犬も歩けば棒に当たる   作:政影

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アンケートで票の集まったヒロイン視点開始です。

使いどころに困っていた小ネタを4つ繋げてみました。


番外編X(シーズン0~2)
番外編X-1:友希那な日々(シーズン1)


〇洗濯物(シーズン1)

 

 

「♪~」

 

 作曲作業も一段落しユキを引き連れて一階に降りると、リビングでワンコがRoseliaの楽曲の鼻歌を歌いながら洗濯物を畳んでいた。

 丁寧でありながら無駄のない動き、手慣れているわね。

 

「ご機嫌ね」

 

「あ、友希那さん。コーヒーでも淹れる?」

 

「水が飲みたいから自分でやるわ」

 

 キッチンへ行き冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しグラスに注ぐ。

 最近ウェスト周りを指摘される事が多いから自分なりに気を遣っていたりする。

 

 リビングに戻りソファーに座るとすかさずユキが膝の上を占拠した。

 当然、私は撫でるわ。

 

 

「何だか悪いわね」

 

「ううん、全然」

 

 ワンコが来てから私も少しは家事を手伝うようになったけど精々一割程度。

 それでも両親からは褒められ複雑な気持ち。

 野菜の皮むきをすれば食べる部分が異常に少なくなり、お風呂掃除をすれば全身びしょ濡れ。

 リビングの掃除をすれば危うく物を壊しそうになったり、買い物は……つい余分な物を買ってしまう。

 認めたくはないけど、私は不器用。

 

 それでもユキの世話だけは完璧。

 グルーミング、食事、ケージやトイレの掃除、毎日の健康チェック。

 

「にゃー」

 

「今日も異常は無しね」

 

「優しいお姉ちゃんで良かったね」

 

「にゃん♪」

 

 私も可愛い妹達が出来て良かったわ。

 

 

「それってお父さんの……下着よね?」

 

「うん、そうだけど」

 

「よく触れるわね」

 

 小さい頃は何とも思わなかったけれど中学生になった頃から何となく抵抗が。

 洗濯する時は分けて、と言ったら悲しい顔をされた。

 

「私は別に気にならないけど。施設の年少組のとか老人ホームのご老人のとかに比べたら綺麗」

 

「…………お父さんが泣いちゃうから今の話は秘密よ」

 

「うん」

 

 

「うーん」

 

「どうしたの、私の下着なんか見て?」

 

 いくら家族(仮)でもあまりジロジロ見られると恥ずかしいから止めてほしい。

 

「前はシンプルなのが多かったのに最近凝ったものが増えてきたような」

 

「……最近リサや燐子と買い物に行くと全力で勧めてくるのよ」

 

「成程」

 

 二人に比べたら貧相な私の体をいくら着飾ったところでどうしようもないというのに。

 一人で歌っていた頃は気付かなかったけれど、控室であの二人の着替えが目に入ると差を感じてしまう。

 

「友希那さんは西洋人形みたいに綺麗なので気持ちは分かる」

 

「そう。じゃあ、あの二人は?」

 

「……フィギュア?」

 

「……確かに」

 

 あこの部屋で見かけた一部を強調したフィギアを思い出して納得してしまった。

 流石にあそこまで巨大だと日常生活に不便だろうけど。

 

「ワンコは大きい方が好き?」

 

「…………ノーコメントで」

 

 豆乳でも飲んでみようかしら。

 

 

 

 

〇お小遣い(シーズン1)

 

 

「はい友希那、お小遣いよ」

 

「ありがとう、お母さん」

 

 月に一回のお小遣いの日、お母さんから茶封筒を渡された。

 食事代や洋服代は別途申請すれば貰えるので主な使い道は音楽関係だけど、大体はワンコがRoseliaの経費で落としてくれるので使われず貯金に回る。

 CiRCLEでライブをする分には集客の問題が無いのでチケットノルマも無いし……むしろステージに立ち始めた時の方が大変だった記憶が。

 当然最初は無名だったし……。

 

「ワンコちゃんは本当に良いの?」

 

「はい、バイトの方が順調なので貯めておいてください」

 

「分かったわ」

 

 ワンコは今月も貰わないようね。

 ……少し申し訳ない気が。

 

「にゃあ」

 

「ユキちゃんにはこれね」

 

 ユキに液状スティックのおやつをあげるお母さん。

 子猫にやり過ぎは良くないので一日一本に抑えているだけにずるい、私があげたいのに。

 

「友希那さん、落ち着いて」

 

「べ、別に私は冷静よ」

 

「あらあら、友希那お姉ちゃんはやきもち焼きね」

 

「にゃーん」

 

 あんなにユキが嬉しそうに……卑怯よ!

