犬も歩けば棒に当たる   作:政影

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今回も小ネタを4つ繋げてみました。


アニメ三期は終わりましたが来年、再来年に映画があるので健康に気を付けていきましょう。


番外編X-2:紗夜な日々(シーズン1)

〇ものもらい(シーズン1)

 

 

「……氷川さん……病気ですか?」

 

「ええ、ものもらいになってしまって」

 

「お大事に。でも眼帯の紗夜ちゃんもカッコイイね♪」

 

「丸山さん、宇田川さんみたいな事を言わないでください」

 

 登校後、自席に着くなり声を掛けてきた白金さんと丸山さん。

 流石に眼帯を着けていれば目立ちますね。

 仕事の関係で朝早くに家を出た日菜に見られなかったのは不幸中の幸いでしょうか。

 あの子の事ですから看病するとか言い出しそうですし。

 

「自己管理がなっていないようで恥ずかしい限りです」

 

「そんなこと……ありません……」

 

「うんうん、紗夜ちゃん程自分に厳しい人なんて花女にいないよ!」

 

 お二人からの温かい言葉、以前の私だったら素直に受け取ることはできなかったでしょう。

 胸が温かくなります。

 

「よーし、こうなったら二人で紗夜ちゃんをサポートしちゃうぞ、おー!」

 

「…………お、おー」

 

 丸山さんは楽しんでません?

 それと白金さんは赤面してまで付き合わなくても良いと思います。

 

 

 

 

「う~、授業中はサポートできる機会が無かったよ」

 

「そうですね」

 

 多少ノートの取り辛さはあったものの特に授業では問題はありませんでした。

 体育は見学にしてもらいましたし。

 

 

 

 

「はい、紗夜ちゃん、あーんして♪」

 

「…………あーん」

 

 妙に嬉しそうな丸山さんの箸から卵焼きをいただきます。

 本当は恥ずかしくて勘弁してもらいたいのですが、二人揃って泣きそうな顔をしてきたのでやむを得なく。

 過保護すぎる気もしますが。

 

「……次はわたしの番……あーん」

 

「あーん」

 

 ……自分のお弁当なのにいつもより美味しい気がします。

 

 

 パシャ!

 

 

「ちょっと、何撮ってるんですか!?」

 

「日菜ちゃんが喜ぶかなって♪」

 

「直ぐに消してください!」

 

「ごめん、もう送っちゃった」

 

 

 ブー、ブー、ブー

 

 

 その直後震えだす私のスマートフォン。

 日菜の名前を確認すると直ぐに電源をオフにしました。

 

「出なくていいの?」

 

「仕事に集中して欲しいですから。丸山さんの方から私は問題ないと連絡してください」

 

「はーい♪」

 

 少し心苦しいですが、一度電話に出てしまうと長電話になってしまい仕事に支障が出てしまうかも知れないので。

 それに姉として妹に弱みを見せたくはないという意地もありますから。

 

 

 

 

「連絡事項は以上です」

 

 担任の先生の言葉でショートホームルームが終わり私も帰る準備をします。

 今日はCiRCLEでRoseliaの練習があるので遅れるわけにはいきません。

 

「おねーちゃん!」

 

「日菜っ!?」

 

 鞄を持ち立ち上がったところへ突然の衝撃、何とか踏み止まりました。

 そこには何故か私服で仕事に行った筈の日菜が制服姿でいました。

 

「日菜、あなた仕事は?」

 

「しっかり終わらせてきたよ! 超特急で!」

 

 確か今日はグラビアの撮影……スタッフさん達に無理を言ってなければいいのですが。

 

「ほら日菜ちゃん、離れて」

 

「えー」

 

 続いて現れたのはワンコさん、何故?

