Fate/dark moon   作:ガトリングレックス

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第9章王の成れの果て

夜。

シールダーとギルガメッシュは教会でアルトリアとエリザベートを待っていた。

必ず自分達を倒すためにやって来る。

それを分かっていて礼装を装着し、ここで待つ。

「来ましたね」

「セイバーーーーーーーーーーー!」

叫びを上げるギルガメッシュと冷静さ保つシールダーの前にアルトリアとエリザベート。

そして菊【キク】と凛【リン】がこちらに向かって来る。

「さあ始めましょうか。鬼退治ならぬセイバー退治を」

「セイバーーーーーーーーーーー!」

シールダーとギルガメッシュが手を組んでいる事に必死さが伝わって来る。

「俺達はシールダーを倒します」

「じゃあ私達はギルガメッシュを。どこまでやれるか分からないけど」

「行くぞセイバー!」

「セイバー。勝って士郎君に豪華なご飯を作ってもらうわよ!」

2人の熱い言葉に2人のセイバーは首を縦に振る。

ギルガメッシュは〈ゲート・オブ・バビロン〉からアサルトライフルを取り出し、アルトリアに向けて乱射、しかし銃弾は簡単に躱されてしまう。

「無駄だ英雄王。私にその様な武器が通じると思うか」

「セイバーーーーーーーーーーー!」

アサルトライフルを貯蔵し、〈エア〉を取り出す。

「ヤァーーーーー!」

〈エクスカリバー〉と〈エア〉がぶつかり合い、火花が散る。

「セイバーーーーーーーーーーー!」

叫びを上げ、ギルガメッシュはアルトリアを吹き飛ばし、さらに追撃を仕掛ける。

(バーサーカーになった事でステータスが上昇している。だが)

アルトリアは魔力を攻撃に転換し、突風を引き起こす。

これによりギルガメッシュのマスクが破れ飛び、顔が露わになる。

「セイバーーーーーーーーーーー!」

所詮は真名を隠すための被り物。

そんな物は必要ないと言わんばかりに戦闘を続行した。

 

一方その頃菊とエリザベートはシールダーのあまりの耐久力に翻弄されていた。

「そんな剣撃では私には勝てませんよ」

「ただ防御してるだけじゃない。そのくせに随分余裕ね」

「私一応シールダーですから」

盾を構えるシールダーに、菊は策を練る。

(相手の隙を作る方法。そうか! 相手は女性。ならこの魔術しかない)

少し気は避けるがやるしかない。

シールダーに右手を向ける。

「スティール!」

その魔術によってシールダーの礼装が菊の手元に送られ、下着だけになる。

「キャー!」

あまりの恥ずかしさに悲鳴を上げるシールダー。

これはチャンスと言わんばかりに指示を出す。

「今だ! シールダーに宝具で畳み掛けろ!」

「オーケー!」

剣を地面に突き立て、持ち手に立つ。

すると後ろから大量のスピーカー付きの城が出現する。

それを見た菊と凛、アルトリアは耳栓を取り出し、耳に入れる。

「私の歌に酔いしれなさい。バートリ・エルジェーベト!」

美しい歌声がスピーカーに伝達され、爆音に変わる。

シールダーは盾を構えるが、爆音にそんな物が通じるわけがなく、さらにギルガメッシュも嘆きの叫びを上げる。

(今しかない)

