ゼロの使い魔 -KING OF VAMPIRE-   作:歌音

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第11話/Break the Chain -Quartetto!魔のスクウェア!-

 

フーケの襲撃から、調査などに時間を使い、一夜明けたトリステイン魔法学院では大騒ぎになっていた。

 

秘宝である『鋼の鞭剣』が盗まれたからだ。

 

「それで、犯行現場を見ていたのは誰だね?」

 

「この3人です」

 

オスマンのコルベールが自分の後ろに控えていた4人と1匹を指差した。

 

ルイズ・キュルケ・タバサの3人だ。

 

(むっ…)

 

渡とキバットも傍にいたが、使い魔なので数には入っていない。

 

それに対して3人は少しだけムカッときた。

 

「ふむ…君達か」

 

オスマンは興味深そうに渡とキバットを見つめた。

 

「詳しく説明したまえ」

 

ルイズが進み出て、説明を始める。

 

「あの、私達が中庭で話をしていると、大きな破壊音が聞こえてきました。音のする方に駆けつけてみると大きなゴーレムが宝物庫の壁を殴りつけていたんです。私達は何とかくい止めようとして、使い魔がゴーレムを倒すことには成功しました。ですが、その、あまりにもちょっと派手にゴーレムを破壊した隙に犯人は逃げ出したみたいです」

 

(ちょっとやりすぎたね)

 

(そうだな~)

 

ドッガハンマーでゴーレムを破壊している時、強烈な破壊音と雷鳴の轟き、しかもゴーレムの瓦礫が落ちる音で犯人の足取りを完璧に見失ってしまった。

 

「ふむ…」

 

オスマンは髭を撫でた。

 

「後を追おうにも、手がかり無しというわけか…」

 

それから、オスマンは、気付いたようにコルベールに尋ねた。

 

「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」

 

「それがその…朝から姿が見えませんで」

 

「この非常時に、何処に行ったのじゃ?」

 

「どこなんでしょう?」

 

そんな風に噂していると、ロングビルが現れた。

 

「ミス・ロングビル!何処に行っていたんですか!?大変ですぞ!事件ですぞ!」

 

コルベールが興奮してまくし立てているが、ロングビルは落ち着いた態度だ。

 

「申し訳ありません。朝から、急いで調査をしておりましたの」

 

「調査?」

 

「そうですわ。昨日から大騒ぎじゃありませんか。宝物庫の壁にフーケのサインを見つけたので、これが国中を震え上がらせている大怪盗の仕業と知り、すぐに調査をいたしました」

 

「仕事が早いの。ミス・ロングビル」

 

そして、コルベールが慌てた調子で促した。

 

「で、結果は?」

 

「はい。フーケの居所が分かりました」

 

「な、なんですと!?」

 

コルベールは素っ頓狂な声を上げた。

 

「誰に聞いたんじゃね?ミス・ロングビル」

 

「はい。近在の農民に聞き込んだところ、近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。おそらく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」

 

「黒ずくめのローブ?ああ、それならそのフーケって奴だな。黒いローブ着てたし」

 

一番最初にキバットゴーレムの肩に乗っていたフーケを見つけたキバットが言う。

 

オスマンは目を鋭くして、ロングビルに尋ねた。

 

「そこは、近いのかね?」

 

「はい。徒歩で半日。馬で4時間といったところでしょうか」

 

「すぐに王室に報告しましょう!王室衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」

 

コルベールが叫んだ。

 

だが、オスマンは首を振ると怒鳴った。

 

「馬鹿者!!王室なんぞに知らせている間にフーケは逃げてしまうわ!その上、身にかかる火の粉を己で振り払えぬようで、何が貴族じゃ!魔法学院の宝が盗まれた!これは、魔法学院の問題じゃ!当然我らで解決する!」

 

オスマンのいう事ももっともでコルベールは黙ってしまう。

 

「では、捜索隊を編成する。我と思うものは、杖を掲げよ」

 

