魔法少女リリカルなのは Stream   作:ふんわり

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やばい……あらすじの所の注意事項くっそ長くて自分でドン引き
序章無しでいきなり本編いきます。気が向いたら、そのうち三人称に編集し直すかもしれません(たぶんやらない)


第1話 歪

イリスさんとアミティエさん達の、切ないすれ違いの事件……無事にイリスさんもエルトリアに戻って、やっと今回の事件は一区切り。マリーさんとシャーリーがエルトリアの技術を解析してることを除けば、あとはもういつもの日常……私たちは、それぞれの日常に戻っていきました。

それからは目立った事件はほとんど無くて。学校に魔導師にてんてこ舞いになってるうちにあっという間に時間は流れて……今日はいよいよ入学式がありました。おめでたい式、皆笑顔で幸せそう。

でも、私は最近悩んでいます。最近じゃなくて、魔法を手にしたときからずっとかもしれないけれど、最近は特に心のモヤモヤが晴れません。これは、そんな中学一年生の時に起きた事件。辛くて、悲しい……私の迷いの物語。

 

 

 

表- 高町なのはの日常 -

 

入学式の後、アリサちゃん達にお茶に誘われてたんだけど、身体検査があったからまた今度ねってして……今は本局。少し長めの身体検査が、ちょうど終わったところ。

「はい、終わりですよ。結果も異常無し。お大事にどうぞ」

「ありがとうございました!」

イリスさんの事件で大怪我してから、私は定期検査を欠かしてない。今日の結果も異常無しだったから、これからちょっと練習でも……

「念のため言っておきますが……今日は安静にしていてくださいね?」

「にゃはは……ダメ、ですか?」

「ダメです。高町さんは体への負担が大きい魔法を使う上に、加減もしませんから。シュートコントロールも、魔力で体に負荷をかけるのも一切禁止します」

「はーい……ライト先生、ありがとうございました」

ちょっぴり怖い女医さんにバレちゃってたから、練習は無し。でもせっかくだから……マリーさんのところに顔を出しておこうかな?

そう考えて研究室まで向かっていると、偶然マリーさんとすれ違って。ちょっと疲れた顔で心配だから、「無理しないでくださいね」って声をかけたら「なのはちゃんには言われたくないなぁ」って言われちゃったから、まだオーバーワークなのかも。

「そう言えば……フォーミュラシステムとヴァリアントシステムの実践配備ってまだまだ先なんですよね?」

「今、まさにそれで難航しててね……ナノマシンに、大火力。それに加えて異世界の技術だから、研究するだけでも一苦労。今のところなのはちゃんの体の中のナノマシンだけが手がかりだから、研究自体にもストップかかりそうで……」

「そう、ですか……。実現可能なら、もっと大勢の人を助けられると思ったんですけど……難しいですね」

「一応、ストライクカノンとフォートレスの方はカートリッジシステムを応用するって方向なら、何とかなると思うんだけど……それならそうで稼働時間の問題もあるし、一般配備って意味だと燃費が開発費用と釣り合わないから……ごめんね、なのはちゃん」

「いえ、ありがとうございます。それじゃあ、お医者さんに絶対安静って言われちゃってるので。マリーさんもお大事にしてください」

マリーさんと別れてから、今度こそまっすぐ帰ってる途中で……ストライクカノンやフォートレスに思いを馳せる。

あの事件で私が使った武装……火力は出るけど、正直なところ課題も多かった。稼働時間、出力限界、重量。それと防御面にデバイス管理。片手で扱える重量じゃないから、魔法はレイジングハートにお任せの最低限くらい。武装の耐久を上げないと、長期戦闘とか一対多を想定した戦闘では正直お話にならない。でも可能性は感じるから、実践配備できればデータを取ってデバイスにも流用できたりすると思うけど……現実はそう簡単にはいかない。

不安定だから、レイジングハートからフォーミュラシステムは外してもらった。その代わりにちょこっと改良を加えてもらって、総合的な戦闘力は外す前には劣ってない。どちらかと言えば短期決戦よりも長期戦向けになったってだけの話。でも、きっと全然足りない、私自身もだし……やっぱり、局員全体が底上げされないと万が一には備えられない。