 

 

「ところでワンコはどれ位稼いでいるの?」

 

「金額的に確定申告が必要になるペース」

 

「……その割には質素な生活ね」

 

 ワンコの部屋には毎日行くけど必要最低限の物しか置いていない。

 一番高価な物は燐子から借りたノートパソコンだったような。

 一体何に使っているのかしら?

 

「使い道は聞いても良い?」

 

「特に面白い話じゃないよ。借金返済とか仕送りとか貯金とか」

 

「そう……今度クレープでも奢ってあげるわ、姉として」

 

「うん、楽しみ」

 

 これくらいならお節介を焼いてもいいかしら?

 

 

「友希那さんは欲しいものとか無いの?」

 

「そうね、特には無いけど……アルバイトはしてみたくなったわ」

 

「歌の為の体験?」

 

「それもあるけど……自分で稼いだお金であなた達に誕生日プレゼントを贈ってみたい、から」

 

「………………」

 

「何よ、その顔は?」

 

「ちょっと感動してた」

 

 全く……私の事を何だと思っているのかしら?

 ちょっと柄にもないことを言った自覚はあるけど。

 やはりお小遣いと自分の労働の対価とではプレゼントに込められる思いも違うだろうし。

 問題は今までアルバイトの経験が無い事だけれど。

 

「羽沢珈琲店、やまぶきベーカリー、北沢精肉店、銀河青果店……どこでもすぐに連絡する」

 

「ちょっと、急ぎすぎよ!」

 

 やるのは私なのにどうしてそこまで乗り気なの……。

 取り合えずその四つから選べば問題無いわね。

 ……でも全部接客業、口下手な私で大丈夫かしら?

 

「にゃ、にゃ」

 

「あら、ユキも応援してくれるの? ありがとう」

 

 妹二人からの応援、向き不向き関係無しにやるしかないわね。

 

 

 

 

〇パソコン(シーズン1)

 

 

 ワンコの部屋に入るとノートパソコンでゲームをしているようだった。

 ヘッドセットのマイクに向かって喋っている。

 

「NFOかしら?」

 

「うん。あ、紗夜さん、私がヘイト集めるから下がって回復して」

 

『了解しました』

 

『あこちゃん、詠唱始めるよ(oゝд・o)ノ』

 

『おっけー♪ 牽制は任せて!』

 

 邪魔をしては悪いのでクッションに座り置いてあった文庫本を手に取る。

 相変わらず恋愛小説が好きみたいね。

 ……これだけヒロインから好意を向けられているのに、全然気付かない女主人公ってどれだけ鈍感なの?

 

 

「お疲れ様。また明日」

 

『お疲れ様でした』

 

『乙~(*^▽^*)』

 

『ふっふっふ、大儀であった。お休みなさい♪』

 

 

 私が部屋に来てから十分位経った頃終了の挨拶、どうやら終わったみたい。

 

「待たせてごめんね、友希那さん。何か?」

 

「遅くに悪いわね。数学の宿題のここの部分が分からなくて」

 

「ここは先に公式を使って分解してやると……」

 

「あ、なるほど。気付かなかったわ」

 

「でもここまで独力でこれたなんて成長著しい」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

 今まで課題なんて最低限しかやらなかったし、分からない箇所は白紙で出してた。

 私には音楽があるから、そんな風に考えて逃げていたのかも。

 でもそれだけでは駄目みたいね。

 試練に自ら立ち向かっていくRoseliaのみんなを見ていたらそんな気がした。

 

 

「機会があったらまたみんなでNFOをやるのも悪くないわね」

 

「うん、みんな喜ぶと思う」

 

「でも、操作が難しいわ。まあゲームに限った事ではないけれど」

 

