夜。
シールダーとギルガメッシュは教会でアルトリアとエリザベートを待っていた。
必ず自分達を倒すためにやって来る。
それを分かっていて礼装を装着し、ここで待つ。
「来ましたね」
「セイバーーーーーーーーーーー!」
叫びを上げるギルガメッシュと冷静さ保つシールダーの前にアルトリアとエリザベート。
そして菊【キク】と凛【リン】がこちらに向かって来る。
「さあ始めましょうか。鬼退治ならぬセイバー退治を」
「セイバーーーーーーーーーーー!」
シールダーとギルガメッシュが手を組んでいる事に必死さが伝わって来る。
「俺達はシールダーを倒します」
「じゃあ私達はギルガメッシュを。どこまでやれるか分からないけど」
「行くぞセイバー!」
「セイバー。勝って士郎君に豪華なご飯を作ってもらうわよ!」
2人の熱い言葉に2人のセイバーは首を縦に振る。
ギルガメッシュは〈ゲート・オブ・バビロン〉からアサルトライフルを取り出し、アルトリアに向けて乱射、しかし銃弾は簡単に躱されてしまう。
「無駄だ英雄王。私にその様な武器が通じると思うか」
「セイバーーーーーーーーーーー!」
アサルトライフルを貯蔵し、〈エア〉を取り出す。
「ヤァーーーーー!」
〈エクスカリバー〉と〈エア〉がぶつかり合い、火花が散る。
「セイバーーーーーーーーーーー!」
叫びを上げ、ギルガメッシュはアルトリアを吹き飛ばし、さらに追撃を仕掛ける。
(バーサーカーになった事でステータスが上昇している。だが)
アルトリアは魔力を攻撃に転換し、突風を引き起こす。
これによりギルガメッシュのマスクが破れ飛び、顔が露わになる。
「セイバーーーーーーーーーーー!」
所詮は真名を隠すための被り物。
そんな物は必要ないと言わんばかりに戦闘を続行した。
一方その頃菊とエリザベートはシールダーのあまりの耐久力に翻弄されていた。
「そんな剣撃では私には勝てませんよ」
「ただ防御してるだけじゃない。そのくせに随分余裕ね」
「私一応シールダーですから」
盾を構えるシールダーに、菊は策を練る。
(相手の隙を作る方法。そうか! 相手は女性。ならこの魔術しかない)
少し気は避けるがやるしかない。
シールダーに右手を向ける。
「スティール!」
その魔術によってシールダーの礼装が菊の手元に送られ、下着だけになる。
「キャー!」
あまりの恥ずかしさに悲鳴を上げるシールダー。
これはチャンスと言わんばかりに指示を出す。
「今だ! シールダーに宝具で畳み掛けろ!」
「オーケー!」
剣を地面に突き立て、持ち手に立つ。
すると後ろから大量のスピーカー付きの城が出現する。
それを見た菊と凛、アルトリアは耳栓を取り出し、耳に入れる。
「私の歌に酔いしれなさい。バートリ・エルジェーベト!」
美しい歌声がスピーカーに伝達され、爆音に変わる。
シールダーは盾を構えるが、爆音にそんな物が通じるわけがなく、さらにギルガメッシュも嘆きの叫びを上げる。
(今しかない)
〈エクスカリバー〉を振り被り、騎士王は力を解放する。
「エクス・・・・・」
ならばと英雄王は〈エア〉を振り被り、力を解放する。
「カリバーーーーー!!!!!」
「セイバーーーーー!!!!!」
ほぼ同時に振り降ろされる〈エクスカリバー〉と〈エア〉。
〈エア〉から放たれる〈エヌマ・エリシュ〉。
〈エクスカリバー〉から放たれる閃光。
この2つがぶつかれば災害以上の被害が出るだろう。
「ウオーーーーー!」
それでも倒したいと言う欲望がギルガメッシュにはある。
本気を出す事が負けだと慢心し戦い、そして第5次聖杯戦争で雑種如きに負けた。
