鉄血工造はイレギュラーなハイエンドモデルのせいで暴走を免れたようです。 作:村雨 晶
こんな風にウロボロスを登場させた作者ですが、実はこいつ、CUBE作戦のストーリーも、ウロボロスの正確な情報も、一切分からないのである!(情報は全部二次創作頼り)
なんでウロボロス、ここ明らかにおかしくね?というところは教えてください。
ある程度の違和感は、独自解釈ということで・・・(目そらし)
「・・・そうですね。デストロイヤーにも分かるよう順序だてて説明しましょうか。話はエルダーブレインが暴走した日の三日後から始まります」
救護者はあの事件の顛末を静かに語り始めた。
「あの事件の後、私は全ての鉄血人形のメンテナンスを行いました。ほとんどは戦闘による損傷が主であり、修復を施せば問題ないものでした」
それは私も覚えている。
エルダーブレインの暴走により私達のメンタルモデルが損傷を受けていないか、私達ハイエンドモデルは特に入念に調べられたから。
「しかし代理人だけは別でした。代理人は知っての通り、全ハイエンドモデルへ命令を下せる最高位の権限を持っています。エルダーブレインはそれに目を付けたのでしょう、代理人の電脳へ直接アクセスし、自己判断機能を狂わせたのです。エルダーブレインはそこに付け込み、代理人から権限を自身に移譲しようとしましたがその前にエルダーブレインの本体を私が破壊したため、それが叶うことはありませんでした。ですが、エルダーブレインが代理人へアクセスした結果、エルダーブレインの残滓とも呼べるものが代理人の電脳に残ってしまったのです」
その話は、知らなかった。
でも、確かにその頃から代理人は姿を消していて、致命的な損傷が見つかったから修復をしている途中なのだ、とドリーマーから後から聞かされていたからそれを疑うことはなかったんだ。
「その事実を知った鉄血上層部は代理人のバックアップを含めたすべてのデータの廃棄を決定しました」
「なによそれ!代理人はエルダーブレインの被害者じゃない!なんでそんなこと!」
「エルダーブレインの暴走は上層部にとっても予想外であり、それを汚点として隠蔽したかったのでしょう。その文字通り生き証人となってしまった代理人は不都合なものだったのです。ですが、私やドリーマー、アルケミストにイントゥルーダーがその決定を不服とし、私が代表して上層部を
救護者を含めたあの四人が反発したとなれば上層部も慌てたでしょうね。
まあ代理人を自分たちの都合で消し去ろうとしたんだから自業自得だけど。
「その後、代理人が過ごしやすいようにとドリーマーとイントゥルーダーが共同でこの電脳の箱庭を作りました。せめて、現実と遜色ない生活を送ることができるように、と。・・・まあ二人とも最後は嬉々として製作していましたが。特にイントゥルーダーなどはリアルマインクラフトだ、と細部にまでこだわっていました」
「そっか。・・・あれ?代理人がここにいる理由は分かったけど、ウロボロスはなんでここに?」
浮かんできた疑問に首をかしげる。
ウロボロスを見ると、いつの間にか代理人の膝の上に座り頭を撫でることを要求していた。
・・・ドリーマーに今度ねだってみよう。
「聞いていますか?デストロイヤー。聞いている?よろしい。それでウロボロスに関してですが・・・。こちらに関しては偶然です」
「偶然?」
「ええ。事件の後始末が終わり、代理人のことも一段落した後、鉄血内部で『根本治療』を行いました。結果上層部の一部が消えたのですが、その消えた一部が秘密裏に行っていた<ウロボロス計画>を発見したのです」
「<ウロボロス計画>・・・」
「エルダーブレイン計画を総司令と同等の人形を配置し、その命令により全体の戦力を強化する『全戦力強化計画』とするならば、ウロボロス計画は最強の一個人、つまり文字通りの