 正直パソコンもスマホも最低限の機能しか使っていない気がする。

 困ったらワンコやリサに聞けば何とかしてくれるし。

 

「でも作曲とか作詞とかはパソコンでやってるよね?」

 

「そうね……お父さんがやっているのをよく見てたから」

 

 まだお父さんがインディーズだった頃、悩んで、苦しんで、そこから名曲が生まれたのを何度も間近で見てきた。

 あの時の笑顔は未だに忘れられない。

 その笑顔を取り戻すために……。

 

「ふーん」

 

「何よ」

 

「友希那さんの中にしっかりとお父様の歴史が受け継がれているんだなって」

 

「っ!」

 

 ワンコは時々臆面もなく私を赤面させる事を言ってくる。

 そういう時は――

 

「くすぐりの刑よ」

 

「ちょ、友希那さん、脇腹は反則!」

 

「心苦しいけど生意気な妹の躾けは姉の責務よ」

 

「嘘だ、顔が思いっきり笑ってる」

 

 

 夜だという事を忘れて騒いだので、その後二人してお母さんに叱られた。

 

 

 

 

〇ベランダ(シーズン1)

 

 

「麻弥さん、そっちの長さ足りてる?」

 

「はい、設計図通りです」

 

 ある日の事、ワンコと麻弥さんが私の部屋とリサの部屋のベランダを行き来する梯子を設置していた。

 事の発端はリサが私の部屋に来るために、ベランダからベランダに飛び移っているのが両家にバレた事。

 流石に落ちたら危険だという事で禁止されそうになったが、ワンコが安全に行き来できる梯子を設置すると名乗り出た。

 普通に考えたら却下される筈が……何故か許可された。

 理解のあり過ぎる両家に感謝するべきなのかしら。

 

 そんなこんなで舞台装置作りに定評のある大和さんを巻き込んで工事が行われている。

 ……そもそも普通の業者に頼めそうもない案件だし。

 あ、もう出来上がったのね。

 

「それでは使用方法を説明します。防犯上常設は出来ないのでハンドルで毎回設置するシステムです。具体的には――」

 

 熱心に聞き入るリサ。

 まあ私が使う事は無いだろうけど……ちょっと地面から高いし。

 でも折角二人が設置してくれたわけだから覚えておこうかしら。

 

「本当にありがとう、ワンコ、麻弥♪」

 

「私からもお礼を言わせてもらうわ、ありがとう」

 

「いえいえ」

 

「お二人のお役に立てて光栄です」

 

 ベランダとベランダの距離は変わっていないのに……不思議ね。

 リサとの距離が少し縮まった気がするわ。

 

「さあ、アタシ特製クッキーでお祝いしよっか♪」

 

 

「また腕を上げたわね」

 

「流石リサ師匠」

 

「リサさん、お店が開けるレベルです!」

 

「あはは、ありがとね~」

 

 いつもながらリサのクッキーは美味しい。

 ワンコ曰くRoseliaが迷った時はこれがあれば問題ない、確かにそうね。

 心安らぐ懐かしい風味を残したまま進化し続ける味わい。

 リサのクッキーへかける情熱が伝わってくる。

 私の歌への情熱に匹敵するかもしれないわね。

 

「リサ、あなたのクッキー作りへの情熱を支えているものは何かしら?」

 

「えっ、そんな事考えてもみなかったけど……今みたいにみんなが笑顔になってくれる瞬間が嬉しいから、なんてね」

 

 自分で言っておいて赤面するリサ、実に可愛らしい。

 

 でも……そうね、その純粋な気持ちをいつまでも持ち続けることは私にとっても必要な事だと、今はそう思える。

 

 私は未熟、でもお父さんだって誰だって未熟な時期はあった筈。

 

 だったら私も一歩ずつ着実に進んでいくだけ、素晴らしい仲間と共に。




感想、評価、誤字報告などありましたらよろしくお願いします。

取り合えずRoselia5名を書いたら各バンド1名書く予定です。

アンケートにご回答をお願いします。


<備考>

湊友希那:日々成長中。

ワンコ:家事は得意。

ユキ:湊家の癒し。

今井リサ:日々工夫中。

大和麻弥:恩返し。

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