 

「燐子さんから聞いたので。日菜ちゃんに保険証を取りに一度家に帰ってもらって、ついでに校内に入るから制服に着替えてもらった」

 

「保険証?」

 

「医者に診てもらうまで練習は禁止との友希那さんからの伝言、私も同意見」

 

 痛いところをついてきますね……。

 白金さんの方を見ると小さくガッツポーズをしています。

 

「分かりました。日菜と二人で行ってきますのでRoseliaの方はよろしくお願いします」

 

「うん、任せて。伊達に隻眼の先輩じゃないから」

 

 

 頼りにしていますよ、先輩。

 

 

 

 

〇公式サイト(シーズン1)

 

 

>依頼されてました原稿をメールで送りましたので確認してください。

 

>うん、了解。

 

>おっけー♪

 

 一仕事終えすっかり冷えてしまったホットミルクだったもので喉を潤します。

 Roseliaの持ち回りで書いている公式サイトのコンテンツの一つ「素顔の青薔薇」……要は雑記でしょうか。

 各々が好きな事を書くという提案に最初は戸惑いましたが今では納得しています。

 今井さんはメイクやコーデについて、白金さんはお薦めの本について、一部マニアックな内容もありますが人となりが窺えて私も楽しみにしています。

 

 私は何を書くか……凄く悩みました。

 サイトを見に来てくれた方々に自信を持って伝えられる事とは。

 他の誰でもない自分にしか書けない文章、考え過ぎてRoseliaのメンバー達や日菜からも心配されました。

 

 

「間に合いそうになかったら順番変えるから心配しないで」

 

 

「おねーちゃんの文章楽しみだな~♪ でも無理はしないでよ?」

 

 

 私の好きな犬、フライドポテト、NFO、お菓子作り……でも一番『氷川紗夜』を形作ったものと聞かれたら?

 日菜から逃げるように花女に進学してからの日々を思い出しました。

 

 ……やはり、あなたとの日々でしょうか。

 

 そう考えたら一気にキーボードに思いを叩きつけました。

 ちょっと感情的過ぎる文面だったかもしれませんが、やりきったという達成感が生まれました。

 

 

>とっても紗夜さんらしいと思う。

 

>アタシも!

 

>ありがとうございます。

 

 

 二人の良好な反応に思わず口元が緩んでしまいます。

 そして、そんな文章を書かせてくれた相棒のギターを手に取り優しく撫でます。

 

 日菜と比べられるのが嫌で自分だけの何かを探し続けた日々。

 あなたと共に歩んできたお陰で今の『氷川紗夜』があるのよね。

 何時間も弾き続けて弦を切ってしまったり、疲労からバランスを崩して床にぶつけてしまったり……。

 私はあまりいい相棒じゃないかもしれないけど、できればこれからも一緒に音を奏で続けていきたいと思います。

 

 

 だってあなたはもう私の一部なのですから。

 

 

 

 

〇選択(シーズン1)

 

 

「ねー、おねーちゃんとあたしが崖から落ちそうだったらどっち助ける?」

 

「紗夜さん」

 

「即答!?」

 

 暇を持て余している日菜の質問をあしらいつつ問題を解き進めるワンコさん。

 目指せ両校でRoselia一位独占、ということで私の部屋で勉強会をしています。

 ……イベント出演で一日不在の筈の日菜がイベント中止で帰宅したのは想定外ですが。

 

「えーなんでー?」

 

「紗夜さんを助けて独り占めしようとしたら、地の底からでも這い上がって来そうだから」

 

「あはは、なにそれー♪」

 

 ワンコさんの回答が面白かったのか大声で笑う日菜。

 地の底から這い上がってくる日菜を想像したら、私も思わず笑ってしまいそうに。

 

「それにしても羽丘の問題は捻ってあるのが多いですね」

 

 ワンコさんからこの前の試験問題を借り試しに解いているもののすんなりは解けません。

 学習範囲は学校毎に違いが無い筈なのに試験問題は羽丘の方が難しいです。

 流石は進学校、私がもし羽丘に入学していても……今の勉強量では二位にすらなれませんね。

 

「日菜ちゃんが毎回満点を取る所為で先生も必死になって難問作りに励んでるから」

 