「一人で何でもできるハイエンドモデルを作ろうとしてたってこと?」
「ええ。具体的には全ハイエンドモデルを電子演算で殺し合わせ、残った一人を戦力とする、東洋の呪いである蟲毒に似た計画でした。しかし、実行していた幹部が消えた結果、計画は凍結。ウロボロスと名付けられるはずだったデータも放置されていたのです」
「そこで私はこやつらに取引を持ち掛けた。お前たちの言うことをなんでも聞いてやるから私に体をあたえろ、とな」
「しかしウロボロスのスペックが高すぎたのです。現状の鉄血では彼女の力を十全に振るえるボディを作ることができないのですよ。そこでウロボロスも代理人と同じ箱庭に移し、ボディが開発されるときまで待ってもらうことにしたのです」
「救護者が突然見知らぬハイエンドモデルを連れてきた時は驚きましたが、救護者がいなくなったとたん襲い掛かってきた彼女にも驚いたものです」
「うむ、その時の私は私こそが最強だと信じて疑っていなかったからな、お姉様を下僕にしようとしたのだが・・・。見事に返り討ちにされてしまってな、今では代理人こそ私が従うべき人形だと気付いたのだ!」
「私のスペックを現実と同じように再現できていなければ負けていたでしょうが・・・。事実、あまり余裕はありませんでした」
「ふふふ、そんな謙虚な姿勢も素敵だぞ、お姉様!」
膝の上に座ったまま代理人に抱き着くウロボロス。
その表情から心の底から代理人を慕っているんだって分かる。
「そうしてつい最近イントゥルーダーが代理人の中のエルダーブレインのみを除去するプログラムを開発しました。同時にエルダーブレインに浸食されていたために破棄せざるを得なかった代理人のボディも新しく製作できたので迎えに来た、ということです」
「じゃあなんで私には代理人のこととかウロボロスのこと教えてくれなかったの?イントゥルーダーとかアルケミストとかドリーマーには知らされてたのに・・・」
「そもそも代理人やウロボロスのことを知っているのは鉄血の上層部と私、アルケミスト、ドリーマー、イントゥルーダーのみです。処刑人やハンターなどには知らせていません」
「え?どうして・・・」
「鉄血上層部の黒い事情も絡んでいますから。すべての準備が整うまでは妨害が入らないようにしたかったので。あなたをここに呼んだのも、ドリーマーがどうしても、と言っていたからです」
「ドリーマーが?」
「不穏分子もいなくなったので代理人を戻す計画を立てていたのですがドリーマーがデストロイヤーにはこれ以上隠し事はしたくないから、と」
「ドリーマー・・・」
ドリーマーの想いに胸が詰まる。
私をそんなに思ってくれていたなんて。
「というわけです代理人。戻ってきて頂けますね?」
「・・・分かりました。不安要素がないのであれば戻らない理由もありません。職務に復帰するとしましょう」
「良かったです。もし断られていたら無理矢理連れ戻さなくてはならなかったので」
「・・・・・・そう」
代理人の表情は変わってないように見えたけど、頬に冷汗が流れているのを私は見逃さなかった。
「なあ!私は!私はいつ外に出られる!?」
「あなたに関してはボディができないことには何とも。スペックダウンしてもいいのであれば一月以内には出られるでしょうが」
「それでもよい!お姉様のいない生活など耐えられぬ!」
「毎日会いに来ますよ、ウロボロス」
「嫌だ!私はお姉様と一緒にいたいのだ・・・」
代理人の背中に顔をうずめ、体を震わせるウロボロス。
それを見て救護者は一つ息を吐いた。
「・・・分かりました。製造部門に連絡し、十日以内には作らせましょう。ですが戦闘能力は著しく低下することは覚悟してください」
「うむ!礼を言うぞ救護者よ!」
顔をあげ、満面の笑みを浮かべるウロボロス。
こうして、後日ハイエンドモデルが新たに製造されることが決定された。