犬も歩けば棒に当たる 作:政影
小ネタの筈が意外と長くなったので2つです。
アンケート途中結果:
Poppin'Partyで読みたい視点は?
(4) 戸山香澄
(4) 花園たえ
(0) 牛込りみ
(9) 山吹沙綾
(8) 市ヶ谷有咲
Afterglowで読みたい視点は?
(12) 美竹蘭
(3) 青葉モカ
(3) 上原ひまり
(0) 宇田川巴
(6) 羽沢つぐみ
〇同人誌即売会(シーズン1)
「ここが聖地、凄い……人がゴミのようですね!」
「うん、はぐれないように気を付けて」
「はい!」
夏真っ盛りの臨海エリア、鉄道を乗り継いでやってきたのは逆さにしたピラミッドをくっ付けた様な建物。
今日はワンコ先輩に付き添ってもらって聖地に降臨!
目指すは日本最大級の同人誌即売会!!
別に一人でも大丈夫なんだけど、おねーちゃんが許してくれなかったから。
おねーちゃんの方はお祭りの準備で忙しそうだったのでワンコ先輩にお願いしてみたらオッケーの返事。
「わざわざごめんね、ワンコ先輩」
「私も行こうか悩んでたので踏ん切りがついた」
「それなら良かった♪ りんりんも来れば良かったのに~」
「……この人混みは酷だと思う」
「…………そうですね」
始発なのに激混みの鉄道、前みたいに押しつぶされそうになってワンコ先輩に守ってもらっちゃった。
ようやく待機列の最後尾に並んでも……先頭が全く見えない。
気付くと列がどんどん増えて周りが全部、人、人、人!
人混みが苦手なりんりんだったら倒れちゃうかも。
「今の内に日焼け止めを塗りなおして。あと水分補給」
「ラジャですよっ!」
待機列は遮るものが無い炎天下の駐車場。
携帯椅子に座ったあこを日差しから守ってくれるように座るワンコ先輩。
まるでおねーちゃんみたい。
帽子と日焼け止めとワンコ先輩のトリプルガード!
でも気温が高いのはしょうがないので、扇子で扇いでもらいながらしりとりで時間を潰した。
「そろそろ動くみたい」
「ふっふっふー、いざ聖堕天使の……えーと?」
「収奪?」
「聖堕天使の収奪の時ぞ!」
「うーん、流石企業ブース」
「ここでも待機列ですね」
あこの目的はNFOの企業ブースでキラぽんのぬいぐるみを買うと付いてくるシリアルコード!
超カッコイイ装備がゲットできると思うとワクワクが止まらない♪
「キラぽん完売しました!」
「え……嘘だよね?」
「あー、残念だったね」
……うなだれるあこの頭を撫でるワンコ先輩の手が優しくて……余計に泣きたくなる。
お願いして同行してもらったのに……。
「うん、気を取り直してNFOのエリアで同人誌でも見ようか?」
「……ワンコ先輩の用事の方は?」
「私の方は午後だからまだ時間がある」
「そっか……じゃあお願いします!」
そうだよね。
折角の即売会、あこのカッコイイ欲を満たしてくれる本があるかも知れないしね♪
「ご、ごくり……」
「18禁って書いてあるからそれは駄目」
際どい恰好のネクロマンサーとウィザードが絡み合っている表紙の本に手を伸ばそうとしたらワンコ先輩に遮られた。
あことりんりんのキャラに似てたので興味があったのに残念!
「こっちの本は全年齢なので良かったら読んでね」
「ありがとう!」
こっちの方は問題ないみたい、ちゃんと服着てるし。
世界の秘密を知ってしまい命を狙われるウィザードを異端のネクロマンサーが助ける物語。
……カッコイイ!
思わず出てる分全部買っちゃった。
あこもこんな風にカッコイイ台詞を言いたいな。
「黄泉路の供はノーライフレギオンだけで十分、君は君の為すべき事を為せ」
「あこちゃんは難しい言葉を使わなくてもカッコイイよ」
「丁度五分前、間に合った」
「うわ、ステージ前の人だかりすごっ!」
同人誌購入を終えワンコ先輩の目的のステージイベントへ。
人だかりの後ろの方に着いたけど全然ステージが見えない。
ジャンプしても微かに見える程度……ちょっと残念かも。
「肩車するよ」
「えっ!?」
見かねたワンコ先輩があこを肩車してくれた。
ばっちり見えるようになったけど……少し恥ずかしい。
スカートの中が見えないようにしっかり押さえないと。
「悪い子には特大お注射! 病院船『氷川丸』、まるっ♪ ってきたー!」
「英国生まれも心はブシドー! 水上機母艦『若宮』、推して参ります!」
「ご存じ大和型戦艦一番艦『大和』、みなさんの手で活躍させてほしいです!」
ナース服のひなちんに鷹を手に乗せた武士の格好をしたいぶ、水着姿で大砲を担いでいるまやさん。
……パスパレってやっぱりカッコイイ!
