《不定期更新》男性アイドルは超満員の中音楽なしで一人歌うことができるだろうか 作:星燕
「……。」
「………。」
「…………。」
「「あ、あのっ、あっ、……。」」
なんで俺とリサが急にお見合いの場で合わせられた知り合いのような反応になっているのか。
簡単に言うとなんちゃって逆
詳しくは中編を見てね!(明確な誘導
まぁ、前回の時点でこうなることは薄々感づいていた。なので俺は風呂上がりにTATUYAに行って映画を二、三本借りてきている。
ラベルは見ていないが、まぁレジ前にあったやつだし人気で面白いんだろう。
うん、明確なフラグが着々と建築されていってるな。もうそろそろ俺にフラグ建築士一級免許をくれてもいいんだぞ。
つまり、そういうことなので俺はこれからリサに映画を見ることを提案しなければならない。映画の利点は複数ある。
何も考えなくていい。
無理に喋らなくていい。
楽しい。
終われば会話のタネがある。
あわよくば見てる間にアノことを忘れるかもしれないし。
な?完璧だろ。まぁ本心は最後のやつだ。やっぱり俺に今の状況はキツすぎる。
「なあリサ映画借りてきたから見ないか?」
「…うん、いいよ。」
長考の末俺の結論と同じところに落ち着いたんだろう。ならばあとは見るだけだ。
「どれから見る?」
袋から三つのDVDをだす。
「は、はると…それって、わざと?」
ん?心なしかリサのろれつが怪しくなっている。DVDに何かあったのだろうか。
\ゾンビ・クウォーツ/
\呪印/
\キラー×キラー/
まさかのホラーで3コンボである。ゾンビもの、日本霊もの、殺人鬼もの。フルコンプリートである。
だからレジ打ちの人に若干引かれてたのか?
そもそもの話、男性に限らずともアイドルというとプライベートで見つかるとそわそわされたり、きゃーきゃーと黄色い声援が飛んで来たり、握手やら写真やらサインやらを求められるものだと思っていた。
だが!俺の扱いはまるで珍獣やらゲテモノやら。遠くから眺める分には面白いが、実際触れに行くのはちょっと…ムリかな?
みたいな雰囲気を醸し出されている!これには納得いかない!!
しかしそんな状況も俺の周りに関して言えば少々緩和される。
主に蘭とつぐみ、あこあたりはそんな感じである。
これで蘭の会話中に唐突にくるインファイトがなければ全く問題ない。まぁ最近はそれも徐々にさばけるようになっているのでモーマンタイだ。
その経験が活きたこの前の先輩男性アイドルとのロケでは、動きが良すぎて若干引かれるという事態にもなった。しっかり連絡先交換してご飯行ったけどな!!
閑話休題
リサが苦手なジャンルなら見ないほうがいいのか。はたまたそっちのショックでさっきのやつを忘れるかもしれない。
………。
よし、見よう。
東郷啓斗、十六歳。一大決心の日である。
「リサ。選べないなら全部見よっか!」
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「どれから見る?」
啓斗の手には三つのDVD。そのどれもがホラーというジャンルに属すものだ。
「は、はると…それって、わざと?」
震えた私の声に反応して啓斗が手元を見つめる。よかった。私が苦手なものをわざと持ってくるドSで鬼畜な啓斗さんは居なかったみたいだ。
あれ?全然顔を上げない。なんかだんだん渋い顔になって…あ、急に開き直った顔。そして、何か悪いことを考えている顔。
バッ!という効果音がつきそうな勢いで顔を上げた。
その顔には溢れ出んばかりの喜びが詰まった笑みが…
なかった。あったのは妖しく揺らめく肉食動物の目だ。
「リサ。選べないなら全部見よっか!」
前言撤回。ただのドSで鬼畜な啓斗が悦びが詰まったとてもいい笑顔でそこにいた。
そんな顔にも心が揺れるのだから、我ながらチョロいことだ。蘭でももう少し攻略が難しいだろう。物理的な意味でも。
こうして早朝二時まで続く地獄のホラー祭りが始まったのである。
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『ジュディ!早くこっちに!』
『あぁ、だめ、だめよ…マイク!そっちはダメなの!アレが…アイツがいる!』
『ヘヒャヒャァア!!血ィ…血ィ見せろォ!』
