デート・ア・グリムノーツ   作:☆桜椛★

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遅れてしまって申し訳ありません。仕事の方が忙しくてなかなか時間が取れませんでした。


第7話とか……めどい

「はぁ〜……ダルい……しんどい……お腹空いた」

 

 

翌朝、私は目が覚めてからずっと鳴りっぱなしでウザいお腹を押さえながら、新しい寝床の神社の拝殿の中でゴロゴロしていた。あの銃刀法違反精霊が私の家(公園)をお菓子や食べ物ごと壊さなかったら、今頃1人食っちゃ寝パーティーをしていたのに……ウザい。

 

 

「ムゥ……どうしよう?」

 

 

神社の賽銭箱の中身を貰っちゃおうって手もあるけど、ここの賽銭箱はキチンと鍵掛かってるし、鍵壊して取り出すのはダルいからやりたくない。仮にやったら警察とか来て絶対めんどい事になるだろうし。

 

はぁ…やっぱり働かないとダメかぁ。でもダルいしめどいから働きたくない。つーか住所も印鑑も何も無いから、履歴書すら書けないじゃん……めどい。

 

 

「……いっそ能力使っちゃおうかなぁ?」

 

 

他のカオステラーの能力……例えばカオス・アラジンの魔法のランプの力なら、一瞬で世界一のお金持ちになれるし、この町のど真ん中におっきなお城を建てさせる事だって出来る。他のカオステラーの能力でも魔法のランプ程ではないけど、今の問題くらいなら解決出来ると思う。

ただこれにもかなりめどい制限があるんだよね。なんかこの能力、変身したカオステラーの能力の使用度合いによって解除した時に感じる疲労感が変化するっぽい。

 

変身するだけならあんまり疲れないんだけど、そのカオステラーの能力…例えば銀の靴や魔法のランプなんかを使う回数が多かったり、規模とかが大きい程、解除した後に感じる疲労感が大きくなってくんだよね……ダルい。

 

あ〜あ、なんか疲れないで楽にお金がいっぱい手に入る方法とかないかなぁ?……まぁ、そんな方法があるならもうとっくにやってるけど。

 

 

「はぁ………あ、そうだ」

 

 

あれ(・・)なら上手く行けばあまり疲れず楽にお金が手に入らないかな?うん、ダルいけどこのままだと飢え死にしそうだし、やってみよう。

よし、それじゃあ先ずは………。

 

 

「箱とか何か入れるもの探さないと……はぁ、ダルい」

 

 

 

 

 

 

夕日に染まり始めた天宮市のとあるスーパーから、両手に食材やら日用品やらが入ったビニール袋を両手に持った士道が少々疲れた表情をしながら出て来た。

 

 

「ふぅ……結構ギリギリだったけど、なんとか買えてホントに良かったぁ〜」

 

 

士道は左手に持った袋の1番上に乗っている卵のパックを見ながら安堵した。

実はつい1時間程前…彼は義妹の琴里に「今日はオムライスが食べたいのだ!」とお願いされ、仕方なく作ろうとしていた夕飯メニューを変更してオムライスにする事になったのだが、偶々冷蔵庫の卵を切らせていた為、このスーパーに買いに来たのだ。

だが不運な事に今日は卵の特売日で、士道は半額になった卵を狙う奥様&おばちゃん軍団と戦い(笑)ながらなんとか卵をゲットしたのだ。つい昨日お腹に大きな風穴が開いたと言うのによくやるねホント。

 

 

「さて、早く帰って夕飯の支度しないと……ん?」

 

 

すると士道は少し離れた場所に凄い人集りが出来ているのを見つけた。来る時はあんな人集りはなかったので、彼がスーパーで奥様&おばちゃん軍団と格闘している間に出来たものだろう。

 

 

「なんだ?有名人でもいるのか?」

 

 

ちょっとだけ気になった士道は、その人集りの方に近付いて行った。近くまで来るとその人集りは子供からお年寄りまで含まれており、皆が皆同じ方向を見ながら歓声を上げていた。

 

 

「いいぞ〜嬢ちゃん!もう一曲だけ歌ってくれ!」

 

「もう1回お姉ちゃんのお歌聞かせて〜!」

 

「アンコール!アンコールじゃ!」

 

「な、なんだコレ?ホントに有名人でもいるのか?」

 

 

まるで超有名アイドルを前にした熱烈なファン達の様な人集りに驚いた士道は、いったいどんな人物がいるのだろうと興味が湧いて皆の視線が集まる方向を見る。

 

そこには1人の美しい少女がいた。絹糸の様な薄紫色の長い髪をツインテールにしており、腰辺りにヒラヒラとしたベールの様な装飾が施された紫色を基調とした神秘的なドレスを身に纏っており、頭には魚のヒレの様な形の飾りが付いたカチューシャ、左手には様々な色のキラキラと輝く宝石が埋め込まれた杖の様なものを持っている。

 

その姿はまるで、海の底のお姫様を思わせた。

 

 

「みんさ〜〜ん!私の歌をここまで聞いてくれてありがと〜〜!!」

 

「「「「「ワァァァァァァァァァ!!」」」」」

 

 