しかし、誰も杖を掲げようとはしない。

 

「おらんのか?おや?どうした!フーケを捕まえて、名を上げようと思う貴族はおらんのか!?」

 

オスマンは更に言うが、誰も杖を掲げない。

 

すると、そんな中、一人が杖を掲げた。それは…

 

「ミス・ヴァリエール! 何をしているのです! 君は生徒ではありませんか! ここは教師に任せて…」

 

杖を上げたのはルイズだった。

 

コルベールがルイズを説得しようとしていると、また一人杖を掲げた。

 

「ミス・ツェルプストー! 君まで!」

 

「ヴァリエールには負けられませんわ」

 

(名誉も、恋もね)

 

そして、キュルケが杖を掲げるのを見て、タバサも掲げた。

 

「二人が心配…それと、ワタルへのお詫び」

 

そのタバサの言葉に、キュルケは感動した面持ちで、タバサを見つめた。

 

「ありがとう…」

 

ルイズも唇をかみ締めて、礼の言葉をタバサに言った。

 

その様子をオスマン氏は笑いながら、3人を見ていた。

 

「では、頼むとしようかの。彼女達は、フーケの目撃者である」

 

オスマン氏は、部屋にいる全員に言うように言った。

 

「その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士でもある」

 

それを聞いた教師たちは、返事をせずに立っているだけのタバサに驚きの視線を送る。

 

「本当なの?タバサ」

 

どうやらキュルケも知らなかったらしく、驚いている。

 

『シュヴァリエ』は王室から与えられる爵位の中でも最下級の称号である。

 

しかし、男爵や子爵の爵位ならば、領地を買うことで手に入れることもできるが、『シュヴァリエ』は純粋に業績に対してのみ与えられる爵位、つまり実力の称号なのである。

 

それ故に、タバサの年でそれを与えられるというのが驚きなのである。

 

「ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、彼女自身の炎の魔法も、かなり強力と聞いておるが?」

 

キュルケは得意げに、髪をかきあげる。

 

「そして…」

 

最後にルイズのことを言おうとするが、こほん、と咳をすると、オスマン氏は目を逸らした。

 

「その…ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを排出したヴァリエール侯爵家の息女で、その…うむ…なんだ、将来有望な」

 

オスマン氏は滝のように汗を流しながら、褒めるところを探しているようであり、ルイズの方を見ようとしないでいる。

 

そこでチラッと渡を見て、

 

「おぉそうであった。その使い魔は、平民ながらあのグラモン元帥の息子である、ギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったと聞いておるぞ」

 

突然指されて渡は驚く。ルイズは少し唇をかみ締める。

 

「そうでした!彼は伝説のキ…」

 

コルベールは、慌てて自分の口を押さえた。一通り、言い終えるとオスマン氏は、4人に向き直った。

 

「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」

 

ルイズにキュルケ、タバサは真顔になって直立する。『杖にかけて!』と同時に唱和した。

 

 

 

フーケ捜索に当たって馬車を用意してもらった渡達4人は、オスマン氏に命じられ、案内役としてミス・ロングビルを加えて、直ぐにフーケを追い、森に向かって出発した。

 

「それにしても、そのフーケさんって人は何を盗んだの?」

 

「そうそう、そういえば俺と渡は聞いてないな」

 

「そういえば、どんな宝物を盗んだのかしら」

 

「何でも『鋼の鞭剣』といわれるマジックアイテムだそうです」

 

馬車の手綱を握っているミス・ロングビルが会話に混ざってきた

 

「なんでも一振りで様々なモノを薙ぎ払える特殊なモノだそうです」

 

「へぇ」

 

「ったく…何が悲しくて、泥棒退治なんか…」

 

ぼやき始めたキュルケをルイズが睨んだ。

 

「だったら来なきゃよかったでしょ」

 

「あんた1人じゃ、ダーリンが危険じゃないの」

 