「武装隊だけど志望は戦技教導官だから、ここまで気にしなくていいのかもしれないけど……でも、今度こそ私が皆を守れるように準備しておかないと……」

転送ゲートを通って、家に帰ってる途中でもこんなことを考えてる。イリスさんの事件からずっとそう。私はあの時、思ってたよりも何もできなかった。あの時まではまだ小学生だからって見てもらえたかもしれないけど、それも悔しくて。十分だよって言われても、手が届かなかった所ばかりに目が行っちゃう。火力に火力で対抗して、技術には技術で対抗して。そうやって力を力で打倒するしかできないことが限界なのが悔しくて。

プレシアさんもリインフォースさんも、フェイトちゃんもはやてちゃんも。本当ならシュテルもレヴィちゃんもディアーチェちゃんも、その他の人もみんなみんな、私にもっと力があれば、私がもっと上手く対処できてれば悲しませなくても良かったかもしれない。私が力不足だったから、流れなくていい涙が流れちゃったのかもしれない。

そう思うのは傲慢だってわかってるけど、でも思わずにはいられない……力を持つからこその、責任……

「おかえり、なのは。検査、よくなかったのかい?」

考え事ばっかりしてたから、いつの間にか家に着いてるのにも気づいてなかった。玄関を開けてリビングに着いたところでお父さんから声をかけられて、やっと自分がどこにいるのか気づけたくらい。

「ただいま、お父さん……。検査の結果は異常なしで健康そのものだったんだけど……あの、ちょっと聞きたいことがあるの……」

「聞きたいこと?そうだな……さしずめ、強くなりたいのに上手くいかない。そもそも強くなっていいのかどうかも分からない……そんなところかな?」

「わかるの?」

「父親だからね……って言いたいところだけど、残念ながら武人としての勘だよ。なのはは守るために武器を手にした。でも、本来なら武器は相手を傷つけ、場合によっては殺すためのものだ。それを理解しているからこそ、小学四年生の頃からずっと悩んでいる……違うかい?」

お父さんの目は鋭い……ううん、目は全然鋭くないんだけど、心が鋭い。刃みたいに心臓を貫かれて見透かされるような……そんな感覚。隠そうと思っても何も隠せない。

「違わない……ねえ、お父さんは力ってなんだと思う?小学生でも色々あって、中学生ではどうなっちゃうのかな……私、これからどうしたらいいのか分からなくて」

「その答えは自分で見つけなくちゃいけないよ、なのは。確かになのははこの数年で急に大人にならなくちゃいけなかった。悩む暇なんてなかっただろう?だからこそ、新しい階段を上る前に考えなくちゃいけない。わかるね?」

「うん……」

お父さんのおかげで少しすっきりしたけど、でもやっばり解決なんてしない。魔法の道を進むって決めたけど、だからこそ……私はこれから自分の身の振り方を考えなくちゃいけない。

ごちゃごちゃした頭をすっきりさせたくて、明日の学校の準備とか色々する前に私はベッドに飛び込むことにした。

 

 

 

裏- クロノ・ハラオウンとユーノ・スクライアの密会 -

 

完全個室であらゆるネットワークを遮断した部屋。無限書庫の仕事をしながらクロノに頼んでいたことがあり、その結果をクロノが直接伝えに来た。こんな部屋まで用意して、予想はできているけど、いい知らせじゃない。

「なのはの調子はどうだい、クロノ」

「ああ……良くはない。マリーから聞いているかもしれないが、かなり焦っている」

「本人も気づいていないほど……ということだね?」

「ああ。おそらく、なのは本人の自覚以上の焦りがある。ストライクカノンにフォートレス、さらにヴァリアントシステムにフォーミュラシステムの実用化の提案……結果から言えば、上層部の怪しい動きに拍車をかけている」

1年と8ヶ月前に起こった事件。なのはが小学5年生の夏に起こった事件は、思ったよりもなのはに影響を与えていた。魔法を分解する技術に、質量兵器の危険性。どちらも苦戦させられたし、後者ではなのはは右手を欠損する重傷を負って死にかけた。それに対抗する手段として使ったのが、半分質量兵器の武装。魔法で足りない事実に、表面上には出さなかったけどなのはは苦しんでた。だから……研究チームにエルトリアの技術の解析やカレドヴルフ社製品の研究を依頼したんだと思う。