〈エクスカリバー〉を振り被り、騎士王は力を解放する。

「エクス・・・・・」

ならばと英雄王は〈エア〉を振り被り、力を解放する。

「カリバーーーーー!!!!!」

「セイバーーーーー!!!!!」

ほぼ同時に振り降ろされる〈エクスカリバー〉と〈エア〉。

〈エア〉から放たれる〈エヌマ・エリシュ〉。

〈エクスカリバー〉から放たれる閃光。

この2つがぶつかれば災害以上の被害が出るだろう。

「ウオーーーーー!」

それでも倒したいと言う欲望がギルガメッシュにはある。

本気を出す事が負けだと慢心し戦い、そして第5次聖杯戦争で雑種如きに負けた。

だが今は慢心などない。

理性を失った時点で〈英雄王〉と言う肩書きなど有って無い物なのだから。

「ヤァーーーーー!」

すぐにこの戦いを終わらせ、聖杯を破壊したいと言う野望がアルトリアにはある。

悪に染まった聖杯で願いを叶えたところで最悪な結末を迎える。

それならいっそ消してしまえばいい。

もしこの対決に負ければ確実に凛、菊、エリザベートを巻き込んでしまう。

だが凛はアルトリアの事を信じている。

絶対に勝つと。

必ず勝つと。

アルトリアが放つ閃光が〈エヌマ・エリシュ〉を打ち消して行く。

「ウオーーーーー!」

ギルガメッシュは叫びを上げながら閃光に包まれる。

負ける。

この自分が負けるのか。

自分が恋した乙女に負けるのか。

爆音が鳴り響く教会前の庭と言う名の戦場で、黄金の鎧を着た王の成れの果ては消え去った。

これによって6体のサーヴァントの魔力が聖杯に満たされ、この場に現れる。

シールダーは聖杯を見て諦めた様に武器を地面に置く。

「降参です。セイバーのマスターさん。セイバーさん。そしてもう1人のセイバーのマスターさん。もう1人のセイバーさん。あなた達には聖杯を使う権利がある。願いを叶えるのも破壊するもご自由にどうぞ」

「あなたはそれで良いんですか?」

菊の質問に「フフ」と上品に笑う。

「私はただの監視役です。と言っても色々と邪魔をしてしまいました。深くお詫びします」

「いーえ。私こそ謝るところはたくさんあるからお互い様よ。さあセイバー。聖杯を破壊して」

「大丈夫なのですか? 顔が引きつってますよ」

「平気平気。とにかく、さっさと終わらせましょう。この戦いをね」

「分かりました」

アルトリアは〈エクスカリバー〉を振りかぶり、力を解放する。

「聖杯よ、2度とこの世に現れるな。エクス、カリバー!」

放たれる閃光が聖杯を破壊して行く。

禍々しい物が壊れる瞬間を菊は見届ける。

するとエリザベートが切なそうにこちらを見て。抱きしめて来る。

「おいおい、いきなりなん・・・・・」

「私、マスターとずっと居たい。死ぬまでずーっと」

「当たり前だろ。まさか俺が令呪を使って自害させると思ってたのか。ハハ、そんな事するわけないだろ。エリザベート」

「私を真名で呼んでくれるのね」

「まあ戦いも終わったしな」

優しい笑みを浮かべ、菊はエリザベートを見つめた。

 

その後菊は凛を駅まで見送り、家に帰った。

交代でお風呂に入り、菊の部屋で共に寝るのだった。

 

それから数日後。

キールはアメリカに戻ると、軍隊に戻り戦場に戻った。

だが武器を隠れて日本に密輸した事が噂になってしまっている。

 

凛は魔術行使としての仕事に復帰した。

衛宮亭に帰り、玄関を開ける。

「ただいまー」

「お帰り凛」

「子ども達は・・・もう寝ちゃったかぁ」

「ごはん作るから少し待っててくれ」

「よろしく頼むわね」

疲れた体にはやはりお風呂だと思い、ゆっくりと廊下を歩く。

自室に入り、バッグやコートなどの荷物をしまう。

その後廊下を通って、洗面所で服を脱ぎ、洗濯機に入れ、お風呂に入った。

 

菊はエリザベートとスマホで動画を観ている。

観ているのはアニソンメドレーだ。

最初は曲を最後まで聴けないのが不満だったエリザベートも、慣れると楽しそうにメドレーを聴いていた。

その光景が気に入らない義理の兄と義理の妹。

再婚相手の息子が聖杯戦争に勝ち、共に戦ったサーヴァントと仲良くしている。

2人にとってこんなにも嫌な事はない。

しかしそんな事を知られれば父にお叱りを受ける。

あいつが幸せになる事が許せない。

そんな感情が2人の顔を歪ませるのだった。


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