キュルケは立ち上がると渡の横に座り、体をくっつける。

 

「どうしてよ?」

 

「いざ、あの大きなゴーレムがまた現れたら、あんたはどうせ逃げ出して後ろから見ているだけでしょう?ダーリンを戦わせて自分は高みの見物。そうでしょう?」

 

その言葉にルイズは衝撃を受けるが、

 

「誰が逃げるもんですか。私の魔法でなんとかしてみせるわ」

 

何とかいつもの勝気な台詞をだす。

 

「魔法?誰が?笑わせないで!ゼロのルイズ」

 

二人が口喧嘩を始めると渡とキバットは逃げるように席を立ち、最初にキュルケが座って場所に移った。

 

隣には、タバサが座っている。

 

渡が来ると本から顔を上げて渡を見ている。

 

「ねぇ、なんの本を読んでるのタバサちゃん?」

 

「…古い物語…『黒い勇者』」

 

「『黒い勇者』?」

 

「そう、昔、始祖ブリミルと共に『魔皇キバ』を倒して消えた勇者」

 

「へぇ~、この世界にもキバがいるのは本当なんだねキバット」

 

「おお」

 

「…この世界?」

 

「あ、いや、僕も『キバ』なんだ」

 

「?」

 

「僕も変身するでしょ。あれが『キバ』」

 

「…うそつき」

 

「ええ!?嘘じゃないよ!」

 

「あなたは…優しい」

 

タバサは少し顔を赤くして、そっぽ向く。

 

「だから、魔皇なんかじゃない」

 

渡もその言葉には少し驚いた。

 

「………」

 

タバサは横目で渡の表情を驚く。渡がとても悲しそうな顔をしていたからだ。

 

渡はタバサの頭に手を置いて

 

「…ありがとう」

 

その声は、自分を責め続けている者の声だった。

 

 

 

そんなことを考えながらいると、どうやら目的の森に着いたらしく、馬車が止まった。

 

ミス・ロングビルの提案で森に着くと、馬車を折り、フーケが潜んでいるという廃屋に徒歩で向かうことになった。

 

森は思っていたよりも広かったが、昼間だというのに薄暗く、気味の悪い場所だった。

 

森の奥に進んでいくと、しばらく進むと開けた場所に出て、目的の廃屋を見つけた。

 

「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」

 

ミス・ロングビルは廃屋を指差しながらそう言った。

 

5人と一匹は小屋の中から見えないように、森の茂みに隠れたまま廃屋を見つめ、相談を始めた。

 

ルイズ達が相談した結果、最初に偵察兼囮役が小屋の傍に赴き、中の様子を確認する。

 

次に、中にフーケがいれば、何かして外に誘き出す。小屋の中では、ゴーレムを作り出すほどの土が無いので、乗ってくる筈との事である。

 

そして、フーケが外に出たら、魔法で一気に攻撃し、ゴーレムを作り出す暇を与えず、集中砲火でフーケを静めるという。

 

ちなみに、偵察兼囮役は渡に確定している。

 

「じゃあ、いくよ。キバット」

 

「おう!ガブッ!」

 

渡はキバに変身する。キバは警戒しながら小屋に近づいて中を覗うが、

 

「誰もいないよ」

 

それを聞くと、次に、タバサがドアに向けて杖を振った。

 

「ワナはないみたい」

 

そう呟いて、タバサはドアを開け、中に入っていった。

 

キバとキュルケはその後に続き、ルイズは外で見張りをするといって、ドアの所に残った。

 

ロングビルは辺りを偵察してきますと言って、森の中に消えた。

 

小屋に入ったキバたちは、フーケの残した手がかりがないか調べ始めた。

 

しかし、中は埃が溜まっていて、短期間だとしても人が隠れていたような気配はまるでない。

 

「こりゃあガセネタっぽい「あった」…は?」

 

タバサが呟いた。

 

「鋼の鞭剣」

 