心が安らぐ様な美しい声が彼女の口から発せられ、彼女の声を聞いて集まった人々は皆歓声を上げた。少女はその歓声を聞くと嬉しそうに頷き、士道も一瞬ドキッとする程の笑顔を浮かべた。

 

 

「ふふふ♪初めての路上ライブだったけど、こんなに沢山の人達が私の歌を聞いてくれて、とっても嬉しいわ♪」

 

「「「「「イエェェェェェェイ!!」」」」」

 

 

少女の側にはちょっとボロボロではあるが、沢山のお金が入った箱が置かれていた。ただでさえ既に何枚か万札が入っているのに、少女の笑顔を見た人々は更に小銭などを箱に入れて行った。

 

 

「それじゃあ、ちょっと残念だけど次が最後の歌!では聞いてください!ラストナンバー!“輝きに手を伸ばすなら”!」

 

「「「「「ウオォォォォォォォォ!!」」」」」

 

 

再び凄まじい歓声が上がり、少女が歌い出した。その歌声は一瞬で人々を虜にした。子供達は楽しそうに歌う少女をキラキラした目で見つめ、大人達はうっとりとその歌声に耳を傾け、老人達はそっと目を閉じてその歌声に集中する。誰もが羨む様なその美しい歌声に、士道もさっきまで感じていた疲れもすっかり忘れてその歌に聞き入った。

そしてしばらくその祝福の時間は続き、やがてその魔法の様な歌は終わりを迎えた。

 

 

「〜〜〜♪……ありがとうございました〜!」

 

「「「「「ワァァァァァァァァァ!!!」」」」」

 

 

歌が終わると同時に、今まで以上の歓声が上がり、彼女の側にある箱に更にお金が投げ込まれる。士道も気付けば皆と一緒に歓声を上げ、自身の財布の中にあった500円玉を箱目掛けて投げていた。

だがその場にいる全員は後悔はしていない。それ程までに彼女の歌は素晴らしく、何より心が癒されたからだ。

 

 

「ありがとう♪ありがとう♪残念だけど今日はこれでお終い!またいつか会えるのを楽しみにしてるよ☆」

 

 

少女はそう言うと、お金でいっぱいになった箱を抱え、自身の歌を聞いてくれた人達に手を振りながらその場を去って行った。彼女の歌を聞いていた人々は皆拍手で彼女を見送り、姿が見えなくなると解散して行った。

 

 

「凄い人だったなぁ……あんないい歌は聞いた事がない」

 

 

士道は家に向かって歩きながら先程聞いた少女の路上ライブを思い出しながらそう呟いた。今回は楽器などの演奏は無かったが、もしあったら間違いなく先程以上に素晴らしいライブになっただろうと士道は確信する。

 

 

「今度は琴里や十香達も一緒に聴けるといいな」

 

 

士道は2人も絶対に彼女の歌を気に入るだろうなと思いながら家に帰って行った。

 

 

 

 

 

 

「ふん♪ふん♪ふ〜ん♪……思ったより沢山集まったわねぇ〜♪流石は海の魔女も羨む人魚姫の歌声!」

 

 

私は神社の拝殿の中で鼻歌を歌いながらさっきの路上ライブで稼いだお金を数えているの。側にはさっきライブの帰りにあったコンビニで買った大量のジュースとお菓子やケーキがぎっしり詰まった袋が複数置かれてるわ。

 

もう分かってるかも知らないけど、今の私は〈混沌の栞〉を使ってカオス・人魚姫の姿になっているわ。私が思い付いたあまり疲れず楽にお金を稼ぐ方法は、この姿(カオス・人魚姫)になって路上ライブをするってものだったの。

 

正直、人前で歌を歌うなんてあまりやった事無かったから凄く不安だったけど、カオス・人魚姫になった瞬間頭の中に歌の知識が入って来たから問題無かったわ。それにカオス・人魚姫になったからか分からないけど、私の歌を聞いて喜んでくれる人達を見るのは気分が良かったわ。

……まぁ、帰り道に私の歌を聞いた人が「アイドルになりませんか?」ってスカウトして来るとは思わなかったけどね。

 

 

「え〜っと……合計12万8750円!凄いわ!これでしばらくは何もしなくても過ごして行けるわね♪あ、そろそろ元の姿に戻らないと…余計な疲れを感じたくないし」

 

 

私は〈アリス・アンダーテール〉を出現させると、挟まれている〈混沌の栞〉を取った。そしたら私の体を紫色の煙が包んで、煙が晴れると少し気怠い感じと疲れを感じながら元のカオス・アリスの姿に戻った。

ちょーダルいけど、カオス・人魚姫の歌声は能力的なヤツじゃないから、カオス・ドロシーの時よりかは疲れてない。けど、やっぱり少し疲れる……めどい。

 

 

「ふぁ〜……眠い……しんどい……お腹空いた。もうお菓子とか食べてお腹いっぱいになったら寝よ……ダルい」

 

 

私はめどいけどお菓子が入った袋からジュースとお菓子を取り出す。そしてゴロゴロ寝転びながらそれ等を食べてそのまま寝る。そしてまたお腹が空いて目が覚めたら食べてまた寝る。

おぉ……これぞ夢の食っちゃ寝パーティー。ちょっとだけ夢が叶った……最高……ぐぅ……。

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