鉄血工造はイレギュラーなハイエンドモデルのせいで暴走を免れたようです。   作:村雨 晶

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長くなったので前編後編になります。
何気に話を分けて書くのって全小説で初めてのことだったり。

今回はシリアス風味。



デストロイヤーは代理人と再会するようです。

 

固い床を叩く靴の音が響く。

その数は二つ。一つは私で、もう一つは救護者のものだ。

 

「そろそろあなたも会っておくべきでしょう」

そう言って連れてこられたのは鉄血工造の中心部。

かつてエルダーブレインと名付けられたAIが設置されていた場所。

もうそこは救護者や上層部の決定で封印されたと聞いていたけど、救護者は迷いのない足取りで進んでいく。

 

奥に行けば行くほどに警備が厳重になっていく。

配備されているのは下級人形であるものの、処刑人やハンターが手塩をかけて育て上げた練度の高い個体であることに気が付いた。

彼女達ならハイエンドモデルでも戦いに向いていないイントゥルーダーや、演算能力にスペックを振っているスケアクロウくらいなら取り押さえることができるでしょうね。

 

 

「お疲れ様です。この先はネットにつながるものは持ち込み禁止となっています。所持しているようであれば今お預かりします」

 

 

長い廊下を歩き続けた末にたどり着いたのは予想通りエルダーブレインが設置されていた跡地。

その部屋へつながる扉は見るからに頑丈そうなもので、私の装備でも破壊することは難しいことが分かった。

 

 

「私は問題ありません。デストロイヤー、貴方は?」

 

「私も持ってないよ」

 

 

救護者の問いかけに首を横に振ると、返答を確認した門番であるリッパーが扉を開ける。

救護者はそこに迷わず入り、私は急いで彼女についていった。

 

部屋の中は見覚えのない機械が設置されていて、その機械からコードが複数伸びている。

一体何の機械だろうと首をかしげていると、救護者がコードの一本を手に取り、私へ差し出していた。

 

 

「メンテンナンス用のジャックに接続してください。接続すればリンクは自動的に行われますから」

 

「う、うん」

 

 

少し戸惑いながら救護者に言われた通りコードを接続した。

コードから情報が流れ込んでくる。それは私の視界をやがて埋め尽くし、そして―――

 

 

私と救護者は見覚えのない洋館の前に立っていた。

 

 

「えっ!?ここは・・・?」

 

「ここはバーチャルリアリティの中ですよ。UMP40、およびUMP45の電子技術から開発し、電脳世界に箱庭を作り上げたのです。彼女たちの為にね。・・・さあ、行きましょう」

 

 

私の驚きに端的に答えた救護者が洋館の扉をノックする。

すると足音が中から聞こえ、すぐに扉は開いた。

現れたのはセーラー服を着たどこか尊大な態度の人形だった。

 

 

「む?誰かと思えば・・・救護者ではないか、久しいな。で、そっちのちんちくりんは誰だ?」

 

「だれがちんちくりんよ!私にはデストロイヤーっていう名前があるんだから!」

 

「彼女はデストロイヤー。私達と同じハイエンドモデルですよ、ウロボロス。仲良くなさい」

 

「あっ、代理人お姉様!」

 

 

私をちんちくりんなんて呼んだこんちくしょうの後ろに見慣れたメイド服の人形が現れた。

ウロボロスと呼ばれたこんちくしょうがその声に反応して振り返る。

 

 

「立ち話も何ですし、中で話しましょう。ウロボロス、部屋へ案内してください。私はお茶を淹れてきます」

 

「お姉様!その位私が・・・!」

 

「貴女が淹れたお茶が電子上とはいえ壊滅的な味をしていたことを忘れましたか?ウロボロス。貴女もおいしいお茶が飲みたいでしょう?」

 

 

うっ、と代理人の言葉に詰まったウロボロスは肩を落としてこっちだ、と私達を促す。

彼女の先導でついた部屋は大きな、でも落ち着きを感じる部屋だった。

部屋の真ん中には丸テーブルと四脚の椅子が置いてあって、ウロボロスは少し乱暴にそこに座る。

 

 

「何を呆けておる?ほれ、おぬしも座れ」

 

 

見慣れない部屋にソワソワしているとウロボロスから声をかけられて慌てて座る。

救護者はすでに席についていて、お手本のような綺麗な姿勢で座っていた。

 

 

「で、救護者よ。最近外界で面白いことはあったか?」

 

「そうですね・・・グリフィンの人形が妊娠したケースが発見されました。貴重な事例なので私も現地に赴きましたが・・・実に興味深い結果でした。もう少しデータが増えれば鉄血の人形でも妊娠が可能になるかもしれません」

 

「ほう!人形が妊娠とな!相手は?やはり人形か?」

 

「いえ、相手は人間の指揮官です。現状では人形同士では難しいと言わざるを得ません」

 

「そうか・・・。だが人形同士でも出来るようになったときはすぐに知らせるのだぞ!よいな!」

 

「ええ、構いませんよ」

 

 

すでに何度か会っているらしい救護者とウロボロスの会話に入れず、疎外感を感じてしまう。

手持ち無沙汰になった私は大きな窓から外を眺める。

そこには綺麗な庭園が広がっていて、鳥が羽を休めたり、蝶が花の周りを飛んでいるのが見えた。

ここが電脳の中であるということを感じさせないほどのリアリティに目を奪われる。

 

 

「気に入りましたか?デストロイヤー」

 

 

声に振り替えるといつの間にか戻ってきていた代理人がテーブルの上に紅茶とクッキーを置いて微笑んでいた。

 

 

「うん。現実じゃ見れないもの、こんな景色」

 

「そうですか。ドリーマーもきっと喜ぶでしょう」

 

「この景色、ドリーマーが?」

 

「ええ。なんでも大戦前のデータから再現したと聞いています」

 

「へえ・・・」

 

 

ドリーマーが作った景色と聞いてもっと綺麗に見えるのは少し現金だろうか。

この景色の中をドリーマーと歩けたら、それはきっと――

 

 

「さて、本題に入りましょうか」

 

 

救護者の鉄のような声に現実に引き戻される。

そういえば救護者がなんでここに私を連れてきたのか、ウロボロスは何者なのか、そして暴走以降拘束されたと聞かされていた代理人がなんでここにいるのか。

聞きたいことはたくさんあった。

 

 

「まず、代理人。あなたのボディが完成しました。後はあなたのデータをダウンロードするだけで事は終わります。・・・が、ここを出ない意思は変わりませんか?」

 

「ええ。私の中には未だエルダーブレインが潜んでいます。もしそれが外で牙をむけば大事になることは目に見えているでしょう?」

 

「そうですね。ですがそれは今までの話です。・・・イントゥルーダーがエルダーブレインのみを破壊するプログロムを作成しました。それを使えば――」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!私には意味わかんないんだけど!ちゃんと説明してよ二人とも!」

 

 

衝撃的な事実につい叫んでしまう。

エルダーブレインが代理人の中に残っている?代理人は自分の意思でここにいる?どういうことなの?

 

 

「・・・そうですね。デストロイヤーにも分かるよう順序だてて説明しましょうか。話はエルダーブレインが暴走した日の三日後から始まります」

 

 

私の顔を見つめた救護者が口を開く。

私の知らない、あの事件の代理人の行く末を。

 




ウロボロスさん原作で会ったことないから口調これであってるのかわかんにゃい。

おかしかったら教えて下さい。
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