タバサはそれを無造作に持ち、キバ達に見せる。

 

「あっけないわね!」

 

キュルケが叫んだ。

 

キバとキバットは『鋼の鞭剣』を見て、目を丸くした

 

「ねぇ、キバット。これ確か…」

 

「ああ、バカ狼ならちゃんと確認できるかな」

 

「後で次狼さんに聞いてみよう」

 

ちょうどその時、

 

「きゃぁああああああ!」

 

外で見張りをしているルイズの悲鳴が聞こえた。

 

「ルイズちゃん!」

 

ドアの方を振り向いた時、突然小屋の屋根が吹き飛んだ。

 

屋根がなくなった所為で、そこに昨日キバが破壊したフーケの巨大ゴーレムが見えた。

 

「ゴーレム!」

 

キュルケは大声で叫ぶ。

 

タバサすぐに反応すると、自分の身長より大きな杖を振るい、呪文を唱えた。

 

すると、杖の先から巨大な竜巻が舞い上がり、ゴーレムにぶつかるが、びくともしない。

 

今度は、キュルケが胸にさした杖を引き抜き、呪文を唱える。

 

杖から炎が伸び、ゴーレムを火炎に包むが、ゴーレムにはまったくの無意味のようだった。

 

キバも飛び上がって、何度かパンチとキックで破壊を試みるが、すぐに再生する。

 

「無理よこんなの!」

 

「キュルケちゃん、タバサちゃん!逃げよう!」

 

「昨日みたいにやっつけないの?」

 

「あれで壊すと瓦礫が落ちてくる!渡もそこんとこわかってるからできないんだ!」

 

「わかった。退却」

 

タバサはそう言うと指笛を鳴らし、使い魔のシルフィードを呼んだ。

 

キバはの姿を探す。すると、ゴーレムの背後でルーンを呟き、ゴーレムに杖を振りかざすルイズの姿を見つけた。

 

ルイズが杖を振りかざすと、ゴーレムの表面で、何かが弾け、ゴーレムがルイズに気づき振り向いた。

 

「ルイズちゃん!」

 

キバはルイズの元に走る。

 

ゴーレムはルイズを敵と認識すると、踏み潰そうと巨大な足を持ち上げた。

 

ルイズが、それに反応して杖を振りかざすが、呪文の詠唱が間に合わない。

 

「アァァァァァァァッ!」

 

キバは力の限りは知り、ルイズを抱えて、飛び下がり、何とかゴーレムの足を交わした。

 

「ちぃ、なにやってるんだ!このペタンコ!!」

 

「………」

 

「大丈夫?ルイズちゃん…でも、なんで逃げなかったの」

 

キバットだけではなく、いつも優しい声をかけるキバも真剣な声をかける。

 

「……あんたの言ってることくらい、私だって分かってるわよ。魔法の使えない貴族。最初っから、私にできることなんてなかったの」

 

「だったら!」

 

「…私は貴族よ。魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ。敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」

 

「でも!…でも!」

 

キバの声が震えている。

 

「死んじゃったら!何もならないんだよ!」

 

(あっ…)

 

ルイズは胸が痛む。

 

「死んじゃったら笑えない!大事な人と話すこともできない!死んだら…君がいなくなるんだよ!」

 

(私が…ワタルを泣かせちゃったんだ…)

 

ただでさえ泣いている人を、さらに泣かしてしまった。でも…

 

「…フーケを捕まえれば、誰ももう、私をゼロのルイズとは呼ばないでしょ…」

 

ルイズは杖をグッと握り締めながら言った。

 

「だって…だって私、魔法が使えないの…私だって貴族なの。いつもゼロのルイズって言われて…バカにされて…悔しくて…それに…」

 

ルイズの声に涙声が混ざってくる。

 

「今の…今の私じゃ、いつも泣いているあんたを涙すら…拭く事ができない…これで、誇りまでなくしたら…あんたのご主人様でいる資格すらない…本当に…『ゼロ』になっちゃう…」

 

泣き出しそうなルイズを余所に起き上がったゴーレムが、今度は振り上げた拳を振り下ろしてきた。が、

 

ブァァァァァッ!ドゴンッ!

