デート・ア・グリムノーツ   作:☆桜椛★

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第5話とか……めどい

夕日に染まった町を一望出来る丘の上にある公園に、何故か歯型があちこちにあるきなこパン型のクッションを抱いた十香と、カオス・アリスにウザがられたナンパ彼氏こと士道の2人がデートで訪れていた。

 

十香は公園から見える景色にはしゃいでいたが、それを自分が現れる度に壊してしまっていると思うと、笑顔を消して悲しげな表情を浮かべた。

 

 

「私はこの世界に現れる度に、こんな美しいものを……壊していた」

 

 

十香はゆっくりと士道に向き直ると、やはり自分はこの世界にいない方がいいなと悲しげな笑みを浮かべながらそう言った。それを聞いた士道は思いを爆発させ、「そんな事ない!」と力強く言った。

 

戻ってまたこの世界に来る時に“空間震”を起こしてしまうかも知れないなら、帰らずにこの世界にいればいい!

 

十香が知らない事が多過ぎるなら、俺がそれ等を教えてやればいい!

 

寝床や食べ物は俺がなんとかするし、予想外の事が起きたらその時考えればいい!

 

他の奴等が十香を否定するなら、俺はそれよりずっと強くお前を肯定する!そんな士道の言葉と思いを聞いて、十香はもしかしたら彼と一緒なら出来るんじゃないかと強く思い始めた。

 

 

「“握れ”。今はそれだけでいい!」

 

 

自身に差し出された手に、十香はゆっくりと手を伸ばした。士道ならば信頼出来る。士道と一緒ならば頑張れると思って。

そして、十香の手が士道の手に触れようとした。

 

その時……。

 

 

ダァァンッ!!

 

「十香ッ!!」

 

 

公園に1発の銃声が鳴り響き、十香は士道に突き飛ばされた。突き飛ばされた十香は何をするのだと士道に文句を言おうとしたが、体に大穴を開け、血を吹き出しながら倒れていく士道の姿を見て言葉を失った。

 

 

「………シドー?」

 

 

十香はゆっくりと立ち上がると、地面に倒れて血溜まりを広げている士道に歩み寄り、悲しげな表情で彼の名前を呼んだ。

だが、士道は返事を返すどころか、ピクリとも反応しなかった。理解したくなかったが、彼が死んでしまったと理解してしまった十香は自分が着ていたブレザーを脱ぐと、士道に被せた。

 

 

「……士道がいてくれたらもしかしたらと……凄く大変で難しくても、出来るかも知れないと思った。……でも、ダメだった。やはり、ダメだった!

 

 

世界は、私を否定した!!

 

 

十香はキッ!と夕日に染まる空を睨むと、自身の霊装の名を叫ぶ。

 

 

神威霊装・十番(アドナイ・メレク)〉!!

 

 

すると彼女の服装は士道の通う学校の制服から、紫色の鎧とドレスを混合させた様なものに変わっていた。霊装を纏った十香は、狙撃手がいるであろう場所を睨む。

そしてガツンと地面を強く踏むと、地面に亀裂が走り、そこから紫色の光と共に巨大な石の玉座…十香の天使が出現した。十香は玉座に飛び乗り、そこに納められている巨大な剣を抜いた。

 

 

鏖殺公(サンダルフォン)〉!!

 

 

十香はその剣…〈鏖殺公〉を持ったまま玉座を飛び降り、今度はその玉座を真っ二つに斬った。

斬られた玉座はガラスが砕けたかの様に破片を飛ばし、その破片は十香の持つ〈鏖殺公〉に集まって一体化し、〈最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)〉という名の更に巨大な剣となった。

 

 

「よくも…よくも…よくもよくもよくもよくもぉ!!」

 

 

十香は〈鏖殺公〉の切っ先を狙撃手がいるであろう場所に向け、怒りと殺気を込めて斬撃を放った。その斬撃の威力は凄まじく、軌道上にあった木や硬い岩や丘の一部を容易く斬り裂いた。

 

そして十香は剣を持ったまま空を飛び、狙撃手の下へ向かった。そこには地面に座り込んで動けずにいる白髪の少女がおり、近くにライフル銃が落ちている事から、十香は彼女が士道を撃ったと確信する。

 

 

「貴様だな?我が友を…我が親友を…士道を殺したのは…貴様だな?」

 

 

白髪の少女…鳶一(とびいち) 折紙(おりがみ)は何も答えなかったが、十香は彼女に今まで抱いたことがない程の怒りと殺気をぶつける。

 

 

「殺して殺して殺し尽くす……死んで死んで、死に尽くせ…ッ!!」

 

 

そう言うと十香は彼女に向けて先程の斬撃を連続で放った。斬撃は折紙を斬り裂く……と思われたが、バリアの様なもので弾かれてあらぬ方向へ飛んで行った。弾かれた斬撃は鉄塔、山の木々、街の建物、そして小さな公園を破壊していくが、十香は士道を殺された怒りでそんな事は気にせず斬撃を放ち続けた。

 

そんな斬撃の中、折紙は自分が士道を殺してしまった事にショックを受けて、動く事が出来なかった。

 

 

「うおぉぉぉおおおおおおお!!!」

 

ズガァァァアン!!