なのはにとっては必要なこと。でも、それが良しとされるかは別の話。なのはを魔法の道に連れ出したボクには、なのはの安全を保証する責任がある。

「なのはは今の立場的には権力はそれほど無い……でも、PT事件に闇の書事件、おまけに1年と8ヶ月前の事件となれば、話題性からの影響力は十分すぎる。それになのは自信は気づいてない。違うかい?」

「よく分かっているな、ユーノ。なのはのことが好きだからか?」

「からかうのはやめてくれ、クロノ。そうじゃない……ボクとなのはは、そういう関係じゃないんだ。お互い望んでもいない」

「まだ罪悪感を抱えていると?少々傲慢だと思うが」

「罪悪感……違うよ。責任感だ。ボクはあの時、ジュエルシードの封印でなのはを頼ってしまった。どうもあの時、大きすぎる事をしたように思ってる。何か世界の運命を変えるような……とは言わないけど、少なくとも人一人……いや、なのはの家族の運命は変えたような気がしてるんだ」

PT事件……なのはがいなかったらどうなっていただろう。もしもあの時、なのはが魔法に足を踏み入れなかったら……きっとなのはは翠屋の手伝いをしながら将来に頭を悩ませていただろうし、それこそ年相応に恋もしていたように思える。その代わり……フェイトやはやて達が笑顔でいられるなんてことはあり得なかったかもしれない。もちろんクロノの能力やアースラチームの力を低く見ている訳ではないけど、遥かに暗い事件になっていたことは、きっと間違いない。

それくらいに……きっとなのはは愛されている。魔法にはもちろん、世界そのものに……と言っている勢力があるって話は噂程度に聞いてる。でも、あながちそれが間違っているとは思えない。

「それを言い出したら、僕だってロッテ達の運命を変えた。誰にだってそういうことはある。もちろん、なのはにもだ」

「それは分かってるつもりだよ、クロノ。なのはのことなら、フェイト以上に理解してる自信はある。だからこそ……心配なんだ」

「なのはの異常性……そういうことだな?」

「そう。なのはは、この道に誘い込んだ張本人のボクが言うのもなんだけど、はっきり言って異常だ。魔法に愛され過ぎてる……良からぬことに利用されかねないくらいに」

そう、なのはは愛されている……というよりも、きっと望まれている。勝利をじゃなく、強くなることをでもなく、魔法に触れることを。そうでも思わない限りは説明なんてつかない。

「フェイトやはやても似たようなものに見えるが……そういうことじゃないんだろう?」

「ああ……まず、フェイトは小さい頃から訓練を積んでる。魔力の変換資質は天性だけど、実力は細かい努力の積み重ねだ……しかも長い時間をかけての。次にはやてだけど、もちろん夜天の書に選ばれたという異常性もあるけど……純粋な戦闘能力って事で言えば、夜天の書やリインフォースⅡのサポートの部分が大きい。もちろんそれも十分並外れた才能だけど、なのはとはベクトルが違う」

「なのはの特別な要素は、強いて言えば空間把握能力のみ。後は……感覚的な魔法操作か」

「ああ。確かにそこはなのはの能力として挙げられるけど、ボクが言いたいのはそこじゃない。戦闘センス、ってことだよ」

確か、なのはの実家は何らかの武術をやってるって話を聞いたことがあるから、その血が関係しているとも言えるかもしれない。でも、そうじゃない。限界を簡単に越えてみせる能力、文字通り死力を尽くすことができるという才能、そして……学習能力と戦闘での頭の回転の早さ。

運動が苦手ななのはが、空戦魔導師としては破格の能力。模擬戦や試合じゃなくて「戦闘」って場面なら、なのはを打倒することは難易度が高すぎる。

「フェイトのような幼少期からの訓練でも無ければ、守護騎士のような豊富な実践経験でもない。はやてのように融合管制機とツーマンセルということでもない。それにも関わらず、こと『戦闘』という面で言えば、その能力値があれほど突出しているのは間違いなく異常、だな」