 

キバの体からとてつもない魔皇力が放たれる。ゴーレムは魔皇力の衝撃でゴーレムは倒れる。

 

「大丈夫」

 

キバは渡に戻る。

 

「ルイズちゃん。君はとても強い『音楽(こころ)』を持っている。君は、『ゼロ』なんかじゃない」

 

渡はルイズを優しく抱きしめる。

 

小さな体に大きな誇り。そして苦悩しながらも前を歩く音楽(こころ)

 

(なんて美しいんだろう…)

 

渡は心の底からそう思う。自分なんかとは比べ物にならない…

 

「君は強くなる。僕なんかより遥かに強く…だから、その時まで…」

 

渡はルイズに背を向け、ゴーレムと相対する。

 

「僕が君を守り抜く!」

 

「おう!ガブッ!」

 

「変身!」

 

渡は再びキバに変身する。

 

キバはフエスロットルからフエッスルを…3つ抜き取る。

 

「わ、渡!?あれで行くのか!」

 

「うん。砂粒一つ、僕のご主人様に当たらせない」

 

「ふっ。いいぜ!こんな熱い渡は久しぶりだ!俺もキバっていくぜ!」

 

キバットは一つ目の笛を咥える。

 

「『GARULU SABER』!」

 

『♪~♪~♪♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッスルドラン内…どのカードを捨てようか迷っていた次狼が音色の聴こえた方へ顔を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

次に二つ目、

 

「さらに!『BASSHAA MAGNUM』!」

 

『♪~♪~♪~』

 

 

 

 

 

 

 

 

二つ目に自分の音色が奏でられ、ラモンはカードから目を外す。

 

 

 

 

 

 

そして最後に、

 

「そして!『DOGGA HAMMER』!」

 

『♪~♪~♪~♪~』

 

 

 

 

 

 

 

決め手のストレートを二人に見せた瞬間に奏でられた音色に力も振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

魔性の音を奏でる三つの笛の音色はルイズの耳に力強く残った。

 

 

 

三つの音色を聞いて、3人はトランプの手札を止める。飲み物の準備をしていたシエスタの腕も止まっている。

 

「…いくか」

 

「うん」

 

「ふぅぅぅぅ…」

 

3人はそれぞれの手札をテーブルの上に叩きつけ、立ち上がる。

 

シエスタも3人の後ろにつき、

 

「皆様、いってらっしゃいませ。どうか、我等の優しき主人をお守りください」

 

次狼は床を引っかき、体を蒼い炎に包み、吠える。

 

ラモンは陽気なポーズをとって笑う。

 

力は頭を抱えて叫び、体を稲妻で迸らせた。

 

 

 

そして、三つの彫像は王の下へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

三つの彫像がキバの下へやってきた。彫像はそれぞれキバに吸収される。

 

ガルルは左腕に。バッシャーは右腕に。ドッガは胸に。

 

キバの両手に鎖(カテナ)が巻きついていく。以前のように弾け飛んだ後、現れたのはアンシンメトリーの両手。

 

左腕はガルルシールド。右腕はバッシャースケイル。

 

次に胸に鎖が巻かれ、弾け飛んだ。現れたのはアイアンラング。

 

キバの魔皇力が更に上昇する。

 

キバの奥の手の一つ、『ドッガ・ガルル・バッシャー・キバフォーム』…『DOGABAKI FORM』。

 

「ワ、ワタル…あんたなんて事…きゃ!?」

 

「いいか渡!五分間だけだぞ!」

 

「うん!」

 

ルイズを担ぎ上げたキバの右腕と額の魔皇石が光る。

 

すると地面からどんどん水が湧き出し、ちょっとした湖になる。キバはその上に乗り、スケートのように滑り、超感覚でゴーレムの気配を察しながら、ゴーレムより少し上の空で、キュルケとタバサが乗ったシルフィードを発見する。

 

「ダーリン!」

 

「こっち」

 

「キュルケちゃん!タバサちゃん!」

 

次に左腕と額の魔皇石が光る。キバは水の上を超スピードで滑走する。

 

「キャアァァッ!?」

 

ダンッ!