 

「カハッ!?」

 

 

十香が折紙を守るバリアの様なものごと〈鏖殺公〉を叩きつけた。流石に衝撃を防ぎ切る事は出来なかった様で、折紙は口から血を吐いて苦しげな表情になった。そしてとどめを刺すために再び〈鏖殺公〉を振り下ろそうとする十香を見て、折紙は諦めた様に目を閉じた。

 

 

(父さん……母さん……)

 

「シドー…今、仇を……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見ぃ〜つぅ〜けたッ!!」

 

「な!!?」

 

 

すると突然、どこからともなく十香の背後に1人の少女が現れ、片手に持ったステッキの様なもので十香を殴り付けた。それに気付いた十香は振り下ろそうとしていた〈鏖殺公〉でその攻撃を防ぎ、距離を取った。

 

 

「あら?結構強めにやったのに……防がれちゃったわ」

 

「貴様……何者だ?どこから現れた?」

 

 

十香は突然現れた少女に鋭い視線を向けて警戒する。紅い瞳に茶髪の三つ編みツインテールをしており、服装はピンクや白、水色が使われたフリルの付いたエプロンドレスの様なものを着ており、銀色のブーツを履いている。右目辺りに黒い翼の様な形のマスクを付けており、頭には動物の耳を思わせる飾りが付いた頭巾の様なものを被り、片手にはハートを象ったステッキを持っていた。

 

まるでテレビでやってる魔法少女的な服装の少女は、手に持ったステッキをバトンの様にクルクル回しながら名乗った。

 

 

「私?今の(・・)私はカオス・ドロシー!よろしくね♪」

 

 

 

 

 

 

うーん、やっぱりなんだか体や喋り方、性格まで全くの別人(・・)になるのって不思議な感じね。元のカオス・アリスの姿の時みたいにダルく思わないし、全ての事が面倒だとも全然感じないわ。

 

おっと!説明が遅れたわね。私は今、能力でカオス・ドロシーの姿になっているの。この能力はあの栞を〈アリス・アンダーテール〉に挟むと、好きなカオステラーの姿になって、そのカオステラーの能力を自由に使う事が出来るみたいなの♪

 

例えばさっきいきなりあの鎧…あれ?ドレスかな?まぁ兎に角あの剣を持った少女の背後に現れたのは、(カオス・ドロシー)が履いているこの銀の靴の魔法の力!この靴の踵を3回鳴らすと、世界中のどこへでもあっという間に連れてってくれるの♪まぁ鳴らす時に自分が行きたい場所を念じてないと変なとこに現れるらしいけどね。さっきは『あの斬撃を放ってる者の背後』って念じてたの。

だから移動した瞬間に私が持ってるこの魔杖…〈エンド・オブ・オズ〉を叩き込んであげたんだけど……思ったより簡単に防がれちゃったわ。

 

 

「カオス・ドロシーとやら!貴様、何故私の邪魔をする!?」

 

 

うふふ♪何故貴女の邪魔をするですって?そんなの決まってるじゃない!

 

 

「貴女の斬撃の所為で妨害された安眠と、木っ端微塵になった私の食料とお菓子と寝床(公園)の恨みを晴らしに来たのよ!」

 

「………?」

 

 

……何よ?なんでそんな意味が分からないって顔してるのよ!あの斬撃を放ってる者の背後って念じて銀の靴が連れて来てくれたのは貴女の背後!だから犯人は貴女でしょう!

 

 

「貴様の食料や寝床を攻撃した覚えはない!邪魔をするな!」

 

「な、なんですって!?貴女が先に私の安眠を邪魔したんでしょう!人が寝てる時に斬撃をぶつけておいて、邪魔をするなとは何よ!」

 

 

もう許さない!だったら私も全力で貴女の邪魔をしてあげるわ!見た感じ理由は知らないけど、この子はそこで倒れてる白髪の少女を攻撃しようとしてるみたいね……だったらそれを全力で邪魔してあげる!

 

 

「さぁおいで!ヴィラン達!」

 

「「「「「クルルルゥ!!」」」」」

 

「ッ!?な、なんだこいつ等は!?」

 

 

私が〈エンド・オブ・オズ〉を掲げながらそう叫ぶと、私の周りに紫色の煙が立ち上って、その中から黒いウサギと小鬼を混ぜ合わせた様なモンスター達が現れた。

 

この子達はヴィランって言う【グリムノーツ】に出て来る敵モブ。私は能力でちょっと魔力を使うけど、このヴィラン達を生み出せるの。ヴィランにも色々種類があって、種類によって使う魔力のコストも変わるわ。今回生み出したのは1番コストが低いけど沢山生み出せるブギーヴィランって言う種類よ。

 

ホントは白髪の少女と一緒に銀の靴の魔法で逃げちゃえば楽で早いんだけど、それだけだと私の気が済まないわ!ボコボコにしてから銀の靴で逃げてやるわ!

 

 

「行くわよ!見せてあげる、魔法の力!」

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