「しかも、なのはは基本的にはミッドの遠距離タイプ。近接戦闘でベルカの騎士と互角以上に渡り合い、エルトリアの事件では『何回か見た』というだけで、ナノマシン操作……『アクセラレーター』を習得してる。第一、レイジングハートの支援ありとはいえ、魔法を使いはじめてすぐに砲撃を使えるのは信じられない。今ではディバインバスターを片手で扱うのなんて朝飯前だしね」

「おまけにユーノ、お前が発掘した制止作者不明、出自不明の高性能インテリジェントデバイス……レイジングハート。僕からすれば、そして一般論で言っても……あれも十分に信じられない物だ。でもそんなわからないことだらけだからこそ……プロパガンダにはちょうどいい」

「なのはが利用されるとでも言うのかい?」

それは……正直に言えば想定していなかった話じゃないし、実際に聞いていなくもない。だけど、ダメ元でクロノに疑問を投げ掛けて……その苦々しい表情から、悪い話でしか無いことはわかった。いや、元から分かっていたけど、現実を突きつけられた。

「わかってるだろ、ユーノ。今まさに、管理局内外問わず、そういう動きが出てきている。フェイトやはやても少しは対象になっているが、やはり圧倒的になのはだ。エルトリア事件でストライクカノンとフォートレスを使いこなして事件収集に導いたことも、一部の勢力を活気づけてしまう結果にもなった」

「質量兵器推進派……だね。あの2つは、かろえじてグレーライン……基本的には質量兵器と言っていい物なんだろ?」

「ああ。もっとも、その勢力は管理局への反抗勢力で、比較的対処も簡単だ。もっと面倒なのは上層部……それに、地上本部だ。未知の技術によって魔法を無力化されたところでの、カレドヴルフ社だ。局内のどこの勢力がいつなのはに手を出すか、正直に言って予断を許さない」

「地上本部からすると、なのはは是非とも欲しい逸材だっていうのは、書庫に籠りきりのボクでも想像できる。でも上層部って言葉を素直に捉えるなら……正直に言って想定を越えてたよ」

「だろうな。僕だってこんなことは想定していなかった。なのは本人の預かり知らぬ所でここまで事態が複雑化している。早く手を打たないと、最悪色々と手遅れになる」

手遅れ……なのは自身の安否もだけど、クロノが想定しているのは局事態の混迷と一般市民への被害範囲のことだろう。なのはは中学に入学して、これからまさに思春期。悩みにつけ込まれたら……想像なんてしたくない。無理かもしれないとは思っているけど、なのはにはなるべく平和に過ごしてほしい。

「そうか……ありがとう、クロノ。踏み込んではいけないところまで踏み込んだだろう?」

たぶん、ここまで深く調べるには想像以上の手間と危険があったはず。危ない橋の1つや2つは渡っているはずだ。

「いいさ。無限書庫には果てしないほど無茶振りをしているからな。手間賃の先払いだと思ってもらってくれ。あと、このキナ臭い動きは母さんだけじゃなく、はやて達にも共有するつもりだ」

「なのは本人にはどうするつもりだい?」

「言わない方がいいだろうな……少なくとも今は。ただでさえ焦りと迷いを抱えてる時に、わざわざ刺激もしたくない」

それにはボクも同意する。なるべくなのはは危険から遠ざけたい。只でさえ自然と危険に巻き込まれるタイプだから、日常に近いところでは安心して暮らしていてほしい。

「わかった。なら、なのはに伝わらないようボクも注意はしておくけど……権力的な根回しは引き続きお願いするよ。その代わり、クロノからの依頼は目立たない程度に優先的にやるからさ」

「分かっている。もしなのはに何かあったら、フェイトも悲しむからな」

「クロノもすっかりいいお兄ちゃんになったね」

「やめてくれ……さては、さっきのお返しか? 依頼はとびきり面倒なものを送るからな」

「ごめんごめん。謝るよ」

最後に軽い冗談を交わしながら、今日のところは解散になる。ボクは再び無限書庫の仕事に戻りながら……なのはに久し振りに連絡して、お祝いメールを送ることにした。

 

ちなみに、クロノからの依頼はいつもの5倍は面倒だった。

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