 

そのスピードを利用して、シルフィードが飛んでいる高さまで飛び上がる。

 

「ルイズちゃんをお願い!」

 

少し乱暴だったが、二人にルイズを手渡し、そのまま大地に戻る。

 

「ワタル!お願い!今すぐ変身を解いて!」

 

「どうしたのルイズ?そんなに慌てて。ダーリンなら大丈夫よ」

 

「違うの!なんだか解かる…今のワタルの姿…ものすごく危険なの!」

 

ルイズの言っている事は正しかった。

 

ドガバキフォーム…全てのフォームの能力を重ねそろえた姿。

 

しかし、非常に強力な反面、キバという一つの器に3体ものモンスターの力を付与しているため、キバやキバットはもちろん、ガルル達への肉体的負担もかなり大きい。

 

しかも最悪の場合、全身に装着されている魔皇石があり余るパワーを抑えきれずキバの鎧もろとも自壊し、渡とキバットを含めた4体のモンスター全員の生命を脅かす危険性を持つ。

 

活動限界時間はキバットが魔皇力を制御できる約5分間…!

 

キバはアイアンラングに力を送る。すると、ドッガハンマーがキバの手に出現した。

 

「キバット!お願い!」

 

「おう!魔皇力!最大出力!」

 

キバの全身が光る!

 

キバはそのまま、捉えられない『ガルル』のスピードで走り!

 

ドガンドガンドガンッ!

 

『バッシャー』のテクニックと超感覚で全てを見極め!

 

ドガンドガンドガンッ!

 

『ドッガ』の力でゴーレムを細かく砕いていく!

 

再生する暇は与えない!自分の姿を捉えさせない!

 

ピクッ…

 

キバの超感覚が何かに反応する。

 

(あれは…ロングビルさん?でも…この魔力の流れって…)

 

キバは瓦解寸前のゴーレムの真上に跳び、

 

「『Wake up』!」

 

禁断の笛の音をキバットは奏でる。

 

右足のヘルズゲートが開放され、強大な魔皇力が放出される。

 

「ハァァァァァァァッ!」

 

ドガァァァァァァァッン!

 

そのままキバはゴーレムに『DARKNESS MOON BREAK』をぶちかました。

 

完全にゴーレムは破壊され、瓦礫一つすら残らなかった。

 

「ふぅ…」

 

キバは変身を解除し、渡へと戻った。三つの彫像はそのままどこかに跳んでいく。

 

「ワタルゥゥゥゥゥゥッ!」

 

「へ?…うわぁ!?」

 

ドゴッ!

 

「ヘブッ!」

 

空からルイズの声が聞こえたと思ったら、ルイズの『らいだ~きっく』が胴体に炸裂した。

 

「わ、渡!大丈夫か!?」

 

「うう、痛い…」

 

渡はヒットした場所である胸を摩りながら起き上がる。

 

「こらルイズ!渡になんて事すんだ!」

 

ルイズはプリプリ怒って、

 

「うるさい!ご主人様の許可なくあんな危険な事したからよ!」

 

ポカポカ。

 

ルイズは渡を叩く。

 

ポカポカポカ…

 

ルイズが叩くのを止めて…

 

「ご苦労様…」

 

「…どういたしまして」

 

流石にいい雰囲気になったのでキュルケとタバサが割って入ろうとすると、

 

「キャァァァァァッ!」

 

森の向こうから悲鳴が聞こえた。

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