「ゲームの宣伝でコスプレしてミニトーク、Roseliaも負けてられない」
「うん! あこ達もコスプレしてライブしましょう!」
あこ達が遊びに来ている間にもお仕事してるなんてすごいなぁ。
前に行ったライブも最強に盛り上がったし、テレビで見かける日も多いし。
特に同じドラマーのまやさんには悔しいけどまだ敵わない。
でも……いつか、きっと!
その時、一瞬だけまやさんと目があった気がした。
いつでも受けて立つという自信に溢れた眼差し……。
まやさん、ひなちん、友希那さん、リサ姉、紗夜さん、りんりん、そしてワンコ先輩……やっぱり二年生は凄い!
あこも聖堕天使からさらに進化しないと!!
「そろそろ帰ろうか?」
「うん」
パスパレのイベントの後遅めの昼飯を取り、色々なエリアを回った。
あるとは思わなかったRoseliaのエリアに行った時は本人だとバレかけたけど、ワンコ先輩が何とか誤魔化してくれた。
あこはバレても良かったけど後々問題になるから他人の空似にしておいた方がいいって。
……ワンコ先輩の目を盗んでたまたま手に取った紗夜さんが表紙の本を読んだけど衝撃的だった。
早く十八歳になりたいな♪
「ワンコちゃん♪」
「……大声出しちゃ変装した意味ないでしょ?」
いきなりワンコ先輩の背中に誰かが飛び乗ってきたと思ったらひなちん!
思わず名前を呼びそうになったけど、口元に人差し指を当てられたので何とか抑え込んだ。
「この後三人で打ち上げなんだけど一緒に行かない?」
ひなちんの後ろから来たのはまやさんといぶ。
三人とも帽子とサングラスで変装しているお陰で周りの人は気付いてない。
「私は良いけどあこちゃんは?」
「あこも問題ないです!」
「じゃあ焼肉でもいっちゃいますか!」
「だから声が大きい」
ひなちんに対してだけいつも口調が強いワンコ先輩。
でも表情はそんなに怖くないし、ひなちんも分かってふざけてるみたい。
これが心が通じ合ってるって事なのかな?
でもあことりんりんだって負けないんだから!
「あこさん、ちょっといいですか?」
「え?」
「これなんですけど」
そう言ってまやさんが渡してきた布袋の中を見るとピカピカしたウサギの様なぬいぐるみ……キラぽん!?
「ど、どこでこれを!?」
「スタッフさんに貰ったんですけどジブンは興味ないものでして。受け取っていただけると嬉しいです」
「あ、ありがとう!」
「わ、わっ!」
嬉しさのあまり思わずまやさんに抱き着いちゃった。
「ずるいです! ハグハグハグハグ~♪」
いぶも負けじとまやさんに抱き着く。
……まやさんもりんりんみたいに柔らかいね。
「日菜ちゃんは参加しないの?」
「ん~、今はあの二人に譲ろうかな」
焼肉はとても美味しかった。
ワンコ先輩の耳の良さで焼き加減はばっちりだったし、ひなちんのタレの調合は完璧だったし。
今日はワンコ先輩、まやさん、ひなちんの奢りだったから、今度はあこといぶで奢るんだ。
いつまでも背中だけ追いかけてるわけにもいかないしね。
〇NFO(シーズン1)
『あれ、あこちゃんだけ?』
『はい、りんりんと紗夜さんは別の町でやり残しのクエストしてます』
NFOにログインしたワンコ先輩をギルドハウスでお出迎え。
他には誰もいないから二人だけ。
ワンコ先輩のキャラは黒髪ツインテールの二刀流サムライ、前にありさからアカウントごと貰ったって聞いた。
あんまり外見には興味がないみたいでそのまま使ってるとか。
『あこは暇潰しに荷物整理してるので、二人が戻ってきたら素材クエスト行きましょう!』
『うん、了解』
さーて、色々道具も増えてきたから要らないものは倉庫に――
≪緊急クエスト「モンスター襲来」≫
全体チャットに見た事の無いクエスト名が表示され、突然BGMが緊迫したものに変わった。
これって……。
『りんりんにチャット送ったけど返信が来ない……』
『ちょっと待って…………紗夜さんに電話したけど向こうも同じ。あっちはモンスターの襲来は無いけど、こっちに転移できないみたい』
『そんな……どうします?』
『初の市街戦。このエリアにいるPCは……お、あこちゃんが最高レベル』
『あ、本当だ……って、あこが!?』
もしかしたらあこがこの大規模クエスト攻略の鍵を握ってる、と思うと緊張してきた。
数十数百のPCを率いた事なんて無いし、最近は四人でクエストに挑む事が殆どだったし。
そう思ってたらスマホに着信が。
「あこちゃん、チャットだとモンスター側に見られる可能性が需要な話は電話で」
「そんな事あるんですか?」
「エリア内外の転移不能だけじゃなくてチャットも制限されてるから念の為」
「今から中央広場の教会に立て籠もるって宣言して。幾つかのギルド長には同調のお願いしておいたから」
「分かりました、籠城戦ですね」
「行く途中のPCはなるべく助けて連れてって。やられてもリスポーン出来ないかも知れないから貴重な戦力」
「了解です」
「後はひたすら耐えて。オブジェクト破壊が無ければ入り口と屋上を固めればいいけど、最悪壁と窓に穴が開くから」
「え……それって教会自体破壊されません?」
「それまでには何とかするつもり。出来なかったらごめん」
「はぁ……ラジャですよっ! ワンコさんの背中を守るのはあこの仕事ですからね♪」
一か八かの大勝負、あこ達に喧嘩を売った事を後悔させてあげるよ!
