《不定期更新》男性アイドルは超満員の中音楽なしで一人歌うことができるだろうか   作:星燕

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処女作な上に短編。

作者の妄想と想像がこの物語に行き着きました。

この中では全く触れませんがヒロインは出てきているかではありません。逆さまウサギのあの方です。大好きです。

反応がよければ続く…かもしれません。

我らがオリ主

【挿絵表示】



長くなってしまいました。それでは、どうぞ。


アイドル開始
男性アイドルは超満員の中音楽なしで一人歌うことができるだろうか


きっかけは、なんとなくだった。

 

なんとなく買った雑誌の広告。

そこにデカデカと踊る『男性アイドルグループのボーカルを発掘!!応募は以下の住所に往復はがきで!』の文字。

 

それを読んでいたところを学校のクラスメイトに見つかり、なし崩し的に応募した。

 

戻ってきたはがきに書かれていた場所で第一審査としてペーパーテスト、第ニ審査として面接をした。

 

そこを突破してしまった俺は残り六人ほどの最終審査…『歌唱力審査』に進んだ。

 

繰り返すが、これは俺が意図したことではない。始まりはなんとなく、だ。

 

それでも星がその意思のまま俺を導いたような、もしくは運命が複雑に絡まって俺を突き動かしたような。

 

少なくとも、マイクを受け取った瞬間気づいてしまったのだ。

 

 

彼はこの先、生涯をかけて…。

 

自らの熱を、意思を、苦痛や悲哀や、怒りや憤りや楽しさから喜びまであらゆる感情を、それこそ魂をも歌うのだ。

 

この瞬間、彼は自分が祝福と呪印(二つのギフト)を受け取ったことを悟った。

 

 

審査の結果?審査などするまでもない。一つ前の人まで優しげに、傷つけないように批評をしていた審査員が、涙を流した。

 

繰り返そう。涙を流した。泣いたのだ、大の大人が。たかがポッと出の少し顔が整っているだけだと思われた少年の歌で。

 

それは長い年月を歌に寄り添って生きてきたからの偶然か、もしくは生物として彼の歌にナニカを感じ取ってしまったのか。

 

しかし、とにかくだ。彼の歌ったその歌は彼らの心を動かした。

 

その結果はもはやみなさんお分かりだろう。

 

彼は数ヶ月後にアイドルグループのボーカルとしてデビューする。

 

そして、その初ライブは凄まじいまでの反響を呼んだ。

 

最初に出てきたのはボーカルの彼のみ。ステージにあるのは申し訳ばかりのスポットライのみ。当然、ファンは困惑した。しかしそれも彼が歌い始めるまでだった。

 

音楽などない。ギターも、ベースも、キーボードも、ドラムも、もちろんピアノもDJセットもない。

 

煌びやかなライトも、激しい踊りもない。

 

しかしそこには、彼の歌があった。

 

小鳥がさえずり朝の歌を歌うように。あるいは草花が愛を歌うように。獣が夜に吠えるように。

 

そして、人が愛する人に囁くように。

 

その歌声は粉雪のように儚く、また小川やそよ風のように優しかった。それこそ、消えてしまうのではないかと言うほどに。

 

しかし、事実として彼の声は確かに鼓膜を揺らし観客の心を打った。

 

向こう十年間アイドル業界で伝説と言われ新人に見せられ続ける目標映像となることを意図した人はいないが。

 

とにかく、彼の声は彼の魂だった。

 

彼の名前は東郷啓斗(とうごうはると)

 

この物語は、彼が魂を燃やし生き続けたハッピーエンドのーー周りの人々からすればバットエンドのーー五年間の日常である。

 

 

 

 

 

____________________________________

 

「って言う夢を見たの!やっぱりあなたの歌声はみんなに知ってもらうべきだわ!」

 

「こころさん…俺が君にすごい剣幕で話しかけられていることと謎の夢の話をされていることは今は置いておくよ。でもその話だと最終俺死んでるし。俺って歌っただけで女子泣かせたから殆どの学年の女子から勘違いされて避けられてるし、泣いた理由が俺の歌で感動したからだとしてもその女子が誤解を解こうとしてない現状で俺に話しかけるって君ほんと勇気あるね。尊敬しちゃうよ。」

