が暴露された以上、以前の関係には戻れないわけで。

 

 

 一年生の頃から中々勝てなかった。

 一方的に噛みつき続けたけど軽くあしらわれ続けた。

 気が付くと傍にいた。

 偶然助けた人の妹だった。

 競い合う中で奇妙な絆が生まれた。

 いざという時は誰よりも頼もしかった。

 

 

 まさかこんな関係になるなんてね。

 

 

「さっさと当選してこの四人でダブルデートでもしようか?」

 

「頑張ります!」

 

「ええ、頑張りましょう」

 

「るるるるんっ♪」

 

 

 高校生活残り一年一寸、これまで以上に刺激的になりそうな予感がした。




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<備考>

氷川日菜:攻略した。

ワンコ:攻略された。

羽沢つぐみ:攻略した。

氷川紗夜:攻略された。

今後読みたいシーズンは?

  • シーズン0(一年生)
  • シーズン1(二年生)
  • シーズン2(三年生)
  • 連載終了
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