『ヴァッ!!?』
「ひゃぁぁぁぁぁ!」
「おゔッ!?」
怖いものを見るときに苦手な女の子がどんな行動をとるか。その選択肢は二つだ。
一つ目、普通に怖がる。
平和的に怖がる。その結果、女子は儚げかつ守ってあげたい雰囲気を纏う。そして男は堂々と歩くことで男らしさを見せることができる。平和的なことだ。
二つ目。これが問題なのだ。
怖がりすぎて周りのものに被害を出す。お化け屋敷でお化け役の人を殴り飛ばしたり怪談を聞いて話し手を意識不明の重体にしたり一緒にホラー映画を見た人をリアルゴーストにしたり。
その女子の存在そのものがホラーになりかねないタイプだ。
そして、リサはこっちだ。
もうわかっただろ?俺今死にそうなんだよ。誰か助けてくれ。瀧本さん、黒服さん、つぐみ…。
いや、バレたらバレたで俺の人生が精神的に終わりそうなんでやっぱいいです。
でもリサさん。もう少しだけ力を緩めてはくれないだろうか。
しかしこれで二本目も終わる。
あと一時間半ほどの辛抱だ。それで、寝て、明日の朝帰る。完璧だな。(白目
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「や、やっと終わった…」
「あっ、ごめんね!その…だいぶ怖くて。」
「いや…いいんだ、気にしてない。あ、ごめんあと30センチ離れて。」
「めちゃくちゃ気にしてる!?」
今の俺の身体には隣にいるーー謝り倒しているーー女の子に付けられた傷と恐怖が刻まれている。
攻撃を受けやすかった左半身に至っては完全に人体の構造上不可能な曲がり方をした腕。大きく前に外れた肩。別々の方向を向く指が存在している。
ギャグの回だから次話には治ってるけど。
それから三十分ほど、俺とリサの漫才のようなやり取りは続いた。
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突然だが、至福の夢と言われたらあなたは何を想像するだろうか。
仲のいい兄弟姉妹と遊び駆け回る??
小鳥の鳴き声に合わせて踊る??
愛する誰かとこれまた愛を囁き合う?
たしかに、愛する誰かに愛を伝えるのは心地よいし、小鳥の歌で穏やかに舞うのも気分がいいだろう。
だが、俺の場合は少し違う。
胸の中にいる女の子。その小さな頭を緩やかに撫でる。
この女の子を、いつかきっと守れるように、と…
サラサラと感じる指の中の感覚に意識を寄せる。
ん?サラサラと
ここでもう一つ問おう。
夢で視覚以外の五感から刺激を受けたことがあるか。
答えは圧倒的にNOだ。
つまるところ、この胸の中に身体を委ねる女の子は現実のものであるし、その相手に俺は『守りたい』という感情を持ったわけだ。
…とりあえずベッドから出てからだ。
少し怠い身体に鞭を打ち、俺は幸せを振り切った。
今回少なめ&最後あっさり&言葉足らずな感じです。
もっと言うと短編たくさん詰め合わせたみたいな。
そのうち加筆修正するので許してください。私も今回の出来には不満が残るのです。
ダメなんだよ。寝かせようとするたびくどくなるし、どっかのタイミングで「あれ?おれってもしかして…」イベント出さなきゃだから。
そんで次回はレストランイベント。
やっぱりやりたいこと書いてる時が一番進む(当社比)
てか蘭とリサさんがだんだんWORKING!!の伊波みたくなってんの。ついでに啓斗くんは小鳥遊ですね。わー、分かりにくい。
ヒロイン総選挙in令和元年・夏
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千聖こそ正妻
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リサ姉まじ天使・RMT
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蘭のツンデレ最高
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紗夜さん愛してます
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その他(感想欄にて受け付けます。)