Fate/dark moon   作:ガトリングレックス

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第4章キャスターであり漫画家である

ジェイソンをセイバーは連続攻撃し、攻める。

「トレースオン」

アゲハはジェイソンの手元に大剣を錬成し、すぐに反撃に入る。

「鎧が脱げたのは驚いたけど、僕が弱体化したなんて思わないでね」

「バーサーカーになりすませるぐらい強いのは承知の上よ、だから誰もあなたをバカにする人なんていないわ」

セイバーの言葉に、ジェイソンはホッケーマスクで隠れているが、喜んでいる。

だがそれで戦いをやめるはずもなく、大剣を片手でセイバーを両断しに行く。

セイバーは華麗に大剣を交わし、逆に腹を斬りつけ、傷付け、血を流させる。

『ジェイソン!、大丈夫!』

(全然平気だよママ)

ジェイソンは大剣をセイバーに投げつける。

思わず剣で弾くセイバーだが、その隙を突かれ、ジェイソンに首を掴まれる。

「セイバー!」

菊【キク】は叫びを上げると、魔弾をジェイソンに向けて放つ。

魔弾がジェイソンの背中に命中し、怯んでセイバーから手を離す。

セイバーはジェイソンの胸に剣を突き刺し、貫通させる。

それによってジェイソンは横に倒れ、動かなくなる。

「なによ、簡単にやられたじゃない」

「油断しないで、ジェイソンには蘇生のスキルがあるわ」

セイバーは笑みを浮かべ、それを凛【リン】は注意した。

一方アルトリアとギルガメッシュは、熾烈な戦いを繰り広げていた。

「セイバーーー!」

「くっ」

ギルガメッシュの〈エア〉、

アルトリアの〈エクスカリバー〉、

どちらも最強の宝具、

アルトリアは隠しても仕方ないと、〈エクスカリバー〉のインビジブルエアーを解除し、本気モードで挑む。

「行きますよ英雄王、私も本気で行かせてもらう」

解放された〈エクスカリバー〉を横に振り、それをギルガメッシュは〈エア〉で防ぐ。

その時だ。

銃声が聞こえ、銃弾がアルトリアの左ふくらはぎに命中する。

体制が崩れた隙を見逃さず、ギルガメッシュは〈エア〉でアルトリアを攻撃する。

「ぐわっ!」

あまりの力に大きく吹き飛ばされ、アスファルトの地面に叩きつけられる。

「セイバー!」

「大丈夫です、それより気をつけてください、この近くにもう1人のサーヴァントがいます」

銃を使うサーヴァント。

「アーチャーが不意打ちを仕掛けた?」

果たしてそうだろうか。

カーボーイのアーチャーが不意打ちなどするだろうか、

凛がそう考えた時、ある考えが閃く。

「キャスター、そうよ、キャスターよ」

「なにを言ってるんですか、キャスターは魔術師ですよ、銃なんか使うわけが」

「この聖杯戦争のサーヴァントはかなりの確率で近代兵器を使ってる、だからアーチャーと決めつけるのは良くないわ」

凛の言葉に、不服そうな菊。

自分の中の常識を否定されたのだ、思春期ならなおさらである。

とりあえず後ろを振り返ると、アーチャーとは違うサーヴァントが銃の銃口を向けていた。

40代と思われるが白髪と黒髪が入り混じったボサボサな髪をしており、英語で泥棒と書かれた黒いシャツの上にダウンジャケットをパスナーを開けた状態で着込み、ホルスターを2個が取り付けあり、白いズボンをベルトで留め、刀をベルトを入れる場所に収めている。