『ふっふっふー、深淵の闇より出でし悲哀の翼。混沌の戦場に舞い降りた聖堕天使、あこ姫! これより仮初の神の塔にて悪鬼どもを迎え撃つ! 勇あるものはわらわに続け!!』
うわー、エリアチャットで大口叩いちゃった!
本当に大丈夫だよね、ワンコ先輩?
『ギルド≪BLOOM RIVER≫合点承知です!』
『ギルド≪FEATHERS≫承りました』
『ギルド≪Mondwald≫了解したわ』
即座に三つのギルドからエリアチャットが。
もう向かっても良いよね。
ギルドハウスの外に出たらそこは戦場だった。
町の外どころかダンジョンにしかいないようなモンスターが町中に。
中堅クラスのレベル帯だときつい相手、あこのネクロマンサーでも一人だと辛い。
じゃあ行こうか……あこだけの不死の軍団、もといノーライフレギオン!
竜の牙を蒔き竜牙兵を生成、教会への道すがら苦戦しているPCを助け付いてくるように促す。
そんなPCが二桁に到達しようかというくらいに教会へたどり着いた。
普段なら綺麗な噴水、手入れされた花壇、屋台が軒を連ねる素敵な場所、なのに……。
『……少し頭に来たかな』
気付けば手近なモンスターの魂を粉々にしていた。
MPが尽きる度にアイテムで回復、集まってくるPCも増えたけどそれ以上にモンスターも。
だけどワンコ先輩の作戦をあこの失敗で駄目にするわけにはいかないから!
「あこちゃん、三十秒後にボスを目の前に追い立てるからアレの詠唱始めて」
「りょ、了解!」
『定命の円環を逸脱せし――』
あこの詠唱開始と同時に文字通り体を張って敵の攻撃を防いでくれるPC達。
ヒーラーの数が足りず次から次へと力尽き倒れていく。
三十秒がとても長い、早く……早く……。
「行った」
『デッドリィーー!!』
ジャストのタイミングで現れた魔人にあこのとっておきが命中。
落とし前、つけさせてもらったよ。
『あー、大赤字だー!』
『お疲れ様、こっちもかなりアイテム使った』
『大勝利ワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ』
『お二人ともお疲れ様でした』
協力してくれたPC達にお礼を言ったり言われたりでようやくギルドハウスに帰ってきたらもう遅い時間。
りんりんと紗夜さんは転移制限が解除されたようで無事帰還。
どうやら運営の予想より遥かに早く攻略してしまったせいで報酬の支給が遅れるみたい。
『次は全員で参加したいな』
『私とあこちゃんは運営にマークされたかも知れないから二人に頑張ってもらう』
『ワッショイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノソイヤ』
『望むところです』
二人ともやる気満々みたいで嬉しい。
それにしても今までプレイしてきた中でもトップクラスの緊張感だった。
いつもは一緒にいる人達と離れ離れ、でも自分のできることをして信じて待ち続ける。
そっか、ワンコ先輩の期待に応えられたのか……イベント報酬よりもそっちの方が嬉しいかな?
感想、評価、誤字報告などありましたらよろしくお願いします。
アンケートにご回答をお願いします。
<備考>
宇田川あこ:燐子からデッドリィマスターの衣装を渡される。
ワンコ:燐子からブラック★ドッグシューターの衣装を渡される。
氷川日菜:燐子から晴れ女の衣装を渡される。
大和麻弥:燐子から黒猫の衣装を渡される。
若宮イヴ:燐子から海防艦の艤装を渡される。
Pastel*Palettesで読みたい視点は?
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丸山彩
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氷川日菜
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白鷺千聖
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大和麻弥
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若宮イヴ