ダンジョンで安寧を求めるのは間違ってるだろうか   作:ステラ・グローリア

16 / 30
15話 迷宮混迷

私は狼である

 

名前は狼王ロボである

 

 

 

 

私達は今、絶賛全力で逃走中である

 

 

あの後、2班パーティーを発見と同時にティオナが芋虫型のモンスターへと斬りかかり、大双刃を胴体へと叩き込むとその傷口から体液が迸り、ティオナの髪の一部と大双刃の片方の剣身を溶かしたのを目撃し私達1班は2班と一緒に撤退を始めたのだった

 

1班のフィン達はカドモス討伐後、引き返す途中にあのモンスターと遭遇しあのモンスターの群れと出くわしティオナの様に武器を溶かされ逃走をしたそうだ

 

 

「群れって、あれ以外にも同じモンスターいるの!?」

 

「よく見ろっての!あのデケェ奴の後ろにアホみてぇに続いてんだろ!」

 

「うぇ~っ」

 

「団長達は、お怪我はありませんか?」

 

「僕達は問題ない。ただ、ラウルが不味い。あの攻撃の直撃を浴びた」

 

「早く治療してやらんと、こりゃいかんぞ!」

 

 

 

ティオネの問いにフィンとガレスが切羽詰まった声をだす

 

合流後に私の背に乗せたヒューマンの青年、ラウルは両手を力なく垂れ下げ時折、小さな掠れた声も落としている

 

身に纏う軽装ごと皮膚は溶かされ、更に黒がかった紫色に変色し今も煙と異臭を放っていた

 

 

「フィン、あのモンスターは倒せる?」

 

「攻撃自体には効果はある。けど、一撃に対して一つの武器を犠牲にしてだ。割りに合わな過ぎる」

 

「………」

 

「だが魔法ならその限りじゃない。この状況では難しいかもしれないけど、詠唱するだけの時間を何とか稼いで、群れを殲滅できるほどの強力な魔法を撃ち込めたなら……」

 

 

フィンの分析が終わるや否やその場の全員の視線がある人物、レフィーヤの元へと集まった

 

注目されているレフィーヤ本人は良く分かっていないのか顔をきょろきょろと左右に振っていた。

 

 

「ロボ!レフィーヤを乗せるんだ!レフィーヤは魔法の詠唱を!この局面は君にかかっている、急ぐんだ」

 

「……!分かりました!」

 

 

レフィーヤは与えられた役目に大きく頷き、速度を合わせて並走した私の背へと乗った

ラウルがいるからちょっと狭そうだけど多分大丈夫だろう

 

 

「っ!前からも来た!」

 

 

前方から押し寄せてくる黄緑の巨体

ティオナの警告と同時にフィンの指示が飛ぶ

 

 

「全員、右手の横道に入れ!」

 

 

唯一残された通路へと私達は入り込んだ

 

 

「よし、このまま通路に引き込んで一網打尽にする。レフィーヤ!」

 

 

「誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ」

 

 

決意を秘めた声が私の上から聞こえる

 

 

「帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢」

 

 

透き通るような玉音が進むにつれ、私達の足元、正確にはレフィーヤの足元に展開された魔法円が輝きを増していく

構築される何重もの円に、複雑な体系の紋様

立ち上がる山吹色の光が通路を照らす

 

 

「雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え」

 

 

最後の詠唱文を唱え、魔力が爆発的に強まった

 

 

「撃ちます!」

 

 

レフィーヤが叫ぶと同時に私は反転し首を下げレフィーヤの視界を広げる

目標を捉えたレフィーヤは、杖を構え魔法を行使した

 

 

「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」

 

 

夥しい火の雨が連発される

 

燃え上がる鏃型の魔力弾がモンスター目掛けて殺到し燃焼音と風切り音を轟かせながら敵に突き刺さり炎上する

 

数百数千にも及ぶ炎矢にモンスター達の絶叫も飲み込まれ瞬く間に炎の海が生まれた

 

 

「ほらっ、やっぱり通用するじゃん!一発だよ!一発!レフィーヤすごい!」

 

「ろ、ロボさんがいてくれたので、ありったけの精神力をつぎ込んじゃいました……」

 

「景気良すぎんだろ、リヴェリアと言いエルフどもはよぉ……あんまロボに迷惑掛けんじゃねぇぞ」

 

「よっと、今のうちにラウルの治療をしちまうかの」

 

 

ガレスが私の背からラウルを下ろし治療を始めるのをよそに敵を掃討したレフィーヤをティオナが誉めちぎる

 

 

「……ありがとう、レフィーヤ」

 

「ぁ……は、はい!」

 

 

すっかり感情の乏しくなった顔をアイズは確かに綻ばせた

 

向けられた小さな笑みとその言葉にレフィーヤは瞠目し、直ぐに感極まるように相好を崩した

 

 

「……」

 

「団長?どうしたんですか?」

 

 

火の粉が舞い上がる中で押し黙っているフィンにティオネが歩み寄る

 

 

「この通路に逃げ込む前……危うく挟撃されかけたあの時、モンスター達は前からやって来た。そしてあの道は、50階層に到達できるルートの筈だ」

 

「……まさか」

 

「ただの杞憂ならいいんだけど……そうも言ってられないか」

 

 

虫の知らせを感じているのか右手の親指を見下ろすフィン

 

どうもフィンは嫌な予感なんかを感じると右手の親指が疼くらしいけど私も嫌な感じがしている

きっとまだ何かあるはずだ

 

 

「ラウルの治療が済み次第、全速力でキャンプに戻る」




今回はここで切ります

本当は通路先のルームに入ってモンスターパーティーにあうようですけどレフィーヤにロボ騎乗状態で魔法を撃って欲しかったのでこうしてみました

レフィーヤはこの時、並列思考で魔法が行使できないらしいですから出来ないなら足を足してあげれば良いよね?的な感じでやってみました
どうですかね?


良かったらアンケートにもご回答下さいな?


あと2話くらいでベル君に会えると思います


では、また次回お会いしましょう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。