「あなたがキャスターね、不意打ちとは良い度胸してるじゃない」

「ディレクターにもそんな感じの事を言われたよ。まったく自分の作品にケチをつけられるとは、本当にいやになるよ」

キャスターはそう言いながらホルスターからリボルバーを取り出し、二刀拳銃になる。

「まさか自分が、自分の作品のスキルと宝具を使えるなんて、嬉しいなぁ」

左手にはワルサーP38、右手にはリボルバー。

リボルバーのハンマーを下ろし、トリガーを同時に弾き、ギルガメッシュ、セイバーに向けて銃弾が発射される。

ギルガメッシュは〈エアー〉で弾き、セイバーは盾で防ぐ。

次の瞬間、ジェイソンが復活し、セイバーの足を掴み、転ばせる。

そして再びセイバーの首を絞め、殺そうとする。

そうはさせじと、菊は魔弾を、凛は魔導石を放つ。

「トレース、オン」

アゲハの投影魔術によってジェイソンの側にバリアを展開される装置が錬成され、バリアが展開、魔弾と魔導石を防ぐ。

「これで終わりにしてあげる」

「それは、どうかしら」

セイバーは人格をエリザベートからカーミラに入れ替わる。

「私の宝具、とくと味わいなさい」

そう言うと、宝具が発動し、後ろから処刑器具、アイアンメイデンこと〈ファントムメイデン〉がジェイソンを吸い込んで行く、

「君も道連れにしてやる」

ジェイソンはセイバーを側に引き寄せ様とする、

しかしその前に〈ファントムメイデン〉にジェイソンの体が入る。

そして閉じる。

手は入っていないが、倒すには十分だろう。

ジェイソンの手から力が抜け、大量の血が溢れ出す。

血を浴びて幸せそうなセイバーに、アゲハは笑みを浮かべる。

それを見た菊はその理由を分かっていた。

ジェイソンはなんとでも復活する、宝具を使ったところでなんにもならない。

それぐらいセイバーも分かっているはずだ。

〈ファントムメイデン〉が消滅し、ジェイソンが出て来て、横に倒れる。

「この隙に〈エクスカリバー〉を放ってれば良いんだけど、今絶賛戦ってるからできないのよね」

凛が独り言を言っている間にキャスターは凛にワルサーP38の銃口を向ける。

それを見た菊は凛の後ろに立ち、バリアを張る。

放たれた銃弾はバリアによって防がれた。

「ふーん、ならこれはどうかな」

ワルサーP38とリボルバーをホルスターにしまい、刀を鞘から引き抜き、逆手で構える。

「ぜやー!」

勢いのまま、バリアを斬りつける。

すると、バリアが真っ二つになる。

さらに斬りに行くが、菊の魔弾をくらい、後ずさりする。

「結構痛いなぁ、サーヴァントになってもここは変わらない訳か」

まるで試しているかの様な発言をする。

それに菊は容赦なく、キャスターに向けて魔弾を放つ。

だがキャスターは刀で魔弾を斬る。

「そんな物かい」

「やっぱり試していたのか、自分の、サーヴァントとしての耐久力を」

「そう言う事だよ、元々サーヴァントはただの人間だ、だから実感が沸かない、でも大体分かった。自分のステータスをね」

「あんたバカなの、そう言う時はマスターに見てもらえば・・・」

「言ってみたさ、だけど断られたんだ、なんでか知らないけどね」

なんとも不思議なマスターだ。

普通、ステータスを見て今後の戦いに備えるのが普通だ。

だがそれをしない。

そこまで勝ちを確信しているのか、またその逆か。

そう考えている間に、キャスターが刀で攻撃を仕掛けて来る。

それを見たセイバーが加速し、キャスターの攻撃を盾で防ぐ。

「キャスターのくせに魔法を使わないのね」

「僕は魔法使いじゃない、漫画家さ」

その言葉でだいぶ新名が絞り込めたが、まだ分からない。

「僕を忘れないでよ」

いつの間にかジェイソンが復活し、セイバーに大剣を振り下ろす。

それに追い打ちをかける様に、キャスターがリボルバーの銃口をセイバーに向けて発砲する。