だが今は慢心などない。
理性を失った時点で〈英雄王〉と言う肩書きなど有って無い物なのだから。
「ヤァーーーーー!」
すぐにこの戦いを終わらせ、聖杯を破壊したいと言う野望がアルトリアにはある。
悪に染まった聖杯で願いを叶えたところで最悪な結末を迎える。
それならいっそ消してしまえばいい。
もしこの対決に負ければ確実に凛、菊、エリザベートを巻き込んでしまう。
だが凛はアルトリアの事を信じている。
絶対に勝つと。
必ず勝つと。
アルトリアが放つ閃光が〈エヌマ・エリシュ〉を打ち消して行く。
「ウオーーーーー!」
ギルガメッシュは叫びを上げながら閃光に包まれる。
負ける。
この自分が負けるのか。
自分が恋した乙女に負けるのか。
爆音が鳴り響く教会前の庭と言う名の戦場で、黄金の鎧を着た王の成れの果ては消え去った。
これによって6体のサーヴァントの魔力が聖杯に満たされ、この場に現れる。
シールダーは聖杯を見て諦めた様に武器を地面に置く。
「降参です。セイバーのマスターさん。セイバーさん。そしてもう1人のセイバーのマスターさん。もう1人のセイバーさん。あなた達には聖杯を使う権利がある。願いを叶えるのも破壊するもご自由にどうぞ」
「あなたはそれで良いんですか?」
菊の質問に「フフ」と上品に笑う。
「私はただの監視役です。と言っても色々と邪魔をしてしまいました。深くお詫びします」
「いーえ。私こそ謝るところはたくさんあるからお互い様よ。さあセイバー。聖杯を破壊して」
「大丈夫なのですか? 顔が引きつってますよ」
「平気平気。とにかく、さっさと終わらせましょう。この戦いをね」
「分かりました」
アルトリアは〈エクスカリバー〉を振りかぶり、力を解放する。
「聖杯よ、2度とこの世に現れるな。エクス、カリバー!」
放たれる閃光が聖杯を破壊して行く。
禍々しい物が壊れる瞬間を菊は見届ける。
するとエリザベートが切なそうにこちらを見て。抱きしめて来る。
「おいおい、いきなりなん・・・・・」
「私、マスターとずっと居たい。死ぬまでずーっと」
「当たり前だろ。まさか俺が令呪を使って自害させると思ってたのか。ハハ、そんな事するわけないだろ。エリザベート」
「私を真名で呼んでくれるのね」
「まあ戦いも終わったしな」
優しい笑みを浮かべ、菊はエリザベートを見つめた。
その後菊は凛を駅まで見送り、家に帰った。
交代でお風呂に入り、菊の部屋で共に寝るのだった。
それから数日後。
キールはアメリカに戻ると、軍隊に戻り戦場に戻った。
だが武器を隠れて日本に密輸した事が噂になってしまっている。
凛は魔術行使としての仕事に復帰した。
衛宮亭に帰り、玄関を開ける。
「ただいまー」
「お帰り凛」
「子ども達は・・・もう寝ちゃったかぁ」
「ごはん作るから少し待っててくれ」
「よろしく頼むわね」
疲れた体にはやはりお風呂だと思い、ゆっくりと廊下を歩く。
自室に入り、バッグやコートなどの荷物をしまう。
その後廊下を通って、洗面所で服を脱ぎ、洗濯機に入れ、お風呂に入った。
菊はエリザベートとスマホで動画を観ている。
観ているのはアニソンメドレーだ。
最初は曲を最後まで聴けないのが不満だったエリザベートも、慣れると楽しそうにメドレーを聴いていた。
その光景が気に入らない義理の兄と義理の妹。
再婚相手の息子が聖杯戦争に勝ち、共に戦ったサーヴァントと仲良くしている。
2人にとってこんなにも嫌な事はない。
しかしそんな事を知られれば父にお叱りを受ける。
あいつが幸せになる事が許せない。
そんな感情が2人の顔を歪ませるのだった。