「それは何と言うか……」

 

「えへへ、すごいでしょ♪」

 

 日菜が得意げに頭を差し出してきたので仕方なく撫でます。

 ……ワンコさん、恥ずかしいのであまりこちらを見ないでください。

 

「おねーちゃんも学年トップのあたしに聞けばいいのに」

 

「あなたの説明はいつも分かりにくいでしょう?」

 

「えー」

 

 不満げな日菜、実際分かりにくいから仕方ないじゃない。

 

「日菜ちゃんは私と違って一足飛びで正解まで行けちゃうから。その割に人付き合いが不器用すぎる」

 

「勉強と違って正解が無かったり人によって違うからねー。でも成長したでしょ?」

 

「うん、だからこの場に三人でいられる」

 

 二人の会話に自分の不甲斐なさを痛感します。

 本来であれば姉である私が傍にいて向き合っていくべきだったのに……。

 

「だからそんな日菜ちゃんを私達の世界に繋ぎとめておいてくれた紗夜さんには感謝している」

 

「そうだねー。おねーちゃんがいなかったら海外留学してたり世界るんるん滞在記してたかも♪」

 

「あなたならどこへ行ってもやれてたでしょうけど、ワンコさんからの感謝は受け取っておきます」

 

 二人の優しい眼差しに一人悩んでいたあの頃の私が報われた気がします。

 今の私も負けていられませんね。

 

 妹、そして大事な人達と歩んでいくために。

 

 

 

 

〇バースデーライブ(シーズン1)

 

 

「これはどういうことですか!」

 

 今日は日菜のバースデーライブ、特別ゲストとして一曲参加する事になっています。

 何度かPastel*Palettesのみなさんと練習も行い万全の態勢で迎えた当日、用意された衣装が日菜とお揃いのステージ衣装。

 仕方なく着てみたものの物凄く違和感があります。

 Roseliaの衣装に比べて露出が多めというのも気になりますが、何よりパステルカラーでフリフリというのが……。

 

「あなたの言いたいことは分かるわ、紗夜」

 

「湊さん……」

 

「燐子の衣装じゃないと落ち着かないのよね、分かるわ」

 

「全然違います」

 

「……氷川さん……今日だけは浮気しても良いので」

 

「白金さんも人の話を聞いてください」

 

「紗夜さん、カッコイイです!」

 

「宇田川さん、ブレないのは好感が持てますがこの場面だと貴女の感性を疑います」

 

「いーじゃん、紗夜。似合ってるって♪」

 

「ありがとうございます。私はそうは思いませんが」

 

「♪~」

 

「ワンコさん、楽しそうに私の髪を日菜に合わせて三つ編みにしないでください」

 

 ひとしきりRoseliaのメンバーに突っ込みを入れると肩の力が抜け気が楽になりました。

 ……ここまできた以上腹を括るしかありませんね。

 

「よし、完成。日菜ちゃんより可愛いよ」

 

「ありがとうございます。……主役の座、奪っても構いませんよね?」

 

「うん、自分で自分の誕生日をお祝いしてあげて」

 

「勿論です」

 

 改めてRoseliaのメンバーと一人ずつ目を合わせます。

 結成からもうすぐ一年、我ながら難儀な性格の私と共に歩んでくれた最高のメンバー達。

 彼女達にも今の私の最高の「音」を聴いてもらいましょう。

 スタッフさんに呼ばれ相棒を手にステージに向かいます。

 

 

 ゆら・ゆらRing-Dong-Dance氷川姉妹ver.……全力で楽しませていただきます。




感想、評価、誤字報告などありましたらよろしくお願いします。


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<備考>

氷川紗夜:色々振り回された所為で更に逞しく。

丸山彩:妹系だけどリアル姉という微妙さ。

白金燐子:弱っている人を見るとキュンとする模様。

氷川日菜:海外ロケでも物怖じしない安定感と予測不能の不安定感。

ワンコ:万年二位。

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