絶対絶命のピンチにアルトリアが魔力放出でジェイソンを吹き飛ばす。

そして銃弾をセイバーは盾で防ぐ。

その間にギルガメッシュが〈エアー〉でアルトリアに攻撃を仕掛けて来る。

だが瞬時に反応し、〈エクスカリバー〉で防ぐ。

立ち上がったジェイソンは「マママ、キキキ」と息を吐く。

「アゲハ、弓とゲイボルグをお願い」

「分かった。トレース、オン」

アゲハは文献で見た第5次聖杯戦争でランサーが使っていたと言う〈ゲイボルグ〉とアーチェリー用の弓をジェイソンの手元に錬成する、

弓に〈ゲイボルグ〉を弓矢の様にセットし、弦を引き絞る。

狙いはギルガメッシュだ。

魔力が〈ゲイボルグ〉から放出し始め、魔力の量を感じさせる。

「ゲイ、ボルグ」

放った。

あまりの威力に弓が粉砕される。

一直線にギルガメッシュの心臓部に向かって行く。

それに気づいたギルガメッシュは鉾盾で登場した最強の盾と商売人が唄った〈防技〉を〈ゲートオブバビロン〉から取り出し、防ごうとする。

〈ゲイボルグ〉が〈防技〉と激突し火花を散らす。

アルトリアは巻き込まれない様に後ろに素早く下がる。

「うおー!」

叫びを上げるギルガメッシュ。

「トレース、オン」

そこに追い打ちをかける様にジェイソンの手元に3本の弓矢を放てる弓と〈ゲイボルグ〉3本を錬成する、

「そんなのあり!?」

凛の叫びを尻目にジェイソンは弓に〈ゲイボルグ〉3本をセットし、ギルガメッシュに狙いをつける。

アゲハの凛の夫である士郎【シロウ】と違い、投影魔術は見ただけで錬成でき、ランクが落ちない、そのかわり改良や修理、強化ができない。

共通点として神聖持つ物、例えば〈エクスカリバー〉や〈エア〉などを錬成すると、あまりの力に自滅してしまう。

「ゲイ、ボルグ、3連弾!」

放った。

あまりの威力に弓が粉砕される。

3本の〈ゲイボルグ〉がギルガメッシュに襲いかかる。

〈防技〉で防ぐが、その威力は凄まじく、さらに大爆発を引き起こす。

「オールAランクの化け物があんな事でやられるはずがない」

「そうよ、あのギルガメッシュが簡単に死ぬはずがない、なにか仕掛けて来るわよ」

凛の言葉にセイバーとアルトリアは身構える。

爆発で起きた土煙から高笑いとエンジン音が聞こえる。

なんとバイクに乗ったギルガメッシュがジェイソンを轢きに来た。

『避けるのよジェイソン!』

突然の事だったが、〈母の助言B〉が発動し、避ける事ができた。

それを見たアルトリアは〈エクスカリバー〉の力を解放し、振りかぶる。

「エクス、カリバー!!」

放たれた閃光がギルガメッシュとジェイソンに襲いかかる。

『避けるのよジェイソン、早く!』

母の声に応え、ジェイソンは攻撃を交わすが、ギルガメッシュは気づく間もなく巻き込まれた。

「やった。ジェイソンには避けられたけど、ギルガメッシュをやれたぞ」

「えぇ、これで後5人ね」

勝ったと確信する凛と菊。

だが次の瞬間、その考えは間違いだと実感する。

なんと〈ゲートオブバビロン〉から雄叫びを上げながらギルガメッシュが出て来た。

「自分自身を貯蔵してエクスカリバーを回避するなんて」

「クッ、これ以上エクスカリバーは撃てません、もう策がなくなった」

アルトリアの言葉にアゲハはチャンスと言わんばかりに、ジェイソンの手元ににガトリングガンを錬成し、アルトリアに向けて乱射させる。

それを援護する様にギルガメッシュは〈ゲートオブバビロン〉からマシンガンを取り出し、連射する。

菊はアルトリアの前にバリアを張り、銃弾を防ぐ。

するとキャスターが菊の背中にワルサーP38の銃口を向ける。

笑みを浮かべ、トリガーを弾く。

しかしセイバーが瞬時に反応し、銃弾を防ぐ。

そしてセイバーはキャスターに急接近し、剣を振り下ろす。