 

ここは羽沢珈琲店。近くの女子校に通う女子高生や俺も通う共学校、近くで働くサラリーマンや商店街の皆さんに愛されるお店だ。

看板娘のつぐみさんは可愛い。頑張り屋さんの上に可愛い。これが天使か(白目

 

「私、ライブハウスであなたが歌っている動画を店長さんに見せてもらったのよ!」

 

「え…」

 

ここで脳内独り言をぶった斬る一撃。説明するがライブハウスとは音楽スタジオだ。よくバンドが練習している。俺も財布に余裕があれば使っている。

店長さんとはそこの店員だ。いや、いつもあの人しかいないし店長なのかな…とおもってそう呼んでいる。まぁそんなことはいい。あの人は俺のプライベートをなんだと思っているのか。なお、普通に犯罪な模様。

 

「すごかったわ!さっき私たちのバンドと知り合いのバンドに送ったらみんな感動してたわ!」

 

「え…?」

 

ここで追撃。

ハルト に 30 の ダメージ !!

 

いやほんと、女子高生怖いわ。光の速度で俺のプライベートが走り去っていく。

ついでに安らかな日常も走り去っていった気がする。いや、そんなはずないか。

俺はゴム人間の船に乗っているわけでもなければサイヤ人のいる地球にいるわけでもないし。妖怪にあったこともない。日曜午前9時恐るべし。

 

そんな要領を得ない事を考えている間に既に事態は悪化していた。

 

「おい、いたぞ!」

 

「やっとか!」

 

なにやら外が騒がしい。

 

ん?こっちを指差しているぞ?

 

アルェ?イヤナヨカンガスルゾ?

 

「私、こうゆうものです。」

 

んー?おかしいな。俺の目が正しく世界を写しているならばキッチリした背広を着こなす社会人の方が俺に名刺を差し出しているぞ?

 

「あの、お…僕に何か?」

 

「普通に話してくれて構いませんよ。」

 

「あ、じゃあお言葉に甘えて。なんか俺に用ですか?えーっと…うわ、有名な芸能人事務所じゃないで、すか……こころ、お前まさかあの動画…」

 

「いろんな事務所に送ったわ!」

 

「フォアッ!?」

 

前言撤回だ。この俺の辞書にプライベートなど存在しない。こんな世界俺は認めないぞ!

そして俺はこころをさん付けで呼ぶのはやめた。同い年だし。黒幕だし。

 

「あなたの歌声を拝聴しました…いや、この歳になって、こんな時代になって…まさか歌を聴いて心が揺さぶられるなんて。」

 

「はぁ…そうですか。」

 

「是非、私どもと一緒に業界に新しい…いや最も原始的で人の心を動かし得る…そんな音楽を作りませんか!!」

 

「いや、そんなこと言われても…俺の一存では決められませんし。」

 

「あら、貴方の親が許可すればいいの?」

 

「だけど今ここに二人はいないぞ?」

 

「こんなこともあろうかと黒服さんに頼んで連れてきてもらいました!」

 

「ココロォォォォォ!!」

 

「「アイドル?おっけー!(°▽°)」」

 

「くそがぁぁぁぁぁッ!!」

 

____________________________________

 

こうして俺のアイドル生活はスタートする。




いかがでしたでしょうか。前書きでわからない人もいるかもしれないので、ここで言わせていただくと、ヒロインはリサさんを予定してます。

今のところ短編…というか単発です。リサさんというのも完璧に作者の妄想の中の話です。

良かった点、悪かった点、アドバイスやこういう話が読みたい等々…感想欄でお待ちしてます。それでは。

ヒロイン総選挙in令和元年・夏

  • 千聖こそ正妻
  • リサ姉まじ天使・RMT
  • 蘭のツンデレ最高
  • 紗夜さん愛してます
  • その他(感想欄にて受け付けます。)

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