攻撃をワルサーP38とリボルバーをクロスさせて防ぐ。

すぐに弾き返し、キャスターはワルサーP38の銃口をセイバーに向け、さらにリボルバーのハンマーを下ろす。

だが接近戦において銃よりも剣の方が強い。

セイバーは剣を振るう。

しかし剣が触れる直前に霊体になられてしまい、逃げられた。

それに舌打ちしつつ、カーミラからエリザベートに入れ替わる。

ターゲットをジェイソンに切り替え、加速する。

ガトリングガンが弾切れになり、その場に捨てるジェイソン。

それを見たアルトリアはその隙をついて〈エクスカリバー〉を構えながら、ジェイソンに襲いかかる。

「セイバーーーーー!」

叫びを上げたギルガメッシュがアルトリアの攻撃を〈エア〉で邪魔をする。

それを見たアゲハは魔力がそろそろ切れそうなので、ジェイソンを霊体化させ、撤退する。

「待って!」

アルトリアは叫び、セイバーが追跡しようとする。

「よせセイバー、単独行動は危険だし、なにより罠かもしれない」

「なによ、マスターはジェイソンのマスターを倒したくないの」

「そう言う事を言ってるんじゃない、俺が言いたいのはセイバーが心配だって事だよ」

「本当にマスターは心配性ねぇ、まあ良いわ、言う事を聞いてあげる」

「ありがとう、セイバー、まずはギルガメッシュを倒そう、できるだけ強いのは排除したい」

「オーケー、行くわよアルトリア、あいつを倒すわよ」

「えぇ、共に英雄王を倒しましょう」

アルトリアとセイバーは一斉にギルガメッシュに襲いかかる。

『戻れバーサーカー、いくらお前でも2体の相手はきついだろう』

マスターであるキールのテレパシーを聞いてギルガメッシュは〈ゲートオブバビロン〉からバイクを取り出し、乗り込み、その場から退散した。

「逃げられた。と言うより見逃してくれたのかしら」

「そうでしょうね、今の私達ではギルガメッシュもジェイソンにも勝ってない」

「ならどうすれば良いんですか?」

「とりあえず分かった事、それはアルトリアのエクスカリバーでジェイソンを肉体残さず蹴散らす、ギルガメッシュは私、アルトリアで倒す、そう言う事でしょう」

セイバーの説明に菊と凛は納得する。

だが簡単にまとめられてアルトリアはため息を吐く。

「そんな簡単に言わないでください、エクスカリバーの解放は凛の魔力を持ってしても1発が限界、さらにギルガメッシュは強敵です、しかもバーサーカーになった事で武器を放つのではなく使う様になった。つまり20年前の第5次聖杯戦争よりも強くなっていると言うわけです」

「なによ、あなた勝ちたくないわけ?」

「おいおい、ケンカを吹っかけるなよ、ごめんなさいアルトリアさん、ウチのセイバーが失礼な事を言ってしまって」

「いえ、こちらこそ指揮を削ぐ様な事をすいませんでした」

お互い謝るところがシュールで凛は笑う。

「ハハハ、とりあえず敵もいなくなったし、私はホテルに行くわ、攻城君も気をつけて帰りなさい」

「分かりました。これからもよろしくお願いします」

凛とアルトリアはホテルへ、菊とセイバーは家に帰った。

 

一方その頃オーディンは服を軽装に着替え、コンビニに行って、ハンバーグ弁当を購入し、アパートに帰り、レンジでチン、座卓に弁当を置き、フタを開ける。

ハンバーグを箸で小さく切り、食べる。

「うまい、今の人類はこんなうまい物を安く食えるのか」

擬似サーヴァントと言うのは食事を摂らなくてもいいのだが、オーディンは人類の進化を体感するため、食事をする。

「だが食べたら歯磨きをしなければいけない、だがこれも人の文化だ、やるしかない」

歯磨きをしなければならない事を仕方なさそうに弁当を食べるのだった。

 


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